変態ども「ニチャリ(笑)」
シリアスは死んだ!もういない!
9/28
デブリ帯
『いやっふうぅぅぅぅぅ!最高にご機嫌だぜこいつはよ!』
『エド、あまり加速しすぎるとデブリにぶつかるぜ?』
『またコジローさんにぶつくさ言われても、僕は助けませんよ?』
『だーいじょうぶだって!俺だって成長してんだぜ?何度もぶつけねーよ!』
”マウス隊”男性陣のそんなやりとりを、ユージは”ヴァスコ・ダ・ガマ”の艦橋から聞いていた。ただ、気のせいだろうか?副官のジョンの目から見ても、明らかに疲労感を抱えているのが見える。
「はあ・・・・」
「なにか、あの機体にご不満でもお有りなのですか?隊長」
「ジョン・・・・。ああ、いや。機体自体には特に・・・・いや、うーん・・・・」
なかなか煮え切らない言葉だ。これも普段のユージを知っていると違和感を感じてしまうものだ。普段の彼は言葉を発するときははっきりと話す。
やはり、あの機体”達”に問題を感じているように思える。
今、この宙域には5機のMSが存在し、それぞれ”マウス隊”のパイロットたちが搭乗している。自分達は、それらの機体の性能試験の為にここまでやってきていた。久しぶりに、”マウス隊”のパイロット総出である。
そのうち2機、アイザックとカシンの機体は増加装甲と背部に大砲を二門増設した、”テスター”の砲撃戦仕様の機体だ。以前から行われていた、機体外部に武装を増設して戦力を強化するプランの発展形で、あの状態では”キャノンD(ディフェンダー)”と呼ばれ、主に艦隊の直掩機として運用されるらしい。これらのコンセプトには特に問題が見られない。
次に、セシルの乗る機体。こちらは基本的には”テスター”と同一だ。だが、やはり背部ランドセルには、ランドセル全体を覆い隠す程度の大きさの装置が後付けされている。なんでもZAFTの”偵察型ジン”のコンセプトの有用性を検証するための改修であり、あの状態では”EWACテスター”と呼ばれるようだ。情報処理能力に長けたセシルが操縦している。近接戦闘はいまだ苦手というから、セシル用に開発されたような気がしなくもない。こちらのコンセプトにも特に問題はないように感じられる。
『だがよお、なんで俺は今更”こんなもの”に乗せられてんだ?エドやレナのは出来てて、俺のは”これ”かよ』
『ですから、モーガン中尉の機体は既に・・・・』
『”あれ”じゃねえ奴だ!あれに比べりゃこっちのがマシだ、ったく・・・・』
研究スタッフのうち一人、たしか、『より高い攻撃力を持つ近接戦闘兵装』の開発を何度も進言していたものだったと記憶している。その彼が、モーガンの機体は既にできているというが、当の本人はその搭乗を拒否しているようだ。
ちなみに、今モーガンが搭乗しているのはMSではなく、”メビウス”よりも一世代前のMA、”メビウス・ゼロ”に搭乗していた。なんでも、かの”エンデュミオンの鷹”がこれに搭乗して高い戦果を挙げたことから、再びこの機体の性能評価を行うよう、上層部からの通達があったのだそうだ。”エンデュミオンの鷹”の乗っていたもの以外はほぼすべてが破壊されたようで、これは再生産したものだ。なんでも、モーガンにはこの機体を操るのに必要とされる空間認識能力と呼ばれるスキルがあるらしく、パイロットに任命されたのは必然といえるだろう。
どうせ、いまだにMSの能力を信じ切れずにMAでの戦闘を主眼に置いて戦おうという派閥があるのだろう。
ユージはこの件を受けてそう呟いていた。あれだけの被害を受けておきながら未だに古い考えに固執する”上”には、さすがに政治だのに疎い自分でもあきれざるを得なかった。
だがこれも、ユージが煮え切らない態度を示す理由にはなりえない。となると、やはりあの二機だ。
一つは、今エドワードが搭乗している機体。
見るからに厚い装甲を纏い、真っ赤なカラーリングが施されたその機体は、なんでも開発部が提案した”テスター”の近接戦闘能力強化仕様らしい。
もともと”マウス隊”パイロット全員に行き渡るよう新造していたものの内、一機を改修したもので、近接戦に持ち込みやすいよう前面の装甲を重点的に強化、背部ランドセルには新しく設計したものを用い、前方への加速力だけなら”シグー”にも匹敵するのだという。その新型背部ランドセルを挟み込むように、二つのMS用の斧が懸架されている。あれが主武装となるのだろう。
もう一つは、レナが搭乗している機体。
こちらは堅牢さを感じず、逆に軽快さを感じさせるスマートな白い機体だ。
一本のテールスタビライザーが目立つ新型ランドセルを背負ったその機体は、右手に新しく製造されたMS用グレネードランチャーを構えているのがわかる。デブリ帯をすいすいと移動していくその機体を見てジョンは結論を導き出した。
あれが原因だ。
ジョンがそう結論づけた理由はただ一つ。
その機体の左腕に備えられた、ある武装。
明らかに攻撃に用いるためのものだとわかるサイズ・デザインの。
『ドリル』がその機体の左の二の腕に取り付けられていた。
9/15
プトレマイオス基地 第4開発実験室 観測スペース
時は、2週間ほど前にさかのぼる。
ユージは、後悔していた。研究スタッフのうち一人から、「ぜひ、隊長に直接見ていただきたい開発プランがある」と言われて、スケジュールを調整してここに来たが。
そこにいたのは、4人の研究者。
”変態4人衆”のあだ名を持つ、筋金入りのあほ共。
最近、おとなしいと思ったら・・・・!
この4人が集まって何かをするというなら、それがろくでもないことなのは確定なのだ。
「ご足労いただき、ありがとうございます。さっそくこれをご覧ください」
そういってタブレットを差し出してくるのは、何かがぶっ飛んでいるコンセプトに、あたかも常識の範囲内に見える建前をつけて違和感をけしてしまう”狡猾系変態”。
「・・・・見るだけだからな。いいな!?」
「問題ありません」
なんだ、この自信は。戦慄しながら、タブレットを受け取り目を通す。
そこに映っていた三つの開発プランの内、一つに目を通す。
「近接戦闘能力強化仕様・・・・前面への重点的装甲強化と、加速力に長けた新型ランドセルが、主な変更点か」
「はい。近接戦に持ち込むには、やはり強固な装甲と、敵に近づくための加速力です。装備は、以前開発した『プロトウコンバサラ』を搭載予定です」
「ふむ、コンセプト的に妥当・・・・んん?」
なんだ、これは。
ありえないものを見たかのように、ユージがうなる。
「どうかしましたか?」
「いや、あの・・・・これは・・・・?」
そういってユージが指さすのは、胸部増加装甲の欄。
「ああ、それも近接戦用の武装ですよ。至近距離で打ち込めば、”ジン”なんていちころですよ」
「そうではない、そうではなくて・・・・できるのか?」
「はい?ああ、できますよ」
「いやいや、これは・・・・だって・・・・」
ユージの目に映るのは、胸部増加装甲に内蔵するという武器の名前。
『装甲内蔵式ビーム砲』にくぎ付けになっていた。
「いや、ビームだぞ?『G』計画で開発しているものだぞ?それを、搭載とは・・・・無理だろ」
「いや、それがそうでもないのが結果が答えている」
そういって別のタブレットを見せてくるのは、とにかく巨大な武器を開発したがることから”大きさ=破壊力系変態”の名を持つスタッフ。眼鏡をかけたその端正な姿からは、本性を読み取りづらい。
「威力・精度を犠牲にすれば、装甲内部に収めることもできなくはなくもない。いずれMSにも”イーゲルシュテルン”以上の火器が内蔵されることが考えられるし、近接戦で不意を衝くこともできる。先行実践ってやつなんだが?」
絶句。確かに、SEED本編でも”カラミティ”や”レイダー”が機体内部に強力なビーム砲を内蔵している。そのコンセプトを、今実装するというのだ。
この変態どものやばさを再確認したユージだった。
「・・・・信頼性は?」
「何度もシミュレーションを重ねた上で、あとは実践だけという段階になってますね、と控えめに胸を張る」
真の変態は、「できないことは言わない」。とにかく、コンセプトにも問題は見られない。新たなデータ収集と考えれば、この開発プランは通るだろう。
あと、なぜこの変態は時々文法が怪しくなるのか?
「まあ、いいだろう・・・・。あと、二つか」
そういって、「高速戦闘仕様機」のページに目を通す。
「・・・・"シグー"に対抗しうる機動力を持つ機体か。たしかにあれは驚異的だ。"テスター"では対抗しきれない」
「でしょう?装甲は可能な限り削って、長期戦を避けるために高火力のグレネードも装備しています」
「ああ、それはいい。それはいいんだ」
「オーブで開発されたという発泡金属装甲が使えれば、まだマシなものが作れるのですが・・・・」
「そうじゃない!私が聞きたいのは、なぜ左腕にドリルが付いているのかということだ!」
それを聞き、変態どもは全員首を傾げた。何言ってんだこいつ?と言わんばかりに。
思わずその首を限界を超えて曲げてやりたくなるが、グッと堪えて質問しなおす。
「いや、あのだな?ドリルは掘削用の工具であって武器では・・・・」
「んんwwwwこの機体にはドリル以外あり得ないwwww」
うっとうしく話しかけてくるのは、皆さんご存知"ドリル系変態"。その小柄な体格にふさわしい高い声で答える。
「『重さ×握力×速さ=破壊力』の公式が示しているwwww重さを削ぎ落としたこの機体で近接戦に対応するにはwwww高速でドリルで突撃する以上の最適解がないwwwwフォカヌボウwwww」
「なんだそのイカレタ公式は!いや、口調!何か普段よりおかしいぞ!?」
「ようやくドリルが作れて、テンション上がってるんですよ。口調は大目に見てください」
「いや、そこまでするならビームサーベルが出来るまで待てばそっちの・・・・待て。今、『作れて』、と言ったか?『作ろうとしている』ではなく?」
"ドリル系"がタブレットを操作する。そこに映っているのは、CGなどではない、実物の写真。
「ペヤッwwww出来てなければ提案などしませんぞwwww」
真の変態は(以下略
「・・・・見るだけ、見るだけだから・・・・」
恐る恐る、最後のページを開く。
「水中戦用機体」のページ。そこに映っていたのは。
まごう事なき、『キャタピラー』。
「何故だあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
「自信作だ!」
そう言って胸を張るのは、いつだかにチェーンソーをMSに装備させようとしていた"ゴリ押し系変態"。結果を求めて何か大事なものを無くしている彼に、ユージは食って掛かる。
「おま、お前!これ、足は!?」
「有りませんよ、そんなの」
絶句するユージを尻目に、説明を続ける変態。
「たしかにこの機体には『足』と呼べるものはありません。しかしよく考えてください。この機体を使うのは、水中です。そうなると、水圧に耐えるために装甲を厚くする必要があります。しかし、そうなると機体の脚部に掛かる負担がかなり増えるんですよ。推進エンジンをむやみに増やしても、水中では弱点増やすみたいなものですし」
「・・・・うん、それで?」
諦めた顔で、ユージは続きを促す。
「それなら、いっそ足を付けるより、タンクのようにどっしりしたものにした方がいいとは、思いませんか?」
「なるほど、一理・・・・いや待て待て待て。それならZAFTの"グーン"はどうなる。あれには足が」
「そりゃ脚部の強度を高くしてるんですよ。水中の敵なんて、のろまな潜水艦だけですから。多少鈍くたって許容範囲内ですよ相手から見れば」
「・・・・」
どや顔で持論を述べる"ゴリ押し系"に、何も言えなくなるユージ。しかし、横から"狡猾系"が口を出す。
「本当は、今作られている『G』レベルのフレーム強度じゃないと水圧に耐えられないから、脚部をキャタピラーにしただけですけどね」
「おいぃ!?」
その言葉に、露骨に動揺する"ゴリ押し系"。
「同士!それを洩らしては・・・・」
「問題にもなりませんよ。さあさあ、隊長?まだ武装欄が残ってますよ?」
「・・・・ハンドトーピードランチャーに、肩部大型魚雷。武装は堅実・・・・ちょっと待てなんだこの『ズームパンチ』は」
「近接戦用の武装です」
なんで砲撃に特化させてやらないんだ・・・・。流石にこの黄色の機体がかわいそう、に・・・・・。
そこまで考えて、思い付いてしまった。この一連のプランの、真意に。
アイデアロールに、成功してしまった。
この機体達のコンセプト。装備。そして、カラー。
自分はこれを、知っている。
赤、白、黄。
斧、ドリル、高火力射撃武器に伸びる腕。
かつて、暇潰しに調べものをした時に、このC.Eにも存在していたことを確認した『あるアニメ』。
震えながら、口に出す。
「・・・・まさか、もともとは3機の飛行機が合体して1機のMSになるはずだった・・・・とは言わんよな?」
4人は顔を見合わせると、やれやれといった顔でこっちに向き直る。
「何を言ってるんですか、今の技術でそんなこと、出来るわけないでしょう?」
「その通り!」
「二人にフォローするが、何もおかしなところはないな」
「ドゥフwwww夢を見すぎですぞwwww」
それを聞き、安堵する。
「だ、だよな。流石に無茶が」
「「「「ゲッ〇ー線を見つける方が先だ」」」」
見つかったら、作っていたというのか。
ユージ、爆発。
「このバカどもが!どこをどうやったらゲッ〇ーロボを作ろうと考えるんだ!」
「違います!変形合体しないロボがゲッ〇ーなわけがありません!自分達に出来るのは、それぞれのコンセプトの機体に分けて作ることだけです!」
「認めた!貴様認めたな!?スーパーロボットアニメを元に開発プラン組みましたと!」
「何が問題か!」
「問題しかないから言ってるんだアホ共!」
取っ組み合い寸前のユージと"ゴリ押し系"。そこに、"狡猾系"が割って入る。
「まあ、落ち着いてくださいお二人。それもこれも、隊長がハルバートン閣下にこれらのプランを報告すれば全てはっきりしますから」
「その必要がどこにある!こんなもの、無効に・・・・」
「なら、こうしましょう。
もし、これらのプランが一つも通らなければ、我々は今後、真面目かつ大人しく任務に励みましょう。それでどうです?」
「なんだと?」
「絶対に通らない、というなら。提出しても却下されて終わりでしょう?我々がアピールした通りに、これらのプランを提案していただけませんか?」
頭が熱くなっていたユージは、ここで過ちを犯した。
「いいだろう、待っていろ!今からプランを提案してくる!それで駄目ならお前らは今後ずっと、日常生活でも模範的な活動をしてもらうからな!」
ユージは荒い足取りで部屋から退出する。プラン案が載ったタブレットも一緒に。
「・・・・同士、いいのか本当に?もし却下されたら・・・・」
「ハルバートン閣下といえどアニメを元にプランを作ったなんて知ったら、激怒するにちがいない。誰だってそうする俺だってそうする」
「いや、何も問題はありません。ゲッ〇ーロボを隊長が知っていたのは流石に誤算でしたが、隊長が『自爆する』選択をしなければ、絶対に通ります」
「『じばく』は有り得ないwwww『だいばくはつ』一択wwww」
通った。開発許可が降りた。そのための予算も、増額された。
そう、パット見のコンセプトはどれも、特に無理があるものではない。
特に、『水中戦用MS』。地上では現在、"グーン"によっていとも容易く制海権を奪われてしまう状態だ。他の戦場は、まだマシな方なのだ。それに対抗する手段は、どんなものであっても欲しい。ということだろう。
需要と供給の問題だ。例えオンボロのエアコンだとしても、夏場、他に何もない時にはそれでも欲しくなるだろう。それと同じ。たとえキャタピラーであっても、何か欲しいのだ。
加えて、もう1つ。
ユージは、『部下がロボットアニメを元に開発プランを作りました』とは、言えなかった。それを言えば、一発で却下されただろうに。その理由はただ1つ。
そんな恥ずかしいことを尊敬する上司に言えるわけない。文字通り、『自爆』だ。下手をすると、部下の手綱を握れなかったことを叱責される可能性すらあるのだ。
ユージは祈った。せめてキャタピラーだけは却下してくれと。その祈りは無残にも、粉々にされてしまったが。
まさか、これまで計算に入れていたというのか。自分の羞恥心までも、想定して?
そして、冒頭に至る。
「私は、無力だ・・・・」
「隊長?」
ジョンのこちらを気遣うような声に、大丈夫だ、と返答する。
通ってしまったものは仕方ない。せめてコンセプトが機能するように祈るしかない。
幸いにも、近接戦闘使用機こと”イーグルテスター”と、高機動仕様機こと”ジャガーテスター”の性能は良好。エドワードとレナも、”テスター”よりも総合的に高性能に仕上がった二機にご満悦のようだ。特にレナの方は、「最近”テスター”の反応が悪い」と言っていたらしく、原作でも”並のコーディネーターを超える"といわれた反射神経に対応できる機体を用意できたのは僥倖だ。
ちなみに、水中用MSもとい、”ベアーテスター”のパイロットに変態共から任命されたのは、何を隠そうモーガンである。キャタピラーを履いた姿を見た瞬間、絶対拒否を決め込んだ。その判断は正しい。
「宇宙でも使えるのに・・・・」
そうぼやいていた変態共の言葉が恐ろしい。あれで宇宙に出される側になってみろと言いたい。
ちゃっかり、新造したという”大型実体剣”まで、”ヴァスコ・ダ・ガマ”に併走する”コロンブス”に詰め込んでいる。もう、奴らの手綱を握れる人間はいないのだろうか?マヤに至ってはこれらの件を聞いたときに、フリーズしてしまっていた。ねぎらうだけではなく、特別休暇も与えた方がいいかもしれない。
「各機のデータ収集、順調です。概ね、想定内の数値ですね」
「エリク、”メビウス・ゼロ”の方はどうだ?」
「加速性能に関しては、”メビウス”以上。旋回性能に関してはわずかに”メビウス”以下。まあ、前評判どおりですね。あとは、ガンバレルの性能次第ですよ」
「つまりモーガン中尉次第、か」
”メビウス・ゼロ”の最大の難点は、やはり操縦難度だ。特別な技能が無ければ扱えないなど、どう運用してくれよう。
「しかし、思い出しますねえ。まだ一ヶ月程度しか経ってないのに」
「ああ、あのときの遭遇戦か?あのときは、本気で死ぬかと思ったよ俺。あのときはMS、というより”ジン”が怖くてしょうが無かった」
「”テスター”もー、今より大分弱っちかったですしねー」
「無駄口を叩くな、データ収集に集中しろ」
「もー、エリックは堅いからー」
「エリクだバカもん。だいたい貴様は部隊結成以来・・・・」
なんだかんだ、通信兵達もそれぞれ気心が知れる中になったようだ。軽い思い出話など始めている。
たしかに、あの時にそっくりだ
デブリ帯、試作機のテスト、順調な任務・・・・。
「だからエリンではなく・・・・ちょっと待て。これは・・・・隊長!エマージェンシーです!」
エリクからの、エマージェンシーも。
「総員、第二種警戒態勢!何があった、エリク!」
「少し時間をください・・・・!」
『隊長!私の機体に望遠カメラとセンサーが積まれてます!』
「エリク、セシルの機体とリンクさせろ」
「了解・・・・映像、出ます!」
そして、”ヴァスコ・ダ・ガマ”の艦橋にそれは映し出された。
明らかに、こちらに向かってくる船が三隻。
ZAFTの”ナスカ”級が一隻、”ローラシア”級が二隻。
どう見ても、哨戒任務が目的の艦隊規模ではない。
「”ナスカ”級1、”ローラシア”級2!まっすぐ、こちらに向かってきます!」
「なんでこんなところに・・・・いや、明白か」
「隊長・・・・!」
「間違いない、ZAFTは我々を、本気で叩きに来たんだ!第一種戦闘配置!研究スタッフは直ちに”コロンブス”に移乗!ジョン、安全圏まで”コロンブス”の指揮官に任命する」
「了解・・・・隊長は?」
通信兵達が、こちらを見ている。おそらく、パイロット達も。
「・・・・”ヴァスコ・ダ・ガマ”はこれより、”コロンブス”が安全域に到達するまでの遅滞戦闘に入る」
「そんな・・・・!」
それは、”コロンブス”のために、残った人員を犠牲にするのと同義だ。それは、ユージも自覚している。
今、初めて。”マウス隊”のほとんどに「ここで戦って死ね」と言ったのだ。
「どのみち、戦闘は避けられない。”ナスカ”級や”ローラシア”級相手に、”コロンブス”は文字通りお荷物だ。それに、MSパイロット養成は軌道に乗った。”コロンブス”に蓄積されたデータがあれば、MS研究だって継続できる。それには、”コロンブス”よりも目を引く戦力で残るのが最適解なんだ。死ぬつもりは、ないがな」
「・・・・了解。非戦闘員は直ちに”コロンブス”に移乗してください」
アミカが船内放送を行う。その声からはいつもの間延びした様子は感じられない。彼女も、覚悟を決めたのだ。
”ヴァスコ・ダ・ガマ”は、決死の戦いに向けた準備を始めた。
パイロット達も、MSの装備の調整などを進めていく。
そんな中、ユージは自嘲する。
(なにが、死ぬつもりはない、だ・・・・)
ユージには、他の誰にも見えないものが見える。
ユージの目には、敵艦隊の中に誰が乗っているのかが見えていた。
ラウ・ル・クルーゼ(Bランク)
指揮 12 魅力 6
射撃 14(+2) 格闘 14
耐久 4 反応 14(+2)
空間認識能力
フレドリック・アデス(Cランク)
指揮 10 魅力 7
射撃 10 格闘 4
耐久 8 反応 6
ミゲル・アイマン(Cランク)
指揮 8 魅力 9
射撃 11 格闘 12
耐久 9 反応 11
アスラン・ザラ(Dランク)
指揮 6 魅力 10
射撃 10 格闘 12
耐久 11 反応 11
SEED 3
イザーク・ジュール(Dランク)
指揮 7 魅力 8
射撃 9 格闘 8
耐久 10 反応 8
ディアッカ・エルスマン(Dランク)
指揮 5 魅力 8
射撃 10 格闘 6
耐久 9 反応 7
ニコル・アマルフィ(Dランク)
指揮 6 魅力 10
射撃 7 格闘 8
耐久 6 反応 8
ラスティ・マッケンジー(Dランク)
指揮 6 魅力 6
射撃 6 格闘 6
耐久 4 反応 6
(これで、どうやって生き延びろというんだ・・・・)
クルーゼ隊、襲来。
シリアス「お待たせ^^」
ギャグを書き続けると、シリアスが書きたくなるのが人間だよなあ!?
クルーゼ隊のステータスですが、なんとなくで決めました。得意分野は、ユージに表示されません。味方じゃないなら、表示されないってことです。ストーリーが進むとステータスも変化していきますので、暇な人は比べてみてください。クルーゼのCランクステータスは第4話に載ってます。
これが、今回のオリジナルMSのステータス。長いから、次回の前書きと二つに分けます。
イーグルテスター
移動:6
索敵:D
限界:150%
耐久:120
運動:17
武装
斧:80 命中 60
ビーム砲:70 命中 45
ジャガーテスター
移動:8
索敵:C
限界:160%
耐久:55
運動:27
武装
グレネードランチャー:80 命中 50
ドリル:100 命中 40
なお、これらのステータスはだいたいこんなイメージで書いてるよっていうのを見せてるだけで、ポヤっとしたものです。このステータスでこの活躍はあり得ない、とか言われても困りますので、あしからず。
あと参考までに。一応、パイロットのステータスが2あると機体の性能が10%上がるというのが、ギレンの野望でのルール・・・・だったかな?普通はステータスが二桁あれば十分な強さ、といった所です。
最後に一つ、本編中にユージがキレていたときの口調がかなり荒いですが。
あれが本来の性格です。普段は真面目な軍人をこなしているから堅めですけど。
では、次の更新まで。
誤字・記述ミス指摘は随時受け付けております。