ヒロアカ~俺の正義の名のもとに~   作:むらびとα

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繭ちゃん2

繭ちゃんと一緒に登校する日

 

少し早めに家に向かうと、既に家の前に繭ちゃんの姿が見えた

 

 

「おはよう、繭ちゃん。もしかして遅れちゃったかな?」

 

 

繭ちゃんは少し顔を赤くして

 

「ううんっ!その、とばみ君と一緒に行くのが楽しみで、」

 

 

あ、可愛い

 

手を前で組みながらモジモジしている

ついでに蜘蛛の足もわちゃわちゃ動いてる

 

素直というか、隠しきれてないですよ繭ちゃん

 

 

 

「そっか!それならよかった!じゃあ行こっか」

 

 

二人で歩いてはいるが会話がない

 

多分繭ちゃんは学校が怖いのだろう

昨日の今日で行っても噂は収まってない

 

 

俺は俺で学校に着いたらどうしようかと悩んでいる

できる限り一緒にいるのは確かだが、俺もヴィランに見えるのに一緒にいて大丈夫なのか

そんな考えが頭をよぎる

 

 

「ねぇ、繭ちゃんは僕と一緒にいて嫌じゃないかな?」

 

 

驚いた顔でこちらを見ていた

 

 

 

「僕って昨日も言ったように見た目はヴィランでしょ?それで繭ちゃんも同じように見られたらって考えたら、どうなのかなって」

 

 

 

それを聞いた繭ちゃんは少し怒ったような口調で

 

「とばみ君はヴィランなんかじゃない。だって私を助けてくれたヒーローだもん!」

 

 

その言葉に衝撃を受けた

 

 

そっか、俺はちゃんと繭ちゃんの心を助けられたのか

ヒーローってこんな感じなのか

決して優越感とかではない

でもすごく心が踊った

 

 

 

「そこまで言ってくれて嬉しいよ!じゃあこれからはずっと繭ちゃんのヒーローで居続けるね!」

 

 

これまた顔を真っ赤にして

 

「ずっと!?」

 

 

 

「うん!」

 

あ、これってプロポーズって言うか告白みたいだな

まぁ小さい頃に将来結婚するって約束して、結局忘れてるパターンだから気にしなくても大丈夫だな

 

 

 

「えへへ、そっかぁ。私がとばみ君とずっと・・・」

 

 

どうやらすごく嬉しそうだ

 

 

 

そんな話をしていたら学校が見えてきた

 

繭ちゃんが怯えるように俺の制服の端を掴んできた

 

 

「大丈夫だよ、僕が一緒にいるからね」

 

 

「う、うん。でも怖いよ」

 

今にも泣きそうだった

 

 

「大丈夫、繭ちゃんのヒーローがいるんだから!」

 

少しでも気を紛らわせる言葉をかける

 

 

「そ、うだよね。とばみ君は私のヒーローだもんね」

 

 

少し元気が出たようだ

よかった

 

 

 

校門をくぐりると周りの視線が気になる

 

どうやら噂は学校全体に広がっているようだ

 

 

下駄箱に靴を入れ教室に向かう時は、もっと視線が強くなった

だけどこちらは何も悪いことはしていない

心無い噂に踊らされているだけの人達だ

 

 

クラスに入ると、一瞬で会話が無くなった

 

目を逸らすもの、凝視するもの様々だ

 

 

裾を掴む手に力が入った

 

 

「大丈夫」

 

力強くそう言った

 

 

 

 

だが、机の前に着くと繭ちゃんは涙を流し、俺はキレた

 

 

机には化け物だのヴィラン、早くヒーローに捕まれなど幼稚ではあるものの、心を傷つけるには十分なものだった

 

人はここまでこうなれるものなのかと、前世と何も変わらないと思った

 

 

 

「おい!これを書いたやつは誰だ!」

 

さすがに我慢できなかった

直接文句を言うなら、その場で誤解を解くことは出来るかもしれない

だがこれを書いたヤツらは、卑怯だ

自分の言いたいことを言って、あとは傍観者気取り

 

 

さすがに俺が怒鳴り声をあげるとは思わなかったのだろう

 

周りからは「っひ」と怯えたような声や、ガタッと音も聞こえてくる

 

 

「言いたいことがあるなら直接言えよ!こんなの卑怯だ。こんなことをする方がヴィランだ。繭ちゃんは噂通りのことをする子じゃない!とても優しい女の子だ!」

 

 

頭で考えた言葉がそのまま口に出る

本当に許せなかった

どうしてこんなに優しい子が、心無い悪意に晒されなければならないのか

だったら泥を被ろうとなんだろうと、俺が解決してやる

 

 

「ヴィランに見えるなら俺の方だろ?なのに、なんで俺の机にはそれが書いてない?怖いんだろ。反撃出来ない女の子しか標的にできないクズが」

 

 

 

この言葉には繭ちゃんも驚いてしまったみたいだ

 

普段の話し方と全く変わってしまったことに気づいた

 

 

だがここで運がいいのか悪いのか、教師が少し慌てたように教室に入ってきた

泣いている繭ちゃん、キレている俺、ビクビクしている周りの生徒

 

さぞ慌てたことだろう

 

 

 

「一体どうしたの!?」

 

 

教室を見回しても、誰も答えない

 

だから俺が答えた

 

 

「このクラスの誰かが繭ちゃんの机に落書きしたんです。これ見てくださいよ」

 

 

そう言って教師をこちらに呼んだ

 

 

さすがに一年生でこんなことをやるとは思わなかったのか、教師も驚いていた

 

 

「これは本当にクラスの子がやったの?それとどうしてみんな黙っているの?」

 

 

当然の疑問だろう

 

それと確実にクラスメイトがやったかどうか分からないのに、俺がいった言葉は間違いだった

 

 

「それは分かりません。でもそれを見た時に、こんなことをする人がいるのかと思って、僕がみんなに卑怯だって言ったんです」

 

 

 

教師は納得したかのような顔で言った

 

 

「そういう事だったのね。とりあえずこのことは先生たちがどうにかするから、吐喰君は大人しくしていて」

 

 

 

やはり俺の見た目が大きいのだろう

あれ以上ヒートアップしていたら、俺がこのクラスにいることを怖がる子が多くなっただろう

多分現状でも多いだろうが・・・

 

 

 

教師のいった言葉は至極当然な事だ

でもこいつも見た目で判断することはわかっている

だがこれ以上俺のできることは少ない

 

 

 

「わかりました。でも早く繭ちゃんの誤解を解いてください」

 

 

 

その後教師はクラスから出ていき、数分後全校集会が行われることがスピーカーから伝わってきた

 

 

 

「ごめんね繭ちゃん、僕怖かったよね」

 

 

「ううん、とばみ君は私のために言ってくれたことだもん。最初はびっくりしたけど、うれしかったよ」

 

 

目が赤く腫れながらも笑顔でそう言ってくれた

繭ちゃんは優しいだけじゃなくて強い子なんだな

 

 

 

全校集会では、繭ちゃんの行ったことを詳細に説明し噂は全くの誤解だということを生徒たちに伝えた

 

 

下校時間となり、繭ちゃんと今朝通ってきた道を歩いていた

 

 

「とばみ君、今日はありがとう」

 

 

「ううん、僕は何もしてないよ」

 

 

「違うよ、とばみ君がそばにいてくれたこと、周りに言ってくれたこと、わたしうれしかったもん」

 

 

「そっか、それならよかった」

 

 

 

お互いに今日のことを振り返り、繭ちゃんを家まで送って帰宅した

 

 

母さんは今日も学校であったことを聞き、女の子を守ったことに関しては褒めてくれたが、俺が怒ったことには注意してくれた

 

やはり次のターゲットが自分の息子にならないようにだろう

 

 

今日得た教訓を忘れずにヒーローを目指そう

 

 

 

 

 

数日がたち悪口などは無くなったが、やはり視線を感じる

 

だが、ハッキリと教師たちから誤解だということを伝えられ、傍には俺がいる

直接なにか言ったり、机や物に落書きはなくなるだろう

これもひとえに俺の見た目のおかげかもな

 

 

だがびっくりしたことに、俺が傍に居ても繭ちゃんに謝りに来た子やその場で友達になったことがあった

 

お零れで俺も友達になれた

 

見た目は怖かったようだが、中身は怖くないということが、この前の出来事でわかってくれたようだ

 

 

はぁ〜、よかった

 

広く浅くより狭く深く派の俺としては友達は繭ちゃんだけでも良かったが、俺が側に入れないときや、繭ちゃんには俺以外の友達も必要だろう

 

 

 

 

入学して一年も経ってないのに濃い日々だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ああ、あと繭ちゃんから告白された




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