月鋼 ー復讐者の人理救済ー   作:橆諳髃

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最新話までに評価して下さった読者の皆様

☆9 Elona冒険者 兼 重婚アズレン指揮官 様
☆1 宮森 様

ご評価頂きありがとうございます!

さて、今回1ヶ月投稿が遅れてしまった理由としては、まぁ他のアプリもイベントなのとfgoもイベントと……更に前半体調を崩してモチベーションを崩してしまったからです……

幸いコロナではなかったのですが、発熱時はインフルエンザにかかった様に筋肉痛がして辛かったです……

とまぁそんなわけでして5月投稿に間に合わず……申し訳ありません。またイベントが他のアプリでもやっているので更新速度は遅くなってしまいますが、次でセプテムは終了する予定です。(なんとか無理矢理にでも終わらせる予定)

また、今回から踏み台モブキャラを出します。このキャラは作者が1番踏み台として扱いやすいキャラだと勝手ながらに思って出しております。(実際に目の前に現れたらガクブル状態待ったなしです……)

という事で遅くなって申し訳ありませんが、物語の始まりです!


21話 復讐者、友軍を助け皇帝を叱咤しコロッセオへ導く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

side ステンノ

 

 

 

 

 アルジ達は既に名もなき島から出発しており、この場にはステンノしかいない。

 

(……只者ではなかったわね)

 

 思い返すのは約1時間程前に見た光景……アルジが異形なスケルトンを一掃する姿だった。

 

(あの空間を閉ざすのも、相当な魔力量なはず。なのに彼は何事もなかったかのようだった)

 

 勿論歪んだ空間を閉ざす事はステンノにも出来る事だ。それでも結構な魔力を消費する。そうしてしまえば1日は休息に費やすだろう。

 

 だがアルジはそれをした後でもまるで何事もなかったかのように、数千のスケルトンを一掃した。

 

(彼の中にある神性……でもその力を全く使っていなかった)

 

 魔力と体術、そして空間から突如として出していたあの不思議な武装……それだけで数千を撃退した。

 

「これは……直接彼らに同行しようかしら?」

 

 この時代が正史とかけ離れている事は自分でも分かっていた。だからこの世界が正史として戻る時、自分がこの世界から座に還り着く事も……

 

「あわよくばアルジ……若しくは立香だったかしら? どちらかに呼んでもらえれば良いわね」

 

 そんな思惑を抱きながら、彼女はその場に留まる。この世界の行く末を静観する。自分は戦う存在ではなく、人がどの道を辿るのかを見守る為に存在するのだから。

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 名もなき島から帰り着いて数日、いよいよネロはローマ連合に総攻撃を仕掛ける事にした。そのためブーディカがいるガリアへと赴き、そこを拠点として連合が陣取ってる首都を叩く。

 

 立香達もそれに従って準備を進めている中、ネロの元にブーディカから救援要請が入った。

 

「なにっ⁉︎ ブーディカが率いる隊がローマ連合に苦戦をしているだと⁉︎」

 

「はっ! それも討ち取った筈の敵兵がまるで生き返り、我が軍を襲っております! 未だ被害は軽微ですが、その状態が続けば我々の不利になってしまいます‼︎」

 

「うむ……ならば余達も出立の準備を早めなければ……」

 

「いや、ネロ達は予定通りの行動をした方がいい」

 

「アルジ?」

 

『まさか……また君が1人で先に行って救援に行くのかい⁉︎』

 

『た、確かにアルジならネロ達が着くまで持ち堪える……いえ、敵を殲滅するでしょうね』

 

 ここまで来ると最早アルジの戦闘力は化け物並である事を皆理解し、止める者はいない。

 

「待ちなさい」

 

 だがそこで待ったをかける者がいた。

 

「邪ンヌ……」

 

「ねぇアルジ……忘れたの? 私の事も頼ってって言ったこと」

 

「……忘れてたわけじゃあねぇよ。ただこれぐらいの事なら1人で済むかと思っただけだ」

 

「そう……でも1人よりも私も一緒に行った方が早く済むと思うけど?」

 

「あら、なら私も一緒に行きたいわ」

 

「マルタまで……」

 

「貴方はいつも1人で背負い込み過ぎなのよ……そんなに私達の事が信じられないかしら?」

 

「だ、誰もんな事言っては……」

 

「でも私達から見ればそう聞こえてしまうのよ? だから……私達が側にいる時くらい頼ってちょうだい」

 

「……分かった。なら邪ンヌ、マルタ、俺と一緒に来てくれ。この世界を一刻も早く正史に戻す力を貸してくれ」

 

「当然よ!」

「承ったわ」

 

「じゃあ私達はネロと一緒に行くって事で良いね!」

 

「はい。先輩の言う通りそれが今のところ良いかと」

 

「それで、私とマルタは霊体化してアルジについて行けば良いかしら?」

 

「いや、それよりも早い方法がある」

 

「それって……」

 

「まぁすぐに分かる」

 

 アルジはすぐさまガリアへと向かう準備をした。といってもアルジの荷物は全て疑似空間にしまってあるのでそれらしい準備はしていないが……

 

 そしてネロ達はアルジ達を見送る為に王宮の庭に出る。

 

「それじゃあ俺達が先行して奴らを叩いてくる。多分ネロ達が着く頃には終わっている筈だがな」

 

「うむ! だが余達も出来る限り急いでガリアに赴く。あまり無理はせぬようにな」

 

「分かってる。まぁいつも通りやってくるだけだがな」

 

「それで、霊体化しない私達をどうやって連れて行くのよ?」

 

「あぁ、それなら……2人とも捕まってくれ」

 

「……えっ?」

 

 アルジは少し屈んで両手を広げた。

 

「ま、まさかとは思うけど……」

 

「私達2人を抱えて行くと言うのでは……」

 

「ん? あぁ、まさにその通りだが?」

 

「ば、馬鹿なこと言わないでちょうだい‼︎ 結局アルジに負担がかかっているじゃない‼︎」

 

「そうです! やはり私達は霊体化した方が」

 

「だが俺は霊体化した邪ンヌ達がどれだけ早くガリアに行けるかなんて分かってねぇんだ。だから結論として俺が抱えて行った方が早い」

 

「……はぁ〜! もぅ仕方がないわね!」

 

「マスターは頑固であると……いえ、こんな事あの時から少なからず分かってはいたけど」

 

「つべこべ言わずに、早く掴まってくれ」

 

「はいはい……(アルジに重いと思われたらどうしよう……)」

 

「し、失礼するわね(ガチムチな体型だと思われたらどうしようかしら……)」

 

 邪ンヌとマルタはそれぞれそう思っている様だが、次の瞬間には杞憂だったと思い知らされる。

 

「2人にはあまり負担にならない様に魔力で覆うが、振り落とされない様にしっかりと掴まっていてくれよ。それじゃあ行くぞ」ググッ

 

 アルジは足を一歩踏み出し、深く腰を落として……

 

ダンッ‼︎ ヅガンッ‼︎

 

「キャッ⁉︎」

 

「ちょっ⁉︎」

 

「「「……」」」

 

 ここにいるであろう皆は、アルジが2人を抱えながらガリアへ走って行くのだろう……と、そう考えていた。だがその予想は裏切られる。

 

 何故ならアルジは、2人を抱えて跳・躍・したのだから……

 

『……あれって、ガリアへ跳んで行くってこと?』

 

『まぁそれしか考えられないだろうねぇ〜。にしてもいくら跳躍といっても飛距離なんてたかが知れているんだけど……』

 

『……いや、これ明らかに速度が速くなってるよ?』

 

『ん? ほほぅ……なるほどね。つまりアルジは空中も蹴って移動している訳だ。いやはや彼って本当に面白いなぁ〜』

 

『いやいや! 面白いで済ませる話じゃないでしょ⁉︎』

 

 アルジが去った後のカルデアの面々も、未だアルジのスペックの全容を把握しきれていません……

 

 

 

 

 

 

 

 

side 邪ンヌ

 

 

 

 

 

 邪ンヌはアルジに抱えられて空を移動中……隣には邪ンヌと同じくアルジに抱えられたマルタもいる。

 

(ホント……今更だけどぶっ飛んだ考え方をするわね)

 

 まさか自分よりも戦闘力は上であるものの、自分達サーヴァントとは違う魔術師に他ならない人間が、2人を抱えて跳んでいるという光景はこの世界が誕生してから聞いたことは無いだろう。だが実際に目の前の人間……自分達のマスターであるアルジは涼しい顔をそれをしている。

 

(まぁでも……)

 

「こうやって密着するのは……好きね」

 

「ん? 何か言ったか?」

 

「えぇ、相変わらず誰も理解が出来ない行動をするわよねと思ったから、少し愚痴を言ったまでよ」

 

「そうか。それは悪かった」

 

「本当にそう思ってるなら……後で私に何かしなさい」

 

「邪ンヌだけずるいわ。それだったら私も良いかしら?」

 

「……考えとく」

 

 少しゲンナリした表情をしたアルジ。しかしその表情も邪ンヌ達にとっては嬉しいものだった。

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 アルジ達が空を駆けて数分……目の前に軍勢同士のぶつかり合いが見えた。

 

「それで? どうやってあの中に割って入るの?」

 

「俺が敵側の適当な位置に邪ンヌとマルタを下ろす。その時に減速魔法を2人にはかけるが、2人には落ちながら敵を広範囲に渡って攻撃して欲しい。後はいつも通りだ。俺はこの速度のまま敵陣に突っ込む。それでゾンビ化している要因を叩いたら味方と合流して各個鎮圧に入る。だが人は殺めるな。報告にあったゾンビだけ殲滅するぞ」

 

「分かってるわ。この憎悪でこの世との楔を絶ってやるわよ!」

 

「なら私は神に……いえ、アルジに鍛えられたこの力で救済しましょう」

 

「頼りにしている。それじゃあカウント5から入る」

 

 アルジのカウントダウンが始まる。邪ンヌは旗を、マルタは聖杖を携えていつでも行動出来るように準備する。そしてカウントは0になった。

 

「よし、行くぞ!」

 

 アルジは減速魔法を2人にかけながら敵陣に投下する。

 

 

 

 

side ブーディカ

 

 

 

 

 アルジがローマに行ってからはや数日……兵士達はアルジを見習ってかこれまで以上に訓練に励んでいた。これとしてはとても良いことだと思う。

 

 確かにこの世界は正史とはかけ離れてしまい、私達の様なサーヴァントがいなければ正しい道には戻れない。でもどちらの世界になるかは、結局はこの世界に生きている人達の想いによっても変わると私は思う。

 

 だからこの兆候はとても良いことだと思ってる。思っているけど……

 

(アルジがいないと寂しいな……)

 

 最初は揶揄いがいがある弟が出来たと思ったの。でも、日を重ねるごとにそれがいつの間にか……

 

(好きに……なっていたんだよね……)

 

 それを自覚してから……表面上には出していないと思うけど、寂しいと感じた。

 

 そんな時にローマ連合が攻めてきた。敵軍を率いているのは2人の将と聞いている。

 

(確か諸葛孔明とアレキサンダー……2人とも手強い相手ね)

 

 そこから約3日……死傷者は少ないものの、段々と兵士の疲れが見えて来る。ただあちらも私達がここまで粘っているのが予想外の様で攻めあぐねている様だった。

 

 このままの状態を維持できれば、あちらも体制を立て直す為に一旦兵を引かせるだろう。その間にこちらもネロに救援要請をすれば……

 

 だけど問題は4日目……問題が起きた。なんと死んだ兵士が動き出したのだ。それも1人2人ではない。それに敵味方関係なく襲っている様で、それには前線にいた兵達は混乱していた。

 

「早馬を用意して! 直ぐに援軍要請を!」

 

 それをしたのが2日前で、前線はどちらとも瓦解……幸い死んだ兵の動きは遅かったから、後衛に柵を作らせて時間を稼ぐ様に指示した。

 

(そろそろ早馬がついた頃……かな)

 

 でもここから考えてネロ達が着くのは早くて2日後……それまで持ち堪えれるか心配だ。

 

 そう思っていたら……

 

「っ⁉︎ あれは!」

 

 私達が陣を構えている方向から何かが飛んで来る。死んだ兵達が屯しているど真ん中で飛んでる影が1つから3つになる。

 

 ど真ん中に落下しているものはそれぞれ黒と白の光を有してゆっくりと落下。それを確認したと同時に黒い炎と白い風が死んだ兵達を薙ぎ払った。

 

 そしてもう1つの黒い影は、薄紫色の光を纏い速度そのままで敵陣の死んだ兵達に突っ込んだ様に見える。その衝撃は凄まじく、遠く離れたこちらの陣地も揺るがすほどだ。突っ込んだであろうところからは砂埃が立ち、それが合図だったのか黒い炎と白い風はさらに勢いを増した。

 

 衝撃が陣地を揺るがした時、ブーディカは漸く理解した。

 

 

 

 

 

(あぁ……帰ってきてくれたんだね……)

 

 数日前にネロの元へと向かったあの子が帰ってきてくれたと……

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

「燃え尽きなさい!」

 

「奇跡よ!」

 

 アルジに減速魔法をかけられながら敵のど真ん中へと降下していく。同時に2人は持っている獲物を掲げて敵を広範囲に渡って攻撃する。一方は憎悪の炎でゾンビを焼き尽くし、もう一方は奇跡の光で浄化する。そしてアルジは……

 

「オォォォォォッ‼︎」

 

 右手に紫色の、これまた特徴的なランスを持ち、勢いそのまま地面に突き刺す。その衝撃は暴風となり、周りにいたゾンビ兵数百単位をいとも簡単に吹き飛ばす。砂埃が晴れれば、アルジの立つ場所から半径数十メートルに渡りクレーターが出来上がっていた。

 

 だがそこでアルジは止まらずゾンビ兵を右手の槍で、時には中に放ってはいつの間にか展開していた紫色のシールドでシールドバッシュ。更にシールドに備え付けられていた無骨な剣で辺りの敵を薙ぎ倒す。

 

(こいつらの原因となるものはどこだ?)

 

 敵を薙ぎ払いながら戦場に蔓延る異質な魔力を感じ取ろうとしている。敵味方関係なく、死んだ兵士……ゾンビ達にそれは纏わり付いているが、複雑に絡まっており尚且つ薄い。

 

「……大体の場所は分かった」

 

 それでも数分でアルジはどこからその大元がどこにあるのかを把握した。

 

「邪ンヌ! マルタ!」

 

「えぇ! 任せなさい‼︎」

 

「マスター! 貴方に力を‼︎」

 

 アルジが紫色のランスを掲げると、憎悪の炎と奇跡の風が集い始める。それらの力は互いに反発し合いながらもランスを沿う。数秒後、それらの力は安定した。

 

「穿て!」

 

 憎悪の炎と奇跡の風が合わさったランスを敵陣に向けて突き出す。憎悪の炎と奇跡の風が織成す奔流は……敵陣の更に後方にあった空に激突した。その空には徐々にヒビが入る。

 

「ハァァァァッ!」

 

 奔流にアルジは更に魔力を流し込む。それと同時にその奔流は増大していき、激突した空のヒビは更に拡大。そこからはダムが決壊するかの様にヒビは割れ、憎悪と奇跡の奔流はヒビ割れた空の更に奥へと吸い込まれる。

 

 空の奥で何か盛大に爆発したかと思えば、空に生じていたヒビは綺麗に無くなり、ゾンビ兵も糸が切れた様に倒れ伏した。

 

「終わったな」

 

「そのようね」

 

「これからどうしますか? 敵をこのまま追撃しましょうか?」

 

 アルジの下に邪ンヌとマルタが合流する。

 

「いや、敵の方も今回は巻き込まれたっぽいからな……一時休戦状態にはなるはずだ。とりあえずブーディカの所に戻ってネロ達を待つ」

 

「分かったわ」

 

「でも敵の方から仕掛けた時は……」

 

「あぁ、その時はその時で対処しよう」

 

 そう決めてアルジ達はブーディカの陣地へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

side 諸葛孔明

 

 

 

 

 

「まさか敵味方関係なく襲ってくるとはな……」

 

 この光景を見たのが2日前……日毎に被害は拡大している。私の方も陣を敷いて敵の侵入を食い止めている。食い止めてはいるが……

 

(どうやってこの症状が発生した? それに私が敷いた陣を破ろうとしてくるとは……)

 

 奴らは、あろう事か私の陣を破ろうとしてくる。特殊な護符を貼ったつもりではあるが、まさかそれに耐性があろうとは……

 

「ねぇ、僕も前線で暴れてきちゃダメかな?」

 

 私と共に来ていたアレキサンダーがそう言う。

 

「……敵がどの様な能力を持っているのか定かではないのに前線に行くのは危険だ。もし私達サーヴァントにも敵の攻撃が有効であり、操られでもしたら面倒だ」

 

「う〜ん……確かにそうだけど……って、見てあれ‼︎」

 

 アレキサンダーが指を刺した方向を見ると、私は度肝を抜かれた。あの敵味方関係なく襲いかかってくる者達のど真ん中に黒い炎と白い光、更には大きな竜巻が発生していたからだ。それもその衝撃はこちらの陣にも響いてくる。

 

 それから数分後、炎と光が天に向かって螺旋を作っていた。それだけならよかったものの、次の瞬間螺旋は自分達に向けて放たれる。まずいと思ったものの、今から守りの陣を敷いたところではどうにもならない。遠目から見てもその威力の凄まじさは分かった。

 

 だが私の予想に反して螺旋は私達の頭上を通り抜ける。それから数秒後に後方で何かがひび割れる音が聞こえたと思えば、次の瞬間には爆発音が鳴り、同時に螺旋は消えていた。どうやら私達に対しての攻撃では無かったようだ。

 

(それに……ゾンビと化していた者達も倒れている)

 

 あの螺旋は、これ以上被害を出さないためのもので間違いないな。それにしても今からまた戦えという命令は……兵士達は受け付けないだろう。ここは早急に使者を立てて一時停戦が得策だな。だが……

 

「さっきの凄かったね! 僕達に直撃していないのに、あの風圧だけで陣地が飛ばされちゃったし!」

 

「……」

 

 螺旋が通り過ぎた後の孔明達の陣地は、死人は出なかったものの甚大な被害を受けていた。

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

side ???

 

 

 

 とある空間……白髪の老人が怒りに打ち震えていた。

 

「ぬぅ……またあやつか‼︎」

 

 我の計画を邪魔するとは……許せぬ! ()()の時代……徳川様の世を復活させる為に我は蘇った。本来であれば日の本……否世界は我らと徳川様の時代になっていたはずだ。

 

 だが若人共の前に塵と消え去った。我らよりも弱小な存在であるはずの者達に!

 

(それでも天は我を見捨てなかった!)

 

 ここがどこかも分からぬが……どうやらこの世界は滅びゆく運命にある様だ。

 

 ならば! ここの世界に再び生を受けた我がその滅びから救ってやろうぞ!

 

(だが人間のためではない……徳川様と我らの為の世界だ! この世界に住んでいた者達よ……そのための礎となれ‼︎)

 

 と、この滅びゆく世界を簡単に手中に収める事ができると思うておったが……

 

「あの小僧の邪魔がなければ‼︎」

 

 現に先程も死者をゾンビの様な存在として操り、更にそのゾンビが傷つけた存在も同じゾンビになるといった呪いをとある機械で制御していた。

 

 だがそれも小僧の攻撃で木っ端微塵……あれを創り出すのにどれだけの労働力がかかったのか知らずあやつめ……

 

「だが時間はまだある……ふっふっふっ……」

 

 この物語に早くも第三勢力の存在が垣間見えた瞬間である。それも結構な野望を秘めて……

 

 だがこの老人は知らない……自らが抱く野望をアルジによって何回も邪魔をされ、最終的には自分自身が滅ぼされてしまう事に……

 

 そもそもの話、この白髪の老人は作者から見れば踏み台のモブ程度の出演である事を忘れてはならない!

 

「ぬぅ⁉︎ 誰かは知らぬが我を侮辱するか⁉︎」

 

 尚この老人は電波も拾える様だ……

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 ネロ達が到着する前にローマ連合の孔明から一時停戦を申し込まれた。まぁこれは予想通りだった。それでネロ達が来たら今度は自分達の陣地に来て欲しいとも連合側の使者はブーディカに伝えた様だ。

 

 取り敢えずはネロ達が着くまで暇だから、ここまで生き残った兵士達を労うとしよう。そう考えて料理を振る舞い、既に日は落ち切った。

 

 俺は俺で自分のテントで明日は何をするかを考えていたんだが……

 

「アルジ、ちょっと良いかな?」

 

「ん? ブーディカか。どうしたんだ?」

 

「うぅん、少しアルジと話したいなって思って」

 

 そう言って俺のテントに入ってきたブーディカは、いつもと同じ様に笑みを浮かべていた。

 

「で? 話ってなんだ?」

 

「うん、今日のことなんだけどさ。助けに来てくれてありがとねって」

 

「あぁ、別に大した事ねぇよ。俺が好きでやった事だ。そもそもネロが正史通りに事運ばねぇと俺が困る。要するに利害関係の一致だ」

 

「それに、俺が来てなくても立香がなんとかした筈だからな」

 

「それでも……だよ」

 

「っ⁉︎ きゅ、急に何してんだよ⁉︎」

 

「アルジが素直に受け取ってくれないから、強行的に感謝を伝えているんだよ?」

 

「だからって……よく見たらまた下着姿じゃねぇか……」

 

「ふふっ♡こんなのいつもだし、そろそろ慣れてくれてもいいと思うんだけどなぁ?」

 

「ふざけんな……こちとら毎回羞恥でどうにかなりそうだ……」

 

「そう言ってくれてるって事は……私の事も意識してくれてるって思っても良いんだよね?」

 

「はぁ……」

 

「ため息吐くと幸せが逃げちゃうよ?」

 

「誰のせいだと思ってんだよ……」

 

「さぁね? でもそんなアルジには……もぉっとぎゅーって、してあげる♡」

 

 ブーディカが更に強く抱きしめてきた。全く……

 

「ふふふっ……なんだかこうしていると落ち着くなぁ♡」

 

「ねぇアルジ……今日も一緒に寝て良いかな?」

 

「……どうせ断っても後から潜り込んで来るんだろ?」

 

「うん!」

 

「全く……」

 

「それで、良いんだよね?」

 

「好きにしろ。ともかく俺は明日に備えて寝る」

 

「なら私も……勿論一緒の布団で、ね?」

 

 アルジは辟易としながらも、心のどこかで悪くないと思いながらブーディカと一緒に寝た。その後、アルジのテントに邪ンヌとマルタが訪れ、ブーディカがアルジと一緒に寝ている事に腹を立てながらも(主に邪ンヌが)仕方がないと割り切って一緒に寝た。勿論アルジの空いている腕と真正面から抱きついて……

 

 

 

 

 

 停戦から数日……ネロ達が到着した。そこから話は淡々と進み、アルジ達は孔明達の陣地へと赴く。そこでローマ連合を率いているのがローマを建国した神祖ロムルスである事を告げ、それでも尚自分がローマを率いるのかをネロに聞く。

 

 ネロはその話に自分の意思を揺さぶられる。が……

 

「確かにロムルスがローマを築いた英雄なんだろうさ。だが、今のローマを作っているのはネロだろ?」

 

「う、うむ……そうではあるが……」

 

「なら何に迷う事がある? ネロはネロのやりたい様にやれば良いだけじゃあねぇか? それが今のローマの人達を豊かにすると……それを自分で信じれねぇでどうするんだよ?」

 

「っ⁉︎ そ、そうであった。余は今のローマを……先代達から引き継いでこの場に立っているのだ。これからのローマも、余が導かないで誰が導くというのか!」

 

「うむ! 余はこのローマを、この世界をあるべき世界へと導くぞ‼︎ アルジよ、余の迷いを祓ってくれた事……感謝するぞ!」

 

「別に大した事してねぇよ。俺が好き勝手にやっただけだ」

 

「ふふっ、アルジならそう言って余の礼を受け取らないと思っておった。だから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルジへの礼は行動で示そう♡」

 

「はっ? なにwっ⁉︎」

 

「「「えぇっ⁉︎」」」

 

『『はぁーっ⁉︎』』

 

『おやおや……これはこれは……』

 

「あ、あああアンタっ⁉︎」

 

「……はぁ〜」

 

 ネロがやった事……簡単に言うならキスである。アルジの両肩に手を置き、少し背伸びしてキスをした。これには一同予想外である……

 

「ふふっ♡どうだ余のキスは? 甘美なものであろう?」

 

 ネロは余裕ありげにそう言った。その様に見えた。見えるのだが……

 

「……余裕そうに言っててアンタ顔真っ赤よね? アハハ……初心なのねぇ?」

 

「うっ……勢いでやればなんとかなると思ったが……まさかここまで恥ずかしくなるとは……」

 

 ネロの様子に邪ンヌは馬鹿にする様に言う。しかしながらマルタに「あなたもでしょ?」と言われて必死に言い訳をしていたが……

 

 因みにこの様子をローマ連合の2人はポカンと眺めていた様です……

 

 それから数分後、ロムルスに挑むのなら自分達を倒せと孔明達が勝負を仕掛けてきたため、そこは立香達に任せた。まぁ完勝とまではいかないが、オルレアンの時よりも成長している事は分かる。

 

 その後すぐにローマ連合の首都があるコロッセオへと赴く。だがそこに着くとローマ連合の兵士……ではなく、ゾンビと化した存在が跋扈していた。それだけではなく、全身機械の侍もゾンビと化した兵士以上に展開されていた。

 

 ここを如何突破するか……出来る限り戦力は温存したいと思って作戦を練り始める立香達だが……

 

「俺が道を開く。立香達はその間にコロッセオに突っ込め」

 

「えっ⁉︎ でも……」

 

「気にするな。俺には頼れる邪ンヌとマルタがいる」

 

「そう言うことよ。だから突撃する準備をしときなさい」

 

「ふふっ、まさか私の妹がここまで逞しくなるなんて……嬉しいものですね」

 

「っ/// う、うっさいわね! アンタもとっとと準備しなさい‼︎」

 

「はいはい」

 

 目の前には化生の類の軍勢……数は数えていたらキリがない程……だがアルジ達はそんな中でも普通にしていた。それが彼らの強さの一端なのかもしれない……

 

 アルジが手を出すと、紫色の無骨な槍が顕現する。先のブーディカ達を助けた時に出していた槍だ。それを天高く掲げると、魔力が槍の先に集中した。

 

『なるほど……収束した魔力を前方に打ち出すんだね!』

 

『でもロマニ、それだったら槍を出さなかったって彼なら出来ると思うけど?』

 

『そ、そうだけど……ほら! 男の浪漫じゃないか‼︎』

 

『皆アンタの頭の様に出来てないわよ……』

 

 管制室ではその様なやり取りが行われていた。まぁそれも……

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァァァッ! デアァァァッ‼︎」

※槍を前に突き出して突撃している。

 

 

 

「「「えぇーーーっ⁉︎」」」

 

『『……』』

 

『いやぁ〜予想の斜め上の結果をいったねぇ〜』

 

 魔力を纏った紫槍は……軍勢のど真ん中をぶち抜いた。通り過ぎた後は、まるでモーゼの十戒の様に真っ直ぐ道が出来ていた。

 

「邪ンヌ! マルタ!」

 

「えぇ!」

 

「任せなさい!」

 

 出来上がった道に沿って、邪ンヌが憎悪の炎で、マルタが奇跡の風で壁を作る。

 

「ほら! さっさと行きなさい!」

 

「外の敵は中に入れやしないわ!」

 

「早く行ってカタを付けてこい!」

 

「っ! うん‼︎ みんな行くよ‼︎」

 

「うむ! 待っておれアルジ! 余が必ずこの世界を正しき道へと導くからな!」

 

「あぁ、待ってる」

 

 立香達はコロッセオの中へと入っていった。

 

「よし……後はコイツらを一掃するぞ」

 

「ふふっ……私の憎悪で全て燃やし尽くしてあげるわ!」

 

「澱んだ魂は浄化を……それ以外の無粋な輩は……鉄拳制裁ね‼︎」

 

 コロッセオの入り口を、各々の得物を持ち立ち塞がる3人。それと……

 

「……立香達と一緒に行っても良かったんだぞ?」

 

「うぅん。私は君と一緒に居たいなって。君には不要かもしれないけど……側で君を守りたいんだ」

 

「……分かった。手を出して欲しい」

 

「こう?」

 

「あぁ」

 

 アルジはいつものナイフで自分の指を少しだけ血が出るくらい斬り、それをブーディカの差し出した手に垂らした。

 

「んっ/// これって……」

 

「俺の魔力回路を一時的にだが繋げた。だけどこの事を理解して欲しい……」

 

「あくまでもその力は、俺を守る為じゃない。こんな俺の事を……大切に想ってくれた君自身を守る為に、使って欲しい」

 

「っ⁉︎/// う、うん……」

 

「はぁ〜……またアルジがやらかしたわ……」

 

「……」イライラ

 

「ん? どうかしたか?」

 

「いいえなんでも! それよりとっととやるわよ! バカ……

 

 邪ンヌさんはアルジさんとブーディカさんのやり取りを見てヤキモチを焼いていました。なお、それを相手にぶつけていたので邪ンヌさんの周りは基本的に憎悪の炎で敵が蒸発していたといいます……

 

 

 

 

 

 

 

 






解説

・デストロイヤーランス
・キマリスシールド
・キマリスサーベル

「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」の登場機体であるキマリス・トルーパーの主武装。敵の攻撃をいなし鋭い突きを放つ。

アルジが後半で繰り出した突撃はガンダムエクストリームバーサスシリーズのキマリストルーパー格闘ため技参考です。



・白髪の老人

()()時代にとある若人達に負けてしまった白長髪の老人。自分ではラスボスだと思っていた様だが、本当のラスボスからすれば当て馬同然の存在……

なお、ここでもモブキャラ踏み台として作者がこの作品に出した。この世界の修正力がオリ主対策で出したというのもあるが……どうやら人選を間違えてしまった様である。

次回投稿がいつになってしまうのか分かりませんが……なんとか早めに出せたらと思っております。ではまた!

第2章であるローマの物語が開幕されるにあたり、セプテムから登場するサーヴァント限定で読者の皆様が思うアルジとのカップリングで1番のサーヴァントは?

  • ネロ皇帝一択!
  • 母性の塊であるブーディカ姉さん!
  • いや、ステンノ様とだろぉ〜。
  • 復讐と破壊の衝突、ここはアルテラだな!
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