削除前に読んでいる方は特に読んでほしいです
それからしばらくの月日が経った
もうそろそろ小学校にも通う時期だ
両親ともに、特に母さんが心配しすぎるというレベルだった。
人間関係で死にかけたのだから仕方ない。
でも俺は変わった。
見た目以外の全てが変わった。だから大丈夫だ。
一度死んだ人間が高々小学生の悪口程度でどうにかなるはずもない。
見た目に関しては個性の訓練の成果なのか、口が増えたのと小さな裂傷が至る所にあるだけだ。
大怪我を負ってからしばらくは訓練ができなかったのが辛かった。
だが俺はあきらめずに両親を説得し、少しずつだが訓練ができるようになった。
小さな裂傷に関しては父さんを説得して限界ギリギリまで訓練をしたためだ。
両親に心配をかけるのは十分承知だったが、この世界へと来た意味を探すため引くことはできなかった。
退院後の生活は、大けがを負ってしまった腕のリハビリと入学前の勉強。
自らの個性の可能性。動けないなら頭を働かせた。
たまに母さんのヒーロー仲間や、父さんのサイドキックと顔を合わせたり、両親の英雄譚を聞いたりした。
当の本人たちは顔を真っ赤にしたり、必死に止めようとしたりしていたが・・・
そんな日々を過ごしてこの世界への理解を深め、知識や人脈を作り上げていった。
まぁ相手からしたら上司の息子程度の認識なのだろうけど
そんなある日、両親がソワソワしている日があった。
俺としては何が何だかわからないが、とりあえずいつも通り過ごそうとしたら珍しく外出を促された。
とりあえず行く当てがないことを伝えてみたら、図書館に行ってみたらどうかといわれた。
読書好き&ヒロアカ世界の歴史を知るにはもってこいだった。
「それじゃあ図書館に行くから着替えてらっしゃい」
母さんはすでに外出着だった。
「わかったー!」
急いで部屋に行き、お気に入り(口がデザイン)の服に着替え玄関に向かった。
「着替えてきたよ!」
「そんなにニコニコして。よっぽど楽しみなのね」
母さんは口に手を当てくすくす笑っていた。微笑ましいとでも思っていたのだろう
そんな母さんを見て俺の方こそ微笑ましいと思ってしまった。
図書館につくと、どうやら用事があるようで迎えに来るまでここにいてねと言った。
「係員さんにも吐喰がここにいることを伝えたから安心してね」
「うん!それじゃあまたあとでね」
俺は急ぎ足で個性に関するコーナーに向かっていった
現在個性は千差万別だ。同じような個性でもデメリットがあったり、訓練し続けても強くならない個性。異形系個性でも、その元となった生物のできることできないことなど様々だ。
個性についてはまだわからないことが多くあるが、わかっていることもある。それに他の個性を知ることによって、自分の可能性を広げたり対策を取れたりする。
そんなことを考えながらいろいろな本を読んでいると、ポンポンと肩をたたかれた
「ん?」
肩に手を置いたのは俺のことを迎えに来た母さんだった
「随分と熱心に読んでいたのね。お母さんの用事も終わったしそろそろ帰ろうか」
「うん」
名残惜しかったがお迎えが来てしまっては仕方がない
母さんと手を繋ぎながら帰る道は夕日がきれいだった
家に近づくにつれ母さんが今朝のようにそわそわし始めた
何かがあるんだろうけど、まったく思いつかない
そうしているうちに家に着いた
「さあ吐喰。ドアを開けてみて?」
言われた通りにドアを開けてみると
「「「「「ハッピーバースデー!!!」」」」」
クラッカーと共に父さんやサイドキックの人たち、母さんの友人など多くの人たちがいた
ぽけーっと口を開けていると後ろから母さんが
「吐喰、6歳の誕生日おめでとう!」
そうか、今日が俺の誕生日だったのか
これだけの人に祝ってもらうのは初めてだ
言葉が出る前に口がにやけてしまう
「ありがとうございます!」
それは心の奥底からでた一言だった
それからはどんちゃん騒ぎで静かな時がないくらいだった。
母さんの友人たちにはもみくちゃにされ、父さんの友人たちには個性訓練の話を父さんが話してしまい、
「これは将来が楽しみだ」だの「将来は俺のサイドキックにならないか?」など褒められまくりだった。
流石にこれは恥ずかしかった。
誕生日プレゼントなのだが、これまた驚きのものだった
何とヒーロースーツ的なものとサポートアイテムだった
ヒーロースーツは母さんが使っていたものを改良したもので、どうやら俺の細胞からできており、成長とともにスーツも大きくなり、最大の特徴である『口』も口の使用と共にスーツがジッパーのように開き破けることがないようだ。
仮に破けても俺自身の細胞(抜けた髪の毛)などを少量破けた部分に置けば、スーツが自動的に吸収し復元するらしい。
いやいや、どんな性能ですか。むしろこれ一つで個性のようなものですよ
さらにサポートアイテムでは、これまた父さんが使用しているものを改良したもので、亜空間に取り込んだもの、限界容量を表示してくれる優れもの。
また手足や関節には衝撃を抑えるものを使っており、母さんのスーツと同じ仕様のものだ。
値段は聞かないでおこう。怖すぎる。
でも亜空間に吸収したものの限界容量を表示するものがあったならもっと早く教えてもらいたかった
でも嬉しかった。私有地以外での個性の使用は禁止だが、両親が俺の夢を押してくれていることが
「お父さん、お母さん、本当にありがとう!!!」
お祝いに来てくれた人たちみんなで写真を撮り、最高の誕生日を終えた
後々サポートアイテムの話を聞くと、俺の誕生日に合わせて父さんが協力しやっと完成したものだったようだ
だが限界容量がわかるといってもある程度らしいので注意が必要とだけ言われた
それからの生活ではヒーローアイテムのすごさを実感したり、訓練で少し傷が増えてしまったこと以外、特別変わったこともなく時間は過ぎていった
強いて言えば俺の見た目がヴィランに見えることくらいだ。
それは自他ともに認めている。
特に裂傷の跡が顔にもあるため、幾度となく戦闘を行ったようにも見える。
仮に俺がヒーローになれたら、ヴィランっぽいヒーロー堂々の一位だろう。
そして人生の一大イベントが来た
そう、小学校に入学だ。
両親のはしゃぎようはいつも通りなので置いておくことにしよう・・・
小学校に入学してからというもの、周りの子供に泣かれた。
いや、この見た目だからね。仕方ないのかもしれないけど、すぐに泣かれるのはさすがに少し傷ついた。
クラスが決まって簡単な自己紹介をして席に戻る。
今自分の置かれている状態は、触らぬ神にたたりなしって感じだろう。
とにかく誰も目を合わせてくれない。あったらあったで速攻涙目になる。
先生でさえビビってるからなぁ。こればっかりは時間が解決してくれるのを待つしかない。
今思えばよくこんな俺を苛める度胸のある子がいたもんだ。ある意味尊敬する。
それから数日たち、毎日のように学校で何があったか聞いてくる母さんにたまに帰ってきては訓練をしてくれる父さん。
毎日が充実している。
一日が24時間じゃ足りないと思えるくらいだ。
友達が一人できた。名前は蜘蛛異 繭(くもい まゆ)。
異形系個性で幼稚園では自分と同じように嫌がらせにあったという女の子だ。
見た目としては腕が六本に目が八つという蜘蛛型個性だ。
女の子には残酷な個性だろう。
まあ前世でいろいろと飼育していた俺としては全く気にすることではないが。
「とばみ君はこんな私でも気持ちがったりしないでいっしょにあそんでくれるよね。どうして?」
それは彼女なりの純粋な疑問だろう。彼女はすごく大人しいというかつつましいというか、そんな性格だ。
「どうしてって、一緒にいて楽しいからに決まってるじゃん」
「気持ち悪いと思はないの?」
「思わないよ。繭ちゃんは気にしてるかもしれないけど、その瞳だってつぶらで綺麗だしその腕でいろんなことができる。この前だって巣から落ちた雛を元に戻してあげてたでしょ」
噂では繭ちゃんが雛を食べたってことになってて、教師には報告したけど。
「え、っと」
繭ちゃんが泣き出してしまった
「家族以外の人からそんなこと言われたの初めてで、うれしくて」
「よかった。何か傷つけるようなこと言っちゃったかとおもったよ」
言葉だって立派な暴力になるからな
そんなこんなで初めての友達は女の子で、母さんはなんでかしらないけど喜んでいた。
家に呼んでくるようにも言われたり・・・
最高の誕生日や夢を応援してくれる両親
初めての友達
なんて幸せな日々なんだろう
これが当たり前だなんて思わないで毎日を過ごしていこう