月鋼 ー復讐者の人理救済ー   作:橆諳髃

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本日までに評価して下さった読者の方々

☆9 真紅鮫 様
☆1 cake.LAKEs 様

登録してくださりましてありがとうございます!

今回も投稿が遅くなり申し訳ありませんでした! 少々仕事関係で只今精査に引っかかるかどうかの瀬戸際だったこともあり、前半はそれどころではなかったですので遅れたと言うこともあります。

まぁそんなこんなで少しずつ書き連ねていき本日ようやく終わりました。そして今回でオルレアン編終了になります! 第二章からは物凄く駆け足で物語り進行していく予定です‼︎

前置きはこのくらいと致しまして、オルレアン最終話をご覧下さい!


15話 復讐者は邪竜すら歯牙にもかけず《後編》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side 邪ンヌ

 

 

 

 

 

 

「さぁさぁさぁ! この海魔の群れで踊り狂って死になさい‼︎」

 

「誰が死ぬかこのどアホォッ‼︎」

 

 目の前で繰り広げられている死闘……一方は片手に魔術の本を用いて、そこに自身と聖杯から流れる魔力を用いて無限に海魔を繰り出す。それも小さなものから大きなものまで……例え小さくとも、大人の平均程の大きさだ。

 

 そしてもう一方は……小さなナイフを片手に1秒で数体の海魔をみじん切りにする。みじん切りにされた海魔は絶滅するものの、中には強烈な腐敗液も詰まっている。なんの加護も得てない者が触れれば、触れた箇所から体細胞が溶け出してしまうであろう……

 

 それをナイフしか持たない者は、なんと腐敗液にかかる事なくそのまま斬り込んでいく。

 

(まさかこれ程とは……ファヴニールを倒した事は強ち間違いではないという事ですか)

 

「しかしながら私が召喚する海魔はこんなものではありませんよぉっ‼︎」

 

 ジルは更に海魔の数を増やしていく。それも、先程まで出していた1番大きな海魔よりも更に大きな海魔を立て続けに召喚していく。

 

「たくっ……面倒な野郎だな‼︎」

 

 アルジも面倒くさくなったのか、空いている手にライフルを持って遠距離の対応もし始める。ライフルから発射される弾丸も勿論アルジの魔力が込められているので、1発1発が凶弾だ。さっき出された海魔も数発で生き絶える。

 

「なかなかやりますねぇ! しかしあなたの魔力は有限! こちらはほぼ無限に使えるのですよ‼︎ いくらあなたが海魔を倒そうと無駄なのです‼︎」

 

 それはアルジへの挑発行為も含まれているのであろう、ジルは笑いながらも魔術本を掲げて海魔達を召喚していく。ジルが浮かべる笑いは最早嘲るといった形で、見るものの教示を、プライドを著しく傷つけ、腹立たしくさせる事だろう。

 

「……」

 

 それに対してアルジは無言で海魔の群れを倒していく。

 

(……何でアイツは止まらないの?)

 

 邪ンヌはそんな中、アルジを見ていた。彼は立て続けに増殖していく海魔の群れに進んでいく。1対多、多勢に無勢、数の暴力……勝ちの目は誰が見てもジルにあると言うだろう。

 

 だがそれでもアルジは向かっていく。誰が見ても勝ち目がないのに、そんなのお構いなしに向かっていく。

 

 そんなアルジの姿を、勇姿を邪ンヌは……目が離せないでいた。

 

(な、何をやっているのよ私⁉︎ アイツは敵なのよ⁉︎ 今がアイツを打ち倒すチャンスじゃない‼︎)

 

 頭ではそう思っていた。これまで散々自分の事を馬鹿にされてきた。最初の出会い頭がまさにそうだ。揶揄するつもりで言ったことを馬鹿真面目にやられた。そして何故か髪を乾かされて……

 

 瞳の奥が自分と似ていたから仲間に引き入れようとしたが断られ、逆に自分の中身が無いとまで言われた。さっきも言われた。

 

 だがその最後には……自分がやった事に対して一緒に償うと言ってくれた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一緒に彼女の恨みと憎悪を背負ってやる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(んっ/// アイツの言葉を思い出すだけで……)

 

 邪ンヌの心は、昂っていた。一緒に背負うと言われて……赤面した。今も思い出しただけでそうなっていた。

 

「本当、あの人って不思議なんですよ」

 

「な、何よ急に⁉︎」

 

「彼って自分には関係ない事なのに、相手が理不尽な事を言われると怒ってくれるんです。こっちが嫌な顔してないのに……不思議ですよね?」

 

 ジャンヌは、先程まで戦っていた事が嘘だった様に邪ンヌに気軽に話しかけていた。

 

「それに、あなたのやった事は許された事ではありませんが、それでも彼はあなたのやった事も、あなたが今宿している憎悪も含めて一緒に償っていくと言っています。そんな人……私が生きていた時もそんな風に言う人なんていませんでしたよ?」

 

「……」

 

「そんな人がいる中で、あなたはまだ破壊の限りを繰り返しますか?」

 

「……」

 

「まぁ急にそんな事言われても、あなたの性格ではすぐに答えるわけないって分かってますけど」

 

「は、はぁ〜⁉︎ 何でアンタなんかにそんなこと分かるのよ⁉︎」

 

「だってあなたは素直な性格ではないと、アルジさんとの会話から見て分かってますから」

 

「〜〜〜っ⁉︎ アンタねぇ〜〜〜っ⁉︎」

 

「ほらほら、あなたを理解しようとしている彼の戦いを見ないでも良いんですか?」

 

「っ⁉︎ っとにアンタはいけすかないわね!」

 

 そんな悪態をつきながらも邪ンヌはアルジの戦いを目に焼き付ける様に視線を戻した。

 

(ふふっ……ほんとうに素直ではないですね)

 

 邪ンヌの反応を見ながら、ジャンヌもアルジの戦いに視線を戻すのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(……何故だ?)

 

 数はこちらで勝る。魔力に対しても無限。対して相手はたった1人、それに魔力も有限。勝てる要素はこちらが揃っている。なのにだ……

 

(何故奴の目は諦めない⁉︎ 何故奴の目から生気が失われない⁉︎)

 

 逆にジルの方が焦りを感じていた。それもその筈で、この攻勢をやり始めて既に10分以上が経過していた。

 

「おいテメェ、何を焦ってやがる?」

 

「っ⁉︎ な、何を仰るやら……私めはいつもと同じく平常心ですが?」

 

「その割には最初と違うが? 攻勢が甘くなってねぇか?」

 

「な、何を根拠に⁉︎」

 

「その動揺……さてはテメェ戦い慣れしてねぇだろ?」

 

「っ⁉︎」

 

「まぁテメェはどちらかというと策士の方だろうからな……だからこそテメェが持つプレラーティの写本か? それ自体が魔力炉みたいなものだろ? 少数を数で圧倒する……確かに戦術としてはおかしくないし、間違ってもいない」

 

「それにテメェの魔力は無限、対して俺の魔力は有限だ。こんな条件が揃ってテメェは自分が勝てない道理がないと、そう思った筈だ」

 

「なのに……この状況が10分以上続いている。焦っているだろうよ。こんなちっぽけな奴を押し潰せねぇんだから。だからテメェは焦っている。まぁ俺としては儲け物だがな」

 

「〜〜〜っ‼︎ この……この匹夫めがぁぁぁぁっ⁉︎」

 

「そこだ‼︎」

 

「っ⁉︎」

 

 アルジはジルの持つプレラーティの写本に対物ライフルを放つ。ジルはアルジの挑発とも取れる台詞により一瞬我を忘れて激昂した。

 

 その一瞬の隙を狙って放たれたアルジの魔弾は、ジルの持つ写本を部分的に抉り飛ばした。それにより、大量に湧いていた海魔は一瞬にして姿を消す。

 

「な、ななな何という事を⁉︎」

 

「さて、これで形成逆転……と言ったところか?」

 

「し、しかしながら我らにはまだファヴニールが……」

 

「それも……」

 

ズドォォォンッ!

 

「な、ふぁ、ファヴニールがここまでボロボロに⁉︎」

 

「そりゃぁそうだろう。何せファヴニールの相手をしてたのは、竜を倒した奴3人と、実際に竜になれる奴が混じって戦ってたんだぜ? 倒せねぇ訳ねぇよ」

 

「お〜い! アルジ〜!」

 

 そこに立香達が合流する。

 

「よぉ、頑張ってるじゃねぇか」

 

「えへへ、アルジにばかり負けていられないからね」

 

「そうですね先輩! アルジさんも凄いですが、先輩にも凄いところが沢山ありますから!」

 

「あぁ、日に日に私達への指示が上手くなっているからな」

 

「ファヴニールが倒された時は役に立たないと思ったが、ここで役に立つ時が来た。なら俺も全力を出せる」

 

 立香陣営は生き生きとそう答えていた。

 

「ふふっ♡ 私も頑張りました! 旦那様、褒めてください‼︎」

 

「ん? あぁ、清姫の頑張ってるところ見てたぜ。よく頑張ったな」

 

「〜〜〜っ‼︎♡」

 

「あぁっ! ちょっとぉ! 私も頑張ったんだから‼︎」

 

「分かってるよ。マルタもよく頑張った」

 

「んっ♡ もっと撫でて……」

 

『まだ戦いが終わってないのにどうしてアンタ達はイチャイチャできるわけ……』

 

『まぁそれが彼らの日常であれ戦いであれ普遍的な一部であり、そのこと自体が彼らの力になっているから……じゃないかな?』

 

『またこの天才は意味のわからない事を……』

 

『ふふっ、褒めたって何も出ないぞ?』

 

『褒めてないわよ⁉︎』

 

「〜〜〜っ⁉︎ どこまで私を侮辱するこの匹夫どもがぁぁぁっ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なにやら苦戦していると思い来てみれば、まさかこんな有様だったか」

 

「「「っ⁉︎」」」

 

「っ!」

 

 この場にはいなかった第三者の声にその場にいた一同がその方向を見る。そこにいたのは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レフ・ライノールゥゥゥッ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『なにっ⁉︎ まさかレフがそこにっ⁉︎』

 

『うっ……レフ』

 

「まさかカルデアがここまでやるとは思ってもみなかった……いや、そこの小僧がいなければこうも簡単にここまでやられるはずはなかったが」

 

「……御託はいい」

 

「ん?」

 

「テメェ……ここから見てでも分かるぞ。こっち見ながらも俺の事を視界に収めてねぇだろ?」

 

「っ⁉︎」

 

「図星だな? まぁいい。ともかく……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからさっさと降りて来い! 今度こそテメェの肉片1つたりとも残す事なく消滅させてやる‼︎

 

(っ⁉︎ こ、こいつ……あの時以上に本気の目だ。こ、ここは早々に退散せねば……)

 

 レフは……恐怖した。あれから少ししか経っていなかったものの、よくよく考えればあの時アルジが自分たちの仲間と同じ名前を呼び、それに対して自分はありえない思考をし、気付けば地に叩きつけられていた。

 

 しかしそれさえ抜きにして考えれば、なんだ高々自分の気が緩んでいただけに過ぎない。だからこそ今度は、例えアルジを視界に入れたとしても遅れはとらないだろう。

 

 だがそれも、結局はアルジの威圧と物言いに負けた。

 

「きゃ、きゃきゃきゃきゃキャスター! ここはお前に全て委ねよう! 我の魔神柱の力を使い、この者どもを討ち滅ぼせ‼︎」

 

 レフがそう言うと、ジルの身体にレフの魔力が流れ込む。

 

「おぉぉぉぉぉ〜〜〜〜〜〜‼︎ これはこれは! 力がみなぎってくるぅっ‼︎」

 

 ジルがそう叫んだと同時に、ジルの背後に超大型の海魔が出現。それはオルレアン城と同じくらいの大きさだ。そして海魔の触手が瀕死のファヴニールに巻き付き海魔の口が飲み込んだ。

 

「「「っ⁉︎」」」

 

『まさかっ⁉︎ ファヴニールを取り込むなんて‼︎』

 

『それだけじゃない! ファヴニールを取り込んだ事で海魔の魔力が上昇! 尚も上がり続けてる‼︎』

 

「きゃっ⁉︎」

 

「っ⁉︎ 邪ンヌ⁉︎」

 

 海魔の触手は邪ンヌにも巻き付き、自らに引き寄せた。

 

「じ、ジル? なんで?」

 

「何故? 決まっていますとも……あなたの復讐をお手伝いするためですよ?」

 

「そ、それとこれとなんの関係が……」

 

「あなたが私以外の者と触れ合わないためです。あなたはこの海魔の中で、私の魔力を感じながらこの世界が壊れる様を感じ取るだけで良いのです。ですからジャンヌ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

「後は私に任せて下さい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「っ⁉︎ いや……いや! そんなの絶対に嫌だ‼︎」

 

「そんなの……私が望んだ復讐じゃない! 私の求めた復讐じゃない‼︎」

 

「私は私の手で、この手で復讐を決めたのに! こんな……こんな事で……」

 

「さぁジャンヌ、そろそろお時間です。後は海魔の中で……ゆっくりと壊れゆく世界をご覧下さい」

 

「嫌だ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ‼︎ だ、誰か……だれか……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 タスケテ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 邪ンヌは……アルジに手を伸ばした。その時の顔は……涙を流して、まるで子が親と離れ離れにされる様な……

 

 そして邪ンヌも、海魔に飲み込まれた。邪ンヌを飲み込んだ海魔は、更に魔力を増した。

 

「ふふふふふふふ……アーハッハッハッハッハッ‼︎ これで、これで邪ンヌは未来永劫私のものだぁっ‼︎ ハハハハハハハハハ……‼︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……下衆が

 

「ハハハハ……はて、何か言いましたかな?」

 

「あぁ、言ったさ。テメェの事を下衆だとな」

 

「テメェは、邪ンヌの事を自分のものだと言ったよな?」

 

「えぇ言いましたとも。何せジャンヌは、私が聖杯に願って顕現させた存在。ならば自ずと、所有権は私の手の中です。違いますか?」

 

「確かに……テメェは聖杯に願って邪ンヌを顕現させたのかもしれない。だけどな……」

 

「だからといって、邪ンヌは物じゃない! 例えテメェが願って顕現させた存在であったとしても、そこからの生き方を決めるのは邪ンヌ本人だ! それは、誰にも侵す事の出来ない。邪ンヌ本人のものだ‼︎」

 

「だからといって、敵であるあなたには関係ないものではないですか?」

 

「あぁ、確かに関係ないかもしれない。だが、それでも俺は……約束した」

 

「邪ンヌは了承しなかったが、俺は決めたんだ。例えどんな形であれ、アイツの……邪ンヌの憎しみと憎悪を一緒に背負うと!」

 

「そして邪ンヌは無意識かもしれないが……俺に手を伸ばして助けを求めたんだ。テメェや外野からしたら無関係で、ただの俺の勘違いかもしれない。勘違いかもしれないが! 俺は邪ンヌのあの顔を見て、手を伸ばしながら呟いたその言葉を聞いて見捨てるほど、外道に落ちたつもりはない‼︎」

 

「だがらこそ俺は、敵味方関係ない! 俺に、こんな憎悪しか抱いていない俺に助けを求めるのであるならば……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺の抱く憎悪と信念に誓って! 例え地の底であろうと助けてやる‼︎

 

「ぐっ……ぐぬぬぬぬぬっ……あなたのその目、あなたのその声、あなたのその威勢……不愉快に等しい! かくなる上はあなた様から嬲り殺して差し上げましょう! この匹夫めがぁぁぁぁぁっ‼︎」

 

「俺は元よりそのつもりだ。そしてテメェは俺の大切な(ヤツ)を傷つけたんだ。だから……」

 

テメェは今から復讐対象だ

 

 瞬間、アルジの身体から魔力が溢れ出す。それは先程ジルと戦っていた時の比ではない。

 

「こ、これはっ⁉︎ まだその様な力を隠し持って⁉︎」

 

「これも俺の中のほんの一部だ」

 

「「「「アルジ!/旦那様!」」」」

 

 アルジにマリー達が駆け寄る。

 

「どうした? ここにいると危ねぇから、下がってて欲しいんだが?」

 

「えぇ、そんな事分かってるわ。でも私達も少しでも貴方の力になりたいの!」

 

「だから、今僕たちに繋げてるアルジからの魔力を返そうと思って来たんだよ。まぁ僕は非戦闘サーヴァントでサポート要員だから、戦えって言われても何の役にも立たないだろうから後ろで君の戦いを見ながら作曲活動に勤しんでおくさ」

 

「まぁこんな音楽バカはどうでもいいけど、どうか私の祈りの力も貴方に」

 

「旦那様の為であればこの清姫、全身全霊でお力になります! ですから私に流している魔力も持っていって下さい!」

 

「お前ら……あぁ、ならお前達の想いと一緒に」

 

 アルジが手を出すと、皆もアルジの手の甲に手を置いた。すると今まで仮ではあるが、繋がっていた魔力がパスを経由してどんどんアルジに流れ込んでいく。

 

『っ⁉︎ ま、魔力数値……ジルが召喚した海魔よりも高いだって⁉︎』

 

『な、なんて奴なの……』

 

『いやぁ〜……これはもう彼、一種のサーヴァントがそれ以上の存在じゃないかな?』

 

「な、何なんですかあなたは……何なんですか貴様という存在は⁉︎」

 

 ジルも目の前の光景を見て焦ったのか、アルジにそう問いかけていた。

 

「俺か? 俺はただの魔術師だ。その前に……1人の人間として生を受けた、ただ他の人と変わらない存在だ」

 

「そ、そんなデタラメをぉぉぉぉ〜〜〜っ‼︎」

 

「さて、こっちも準備できたしな……しあおうか?」

 

 アルジは右手にデモリッションナイフを顕現させた。

 

「そ、そんな両刃の大剣で私に立ち向かうなど……! 忌々しい‼︎」

 

 ジルの嫌悪を表す言葉とともに、海魔の触手はファヴニールと同じ様な形となった。それも何本も。それらは同時にアルジに襲い掛かった。

 

「遅ぇんだよ‼︎」

 

 アルジはその場から消えた。と思うと、アルジに攻撃を加えようとしていた触手は粉微塵にされていた。

 

「キィィィィッ⁉︎ この匹夫めがぁぁぁっ‼︎」

 

 ファヴニールの形をした触手から毒素が吐き出される。

 

『まずい! あの毒素、何の準備もない魔術師や一般人が触れたらその場で死ぬよ⁉︎』

 

「ど、どうにかしないと⁉︎」

 

「大丈夫よ立香」

 

「な、なんで?」

 

「アルジはあれぐらいでやられる人ではないもの。それにほら」

 

 マリーに促されて海魔の方を見る立香。そこには……

 

「ハァァァァァァッ‼︎」

 

 触手のみならず吐き出された毒素までもアルジは粉微塵にしていた。

 

『あ、あれってどういう原理よ⁉︎』

 

『さぁ? それは分からないね。でも興味深いねぇ〜』

 

 そんなやりとりの最中でも、アルジは変わらず海魔に攻撃をし続けていた。しかしながら斬られたところから再生していく。

 

「ふふふっ、やはり魔力が多かろうと、私の海魔の再生能力の前では無意味な様ですねぇ〜。そのまま魔力が無くなるまで耐えれば私の勝ちも同然です」

 

「はっ? テメェは何言ってやがる? 俺が考えもなく攻撃していたとでも思ったか?」

 

「しかしながらあなたも先程からその大剣を払ってばかり、海魔の核には届かないでしょう?」

 

「……誰が最初からこれを両刃の大剣だと言った?」

 

「……はっ? そ、それはどういう……」

 

「なら見せてやるよ。こいつの真の姿を!」

 

やるぞ! アスタロト‼︎

 

 アルジがそう叫ぶと、両刃の大剣が駆動、アルジ側に付いていた刃が、鋒を支点にして180度動いた。それは……

 

「で……」

 

「でっかい‼︎」

 

「な、なんですかそれはぁぁぁぁっ⁉︎」

 

「見ればわかるだろ……デモリッションナイフ、お前という悪を裁く刃だ」

 

「あ、あれがナイフだと⁉︎ 彼の2倍の大きさだぞ⁉︎」

 

 デモリッションナイフの真の姿を晒したアルジ、その瞬間には数十を超える触手が切断されていた。

 

「し、しかも私の見間違いでしょうか……片手でも軽々と振るってますよあれ……」

 

 アルトリアリリィはそう言った。実際に自分の身長の2倍ある物をアルジは片手で軽々と振るっている。だがそれだけではない。

 

「オイオイ……あれって俺の見間違いでなけりゃあ……」

 

「いや、俺にもそう見える」

 

 実際に彼らが見ているものは……

 

「な、何故あなたが複数人も⁉︎ わ、私が幻術などにかけられて……」

 

「んな訳ねぇだろ。幻術は使えるが、テメェにはそんなものなど生易しいほどの憎悪を味合わせてやるよ‼︎」

 

「し、しながら先程から触手や表層を斬ってばかり……や、やはりあなたのその力は見掛け倒しだ!」

 

「はっ? 俺が何も考えずに斬りまくってたと思ってる? そもそもこの発言自体2回目だな。まぁそれも終わりだが……」

 

 アルジが一旦斬るのをやめたと思えば、今度はとある距離まで離れて中腰に構える。皆が構えていると認識したと同時に、またアルジの姿が描き消え、今度は海魔に肉薄、ほぼほぼ中心部分を切り開いて見せた。

 

「なっ……そ、そこはっ⁉︎ や、やめなさい! 今すぐやめなさい‼︎」

 

「やめろと言われて誰がやめると思う?」

 

 そう答えを返しながらアルジは、切り開いた海魔の肉を両手で広げて片手を更に奥へと伸ばした。そして……

 

「アァァァァァァァァッ⁉︎ なんという事をぉぉぉぉぉぉぉぉっ⁉︎」

 

 アルジが海魔から引っ張り出したもの……それは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ……んん……こ、ここは?」

 

「目が覚めたか?」

 

「っ⁉︎ なっ、あんたどうして⁉︎ ま、まさかあんたもジルの海魔に……」

 

「その逆だ。アイツの海魔から邪ンヌを引っ張り出した」

 

「えっ? ど、どうして……」

 

「決まってるだろ? 約束したからだ」

 

「や、約束って……アンタなんかと交わした約束なんて……」

 

「あるだろ? 邪ンヌの恨みも憎悪も、俺が一緒に背負ってやるって」

 

「っ/// あ、アンタそんな事のために私を?」

 

「それ以外に何がある? まぁ今までやってきた行為は、確かに間違えてたと思う」

 

「だが邪ンヌは産まれたばかりなんだから、だからこれから生きていく分……自分の憎悪に向き合って、誤ってきた行いを償えば良い」

 

「それには俺も付き合ってやるから。例え邪ンヌが嫌ったとしても、ずっと一緒に背負ってやるよ」

 

「っ/// な、なんでそんな恥ずかしいこと言えるのよ……バカ

 

「あぁ、俺は馬鹿で結構。それが俺だからな」

 

 邪ンヌの悪態にも笑みを浮かべて応えるアルジ。それに対して邪ンヌはまた赤面していた。

 

「キィィィィッ‼︎ 私のジャンヌを返せぇぇぇぇぇぇっ⁉︎」

 

 それに対してジルは怒り狂い、プレラーティーに本人の意図せず莫大な魔力が流れ込む。そして海魔は先程の何倍にも大きく膨れ上がり、触手もアルジに殺到する。

 

「だからさっきから言ってるだろうが! 邪ンヌはテメェのもんじゃねぇ!」

 

「彼女の命は彼女自身のものだ‼︎」

 

 迫り来る触手に、アルジは邪ンヌを片手で抱き寄せながらデモリッションナイフで斬り刻んでいく。

 

 一方抱き寄せられている邪ンヌは、何故自分が先程まで敵であったはずのアルジに抱き寄せられているのか分からなかった。分からなかったが……

 

(コイツの側……なんでこんなに落ち着けるの?)

 

 また本人は意識していなかったが、邪ンヌも邪ンヌでアルジの首に腕を回していた。そうしながら、間近でアルジの戦いを見る。それからしばらく経ち、ジルから少し離れたところでアルジは邪ンヌを下ろした。そこで彼女はまた無意識だが、少し物足りない顔をしていた。

 

 そんな邪ンヌを知ってか知らずか、アルジは邪ンヌに問いかける。

 

「邪ンヌ、俺は今からあのいけすかない下衆を完膚なきまで叩き潰すつもりだ」

 

 それはジルへの死刑宣告。そんな事をしてしまえば、聖杯によって生まれた邪ンヌは消える。

 

「……それで?」

 

 だが邪ンヌは、怒る事をせず、ましてや苛つきなども感じ取れない口調でアルジと言葉を交わす。

 

「アイツを倒したら、この時代は少しずつ修復される。そうなるとここでの邪ンヌの復讐は終わる。こんな終わり方でジャンヌの中にある復讐心は納得なんてしないだろうが」

 

「……もぅ良いわよ」

 

「アンタなんかに会っちゃったから……そこから全部狂ったわ。フランスへの復讐も、この国に対する憎悪も……どうでも良いくらいにね」

 

「そうか」

 

「でもアンタが私に言った事……ちゃんと守って貰うわよ? それがこの国に対して復讐を金輪際しない条件。破ったら今度はアンタをしつこく追い回して復讐してやるんだから」

 

「分かった。邪ンヌとの約束……守るよ」

 

「ちゃんと聞いたわよ。それじゃあ、私の魔力を受け取りなさい」

 

 邪ンヌはアルジの手に触れる。そこから少しずつ、邪ンヌの魔力がアルジに渡っていった。

 

「あぁ、受け取った。決着を付けてくる」

 

 そして少し下がったところで邪ンヌを離すと、デモリッションナイフを両手でかまえた。

 

 構えた瞬間、デモリッションナイフが群青色に光を放ち、やがてそれはデモリッションナイフを余裕で覆い隠す程拡大していく。それはあたかも、とある物語で出てくる武器と同じくらいの神々しさだった。

 

「あれは……」

 

「凄く綺麗……」

 

「おいおい……アルジの坊主の奴まだこれだけの魔力を隠し持ってたのかよ⁉︎」

 

「いや……あれがアルジの本気では無いはずだ」

 

「な、何故ですか⁉︎」

 

「奴は昨日言ってただろう? ファヴニールを倒す時に鎧を纏ったと」

 

「そして今は武器だけしか出していない。あれもあれで相当な魔力なのだろうが……昨日の方が桁違いな筈だ」

 

「なら今のアルジさんは……」

 

「これは憶測だが……あの海魔を倒せる程の力しか出してはいないのだろう」

 

 そんな会話が立香達の元で行われていた。

 

「な、何なんですかその禍々しい魔力の放出は⁉︎」

 

「……これが禍々しく見えるという事は、お前は邪ンヌの事をこれっぽっちも理解していなかった様だな」

 

「っ⁉︎ な、何を戯けた事を‼︎」

 

「だってそうだろ? この魔力には、邪ンヌの魔力も込められてある」

 

「っ⁉︎ な、なんと……」

 

「つまり……これを見て禍々しいと思うのならば、お前はここにいる邪ンヌを見ていたわけでは無い。お前の頭の中の邪ンヌしか見ていなかったって事だ!」

 

「だから改めて言わせて貰うぞ……邪ンヌは、お前のものじゃ無い! 邪ンヌの生は邪ンヌ本人のものだ‼︎ 分かったのなら、英霊の座に還って頭冷やして今一度考えやがれ‼︎」

 

「〜〜〜〜っっっっ⁉︎ こ、この匹夫めがぁぁぁぁぁっ‼︎」

 

「その言葉にも飽きた。だからそろそろ幕を引かせて貰うぞ‼︎」

 

「この魔力に込められし憎悪において……目の前の万象を、俺は叩き潰す‼︎」

 

 アルジがそう宣言しながら海魔に接敵、すれ違いざまでデモリッションナイフを振り下ろした。振り下ろしながら通り過ぎるとそこで止まり、アルジはまるでデモリッションナイフが背に備え付けられたとでもいう様に収める。その時にはデモリッションナイフは畳まれた状態で、アルジの背中にくっ付いた。

 

ガギンッ

 

 その音が鳴ると海魔は蒼い大爆発を起こし、ジルもその余波に巻き込まれてこの世界から退場した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『な、なんか今回は殆どアルジくんが解決した様なものだけど……ともかく皆お疲れ様‼︎』

 

「お疲れ様です! 確かに今回はアルジに殆ど持っていかれちゃった」

 

「そんな事ねぇだろ? 強化されたファヴニールを瀕死まで追い込んでたじゃねぇか? 立香も十分やったと思うんだがな?」

 

「うぅ〜……でもなんか納得いかないな」

 

「で、でも今回は無事に聖杯も回収しましたし、この時代もじき元通りになるんです。確かにアルジさんが殆ど持っていった様に見えますけど、先輩は先輩で初めてにも関わらず頑張ったと思いますよ!」

 

「マシュ〜……ありがとう!」

 

「まっ、そんなこんなで一件落着だな!」

 

「賑わっているところ悪いが、そろそろ私達もカルデアに帰る様だな」

 

 エミヤの言う様に、立香達の身体が光の粒子に包まれていく。

 

「もうお別れなのね」

 

「うん、マリー達も色々と助けてくれてありがとう!」

 

「ふふっ、そこまでの事はしていないわ。まぁアルジの為にと思ってやってきたけれど」

 

「そうだね。彼といると飽きないし、何より創作意欲が湧くから」

 

 そんなこんなで立香達とマリーは簡単に会話をし、次はカルデアで会えたらと締めくくって、立香と立香のサーヴァント達は先にカルデアへと戻って行った。

 

「結局俺が最後にカルデアへと還るのか」

 

「でも良いじゃない! 戻るまで私達と話していましょうよ!」

 

「そうですわ旦那様! まぁ旦那様が戻る場所は分かりましたから、私も後から向かいますわ!」

 

「だがあれってなんか触媒とかないと出来ないって聞いたがな」

 

「そんなもの……私がマスターへと抱く愛があれば十分に成し得ることができます‼︎」

 

「そ、そうか……」

 

「それよりアルジ、あの子のところに行かなくても良いの?」

 

「ん? あぁ」

 

 マリーが示す方に顔を向けると、そこには邪ンヌが何故か羨ましそうに見ていた。

 

「少し行ってくる」

 

 アルジはマリー達から離れた。

 

「良かったのかいマリー?」

 

「アルジを行かせた事?」

 

「えぇ。だってアルジもいつあっちに帰るか分からないし」

 

「そうね。でもこれが最後のお別れではないわ」

 

「っ! ふふっ、そうね。私達も座に還り着いたら、無理矢理にでもアルジのところに行きましょう」

 

「えぇ。私もそれが楽しみなの。だから……」

 

「「「「マスター/旦那様、また会おう/また会いましょう♡」」」」

 

 その言葉を残して、マリー達も座へと還っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よっ」

 

「っ! あ、アンタどうしてこっちに? アイツらとはもう良いの?」

 

「あぁ、俺がこっちに来る時に還ったみたいだな。まぁこれが今生の別ではないし……多分すぐ会えるだろうよ」

 

「なんでそんな事が言えるのよ?」

 

「俺の勘だが?」

 

「ハァ〜? 何よそれ? バッカみたい」

 

「そうだな。俺は馬鹿なんだろうさ……愛しい人を目の前にして、告白の返事も出来なかった大馬鹿者だ」

 

「……そいつはどうなったの?」

 

「今もカルデアで生きてる。でも、俺が何しようとしても……意識が戻らねぇ。ダッセェよな……俺にはこんな力があるのに、大切な奴をすぐに救う事が出来ない」

 

「……そんな事、ないわよ」

 

「えっ?」

 

「〜〜〜っ‼︎/// だから! そんな事ないでしょって! ほ、ほら……だって私があの海魔に呑み込まれた時……アンタが助け出してくれたじゃない」

 

「だから、そんなしょげた顔しないの! この私の憎悪を受け止める奴がそんな顔してたら、私も格好がつかないでしょ?」

 

「……そうだな。にしても慰めてくれたんだよな? ありがとう」

 

「っ⁉︎/// べ、べべべ別にそんなつもりじゃないしぃ〜‼︎」

 

「ははっ、邪ンヌの照れてるところ……可愛いな」

 

「っ⁉︎/// あ、アンタって奴は〜……」

 

「おっ、言うてる間にそろそろ俺も還るところだな」

 

 アルジの言う通り、アルジの身体も光の粒子に包まれる。

 

「ねぇ! さ、最後にさ……」

 

「ん? どうした?」

 

「お、お礼……してないから、め、目を瞑りなさい‼︎」

 

「はぁ、まぁ良いが?」

 

 邪ンヌに言われた通り、アルジは目を瞑った。すると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んっ……」

 

「っ⁉︎」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 邪ンヌはアルジにキスをしていた。

 

「はっ……こ、これが今回のお礼よ! それにさっきの約束、忘れるんじゃないわよ‼︎」

 

「っ! あぁ、分かってる。違えないよ」

 

 その言葉を最後に、アルジもカルデアへと還った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 立香達がカルデアへと帰り着いた少し後にアルジもカルデアへと帰還した。そこで第一特異点の人理修復を成し得た事への賞賛と反省会が行われ、各自次の特異点に向けて準備を開始した。そしてアルジはオルレアンで宣言した通りダヴィンチにありがたい説教をした。

 

 

 

 

 

 

 

 

「オフェリア……ただいま。戻ってきたよ」

 

 ダヴィンチに説教をした後、アルジは治療用のコフィンで眠るオフェリアの元へと来ていた。しばらく眠ったままのオフェリアを見つめる。

 

「……君はその状態でも、どこかで俺の事を見てくれているんだよな」

 

 コフィンにそっと手を触れる。

 

「でも俺には……眠ったままの君しか見えない。こんな状態の君に……力がある筈の俺は何もできない。凄く……歯痒いよ」

 

 アルジは人知れず……その場でまた涙を流した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 翌日、戦力強化の為に立香はサーヴァントを召喚した。召喚されたのは、ジャンヌ、ヴラド、サンソン、デオン、カーミラ、エリザベートなどだ。少々カーミラとエリザの間で一悶着あったが、そこは立香達が何とか抑えた。

 

「う〜ん……マリー達は召喚できなかったな〜……」

 

「仕方ないですよ先輩。これだけのサーヴァントを呼べるだけでも先輩には素質があるんですから」

 

「そうだね。本来なら1人につき1体のサーヴァントだけど、立香の場合は複数人同時に契約できるってまずない事だからね。そこは誇っても良い才能だよ!」

 

「うん、そうだよね! マリー達とはまたどこかで会えると思うし‼︎ それで今回もアルジはサーヴァントを召喚しないの?」

 

「前も言ったと思うが、こんなドス黒い復讐心に英霊を付き合わせる訳にはいかねぇよ。だから呼ばねぇ」

 

「そ、そうだったよね……」

 

(でも何故だろう? 前言ってた時よりも表情が寂しそうに感じるのは……)

 

 アルジ自身としては表情を変えずに言っていた事だろうが、ロマンは少しだけアルジの表情が寂しそうだと感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『まぁアルジったら、嘘をついたらダメじゃない!』

 

「っ⁉︎」

 

「ま、マリーさんの声⁉︎ でもどこから……」

 

『本当だよ! 君の声音からは、僕から聞いても嘘を言っている様にしか聞こえないな!』

 

「モーツァルトの声も聞こえるよ⁉︎」

 

『そうですわ旦那様! 私は嘘が大嫌いなのです‼︎ だから……そんな寂しい事を仰らないで下さいませ』

 

「こ、今度は清姫の声だね……」

 

『全く……マスターは私達がいないとダメみたいね』

 

「マルタの声まで……一体これは」

 

 立香達がそんな風に慌ただしくしていると、召喚の光が灯る。魔力リソースなど何も捧げていないにも関わらず、召喚の輪が回り出す。それが最高潮に達した時……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふふっ♡ ようやく来れたわ! 1日ぶりくらいかしら?」

 

「大体それくらいよね?」

 

「私は一刻も早く旦那様に会いたかったです♡」

 

「やっぱり君がいないと僕の作曲活動に支障が出るよ! だから僕も来たよ‼︎」

 

「マリー? それにマルタと清姫、アマデウスまで……どうしてここに?」

 

「ふふっ、そんなの決まっているじゃない! 私が、いえ、私達が貴方と一緒にいたいからよ‼︎」

 

「そう言う事。マスターが自分の力がどれだけ穢れていると言ったって関係ないわ! 私は、その力でも私達と一緒に戦ってくれた。一緒に過ごしてくれた。そんな貴方に惹かれたんだもの」

 

「そうそう!」

 

「そうです旦那様! 旦那様が嘘でないと思っていても、私には感じました。旦那様が他の人達に迷惑がかからない様にと思っての言葉だと」

 

「だから……そんな寂しい事言わないで? 私達にはいくら迷惑をかけても良いの。それぐらいの事、私達は何とも思わないで貴方のことを支えられるんだから」

 

「えぇ、だから……」

 

「これからも貴方のお供をさせて下さい。マスター」

 

「皆……はぁ〜……これは俺が何と言っても付いてくるよな?」

 

「「「「当たり前です/だわ/だよ」」」」

 

「……分かった。宜しく頼む」

 

「「「「っ‼︎ はいっ‼︎/うんっ!」」」」

 

 そんな和やかな雰囲気になりつつある時だ。

 

『あら? まさか私を忘れているんじゃないでしょうね?』

 

「っ⁉︎ こ、この声は……」

 

 するとまた召喚サークルが回り出す。しかしながらその色は通常青色なのだか、黒く輝いていた。そしてまたサーヴァントが召喚された。そのサーヴァントは……

 

 

 

 

 

 

 

 

「サーヴァントアベンジャー。ジャンヌ・ダルクよ。さっきぶりねアルジ。ともかくこちらが私との契約書よ。よく読んで……サインしてちょうだい」

 

「邪ンヌまで……」

 

「ほ、ほら……さっき約束したじゃない。私の憎悪も一緒に背負っていくって」

 

「っ! あぁ、そうだな。なら邪ンヌが来てもおかしくなかったな」

 

「そう言うこと。ほら! さっさとここにサインしなさい! 私みたいな魔女と契約させた事、後悔させてやるんだから‼︎」

 

「はっ! 誰が後悔するかよ‼︎

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お前がいつも明るく笑えるほど、ここに来て幸せだと感じれる程にしてやるよ‼︎

 

「っ‼︎///」

 

「あら、大胆ねぇ〜アルジ」

 

「全く……天性の女タラシだわ……私も負けられないわね

 

「最初からライバルが多いです……でも私負けませんわ!」

 

 とにかく、オルレアンを解放した後のカルデアは賑やかだったと言います……

 

 

 

 

 

 

 

本編1部 第1章 邪竜百年戦争オルレアン ー復讐者は邪竜すら歯牙にもかけずー    完




解説

・デモリッションナイフ

ガンダムアスタロトの主兵装。いつもは畳まれた状態で背中にマウントされている。完全に展開すると、アスタロトの全長の2倍ほど大きな大剣になる。





とまぁ少しばかりの解説でしたが、ようやくオルレアンも終了し、最終的にアルジさんは邪ンヌを堕としました。

「いや、堕とした訳じゃあねぇんだけどな……」

あれは誰がどう見たって堕としに行ってますよ! 流石は天性の女タラシですねぇ〜。

「だ、誰が女タラシだ⁉︎ いいか! 俺はオフェリア一筋d」

と言う事で、次回もまたお会い致しましょう。

「最後まで言わせろ‼︎」

無事第1章のオルレアンを終わりました! そんな中で読者の皆様が思うアルジとのカップリングで最もお似合いだと思うサーヴァントは?

  • マリー
  • マルタ
  • 清姫
  • 邪ンヌ
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