【こち亀×ガルパン】こち亀&パンツァー【台本形式】   作:神山甚六

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・書いていて楽しかったので少しだけ続けます。


101匹ボコ大行進!の巻(前編) / ボコボコ大作戦です!(前編)

【新葛飾署 署長室】

 

屯田五目須署長「えー、そういうわけで両津。このベアポリスの着ぐるみを、ボコられクマのポコに作り替えてほしい」

 

両津「どういうわけですか!」

 

次長「署長。モコです、モコ」

 

署長「おぉ、そうだった。このポンポコに……うん?」

 

次長「署長、タンポコです……あれ?」

 

両津「いつまで漫才をやってるんですか?」

 

署長「うるさい!えーっと、とにかくこのボコられクマのボコボコ」

 

両津「ボコが一つ多いですよ!ボコですよ()()

 

署長「そう!そのボコに作り替えてほしい」

 

両津「だからどういうわけなんですか!?」

 

署長「い、いや。実はだな……」

 

 

 

島田千代「私からお話ししましょう」

 

両津「どこから出てきた!?」

 

 

【数日前 島田本宅】

 

島田愛里寿「お母さま。お願いがあります」

 

千代「どうしたの愛里寿?」

 

愛里寿「まずはこのニュース動画をご覧ください」タブレットピッ

 

ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!

 

千代「……ピ〇チュウの等身大の着ぐるみね」

 

愛里寿「その通りですお母さま」

 

愛里寿「これは毎年8月に横浜で開催されるピカ〇ュウ大量発生チュウ!というイベントのニュース映像です。100体以上のピカチュ〇が更新する姿はまさに圧巻の迫力。『バルジ大作戦』においてパットン戦車軍団がアルデンヌの森を突破した圧巻の記録映像を思い起こさせます」

 

千代「まぁ確かに……これだけ同じ着ぐるみが集まると可愛いこともさることながら、一種異様な迫力があるわね(お仕事とはいえ、8月に着ぐるみは大変でしょうねぇ)」

 

愛里寿「ホイッスルに合わせた一糸乱れぬ足並みの行進。これは戦車道の一列縦隊訓練にも通じる要素があると考えます」

 

千代「そ、そうかしら?」

 

愛里寿「その通りです」ウンウン

 

愛里寿「そこでお母さまにお願いがあり「却下」……な、何故ですか?!」

 

千代「貴女のことです。大方、ボコでこの大行進が見てみたい。でも自分の欲求だけを素直に口にするのは憚られる。だからボコミュージアムの新しいイベントとして提案してみよう……などという考えから、ボコの着ぐるみによる大行進を私に提案するつもりだったのでしょう。違いますか?」

 

愛里寿「流石ですお母さま」ウンウン

 

千代「駄目です」

 

愛里寿「な、何故ですかお母さま!?」ガーン

 

千代「貴女の考えを肯定するわけではありませんが、客観的に考えれば100体以上の着ぐるみが一糸乱れず行進するイベントは、話題性としては悪くはありません。マスコミとタイアップすればボコミュージアムの知名度を高めることも難しくはないでしょう」

 

愛里寿「で、では何故!?理由を、納得のいく理由を教えてください!」

 

千代「『二番煎じ(笑)』とネットで叩かれるのが目に見えているからよ!」バン!

 

千代「大体、元々のボコミュージアムのアトラクションについては貴女も知っているでしょう!ボコーテッドマンションにスペースボコンテン……どれもこれもどこかのパークで聞いたような名前ばかり。おまけにアトラクションの中身まで似せているのよ!」

 

愛里寿「お母さま。メインのイッツ・ア・ボコワールドを忘れていただいては困ります」ドヤァ

 

千代「アウトよアウト!!セーフだとしても完全に限りなく黒に近いグレーゾーンよ!!!」バンバン!

 

千代「安請け合いして出資にゴーサインを出した私も確かに不注意でしたが、まさか公式がサザエボン紛いの海賊版商法をやっているだなんて思いもしませんでした!」

 

愛里寿「(……サザエボンって何?)」

 

千代「今思い出しても眩暈がします。改修工事の検討会議に出席した元の運営会社出身職員達の、頭の悪い大学生の大学祭みたいな確信犯と悪乗りの数々!危ないアトラクションを撤去するどころか、『新しいライバルに黒いネズミのカップルを出しましょう!』とか『青い狸を出しましょう!耳さえつければわかりゃしませんよ』などと聞かされた時の気持ちが、貴女にわかるというの!?」バンバンバンバン!

 

愛里寿「は、はぁ」

 

千代「はぁ、はぁ……」ゼイゼイ

 

千代「と、とにかくです。来客数の一時的な回復により慢性的な赤字体質は脱却しつつあるものの、正直なところ現在のボコミュージアムですら持て余しているのです」

 

愛里寿「そ、そんなっ!」

 

千代「私も島田の女です。貴女との約束を守るためにも出資は続けるつもりです。ですがこれ以上の火種を抱え込むことは、我が島田流にとっても命とりになりかねません」

 

愛里寿「お母さま……」

 

千代「駄目なものは駄目です(……ごめんなさいね愛里寿。でも私には島田流に対する責任があるの。どうか弱い母を許して)」

 

 

 

愛里寿「もう一緒にお風呂に入るのやめようかな」ボソッ

 

 

 

千代「あーもしもし?ボコミュージアムの責任者を呼び出してもらえる?そう、大至急の最優先事項で頼むわね」

 

 

千代「-というわけです」

 

両津「どういうわけだぁ!!」

 

千代「これは申し遅れました。私、日本大学戦車道連盟理事長の島田千代と申します。今回は私共の申し入れを快く受け入れて頂きまして、感謝いたしております」

 

両津「戦車道関係者というのは、どいつもこいつも人の話を聞かないのか?」

 

署長「(お前がそれを言うのか)まぁ両津。落ち着け」

 

両津「これが落ち着いていられますか!」

 

署長「こちらの島田さんは戦車道の名門島田流の家元でもあらせられる」

 

両津「それがどうしたっていうんですか」

 

千代「新葛飾署の広報活動は以前から興味深く拝見していました。とかく四角四面な警察組織の中でこれだけ自由な発想が出来るとは、思いもよらないことでした」

 

署長「ありがとうございます(上から押し付けられただけなんだけど)」

 

署長「そこでだ両津。倉庫にあるベアポリスの着ぐるみだ。あの時は全署員分を用意したから合計で300体近くあるだろう」

 

両津「あると思いますけど、あの後色々と使い回しましたからね。軍人将棋とか野菜とか(あとサルとか)」

 

千代「(軍人将棋?)」

 

署長「あるのならいい。島田さんはその着ぐるみをボコに改修すれば、ボコミュージアムで買い取ってもよいと提案されておられる」

 

両津「どうせわしに改修作業をやれというんでしょ?」

 

署長「その通りだ。そして島田さんはこの条件を我が署が引き受けた場合、お前に任せている戦車課……戦車博物館となって久しいが、島田流として活動に協力してもよいとおっしゃっておられる」

 

両津「」ピクッ

 

千代「陸上自衛隊と連携する西住流と対抗するわけではありませんが、我が島田流は警察における戦車道の普及にも取り組んでいます。その一環として、我が島田流は新葛飾署の戦車課に対して戦車道レギュレーションに対応した1945年以前の車両を提供する用意があります。人材育成や整備員の派遣に関してもお任せください」

 

両津「いやいや、ちょっと署長……ていうかあんた」

 

千代「なんでしょう?」

 

両津「聞いている限りだと、それだとわしはお払い箱じゃねえか。戦車道に男の出る幕はないだろうし。わしは自分で戦車が乗り回したいのであって、整備やマネージャーをやりたいわけじゃない」

 

署長「少しは自分の本音を隠さんか!」

 

千代「(……っち。これじゃあ駄目か。噂通りね)両津巡査長。お耳を拝借」

 

両津「ぁん?なんだよ……」

 

千代「確かに戦車道の公式試合では男性の参加は認められていませんが、私的なものに関してはその限りではありません」ボソボソ

 

両津「だからそれが何だっていうんだ。個人で好き勝手に乗るのなら今と変わりないじゃねえか」ヒソヒソ

 

署長「あの、目の前で堂々と密談しないでほしいんですけど……」

 

千代「話はここからです。女性警官の戦車道チームを率いる男性警官の監督がいても、私はいいと考えています」ボソボソ

 

両津「それで?」

 

千代「新葛飾署には見目麗しい女性警官が多いとお聞きしています。仮に戦車道チームが発足した場合、パンツァー・ジャケットについては貴方に()()するつもりです。またそれに関する広報活動については、私の関与するところではありません。どうぞ()()()に」

 

両津「是非とも本官にお任せください!!」両目$マーク

 

千代「まぁ心強い!新葛飾署にその人ありと(悪名)名高い両津巡査長の御協力をいただければ、まさに100人力ですわ!(戦車道の普及も出来て一石二鳥ね。何か問題になったら責任押し付けちゃおう)」ホーッホッホッホ!

 

次長「……署長。宜しいのですか?」

 

署長「うーむ……(不安だ……)」

 

 

【新葛飾署 倉庫】

 

両津「あのケバい理事長め、まさか101体も要求するとはな。人の足元見やがって」

 

本田「なんで僕まで手伝わされるんですかぁ~」

 

両津「そこにいたからに決まってるだろ」

 

本田「わかってます。言ってみただけですよ……」

 

本田「それで、これが以前の広報活動で使ったクマの着ぐるみですか」

 

両津「もうほとんど原型留めてないけどな」

 

本田「たしか子供の野菜嫌い対策のために野菜に仮装した時は胴体部分を、サルマラソンでは頭も含めて改造して使い回しましたよね」

 

両津「特殊刑事課の麻雀刑事や軍人将棋刑事が出向して来た時にも一部を改造して使ったな。しかし改めて言葉にしてみても意味のわからない広報行事ばかりだったな……」

 

本田「今更じゃないですか?」

 

両津「とにかくこれが300体近くあるが、使いまわしていた胴体部分の劣化は酷いもんだ。これを補修してボコられクマのボコに改修しなければならない。イベントの後はボコミュージアムが買い取ってくれるそうだが、もっとも戦車道の車両提供と引き換えに、値段は相当買いたたかれるだろうがな」

 

 

 

本田「それにしてもボコですか。懐かしいですねぇ」

 

両津「知っているのか本田?」

 

本田「えぇ。伊歩が好きなアニメでしたから、それに付き合ってよく見させられました」

 

両津「そりゃちょうどいい。実はわしもボコについてはよく知らんのだ。相当マイナーなアニメだったということは知ってはいるが、西住の家元もそのあたりはちゃんと説明しなかったからな」

 

本田「西住流?このボコ作製を依頼したのは島田流じゃないんですか?」

 

両津「いや。まあちょっとそれは大洗、というか熊本で色々あってな」

 

本田「(何をしたんだろう)」

 

両津「それで、どんなアニメなんだ?」

 

本田「正式名称はたしか『ボコられクマのボコ』というタイトルでしたね。このボコっていう名前のクマは、自分から相手に喧嘩をしかけるんですけど、いつも負けるんです。だからいつでも傷だらけで包帯をつけているんです」

 

両津「なんだそれは?クマのくせにマゾなのか?」

 

本田「そうじゃありません。負けても負けても立ち上がり、それでも負ける。だけど戦うことを諦めないというのが、ストリーというか話のテンプレートだったはずです」

 

両津「負けを認めなきゃ敗北じゃねえってことか?うーむ。哲学的だな」

 

本田「そんなに良いものじゃないと思いますよ。それにボコの話になると伊歩はちょっと怖くて」

 

両津「怖いって……あの伊歩ちゃんが?」

 

本田「なんといいますが、ボコに対しては真剣というか、こうガチなんですよ。話題を振ったら最後、2時間は必ず付き合わなきゃいけなくて……で、肝心の着ぐるみの方はどうですか?」

 

両津「どうもこうも。ある程度予想はしていたが、生地の痛みが酷いな。特に中に入った人間を固定するための固定ベルトや視野を確保するためのメッシュは、量販品で間に合わせていたからかボロボロだ……うん?この迷彩色のは部長の使ったやつだな。さすがにあの世代はきっちりしてる」

 

本田「マラソンに使ったものはほとんど駄目ですね。この保管状況だと、脱いだまま倉庫に突っ込んだというものも多そうですし」

 

両津「着ぐるみはこれが困るんだ。汗染みは時間がたつと取れなくなるし、そこにカビが発生しやすくなる。傷んだ生地は元に戻らないからな。ちゃんと洗濯にかけて乾燥していればそんなことはないんだが。まったくどいつもこいつも着ぐるみは税金で買ったということを忘れてるんじゃねえのか?」

 

本田「そ、そうですね(勝手にベアポリスをサルに改造した上に、ゲリラ的に都内でマラソンを開催した先輩に言われても説得力がありませんけど)」

 

両津「うーむ。思ったより胴体部分に痛みの激しいものが多い。ボコは腕と足が太いから、元のベアポリスの着ぐるみだとアンバランスになるから作り直さにゃならんし。ニコイチしても足りるかこれ?」

 

本田「これなら新しく作ったほうが早いかもしれませんね」

 

両津「……新しくか」

 

 

【スーパー電子本社】

 

両津「というわけだ。力を貸せ」

 

電極スパーク「どういうわけだ!」

 

スパーク「全くいつもいつも唐突にやって来て。君は私を22世紀から来た青い狸かなにかと勘違いしているんじゃないのかね?」

 

両津「永遠の子供探偵の博士ポジションが絵崎だからな。あっちは資金力の乏しさを突拍子もないアイデアで補うタイプだが、ある程度の自由がきいて金と技術もあるお前は色々と便利で使いやすいんだよ」

 

スパーク「せめて言葉を取り繕う努力ぐらいせんか!!」

 

両津「そう冷たいことを言うな。ゲーム機のピュー太郎で華々しく爆死しかけた時に助けてやっただろ?」

 

スパーク「ピュー吉だ。ピュー吉。全く恩着せがましい奴だ……それで?」

 

両津「これだ」ドサッ

 

スパーク「……着ぐるみか。それにしてもどうしてこのクマは包帯塗れなんだ?」

 

両津「こういう仕様なんだよ」

 

両津「この中に搭載する補助AIと装備一式がほしい。冷却装置は一般的なので構わんが、排気機能だけはしっかりとな。視野は360度をカバーする昼夜対応の赤外線仕様、あと戦車道で使う特殊カーボンをギリギリまで薄くした上で内部に張り付けたい」

 

スパーク「待て待て待て。色々と言いたいことはあるが、ちょっと待て」

 

 

 

スパーク「まず特殊カーボンだと?そんなものを内部にベタベタと貼り付けたら身動きが取れなくなるぞ。あれは炭素繊維でありながらダイラタンシー流体のような特性を持つ奇跡の素材だからな」

 

両津「つい最近までは原理もわからずに試合に使用していたからな。まったく戦車道をやっている連中は頭のネジが外れているとしか思えん」

 

スパーク「(お前にだけは言われたくないと思うぞ)」

 

スパーク「だからこそ特殊カーボンは通常の炭素カーボンとは異なって加工が難しいことは、お前も知っているだろう。戦車道の場合は装甲の間に張り付けるだけでいいが、人型のサイズにまで加工するにしても限度があるぞ」

 

両津「着ぐるみの中全てに張り付けるつもりはねえよ。何も戦車道の試合に使うってわけじゃないんだから。人間が着ぐるみを着て、ある程度乱暴なプロレスをするぐらいの衝撃に耐えられたらそれでいいんだ。既存の技術でも、その程度の大きさの小型化は出来るだろう」

 

スパーク「簡単に言うな!素材メーカーがお前の言うその程度の小型化に、どれほど苦しんでいると思っているんだ?」

 

両津「まぁそのあたりはお前に任せる。それと特殊カーボンと補助AIを連携させてみたい。モニターやセンサーにこだわったのもそれが理由なんだが。あらかじめ周囲の状況を把握させておいて、予想される衝撃を計算して、一定以上のダメージが及ぶと判断した場合に特殊カーボンの機能を強化させるシステムを作りたい」

 

スパーク「戦車道の試合では砲弾が装甲に命中した場合、周囲の特殊カーボンが一時的に硬化して内部の搭乗者を守るからな。しかしそのための補助AIを1からプログラミングしろというのか?どれほど時間がかかるかわからんぞ」

 

両津「自動車の衝突被害軽減ブレーキあるだろ?あれを応用出来ないか?カメラから得た情報をコンピューターで処理させて、強い衝突が予想される時だけカーボンが作用するようにしたいんだ。そうすれば普段の動作には支障が出ないだろう」

 

スパーク「だから簡単に言ってくれるな!」

 

スパーク「自動ブレーキシステムに関してはわが社が中川自動車と共同開発中のものがあるが、さすがに最高機密のそれを使うのは無理だ」

 

両津「心配いらん。テストということで中川自動車の了承は得てある」

 

スパーク「……どうせまた開発部門を口八丁手八丁で丸め込んだだけで、中川(圭一)社長の了承は得ていないのだろう」

 

両津「じゃあ辞めるか?いいんだよ別に?こっちは絵崎コロ助に頼めばいいんだから」

 

スパーク「待て。誰もやらないとはいっていないだろう」

 

両津「無理するなよ。出来ないんだろ?出来ないんなら素直に認めろよ」

 

スパーク「わが社の技術力を侮るなよ両津。それにアイデアとしては面白い。やってみよう」

 

両津「よっし!契約成立だ!(よっし!ただで材料費ゲット!)

 

スパーク「はっはっは、任せておきたまえ(ちょうど実験台が欲しかったところだ。データ収集だけしておいて、何か問題が発生した場合は両津のせいにしておこう)」

 

 

【超神田寿司】

 

擬宝珠纏「おい勘吉。なんだこれは!?」

 

両津「見りゃわかるだろうが着ぐるみだよ。ほら前に署員全員が着させられたあれだ」

 

纏「そういうことを言ってるんじゃねえんだよ!包帯まみれの着ぐるみを持ち込むなって言ってるんだ」

 

両津「かくかくしかじか」

 

纏「どういうわけだよ!」

 

両津「わかんねえ奴だな。つまりは着ぐるみのリサイクルだよ。島田流はただで着ぐるみと人員の確保が出来る、新葛飾署は戦車道導入に向けて島田流の協力得られる上に着ぐるみの在庫処分が出来る、スーパー電子は開発中だったシステムの実地テストが出来る。全員丸く収まるという、わしの実に素晴らしいアイデアだ」

 

纏「お前の素晴らしいアイデアとやらは、最後はいつもお前自身が欲をかいて破綻するからな」

 

両津「ほっとけ!」

 

纏「ところで着ぐるみの人員ってまさか」

 

両津「うちの署員に決まってるだろう」

 

纏「どう決まってるんだ!」

 

両津「安心しろ。纏もちゃんと人員に数えてやるからな」

 

纏「人の話を聞け!!」バンバン!

 

両津「規律ある集団行動や訓練は警察官の御家芸だろうが」

 

纏「そういうことを言ってるわけじゃねえってわかって言ってるよなお前。つまり何か?またこのクマの着ぐるみを着ろと?」

 

両津「そうだ。何もミニパトに箱乗りしろとは言わねえよ。こういう感じで行列で行進すればいいだけだから」タブレットピッ

 

ピッ!ピッ!ピッ!ピッ!

 

両津「簡単だろ?」

 

纏「……私は断る!!」

 

両津「署長命令だぞ!!」

 

纏「勘弁してくれよ……」

 

両津「ちなみに改修後のキャラクターはこれな」

 

オイラボコダゼ!

オレガアイテダ!カカッテコイ!

チクショー、マタマケチマッタゼ!

 

纏「……何だこりゃ?」

 

両津「こういうキャラクターらしいぞ」

 

纏「何が悲しくてこんな情けないクマに……」

 

 

 

???「ボコは情けなくないぞ」

 

 

 

纏「檸檬?」

 

擬宝珠檸檬「ボコは情けなくなんかないぞ」

 

両津「なんだ檸檬。お前もこれ知ってるのか?」

 

檸檬「知ってる」

 

両津「お前がアニメを見ていたなんて意外だな」

 

檸檬「通販番組と水戸黄門の再放送の間に何度も何度も再放送していたからな。嫌でも覚えた」

 

両津「タイムテーブルの穴埋めかよ……」

 

檸檬「それとマトイ。ボコは情けなくなんかないぞ」

 

檸檬「ボコは確かに弱い。自分から喧嘩を仕掛けて、いつも返り討ちにあっている」

 

檸檬「だけどボコは自分を曲げないんだ。何度負けても、そのたびに立ち上がる。ボコボコにされても自分を曲げないんだ。だってそれがボコだから」

 

纏「お、おお、そうか。そうなんだな(……わかるか勘吉?)」

 

両津「そ、そうだな(わかるような、わからんような)」

 

檸檬「ふぅむ……2人にはボコ道はまだ早いと見えるな」ヤレヤレ

 

檸檬「それでイチロー。どうしてボコの着ぐるみを作っているのだ?」

 

両津「それはかくかくしかじかで」

 

檸檬「なんと!ボコの大行進が見られるのか?!」パアァ

 

両津「そうだが」

 

檸檬「マトイ!見に行きたい!見に行きたい!!」ピョンピョン!

 

纏「お、落ち着け檸檬。母さんとも相談しなきゃいけないし」

 

両津「(うーむ。最初から集客など期待していなかったが、これ意外と儲かるかもしれんな)」

 

 

【数日後 県立大洗女子学園艦 生徒会長室】

 

バッターン!

 

西住みほ「会長!生徒会長!」

 

角谷杏「西住ちゃん。だから私は前会長なんだけど。あと部屋に入る時はノックしてくれると嬉しいかな」

 

みほ「そんなことはどうでもいいんです!これ、これ見てください!」

 

角谷「どうでもいいって……えーと何々?『101匹ボコ大行進!ボコ大発生中だボコ!』?何、このどこかで聞いたことあるような、何ともコメントしがたいタイトルのイベントは」

 

みほ「ボコミュージアムの新しいイベントです!どうですか!?」ズイッ!

 

角谷「いや、どうですかって言われても……ねぇ?小山」

 

小山柚子「そうですねぇ(これどう考えてもピカチュ〇大行進のパロディだよね)」

 

みほ「そういうわけで、この日の戦車道の練習を全休にすることを提案します!!」

 

角谷「(どういうわけだよ)いや、まあ一日ぐらいはいいとは思うけどさ」

 

みほ「実は愛里寿ちゃんからチケットをもらってるんです!ほら!!」

 

角谷「そ、そう。なるほどね。ようやく得心がいったよ。愛里寿ちゃんもボコが好きだったけ?」

 

みほ「はい!」パアァ

 

角谷「(おーおー、いい顔して笑うなぁ)」

 

小山「(本当に西住さんはボコが好きなのね)」

 

角谷「ところでかーしまはどう言ってるの?一応、あれが今の隊長なんだし」

 

小山「一応って」

 

みほ「快く承知してもらいました!」

 

角谷「そ、そう(この勢いに押し切られたんだろうなぁ)」

 

角谷「でもボコのイベントなんだから、西住ちゃんだけお休みとってもいいんじゃないの?一日ぐらいならかーしまにとってもいい訓練になると思うんだけど」

 

 

 

みほ「は?」

 

 

 

角谷「」

 

みほ「ボコのイベントですよ?101匹のボコが大集合して大行進するんですよ?」

 

角谷「わー!すごいねー!チケットも頂いたことだし、そりゃ是非にでも行かなきゃねー!(棒読み)」

 

みほ「そうなんです!」パアァ

 

小谷「(……だから朝の練習の後、あんこうチームの皆の目が虚ろだったのね)」

 

みほ「その言葉が聞きたかったんですよ!ボコと一緒にボコミュージアムでボコボコ大作戦の開始です!」

 

角谷「(まんまじゃん)」

 

みほ「はい、これ会長の分です!」

 

角谷「え?私?」

 

みほ「戦車道履修者全員分のチケットをもらいましたから!」

 

角谷「」

 

みほ「残念ながらアヒルさんチームはバレーの練習試合、レオポンさんチームは自動車レースへの助っ人参加、カモさんチームの風紀委員会はサメさんチームの船舶科と共同での避難訓練、アリクイさんチームはゲーム大会への参加、カバさんチームはそれぞれに用事があるので不参加なんですけど」

 

角谷「(あいつら逃げやがった!)」

 

小山「(不俱戴天の風紀委員とどん底のメンバーが組むなんて)……う、ウサギさんチームは?」

 

みほ「愛里寿ちゃんと会えるんだよと伝えたら、喜んで参加するといってくれました!」

 

小山「そ、そう」

 

角谷「(確信犯じゃないよね?)」

 

みほ「河嶋先輩も出席してくれるそうです!」

 

角谷「えっ?かーしまが?(あいつボコ好きだったかな?)」

 

みほ「はい!それとなく副隊長もいろいろと大変なんですよということを懇切丁寧にお伝えしたら、涙を流して是非とも参加させてほしいと」

 

角谷「」

 

小山「(えげつない。西住流まじえげつない)」

 

みほ「会長、いえ前会長。この日は予定ありませんよね?だってもともと練習日だったんですから」

 

小山「(いきなり退路を断ってきた!?)」

 

角谷「え、えーと。どうだったかなぁ……」

 

みほ「私もチケットを融通してくれた愛里寿ちゃんの悲しむ顔は見たくないんです」

 

小山「(桃ちゃんの泣き顔はいいの?)」

 

みほ「会長もぜひ参加してくれますよね!」

 

 

 

みほ「 ね ? 」

 

 

 

角谷「」

 

 

 こうして始まった両津の監督監修による着ぐるみ改造計画(inボコ)。

 

 スーパー電子の全面支援と協力の下、両津は101体の着ぐるみをボコへと改修。

 

 新葛飾署地域課を中心に集められた警官達は、ボコの着ぐるみを着用の上で訓練を開始した。

 

 最新鋭の補助システムが搭載されたボコの着ぐるみは、まさにロボットと表現しても差し支えのない仕上がりとなっていた。

 

 そしてイベントの本番を迎える。

 

 

 

【茨城県 ボコミュージアム イベント当日】

 

王大河「さぁ始まりました。西に西住流あれば東には島田流あり!臨機応変の神出鬼没で世界にお馴染みのニンジャ戦法で名高い戦車道の島田流がプロデュースするボコミュージアムの新たなイベント!『101匹ボコ大行進!ボコ大発生中だボコ!』の開始予定時刻まで、あと1時間余りとなりました!」

 

王「果たして戦車道とボコに何の関係性があるのか。そのような疑問を抱えつつ司会進行を行いますのは、時給1215円という学生としては破格の金額ながら、声のお仕事としては正直ぼったくり価格以外の何物でもない条件にホイホイと飛びつき、貴重な青春時代を切り売りすることを余儀なくされています悲劇のヒロイン!茨木県立大洗女子学園艦のお昼の大人気報道番組『アンコウステーション』の司会兼キャスター兼プロデューサーでお馴染み、大洗女子学園放送部の王大河です!どうぞよろしく!」

 

マエフリガナゲーヨメガネ

メガネハヒッコメー

オヨビジャネーンダヨメガネ

メガネー

 

王「眼鏡は関係ないでしょうがぁ、眼鏡はぁ!?」

 

児玉七郎「おっほん!」

 

王「どうも失礼しました」

 

王「解説は日本戦車道連盟理事長の児玉七郎さんです。児玉さん、どうぞよろしく」

 

児玉「よろしくね(テンション高いなぁ)」

 

王「児玉さんはボコについては如何お考えですか?」

 

児玉「いやそれが実際のところよくわかってないのよね。今日も島田流の家元に呼ばれてきてみたら、ここに座らされただけなんで」

 

王「(無視して)はいよろしくお願いいたします」

 

 

 

つながり眉毛ボコ(両津)『……グダグダじゃねえか。司会進行があれで大丈夫なのか?』

 

右手包帯茶色ボコ(??)『あの先輩』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『なんだ。というか誰だお前』

 

右手包帯茶色ボコ(中川)『中川ですよ。内部の画面モニターに表示されてるでしょう』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『おぉ、そうだったな。悪い悪い』

 

右手包帯茶色ボコ(中川)『電極社長から聞いたんですが、このスーツにうちの自動車会社が開発中の衝突被害軽減ブレーキシステムを流用したって本当ですか?』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『あぁ、あれな。使わせてもらったぞ』

 

右手包帯茶色ボコ(中川)『やっぱり……勘弁してくださいよ。あれうちの機密技術ですよ?』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『なーに、お前も結果を出せば文句はないだろう』

 

右手包帯茶色ボコ(中川)『そういう問題じゃないんですけど……』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『既に聞いているかもしれんが、ボコというキャラクターの性質上、着ぐるみを着たアクションは避けられない。今回は行進だけだが、実際のアクションでは必ず負けなければいけない。よってある程度の衝撃に耐える構造が必要だ』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『そこでお前のところの自動制御ブレーキシステムと、スーツ内部に張り付けた特殊カーボンをリンクさせた。衝撃をあらかじめセンサーで測定して、コンピューターに予測させる。一定以上の衝撃が予想されると判断した場合、対象部分のカーボンの性能を発揮させるというものだ。これなら普段の着ぐるみを着たアクションには問題がないし、万が一の大きなダメージから中の人間を守ることも出来るだろう」

 

右手包帯茶色ボコ(中川)『いつも思いますが、よく色々と思いつきますね。しかし本当にそんなことが可能なんですか?』

 

 

 

絵崎コロ助教授「不可能を可能にする天才!それが私だよ中川くーん!!」

 

 

 

つながり眉毛ボコ(両津)『っげ?!どこからわきやがった、この似非英国紳士!?』

 

絵崎教授「ご挨拶だねゴリラくーん。いったい誰のおかげでそのスーツのシステムが開発出来たと思ってるんだね?」

 

つながり眉毛ボコ(両津)『ま、まさか……』

 

絵崎教授「そう。スーパー電子の依頼を受けたこの私。不可能を可能にするこの天才が開発した『EZAKI・Mk-II』!それこそが、()のスーツに搭載された補助AIの名前なのだよ!」

 

つながり眉毛ボコ(両津)『おいスパーク!スパークのバカ野郎はどこいった?!』

 

右手包帯茶色ボコ(中川)『この後、横浜で会議の予定があるとかでさっきフライングスーツで飛んでいきましたけど』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『あの野郎、横田進入管制区に突っ込んで米軍に迎撃されりゃいいんだ!』

 

絵崎教授「まーまー、安心したまえゴリラくーん」

 

つながり眉毛ボコ(両津)『いちいち語尾を伸ばすんじゃない!』

 

絵崎教授「さすがの私もこの短時間の間に101体分のAIを用意することは時間的に不可能だった。そのため『EZAKI・Mk-II』のプロトタイプを搭載した着ぐるみは、残念ながらゴリラ君の1体分しか用意できなかったのだよ」

 

つながり眉毛ボコ(両津)『ふざけんなこらぁ!どこが安心出来るんだぁ!!!』

 

右手包帯茶色ボコ(中川)『せ、先輩!落ち着いてください!!』

 

絵崎教授「ふっふっふ。では説明してしんぜよう。ゴリラくん。私を殴ってみたまえ」

 

右手包帯茶色ボコ(中川)『きょ、教授?!』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『上等だこの野郎!ハロルド・ロイド気取りの丸眼鏡を吹っ飛ばしてやる!』ブンブン

 

絵崎教授「はいポチっとな」

 

 

 

つながり眉毛ボコ(両津)『ウワー、負けちまったぜ~(どわあああああぁぁぁ!!!)』ゴロゴロゴロゴロ……

 

 

 

右手包帯茶色ボコ(中川)『せ、先輩?!先輩のボコからアニメ声が?!』

 

絵崎教授「ふっふっふ。これが『EZAKI・Mk-II』の最大の特徴。ボコシステムだよ。ある一定以上の衝撃や、外部からの信号によって自動的にボコとして行動するようにプログラミングしてある。30の行動パターンとそれに合わせた台詞もセットしてあるぞ。これでスーツアクターやスタントマンがボコについて詳しくなくても、誰でも今日からボコになるという優れものだ!」

 

つながり眉毛ボコ(両津)『やってやるぜ!(何しやがるてめぇ!)』ブンブン

 

右手包帯茶色ボコ(中川)『先輩、何を言っているのか分かりませんが』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『おう、俺とやろうっていうのか?(元に戻せこら!)』ブンブン

 

絵崎教授「確かにこれでは何を言っているのかわからんな。ほい」ポチッ

 

つながり眉毛ボコ(両津)『絵崎、この野郎!よくもやってくれたなぁ!!』

 

絵崎教授「ポチっとな」

 

つながり眉毛ボコ(両津)『やられちまったぜ!(どわあああああぁぁぁ!!!)』ゴロゴロゴロゴロ……

 

 

つながり眉毛ボコ(両津)『ひ、ひでぇ目にあった……』

 

左手包帯黒色ボコ(??)『両ちゃん大丈夫?』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『誰だお前』

 

左手包帯黒色ボコ(麗子)『私よ私』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『麗子か。モニターに名前が表示されるまでにタイムラグがあるな。それにしても「私、私」だけだと固定電話の特殊詐欺みたいだな』

 

右手包帯茶色ボコ(中川)『先輩。絵崎教授から伝言です。よほどの衝撃を与えられない限りは『EZAKI・Mk-II』は発動しないようにしておいたので、安心してほしいそうです』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『どこが安心出来るんだ!!』

 

左手包帯黒色ボコ(麗子)『ところで両ちゃん。これ本家のピカチ○ーは全て同じ色みたいだけど、どうしてこのボコは全部色や服装を変えたの?』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『ボコミュージアムからの希望でな。それにそうしないと誰が誰だか分らんだろうが』

 

左手包帯黒色ボコ(麗子)『今でも誰が誰だかわかってないじゃない』

 

背中に傷があるボコ(?)『おい勘吉!』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『えーと、その声は纏か』

 

左手包帯黒色ボコ(麗子)『やっぱりわかってないわよね』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『ウ○ーリーを探せの間違い探しじゃねえんだ!全部の色と中身の人間を覚えてられるか!』

 

背中に傷があるボコ(纏)『おい勘吉!漫才している場合じゃないんだ。聞け』

 

つながり眉毛ボコ(両津)『なんだよ』

 

 

 

背中に傷があるボコ(纏)『檸檬が迷子になった』

 

 

 

【続く】

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