機動戦士ガンダムSEED パトリックの野望   作:UMA大佐

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第2章、突入。


第2章
第47話「『新しい日常』と書いて『地獄』と読む」


父さん、母さん。キラです。元気ですか?

先日はいきなり「地球連合軍に入隊する」など手紙で伝えられて、吃驚(びっくり)させてしまったでしょう。ごめんなさい。

僕は”ヘリオポリス”からの道程で色々な物を見て、知りました。そして、「戦争を止めたい」と強く思うようになったということは、以前お伝えした通りです。

その思いは、今も変わっていません。だからこそ今、軍人になるための訓練を受けています。

ですが───。

 

 

 

 

 

「『ヒーロー気取り』!考え事とはずいぶん余裕だな!?そんなに私の訓練は退屈だったかそうか!悪かったな、お詫びにもう10セット梯子登りの回数を足してやろう!どうだ、嬉しいだろう!?」

 

「い、イエスマム!」

 

「元気いっぱいで大変よろしい!おまけで更に10セット、占めて20セット追加!さっさと登れウスノロ!」

 

「んぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」

 

「気持ち悪い声だすな!更に10回追加!」

 

 

 

 

 

現実は思ったよりも、ずっと過酷でした……。

 

 

 

 

 

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地球連合軍 プトレマイオス基地

 

「ここ……だよね?」

 

キラは1人、通路で佇んでいた。

先日、試験をクリアして正式に地球連合軍に入隊することが決まったキラは、「特別要請コース」での訓練を受けるために月面のプトレマイオス基地までやってきていた。

まずは教官となる人物のところに挨拶に向かえ、ということでここまで来たのだが……。

結論から言うと、キラは迷子になった。流石地球連合の一大拠点というだけあって広大な基地で、教官の待つ部屋を探し出すのは難しいことであった。

同じように地球連合に入隊することを決めたサイとトールはまた別の訓練過程を経るらしく、途中で別れてしまった。

後に残されたのは、人事の人間に渡された紙とにらめっこしながらうろつく少年一人だけ。

 

「いや、こうなるかもしれないと思って15分前に出てきたんじゃないか。おかげで、5分前には着けたぞ」

 

キラはユージから事前に、軍隊に限らず大人社会の中では時間管理が非常に大切であるということを聞かされていた。

「もし一秒でも遅れた場合、殺されると考えて動くといい」とは流石に大げさではないかと思ったが、時間前行動の大切さは飲み込むことが出来た。だからこそ、こうして比較的余裕を以てたどり着くことが出来たのだ。

 

「すーっ、はーっ……」

 

これから1ヶ月もの間、この扉の向こうにいるであろう人物にお世話になるのだ。キラは緊張をほぐすために深呼吸をした。

息を整えて、扉を叩く。

 

『……入れ』

 

部屋の中から、高めの声が響く。

わずかに違和感を感じながらキラは入室する。

 

「失礼します!」

 

 

 

 

 

「よく来たな。とりあえず死ね」

 

「えっ」

 

キラは扉を開けた先には、一人の女性が立っていた。マリュー達が着ていたのと同じ白の制服に身を包んだ彼女はあろうことか。

()()()()()()()()()()()()()

 

「───っ!?」

 

銃口の前から逃れようと、とっさにかがむキラ。しかし、

 

「あでっ!?」

 

後頭部に奔る、何か堅い物で殴られたような痛みと衝撃。

いや、実際に殴られたのだ。銃のグリップで。

かがんだままの姿勢で頭を抱えるキラだが、痛みが和らぐのを待つ時間は許されていなかった。

 

「立て、ミソッカス。いつまで上司の前でうずくまってる気だ?貴様は軍人ではなく、赤ん坊志望だったのか、あぁ?」

 

ドスの効いた声に慌てて立ち上がる。そのままうずくまっていたら殺されていたのではないかと思わせる、恐ろしい声であった。

改めて女性を見ると、背の高さは自分と同じかそれより少し小さい程度の背丈。『可愛い』寄りの整った顔立ちは、しかし絶対零度の視線を伴っている。

 

「確認するぞ、お前がキラ・ヤマトだな?まあ、こんな腑抜けた顔のガキなぞ『特別コース』で来たようなやつ以外にあり得ないがな」

 

「……」

 

「返事ぃ!」

 

「は、はいっ!」

 

キラの頭の中は「?」マークで埋め尽くされていた。

自分は目の前の女性に殺意を抱かれるようなことをしただろうか?何故苛立っているのか?というか、誰!?

 

「っち、人から尋ねられた時はさっさと答えろ間抜け」

 

「えっと……」

 

「何か?」

 

絶対零度の視線が向けられるが、怖じ気づいては謎が一つも解決しない。キラは意を決して、質問した。

 

「あ、貴方は……?」

 

「……ほう」

 

女性の目が細まる。まずい、何かバッドコミュニケーションをしてしまったか!?

 

「えっと、その」

 

「いやなに、気にするな。感心してしまったんだよ、これからお前を教え導く教官の顔も知らなかったということにな」

 

女性は額に青筋を浮かべる。……いや、待って欲しい。

目の前の女性が、この殺気ダダ漏れの女性が!?

 

「いや、だってこれが初対面で」

 

「そうだな、初対面だな。顔を知らなくったってしょうがない。───だからどうした。私が気にくわないと言っているんだ」

 

無茶苦茶である。これが暴論というものか。

呆気にとられていると、女性はキラの胸ぐらをつかんでこう続ける。

 

「いいかクソガキ。───軍隊ってのは理不尽の連続だ。気に入らない上司の命令だろうと、命令は命令。絶対に従わなければいけない。───だから貴様は私に従え。満足に軍の知識も持っていない今の貴様は私の奴隷でしかないのだからな」

 

「───」

 

あまりの物言いに、キラは絶句した。

女性が腕から力を抜いたことでキラは解放されたが、足に力が入りきっていなかったためへたり込む。

 

「だが、私は哀れみ深い性格なのでな?気まぐれに奴隷に自己紹介なんぞをしてやろうと思うのだ。一度しか言わんからよく聞け?」

 

倒れたキラの腕をつかんで無理矢理立たせた後、女性は両腕を後ろに組んでキラに自身の名を告げる。

 

「地球連合軍第37特別教導隊所属、マモリ・イスルギ中尉だ。今日からの30日間貴様の教官を務めることとなった。よろしく、自分から地獄に飛び込む覚悟を決めた『ヒーロー気取り』君?」

 

キラは生唾を飲み込む。この時キラは、ここから30日間は途方も無い苦難が待っていることを悟った。

そこに一つ問題があったとすれば。

その想像も結局は想像でしかなく、現実にはもっと恐ろしい訓練地獄が待っているということを悟れなかったということにある。

 

(どうしよう。訓練が始まってすらいないのに、もう帰りたい)

 

今は無き”ヘリオポリス”の自宅を思い涙をこぼしそうになるキラを、マモリはどこかへ引きずっていくのであった。

 

 

 

 

 

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『セフィロト』 ”マウス隊”オフィス

 

「隊長、”デュエル””バスター”の改修計画の最終案が完成しました。チェックお願いします」

 

「了解した。……ふむ、いいだろう。このままで持っていく」

 

『セフィロト』の中に用意された”マウス隊”のオフィスでは、次に行なわれる予定の『G』兵器実験の準備が行なわれていた。

”デュエル”の方は『原作』でそうなったように”アサルトシュラウド”装備そのままの姿だが、”バスター”はユージが見たことのない姿となっている。

これも自分がこの世界に介入した結果なのだろうか?世界が『原作』よりもマシな状況に近づいていると思いたい。

 

「そういえば、キラ君大丈夫かな」

 

「大丈夫って何が?」

 

同じオフィス内で、アイザックとカシンが作業しながら世間話を始める。仕事中の私語はあまり褒められたものではないが、ユージは作業効率が極端に落ちたりしないのであれば見逃す精神を持っていた。

ユージは二人の会話の内容に興味を覚えたために、聞き耳を立てる。

 

「ほら、今日から『特別コース』に参加するじゃない。プトレマイオス基地について質問された時に聞いたんだけど、キラ君の教官、イスルギ中尉なんだって」

 

「イスルギ……ああ、あの人か!覚えてるよ、MS操縦の教導した時の!」

 

「そうそう。頻繁にこの動きはどうだったか、判断は間違っていなかったかとか聞いて来て、向上心すごいなぁって私は思ってた」

 

「だけどあの人、僕たちにはなかったけど他の人に結構厳しめに当たってなかった?」

 

「そう、それ。言ってることは正論だしわかりやすく説明してるんだけど、言い方が結構キツくて。結構他の人からは顰蹙を買ってたみたいだし、キラ君みたいに穏やかな子って相性悪いんじゃないかなって」

 

「うーん……」

 

話を聞く限り、どうやらキラは気難しい人物から教練を受けることになってしまったようだ。

まあ、軍人になるなら上官からの理不尽は誰もが通る道だ。キラにはいい薬になるだろうと考え作業に戻る。

 

「イスルギ中尉が『特別コース』……すっごくイメージ通りだ。キラ君、帰ってくるころには人格変わったりしてないかな?」

 

「大丈夫……とは言えないよ。なんてったって、『ハーフメタルジャケット』だからね」

 

ほんとに大丈夫なんだろうか。ユージは強烈な不安を感じた。

何かヘマをやらかして、夜中に候補生仲間から袋だたきに遭わないだろうか?

結局その話題は長続きせず、アイザックとカシンの談話は別の話題に移った。

 

「心配しすぎかな……いや、まずはこっちだな」

 

机の上に目を落とす。そこには、一週間後に行なわれる”デュエル”の稼働テストの資料ともう一つ。

───新たに”マウス隊”に編入されるメンバーの資料が置かれていた。

 

(上層部、いや違うな。これはおそらく……。だとすれば何が目的だ?示威か、それとも……)

 

 

 

 

 

2/23

プトレマイオス基地 養成エリア

 

「我らに救いは必要なし!」

 

『我らに救いは必要なし!』

 

「我らは救いを与える者!」

 

『我らは救いを与える者!』

 

「蹂躙しろ!」

 

『蹂躙しろ!』

 

「粛正せよ!」

 

『粛正せよ!』

 

ZAFT(トーシロ)には!?」

 

『ZAFTには!?』

 

「調教を!」

 

『調教を!』

 

プトレマイオス基地は、大西洋連邦がC.E35年に月面へ建設した宇宙基地である。連合宇宙軍が現在保有する最大拠点でもあり、いずれ来るZAFTとの決戦時にはこの基地に多くの艦艇や機動兵器が集結することになるこの基地の地下には、巨大な地下都市が存在していた。

軍司令部としての機能はもちろん、地球に長らく帰還することの出来ない兵士達のストレス解消のために様々な娯楽施設も存在するこの地下都市の、『訓練所』エリアにキラはいた。

キラは現在、『海兵隊』の候補生達と共にランニングを行なっていた。『特別コース』とは言っても、運動能力の強化などといった基礎訓練の際にはこのようにして他のコースに混ざることがある(マモリ曰く『貴様などのためにわざわざ完全独自の指導計画を考えてやると思うか』らしい)。

見た目は普通のランニングだが、些か以上に過激な歌を歌いながら行なわれているところが軍隊らしさを醸し出している。

この歌は「ミリタリーケイデンス」と呼ばれるものであり、軍隊でのランニング・行進・行軍の時に歌われる。これを合唱することにより部隊の士気が盛り上がり、隊員同士のチームワークと助け合いの精神、規律が高まる効果が発生するのだという。

マモリの部下であり教練軍曹に該当する人物であるガーハイムという男に復唱する形で歌っているのだが、キラの声はハッキリ言って蚊の鳴き声か何かと思うほどにかすれていた。足も生まれたての子鹿のように震えている。

当たり前である。キラはほんの1ヶ月前までは、突出したコンピュータ技術を除けば極々平凡な一六歳の少年。そんな彼がいきなりハイスクールの運動部も逃げ出すほどハードな海兵隊の訓練に付き合わされれば、こうもなる。

 

「遅れてるぞ『ヒーロー気取り』!キリキリ走れ!」

 

「はぁっ、い」

 

出来るわけねーだろ。こちとらインドアの理系だぞ?

そう思っても口には出さない。そんなことをしたらこの教官達(サディスト共)は嬉々としてランニングの時間を延ばしたり、トレーニングメニューを増やしたりするのだ。

ただでさえ死にかけなのにそんなことをしたら、本当に持っていかれる。

ちなみに『ヒーロー気取り』とはガーハイムが付けたあだ名である。「MS動かせる程度で戦争しに来た格好つけ野郎」という罵倒キツメ揶揄ダブル盛り悪意増し増しみたいな理由で付けられたものだが、今訓練に混ぜてもらっている海兵隊の中には「微笑みデブ2号」と呼ばれている男性もいた。そちらに比べればマシだと思うしかない。

 

「ガーハイム軍曹、そのカスのことは気にする必要はない。そのカスは貴様が考えるより遙かに愚図で間抜けで、手が掛かる。済まなかったな、余計な仕事を増やして」

 

「イスルギ中尉、小官は大した負担とは感じておりません。───クズ共にカスが混ざったところで、何が負担となりましょうか」

 

その教官共は平然とした顔で並走し、罵倒を混ぜた会話をしている。ついでのように罵倒された海兵隊候補生達から何やら赤いオーラが吹き出て見えたのは、おそらく見間違いではない。

 

(嘘じゃなかった……『ハーフメタルジャケット』。本当だった……!)

 

こんなことが30日も続けば、「能力がある」という理由で軍に入れられた人が耐えられるわけがない。

キツい訓練に、教官からの容赦ない罵倒。更に加えて「特別コース」という響きから少なからず()()()()を持ってくる訓練生。体と精神に同時攻撃を食らっている気分だ。

 

「はぁっ、はぁっ、はぁっ……!」

 

息は絶え絶え、体はガクガク震えている。

だが、それでも折れるわけにはいかない。

体は愚か、戦争のための知識という点ではこの場の誰よりも劣っているのだろう。結局今の自分は教官()達の言うように、何もかもが足りていないのだ。

そんな自分でも、押し通したいことや叶えたいことがある。そのためにはこの苦難を乗り越えるしか道はない。

それに。

 

「おいおい、そんな有様で大丈夫か?嫌ならやめてもいいんだぞ?───所詮口だけのカスだったというくらいは覚えておいてやろう」

 

「聞いたか?中尉はなんてお優しいんだろうな、ええ?」

 

───この鬼畜共を見返してやらなければ、気が済まない!声を張り上げて速度を上げる。

 

「うっ、おォぉォぉぉぉぉぉぉ!」

 

「やれば出来るなら最初からやれ間抜け!またさっきみたいにへばったら、ZAFTのゴミ共より先に貴様から埋め立ててやるからな!」

 

この後キラは、なんとか海兵隊候補生と同じランニングコースを走りきることに成功した。それを見たマモリは満足げな顔をしながら、更にトレーニングメニューを追加したのであった。

この日の夜、自分の部屋に戻ってきたキラの有様はルームメイト曰く「ボロ雑巾」だったという。

 

 

 

 

 

2/24

『セフィロト』 第3司令室

 

「各員、用意はいいな?これより”デュエル”の強化装備、通称”フォルテストラ”の実働試験を開始する」

 

『了解!』

 

ユージの声に合わせて隊員達がコンピュータを操作し始める。ユージが見つめるモニターには、重厚な装甲を纏った”デュエル”の姿が映っていた。

現在”マウス隊”は、強化された”デュエル”の稼働実験の真っ最中。火力と防御力を強化した”デュエル”、そのステータスがユージの目に映し出される。

 

 

 

デュエルガンダムAS(アサルトシュラウド)

移動:6

索敵:C

限界:175%

耐久:400

運動:32

シールド装備

PS装甲

脱出機能

 

武装

ビームライフル:130 命中 70

レールガン:100 命中 60

ミサイルポッド:80 命中55

バルカン:30 命中 50

ビームサーベル:150 命中 75

 

 

 

アイザック・ヒューイ(Aランク)

指揮 6 魅力 12

射撃 13(+2) 格闘 14

耐久 9 反応 11(+2)

SEED 2

 

ユージが懸念していた『機動性の低下』は起こっていないように見えるが、そんなわけはない。

 

「スイスイ動いているな。流石アイクといったところか」

 

「そりゃあ、増加装甲には補助スラスターも内蔵されてますからね。宇宙に限定すれば、元の”デュエル”よりも機動性は高いですよ。……宇宙に限定すれば、ですが」

 

「だろうな」

 

アリアが自慢げに説明するが、後半は尻すぼみになってしまう。

おそらくではあるが、”デュエルAS”は地上では機動性が低下してしまうのではないだろうか?いくら補助スラスターがあるとは言っても、素の状態と比べて40t近く重量が増加しているのだ。機動性が低下しないわけがない。

せっかく『ギレンの野望』のようなステータス表示能力があるのに、肝心なところ(地形適正)が表示されていないではないか。ユージは改めて、自分をこの世界に送り込んだ『何か』に向けて舌打ちをする。───やるなら丁寧にやれ。

 

「あとですね、あの装甲にはちょっとしたギミックが仕込んでありまして!……資料に載せてますけど、見てますよね?」

 

「ああ、リアクティブ・アーマーだろう?ちゃんと見てるとも。成長したな、トラスト少尉」

 

「えへん、自信作ですよ?なんてったって、”デュエル”だから出来る特別製ですから」

 

今回試験している”フォルテストラ”は特別製で、通常のものにはない機能が付いている。

それが、爆発反応装甲(リアクティブ・アーマー)。敵の攻撃が着弾した時に、装甲と装甲の間の爆薬が装甲を押しだすことで、ダメージを最小限に抑えるというものだ。

周辺の味方に吹き飛んだ装甲が衝突する可能性も含むこの機構が何故装備されたかというと、それは休戦期間が明けてから予想される「ビーム兵器の台頭」に備えたものだった。

 

「爆発の衝撃でビームの収束率を下げ、PS装甲を貫けなくする……可能なのか?」

 

「シミュレーションではバッチリですが、実戦ではまだなんとも。一応、『ガンダム』タイプのビームライフルには耐えられるように作ってありますけども」

 

「そうか」

 

「……浮かない顔ですね。何か心配事でもありましたか、隊長?」

 

意識しない内に、額に皺が寄っていたようだ。ユージは帽子を目深に被ろうとするが、試験部隊としての制服に着替えているために存在しないことに気付き、ため息をつく。

 

「帽子が無いと、表情を隠せずに困るな。……なあ、”デュエル”の整備・点検は完全なんだな?」

 

「え、はい。ちゃんと点検に点検を重ねてますよ。監視カメラにも不審な人物は映ったりしてませんし。……何か、起きるんですか?」

 

「……ああ。言っておくが、敵襲とかそういった類いではない。───もっとタチの悪いものだ」

 

モニターに映るデュエルは難なく目標をクリアしていき、あとは追加装備のテストを残すだけという段階まで来ている。

───来る。

 

「ん、これは……友軍機?」

 

「どしたのエリエリ~」

 

「エリクだ。いや、友軍のコードを持ったMSが、”デュエル”の試験宙域に接近しているんだ。これは……”GAT-01D”?見たことの無い形式番号だが……」

 

「エリク、試験を続行しろ。その機体はアグレッサー(仮想標的)だ。何も問題はない」

 

「えっ……。し、しかしそのようなプログラムは試験内容の中に───」

 

「聞こえなかったか?───試験続行だ。アイクもいいな?」

 

<りょ、了解。”デュエル”、これより模擬戦を開始します>

 

どこか異様なユージの雰囲気に圧されながら、試験が続行される。モニターの中に映り込んだ()()の姿が映ると、ユージは額に浮かべた皺を更に深くする。

 

 

 

ロングダガー

移動:7

索敵:C

限界:170%

耐久:240

運動:34

シールド装備

 

武装

ビームライフル:130 命中 70

バルカン:30 命中 50

ビームサーベル:150 命中 75

 

 

 

スノウ・バアル(ランクD)

指揮 2 魅力 6

射撃 10(+4) 格闘 10

耐久 1 反応 10(+4)

ブーステッドマン

 

得意分野 ・格闘 ・反応

 

 

 

(ついにきたか……”ブルーコスモス”)

 

その場に存在していたのは(まさ)しく、地球連合軍の()そのものであった。




ついに始まりました第二章!
いきなり表れたブーステッドマンは、いったい何が目的なのか?そして、キラはどうなってしまうのか?ZAFTはどうなっているのか?
色々な謎を抱えたまま、次回に続きます!お楽しみに!
各種設定を公開します。

特性「ブーステッドマン」
射撃能力と反応速度にボーナス(固定で+4)が掛かるが、疲労速度が上昇する。
疲労値が80を超えると、「攻撃」「反撃」アクションが出来なくなり、拠点や母艦に帰投しないとこの状態が解除されない。

誤字・記述ミス指摘は随時受け付けております。

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