重要拠点「セフィロト」が発生しました!
拠点ステータス
収入 200 生産 50
11/2
L1宙域 連合軍軍事拠点「セフィロト」内 多目的スペース
「諸君、ありがとう。勇敢なる我が第8艦隊の兵士諸君。本当に、ありがとう」
ハルバートンは、ただただ礼を述べ続ける。
それは一つの作戦の終了を意味するものであり、更に成功へと導いた兵士達への、雑じり気のない感謝の表れだった。
以前この宙域に存在していた「世界樹」の6割ほどの規模でしかないが、基地としての機能は十分に発揮されており。
ZAFTもまた、これ以上の攻撃に意味を見出だせなかったのか。昨日の時点で全軍が撤退を完了していた。次にこの基地に攻撃が行われるとしたら、それはもっと強大な敵艦隊が襲ってくるだろう。そうでなければ、この基地を落とすことは出来ない。
「今ここに、新たに生命の樹が植えられた。どんなに小さくとも、たしかに我々は、勝利への一歩を歩んだのだ!我々の逆転は、ここから始まる!
私はここに、「世界樹再生計画」の終了を告げるものとする!」
基地の中だけでなく、周辺に待機する宇宙船の中でも、勝鬨の声が上がる。
ここまで、長かった。
味方がやられていくのを、逃げながら見つめるしか出来なかった自分達。しかし、今ここに、その屈辱を拭いさることに成功した。自分達は、ついにあのZAFTから勝利をもぎ取ったのだ!
「皆、疲れていることだろう。一ヶ月もの激戦を乗り越えたのだ、無理もない。明日には、月から派遣された部隊が新しく駐留部隊としての任に就く。あと一日だけ、頑張ってくれ。この作戦に参加した全員に、三日間の特別休暇とボーナスを用意しているからな!」
ハルバートンが多くの部下達から慕われているのは、このように部下への労いを欠かさない点もあるからだろう。第8艦隊所属の兵士達は、休暇中に何をしようか話しだす。
久しぶりに、酒をたらふく飲もう!
とにかく、寝たいな。
月に戻って、コペルニクスに買い物に行きたいな。
そんなことが、”マウス隊”の中でも話されていた。
「酒!ハンバーガー!くうーっ、今から楽しみだぜ!」
「久しぶりに、拳銃訓練でもするかな。最近、操縦桿握っているだけだったからな。久しぶりに自分でぶっ放してぇ」
「うーん、どうしようかな・・・・うーん」
「あ、アイクさん!よ、よかったら私とぉ、コペルニクスに行きませんかぁ?こっちには、詳しくないですよねぇ・・・・?」
「たしかに、コペルニクスにいったことは無かったなぁ・・・・案内してくれるの、セシル?」
「はいぃ、私で良ければぁ(ふっふっふ、1stフェイズ終了ですぅ)」
「そういえばそうだったわね。カシン、コペルニクスに行ってみない?宇宙に来てから、まだ行ったことないわよね?」
「そうですね、コペルニクスに行ったことはなかったです。ご一緒させてもらっていいですか?」
(ぐぬぬぅ。このままでは、プランが乱れてしまうかもですねぇ・・・・鉢合わせにならないようにしないと)
そんなことを”マウス隊”パイロット達が話し合っていると、アナウンスが更に響く。
『ユージ・ムラマツ少佐、並びに”第08機械科試験部隊”所属のMSパイロットは、直ちに基地司令室に参集してください。ハルバートン准将がお呼びです』
それを聞いて、不思議に思いながらも、執務室に向かい始めるパイロット達。
いったいどんな用件で?特に呼び出されるようなことはしていないはずだが。
「また、どっかにMSぶつけたとかじゃねえだろうな?エド」
「いやいや、流石に今そんなことやらかすほど、下手くそじゃないぞ?」
「どうでしょうねぇ、エドさんって、時々スロットルを過剰に回すことありますし」
「ほんとに、心あたりねえって!少しは信用しろよ、ったく」
「というか、それだったら呼び出されるのはエドだけになるはずでしょう?私達全員が呼び出されるのはおかしいわ」
「たしかに・・・・隊長が呼び出されるのは、まあわかりますけど」
それぞれ、疑問を抱えながら司令室に向かう。
やがて司令室のドアの前に立つ一同。ノックをすると、入りたまえ、という声が響く。全員が部屋の中に入ると、司令室の執務机にはハルバートンが座っており、その隣にはホフマンの姿もある。ユージは既に、机の前に立っていた。
その顔には疑問が浮かんでおり、彼もなぜ呼ばれたのかをわかっていないようだった。
「うむ、全員集まったようだな」
「はっ、ユージ・ムラマツ以下、ここに集合しました。それで、どういったご用で・・・・?」
「うむ、まずはこれを受け取りたまえ」
そういって、ハルバートンは小さな箱をユージに渡す。開けても良い、という許可を得てからユージは箱を開けた。
「これは・・・・中佐の階級章?」
「うむ。此度の戦いでは、君たちMSを運用する部隊の戦果に著しいものがあった。君たちの奮闘あればこそ、この計画は成功したのだ。これは今回の計画の論功行賞だけではなく、今までの戦いでの結果を顧みたものとしてくれ。もちろん、他の隊員にも同様に、1階級の昇進を予定している。パイロットだけでなく、文字通り全員にな」
「それは・・・・ありがとうございます!これからも、信頼にお応えしていきます!」
ユージに合わせて、全員で敬礼する。
「ああ、これからも励んでくれたまえ。さて・・・・では、もう一つの問題に取り組むとしようか」
「他にも、何か?」
そう言うと、ハルバートンは難しそうな表情を浮かべる。
やりたくないことをやらされるような雰囲気が、漂っている。
「実はな・・・・ユージ君だけでなく、君たちパイロット全員を呼び出したのは、上からの指示があるのだ」
「上・・・・ですか?」
「君たちに下った命令は、『異名とパーソナルマークの考案』、だ」
「・・・・は?」
その言葉を聞いて、ピンときた者はいなかった。
え、どういうこと?異名?パーソナルマーク?
「ようするに、プロパガンダだよ。MSの有用性が示されたら、手のひらを返して君たちを讃える文面と共に、そういった指令が送られてきた。ZAFTの『黄昏の魔弾』のように君たちにも異名を付けて、ZAFTの目を君たちに向けたいのさ。その隙に、量産型MSが揃うまでの時間を稼ぐというわけだ」
「・・・・上の方々は、意外と余裕のようですな。一個人の負担を増やして、なんとかなると考えているのですか?」
「我々がその分、働くことになっているのだがな・・・・私にも、『MSの有用性に早くから気付いていた智将』などと言って、少将の階級章を送ってきた」
ユージの皮肉に愚痴をこぼしながら、ハルバートンは首元の階級章を指指す。確かに、少将を表す階級章だ。
「それは・・・・おめでとう、ございます?」
「上司に仕事を丸投げされたことの、何がめでたいものか・・・・要は、私の権限を増やすことで私に押しつける仕事の幅を広げたようなものだからな。出来ることは増えたとはいえ、負担も増すことになる・・・・。っと、そうではなかった。とにかく、上は君たちを高く評価している、ということだ。良くも悪くもな」
とりあえず、考えてみてくれ。特別休暇の後に、希望があったら伝えてくれ。
そう言った後、ハルバートンは退室を促した。これ以上、引き留めるつもりは無いのだろう。
とりあえず、全員が今日の所は解散した。
11/6
プトレマイオス基地
「異名・・・・うーん」
アイザックは、一人休憩スペースのベンチで唸っている。
先日、ハルバートンから伝えられた『希望する異名』を考えているからだ。
異名・・・・を。希望するって何だ?自分が考えたあだ名で、周りどころかZAFTからも呼ばれる?
下手なものを希望すると、間違いなく後々大変なことになる。
かといって、自分で決められるなら自分で決めたい。他人から付けられたあだ名が、気に入るものである保証もない。
「エドさんは『切り裂きエド』、モーガンさんは『月下の狂犬』か・・・・もとから異名がある人はいいよなあ。かっこいいし」
エドワードの方は元々自称していたものだが、彼らしさのある異名といえるだろう。
だったら、自分は・・・・?
そこまで考えたところで、後ろから声を掛けられる。
「あれ、アイク。どうしたの、そんなに唸って」
「カシン・・・・ほら、ハルバートン提督に言われたやつ。あれを考えていたんだ」
「ああ・・・・なるほど」
苦笑しながら、隣に座る。彼女も、苦労したのだろう。
「異名って言われても、そういうのって自然に呼ばれるものなんじゃないかな・・・・」
「そうだよね・・・・そういえば、カシンは決まった?」
アイザックの質問に、カシンは答える。
「私は・・・・その・・・・『機人婦好(きじんふこう)』って、お願いするよ」
「フコウ?」
「うん。今よりもずっと昔、私の育った地域でそういう女性がいて、軍勢を率いて戦ったんだって。すごいなって思って、その人にあやかったんだ。機人、つまりMSに乗って、その人みたいに頑張りたい」
「へえ・・・・歴史上の人物にあやかる、か」
「アイクは、まだ決まってないの?」
「はは、お恥ずかしながら・・・・」
それを聞いて、カシンは考え込む。少しして、アイザックにこう告げてくる。
「ね、じゃあさ。連合軍やZAFTの人たちに、アイクが伝えたいことをあだ名にしてみたらどうかな?」
「伝えたい、こと・・・・?」
「うん。どうして戦っているのか、みたいな」
「・・・・そうか、そうだね。そうするよ」
アイザックはベンチから立ち上がる。
「決まったの?」
「うん。これ以外にない」
アイザックが部屋から出ていくのを尻目に、カシンは自販機で、普段は飲まない炭酸飲料を購入した。
11/9
「セフィロト」宇宙船ドッグ
「これで、しばらくはお別れですか」
「仕方ねーさ。地上は宇宙以上にピンチらしいしな」
そこには、珍しく"マウス隊"が全員集合していた。
目的は、見送り。
これから暫く部隊を離れ、地上での任務に赴く者達を見送るため、また、それを受けるために彼らは集まっていた。
「まさか、地上での教導任務とはなぁ。エドの旦那、ちゃんと出来るんすかい?」
「余計なお世話だっつーの。コジローのおっさんも、もう少ししたら"ヘリオポリス"に転属だろ?」
軽口を叩き合うエドワードとコジロー。
コジロー含む数人の整備兵も、二週間ほどしたら"ヘリオポリス"に転属し、『G』の整備経験をそこで積むこととなる。
彼らは、それぞれの道を歩み始めようとしていた。
「・・・・エドの旦那。一つ言っときたいんですがね」
「?」
「俺は、まだ31ですぜ」
「・・・・嘘だろ?あと10足りてなくないか?」
「はん、どうせ俺は老け顔ですよ」
彼ら以外にも、別れの挨拶を交わしているのが見える。
「レナさん・・・・お達者で」
「うぅ・・・・レナさんがいなくなると、私出撃できなくなっちゃいますよぉ」
「ありがとう、カシン。セシルも、しゃんとしなさい。貴方だって、もうエースパイロットの一人なのよ?」
「皆さんがいなくなったらポンコツですよぉ~」
こちらは、女性パイロット達のやり取りだ。
地上に向かうのは、モーガン、レナ、エドワードの3人だ。
月ならまだマシで、地上部隊の中にはコーディネーターに偏見を持つ者もまだまだ数多くいる。故に、彼らが地上での教導官兼地上用MSのテストパイロットに任命されたのだ。
「セシル、いい?貴方の実力は、皆知ってる。だから、あとは貴女が自信を持つだけ。カシンも、また会う日まで死ぬんじゃないわよ?貴女の故郷の料理を食べさせてくれるっていう約束、まだ果たされてないのだから」
「はい、次に会う時には、美味しい麻婆豆腐をご馳走しますよ」
「早めに帰ってきてくださいねぇ・・・・」
「地上が片付いたら、ね。そんなに情けない顔しないの。カシンに、アイクもいるでしょ?最近、良い仲って聞いたわ」
「そそそそそそそそ、それは、その、あうあうあう・・・・」
「レナさん、その話詳しく!」
「またの機会にね!ふふっ」
女性達も、お互いを励まし合いながら別れを済ませていく。この4ヶ月のふれあいで、彼女らの関係が大きく変化していることがわかるだろう。
「貴方がいなくなると、不安になりますね」
「はっはっは、だろう?俺は強いからな!・・・・なんてな。少しの間さ、地上と宇宙で別れるなんざ。なんなら、俺達が地上にいる間に、プラントを占領してくれてもいいんだぜアイク」
「いやいや、僕達だけじゃ無理ですよ」
「流石にジョークさ。しかしな、お前達ならこの先大丈夫だ。それだけは確信している」
モーガンは、これから彼らが乗り込む降下ポッドに積み込まれるMSに目を向ける。
"イーグルテスター"、"ジャガーテスター"。そして、テスターによく似たMSが積み込まれていた。
「陸戦型の"テスター"・・・・俺はこいつで、ZAFTの連中を叩いてくる。犬っころ共を、一つ調教してやるのさ。宇宙は任せたぜ」
「任せてください。きっと保たせてみせます」
「その意気だ、はっはっは!」
バシバシとアイザックの背中を叩くモーガン。
その姿は、まるで師弟のようでもあった。実際にアイザックは、モーガンの戦場での立ち回りから多くを学んでいる。師弟という比喩も、間違っていないかもしれない。
「そろそろ、時間だな。全員、整列」
ユージの掛け声に合わせて、それぞれ別れの挨拶をしていた隊員達が整列する。
「我々はこれから、それぞれ別の道を進むことになる。
地上での戦線に赴く者、宇宙での戦線を維持する者、新たな技術に触れる事になる者。だが、この数ヶ月の間に我々が手に入れたモノは、この先もきっと役に立ってくれることだろう。それがちっぽけなモノだとしても、我々にはかけがえ無いものであり、その小さな何かが積み上がっていくことで、この戦争を終わらせる事が出来る。私はそう、信じている。そのことを忘れずに、これからも生き抜いて欲しい。
最後に一つ、私個人から。・・・・ここまで私に付き合ってくれてありがとう。またいつか、会おう」
全員が敬礼を行う。
彼は、ユージ・ムラマツは、けして特段優れた人物では無かった。強烈なカリスマがあったわけでもない。
しかし、彼が部隊を立ち上げなければ、自分達はここにはおらず、あっけなくどこかの戦場に放り込まれて死んでいたのかもしれない。今にいたるまでの経験を得ることもなかっただろう。
また、彼は人の弱さという物をよくわかっていた。そして、強さも。
個々人との関係構築が上手だった。だからこそ、このアクの強い部隊を率いて来れたのだ。
”マウス隊”メンバーは、程度の違いはあれど、自分達の隊長を慕っていた。この隊長の下で働いている間は、死ぬことはない。何の根拠も無く、そう思える。
だから、きっと。今ここで分かれることになっても。またいつか、笑い合える日がくるだろう。
自分達は、最高の部隊だ。
こうして、ネズミ達はそれぞれの道に分かれて進むこととなった。しかし、彼らは気付いていない。既に自分達が、物語の重要人物となってしまったことなど。安寧という言葉からは、かけ離れた道を歩むことになってしまったことなど。
しかし、それを気付く事は無いし、必要もない。
彼らが彼らであるなら、その道先が暗いモノであることなどあるわけがない。
『種』が芽吹くまで、あと2ヶ月。芽生えた樹が、どのように成長するのか。
本来の筋書き通りに育つか、あるいは・・・・。
それは、誰にもわからない。この時点では、まだ誰も。
開発部から新兵器の開発プランが提案されました。開発部からの報告をご覧になりますか?
「陸戦型MSの開発」資金 2000
地上戦におけるMS戦のデータ収集も兼ねて、“テスター”を地上用にセッティング、ある程度の量産も視野に入れた機体を新たに開発する。
この作者、わからないこと多過ぎやな(呆)
ということで、序盤戦は完全終了です。現時点での”マウス隊”メンバーのステータスを載っけておきますねー。
ユージ・ムラマツ 中佐 (Aランク)
指揮 13 魅力 12
射撃 11 格闘 8
耐久 10 反応 9
アイザック・ヒューイ(Bランク) 中尉 『アヴェンジャー』
指揮 5 魅力 10
射撃 11 格闘 12
耐久 8 反応 10
SEED 2
カシン・リー(Bランク) 少尉 『機人婦好』
指揮 4 魅力 12
射撃 12 格闘 8
耐久 7 反応 12
SEED 1
セシル・ノマ(Cランク) 軍曹 『ゲームマスター』
指揮 11 魅力 7
射撃 9 格闘 3
耐久 5 反応 12
エドワード・ハレルソン(ランクB) 中尉 『切り裂きエド』
指揮 6 魅力 12
射撃 9 格闘 13
耐久 12 反応 10
レナ・イメリア(ランクB) 大尉 『乱れ桜』
指揮 9 魅力 10
射撃 12 格闘 11
耐久 10 反応 12
モーガン・シュバリエ(ランクA) 大尉 『月下の狂犬』
指揮 13 魅力 11
射撃 14(+2) 格闘 11
耐久 9 反応 11(+2)
空間認識能力
ジョン・ブエラ(ランクB) 大尉
指揮 7 魅力 7
射撃 9 格闘 5
耐久 10 反応 7
階級の後ろにくっついてるのは、彼らに付けられた異名ですね。レナとセシルは、軍の広報部に任せたらこうなりました。
彼らの最初のステータスが見たいという方は、「オリキャラ紹介」を見ていただければ、比較出来ると思います。まあ、これは「ギレンの野望」ネタをフレーバーとして突っ込んだだけですので、興味があるという人だけ見ればよいかと。
例えば、モーガンは「野望」でいうところのバニング大尉枠。成長幅は狭いが、功績値(敵を倒すと貯まり、一定以上貯まるとキャラクターが昇進する値)を貯めて佐官になれば強い前線指揮官になる、みたいな。
「野望」プレイヤーならわかるはずです、序盤のバニング大尉がどれだけ頼りになるか。
次回は簡単に、戦艦とか輸送船のステータス集とかになると思います。
それが終わったら、SEED本編とのリンクが強くなりだすパートに突入します。地上での描写も多くなっていき、また原作ブレイクすると思いますが、無理のある展開にはしたくないので、そこんところ頑張って執筆したいと思います。
先日何気なく確認したら、本SSのお気に入り登録数が500を超えていました!ありがとうございます!これからも、「パトリックの野望」をよろしくお願いします!
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