アズールレーン 蒼き航路に昇る太陽   作:しきん

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どうも、しきんです。
本作は拙作『大和艦隊、紺碧の世界にて、斯く戦えり。』のストーリーを踏襲しております。何卒宜しくお願い致します。
なお、艦これについては私、プレイした事がございませんのでその点についてはご注意ください。
また、何かご意見やアドバイスをして頂けると幸いです。


本編
第1話 転移


4年前、人類を未曾有の災厄が襲った。

 

それらは従来の兵器では全く歯が立たず、人類は次第に制海権を奪われ、やがて人類はこう呼ばれるようになった。

 

『深海棲艦』と。

 

その2年後、少女達のある力が目覚めた。

 

その力・・・かつて第二次世界大戦に身を投じた艦の力を持つ少女達は、世界で初めて深海棲艦を倒した。

 

やがて、彼女達は『艦娘』と呼ばれる事となった。

 

そして、2025年・・・遂に人類は深海棲艦に完全勝利した。

 

民衆も兵士達も皆、盛大に喜んだ。

 

そして、それは艦娘達が海に居場所を無くした事をも意味していた。

 

だが、彼女達は艦娘として、任務を全うしたとして、英雄達として後世に語り継がれる事だろう。鎮守府が役目を終える日も、もうすぐそこまで近づいていた。

 

そんなある日、突如として日本は異世界に転移してしまった。

 

 

西暦2025年 8月11日 午前0時 日本国 とある基地

 

最初に異変に気が付いたのは、航空自衛隊のレーダーサイトを担当していた隊員達だった。

 

「・・・はっ?同時にレーダーロストした・・・・・・?一体どうなってるんだこりゃ?」

 

モニターを見ていた若い隊員が突然起こった不可解な現象に思わず呟いた。それもそのはず、日本の排他的経済水域外を飛行していた全ての航空機がレーダーから消えてしまったのだ。

 

「に、二尉!排他的経済水域外を飛行中の全ての航空機がレーダーから消えました!」

 

隊員は、上司である二尉に報告した。

 

「ダニィ!?それは本当か!?」

「本当です!モニターを見てください!」

 

二尉は半信半疑で隊員が担当しているレーダー画面に駆け寄った。そしてレーダー画面を確認してみると、隊員の言った通り、排他的経済水域外の航空機の反応が1機もなくなっていた。

 

「これは一体どういう事だ・・・?とりあえずSOCに連絡しろ!それとロストした航空機に無線で呼び掛けるんだ!レーダーが故障した可能性もある。誰か確認して来い!」

 

二尉は迅速かつ的確に指示を出すと、指示を聞いた隊員達は即座に動き出した。

 

 

一方、報告を受けた防空指揮所も混乱状態に陥っていた。無理もない、何せ各所に設置されたレーダーサイトからも同じ報告が上がっていたのだ。普段は静かな防空指揮所はこれらの報告により一変し、ロストした航空機に無線で呼び掛ける者、怒鳴り声を上げる者もいた。

 

「ACCには連絡を入れたのか!?」

「はっ!築城からはF-15JXが3機、春日からはF-2Aが2機緊急発進しております!」

 

防空指揮所の指揮官である城阪二佐が副官と話している間も戦闘機がスクランブル発進し、レーダーから航空機が消えた地点に急行していた。

その時、通信士が息も絶え絶えに2人のもとへやって来た。

 

「二佐、航空総隊司令部より緊急通達です!」

「何っ!?」

「何かあったのか?」

 

2人がそう尋ねると、通信士はとんでもない事を言った。

 

「それが・・・大陸からの電波が途絶えたとのことです・・・!」

「「なっ・・・!?」」

 

2人は絶句した。現代において、インターネットは社会を支える柱の一つ。携帯を持つのが当たり前となった今、電波が途絶える事など核攻撃の際に起こるEMPが発生しない限り、どう考えても有り得ない事態なのだ。そもそも、異変の起こる前に大陸に飛んでいく核ミサイルや爆撃機は探知されていなかったので、EMPの可能性はまず無い。

 

「一体、何が起きたというのだ・・・」

 

城阪二佐は胃にじわじわと来る痛みを感じながらそう呟いた。

 

 

同時刻 神奈川県 横須賀鎮守府

 

「何だって!?」

 

ここもこの事態に混乱する者達で溢れかえっていた。尤も、横須賀鎮守府の提督・・・三河勇(みかわ ゆう)二等海佐は今この一言を言う数分程前に叩き起こされたのだが・・・。

 

「排他的経済水域の外側を航行していた船舶と航空機の反応が全て途絶えたって・・・深海棲艦の残党なのか!?」

 

勇は自分を起こした艦娘・・・大淀にそう聞く。

 

「はい。現在、状況を確認しているところです」

「だが、いくつかならともかく、全てなんて・・・」

 

大淀は冷静な口調で話しているが、彼女も恐らく同様しているだろう。勇もこんな事態には遭遇した事は一度も無い。

 

「どうなっているんだ、一体・・・」

 

 

午前1時30分

 

「一体どうなっているというのだ?」

 

現内閣総理大臣の鹿島久雄は不機嫌そうにそう言った。何故なら、深夜1時に叩き起こされた上、海外との通信が取れなくなった、排他的経済水域外を飛行していた航空機と交信出来なくなった等の報告が入ってきたからなのだ。

鹿島はひとまず防災服に着替え、すぐに総理官邸に向かった為に彼は寝不足の状態で緊急会議に赴く羽目になってしまったのだ。

総理執務室に入ると、中には官房長官や財務大臣といった国家安全保障会議を構成する閣僚10名が既にいた。

 

「状況は?」

 

鹿島はテーブルの上座に座るなり、皆に尋ねた。すると早速、防衛大臣が口を開いた。

 

「私から報告させていただきます。午前0時頃、我が国の排他的経済水域外を飛行中の航空機及び航行中の船舶が全て、各地のレーダーサイト及び哨戒中の護衛艦、早期警戒機のレーダーよりロストしました。防衛省情報通信局からの報告によれば、全ての衛星及び海外との通信が取れなくなったとのことです」

 

それに続いて、防衛大臣の隣に座っていた国交大臣も口を開いた。

 

「全国の空港からも同様の報告が上がっています。国交省では海保の警備船と救難機を急行させています」

「それと海外の全ての大使館および総領事館との通信も途絶えています」

 

国交大臣に続く形で外務大臣も報告した。すると経産大臣も報告を始めた。

 

「経産省も海外の証券取引所等との交信ができておりません!」

 

閣僚達からの報告に鹿島は頭を抱える。

 

「(全く、こんな事態は初めてだ・・・)」

 

鹿島はそう思い、顔をしかめる。

 

「とにかく各省庁には引き続き海外との交信を試みるよう伝達するんだ。それと緊急事態対策本部を設置する!準備を急ぐんだ!あと、7時から記者会見を行うからその準備もしてくれ!」

「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」

 

鹿島がそう指示すると閣僚達は立ち上がり、一礼した後に執務室を出て行った。

閣僚達が全員出ると、鹿島は1人考え込んでいた。

 

「一体全体、日本はどうしてしまったんだ・・・?」

 

鹿島はそう呟いた。




大幅修正する事になりましたぞ~。シナリオの組み直しが大変だぁ~。

次回予告

異世界に転移してしまった日本。その数時間後に、日本は異世界の住人と初めて接触する。この出会いは何をもたらすのだろうか。

次回『コンタクト』

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