月鋼 ー復讐者の人理救済ー   作:橆諳髃

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皆様お久しぶりです。橆諳髃です。

書き終えてみればいつの間にか3ヶ月間も投稿できていなかった……自分の中では2ヶ月のカウントだったのですが……待ちに待った方々には申し訳ありません!

さて、今回でオケアノス編は2話目。ぐだぐだ回含めて3話目となります。そして次の話でオケアノス編は終了の予定です。

それにしてもfgo……イベント盛り過ぎではありませんか? そう思うのは私だけでしょうか?

9月で6周年記念と題して光のコヤンスカヤ排出。こちらについては奇跡的に少ない引き数で2枚当たりました! 2部のCMからまず絵に惹かれ、いつ出るか待ち望んでいたのですが、1枚目が当たった時点で嬉しいのに2枚目も引けてとても喜びましたれ

その後のオベロン……コイツもぶっ壊れ性能ですねある意味。コヤンスカヤより引いて漸く1枚出たぐらいです。

そこからの復刻と新作の夏イベ……新作の方ではもう素晴らしいの一言に尽きず、欲しいサーヴァント欲しさについつい課金する始末……しかしながら結果としては

・魔人セイバーこと沖田ちゃん2枚
・キャスターシャルロット
・アーチャーアナスタシア2枚
・アヴェンジャーカーマ
・バーサーカーなぎこさん

が当たりました! 課金したもののとても満足です‼︎

てすがその後のまだ続くイベントの数々……

・ハロウィンDX復興版
・今年のエリザベートシンデレラ

そして前までやっていたぐだぐだ邪馬台国……

き、キリがない……それに去年に引き続き邪馬台国全然回れなかったし……

それでいつの間にか新作ぐだぐだイベント……お腹いっぱいだよーっ‼︎ 今回ガチャ引いては見たものの、パーシヴァル以外ほぼハズレの始末……嗚呼、悲しい……

そんな状態で漸く投稿できました。

長く待って頂いた読者の皆様、既にこの小説の存在を忘れているかもしれませんが、イベントや他の事に従事しながらチマチマと書き連ねました。キャラ変わってるところあったら本当に申し訳ないですが、また本日も見て頂いたらと思います。


25話 復讐者、ギリシャの英雄を物理で圧倒する

 

 

 

 

 神様の影響で普通のジュースにも関わらず酔って寝てしまった件から数日、アルジ達はようやくヘクトールが逃げ込んだであろう諸島群に到着した。

 

 そのとある島に船を停泊させて、ヘクトールの他にヘクトールの雇い主についての痕跡が無いかを探っていた。そんな中……

 

「あっ……ひっ⁉︎」ビクッ

 

「ん? あぁ……」

 

 アルジはとあるサーヴァントに出会う。そのサーヴァントの名はアタランテ……アルジが第1特異点でボコボコにしその後彼女が座に帰り着くまで説教をした関係である。

 

「く、来るな⁉︎」

 

 その記憶が鮮明にあるのか、彼女は怯えた様子でアルジを拒絶する。

 

(俺が何か悪い事をしたって訳じゃあないんだが……)

 

 アルジとしては最初話し合いに応じるつもりであったのに、その時のアタランテは狂化されていた影響で一切受け付けず、攻撃の意思を変えないと言ったこともあり、ついついアルジもキレて彼女をコテンパンにした。

 

(はぁ……だがこうしてばかりもいられないしな)

 

「アタランテ……で良かったか?」

 

「っ⁉︎ こ、来ないでくれ⁉︎ あれは狂化された影響もあったが……もぅあんな思いは……」

 

「……今回は君に危害を加えようとしに来た訳じゃない」

 

「そ、そんなの嘘だ! どうせまた後で私の事を……「良いから聞け‼︎」っ⁉︎」

 

「全く……そうやってあの時も聞かなかったから俺は止むなしにアンタを物理的に黙らせたんだ。俺に危害を加えようとした事も含めてな」

 

「だが今回は違うだろう? 確かに俺があの時必要以上に攻撃して、それがトラウマ? になってるよな? それが原因になっているのなら謝る。悪かった」

 

「っ⁉︎」

 

 アルジはアタランテに頭を下げる。正直自分は悪くないと思っていながらも、このままでは話もできないと思った。だからこそ、自分から謝りアタランテの警戒心や恐怖心を和らげる事に徹した。その結果

 

「うっ……その、私もあの時は自分勝手だった。だから……こちらこそすまない」

 

 アルジの頭を下げる様子を見て、何故だか罪悪感を覚えたアタランテも頭を下げた。

 

「まぁ、これでアンタの傷が癒える事なんて思っちゃいない。だが俺がアンタをそうさせたんだとしたら、ちょっとは責任を取る」

 

 ぶっきらぼうに言葉を投げるアルジを見たアタランテは……

 

(まさか……この態度が本来の彼だというのか?)

 

 アタランテ自身に刻まれたトラウマは、オルレアンの時の彼の行動を見て植え付けられたもの。だが今目の前にあるアルジを見ると、どうやら自分は何か思い違いをしていたのだと、微かに思った。

 

「それで……なんだが、ここに怪しい奴が通らなかったか?」

 

「怪しい奴……あぁ、それなら私達も追っていた。禍々しい程の魔力を感じ取ってな。そしてここにはアルテミス様もいらっしゃる。今は別行動中だが」

 

(アルテミス……あぁ、熊のオリオンにくっついて来た神様か)

 

 アルテミスの事はさておき、取り敢えずは情報を得られそうだと思ったアルジ。だがその矢先に立香達から連絡が入った。

 

「……ヘラクレスが立香達に接触したか」

 

「なにっ⁉︎ ヘラクレスだと⁉︎ それはマズイかもしれない……」

 

 しかしながら今回立香達には、この世界で仮契約を施したアン&メアリーと沖田達が一緒に着いている。アルジが着くまではやられる事はないだろう。

 

「まぁな。取り敢えず立香と合流する。一緒に来るか?」

 

(……今の奴には、あの時の様な殺意が全くと言って良いほど感じられない。それにヘラクレスが今回の首謀者の方に着いているのは確実……いや、多分思い描いている事が正しければ、首謀者はアイツ、か〜……)

 

 アタランテは少し辟易とした思考に陥ったが、ヘラクレスが暴れているものなら、この世界に召喚された意味もそこにあるだろう。

 

 最初の出会い方は最悪のものであったが、今はアルジについていく事を決めたアタランテだった。

 

 

 

 

 

 

 

side 立香

 一方の立香達はこの世界に召喚されたエウリゥアレとアステリオスと出会う。

 

 最初は自分達を害しに来た連中だと思われてしまい立香達は攻撃を受けてしまうが、そこは立香達が契約したサーヴァント達によって撃退。少し落ち着いたところで話し合えるぐらいまで関係は回復した。

 

 本来ならば黒髭を追う途中で出会うのだが、アルジが介入した事もあり本来の物語とは進み方が違ってくる。まぁそこはご都合主義と言われるもので……

 

閑話休題(それはともかく)

 

 そんな中で聖杯を持ち去ったヘクトールが現れる。どうやらこの領域で待ち伏せていた様であり、その現れついでにエウリュアレ目掛けてヘクトールが宝具を放った。

 

 それをアステリオスが庇ったものの、未だ立香達と戦った時の傷が癒きれておらずダメージを負った。

 

「あちゃ〜……あの一撃で女神様を倒すつもりだったんだけどなぁ〜。やっぱりあの魔女さんの言う通りに連れて来て良かった。んじゃ、後は頼むぜ?」

 

「ヴォォォォォッ‼︎」

 

 ヘクトールの後ろから彼を大きく飛び越えて立香達の前に立ち塞がるソレは……まるで巌の様な巨体と姿を持った英雄(化物)……

 

『っ⁉︎ ま、不味い! 立香ちゃん、その英霊とマトモに戦っちゃいけない‼︎』

 

「えっ⁉︎ ど、どうして⁉︎」

 

『だってソイツは……』

 

「へぇ〜、見るだけで分かるなんてなぁ〜。まぁ良いや。取り敢えずうちのクライアントがあんたらの事邪魔らしいからさ。って事で……ヘラクレスの旦那、やっちゃってくれ」

 

「グォォォォォッ‼︎」

 

「へ……」

 

「へ、ヘラクレスですか⁉︎ せ、先輩! ヘラクレスは今までのサーヴァントとは違います! ここは一旦体制を立て直しましょう‼︎」

 

 立香達はなんとかヘラクレスから少しずつ後退するが、相手は神代に名を馳せた英雄であるヘラクレス……生半可な攻撃は傷にもならない。

 

 そこでアステリオスが宝具を解放し、その隙をついて沖田達が切り込み、バフデバフ担当のアマデウスがヘラクレスを徐々に弱体化していく。立香達が召喚したサーヴァント達もそれに続いてヘラクレスを追い込んでいった。

 

だが……

 

「あと何回倒せば良いの⁉︎」

 

 今回の戦いは今までのものより過酷だった。ただでさえ神代に名を馳せた英雄であり、召喚されたクラスはバーサーカー。並大抵のサーヴァントでは太刀打ちが出来ない。

 

 尚且つ語られている逸話の1つである12の試練により、倒したと思っても復活してしまう。

 

 現在3回ほどヘラクレスを倒しはしたが、即座に復活してしまう。また、ヘラクレスを送り込んだ者の仕業か、倒すたびにパワーアップしていた。

 

「ここは、僕に任せて」

 

「あ、アステリオス⁉︎ あなた何を⁉︎」

 

「これもエウリュアレを守るため。だから、先に行って!」

 

『……悔しいけど、ここはアステリオスに従うしかないよ』

 

「っ⁉︎ ロマン……でも……」

 

『しっかりするんだ立香ちゃん! 僕達はあくまでも間違った世界を修復する為に来ているんだ! だからここはこらえるんだ‼︎』

 

「……分かった。マシュ、皆、一旦引いて立て直すよ」

 

 立香がそう言った時だ。

 

『待って! この魔力は……アルジがすぐ近くまで来ているわ』

 

「っ! アルジが⁉︎」

 

『た、確かに……でもまた微妙に魔力が違う様な……』

 

ドドドドドドッ

 

「こんな時に地震かい⁉︎」

 

 アステリオスが展開した宝具である迷宮をも伝わる地響き……それは段々と大きくなり……

 

 

 

 

 

 

 

「うぉぉぉらぁぁぁっ‼︎」

 

「グォォォォォッ⁉︎」

 

 

 

 

 

 次の瞬間壁が勢いよく壊れたかと思えば、ヘラクレスの顔を思いっきり殴り飛ばしていたアルジがいた。

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

(やっぱり硬いなコイツ)

 

 壁を壊したと同時にすぐヘラクレスに接敵して殴り飛ばした。だが感触としては少しダメージを与えたぐらいだろう。そもそもバーサーカー以前にパワータイプだし……

 

(ならここはあれでいくか)

 

「アルジ!」

 

「おぉ立香。怪我はない様だな」

 

「うん!」

 

「んで、コイツがヘラクレスか」

 

「グゥゥゥゥ……」

 

 殴り飛ばされ壁に衝突し、その影響で壁面の下敷きになっていたヘラクレスが何事もなかったかの様に立ち上がる。

 

「まさかヘラクレスを素手で殴り飛ばすとはな……」

 

 そこにアルジと一緒に着いて来たアタランテも、アルジが作った壁穴から登場する。そしてアルジがヘラクレスを殴り飛ばしている光景を見て感嘆していた。

 

『でも相手はヘラクレスだ……流石n『はぁ〜? アンタ何言ってんのよ?』うぇっ⁉︎ な、なんか変な事言った⁉︎』

 

『変も何も、アルジがあんなただの巌の様な奴に負けるわけないでしょ?』

 

『た、確かに今まではそうだったかもしれないけど、ヘラクレスの持っている武器を見てよ!』

 

 ヘラクレスが握る得物を見ると……確かに大剣ではあるがそれも巌をそのまま削り出し、刃も無骨な様相……

 

 今までアルジが騎士王を始め様々なサーヴァントと渡り合って来た。だがロマニはそれでも今回は難しいと感じる。

 

 確かにアルジの持つ武装は強力なものばかりだ。だが先程のヘラクレスとの戦いを見る限り、あれらの武装でも心許ないと感じた。

 

『まぁ? アンタから見たらそうでしょうね? でも、私達はアルジの戦いを側で見てきたわ。だから言える事よ……アルジは勝つって』

 

「そうね、邪ンヌの言う通りだわ。アルジはどんな相手でも負けないって信じているわ」

 

「その通り! アルジの戦い方はまるで僕に新しい音楽を与えてくれるが如くなんだ!」

 

「なんかあなたの趣旨違っていませんか? まぁでも、マスターは戦闘の面だけでなく心も強いお方ですから……例え相手が理性を失っているバーサーカーでも渡り合えますとも!」

 

「僕達はまだあったばかりだから実際の実力は分からないけど……」

 

「でも、マスターがピンチになった時は援護しますわ!」

 

『なんかまた増えてるけど……(はぁ……アルジったら仕方がないわね……)ともかく、相手がどんな武器を使うかなんてアルジには関係ないわ。それに……』

 

『あれらがアルジの全力なんて訳ないわよ』

 

『えっ? つ、つまりは……』

 

「そろそろあっちも俺の事をターゲットに見据えてきたんだが? 戦闘に戻っても良いか?」

 

『えぇ、存分にね。それと……アンタが帰って来たらご褒美をあげるから』

 

『はぁ〜っ⁉︎ アンタなんて事を言っているのよ⁉︎ それだったら私だってアルジにご褒美を用意するんだから‼︎』

 

「そ、それだったら私も旦那様にご褒美を……」

 

 とまぁまたいつもの様に騒ぎ出す面々。相手サーヴァントが目の前にいるにも関わらず危機感を感じさせない……謂わば一触即発な状況なのにいつの間にか日常会話がその場で始まり、殺気立っていた物達が蚊帳の外になっていると言う……混沌(カオス)

 

「グルォォォッ‼︎」

 

 痺れを切らしたヘラクレスがアルジに向けて剣を振り下ろしながら接敵する。

 

 その際アルジは邪ンヌ達の会話に少し気を取られながらヘラクレスから視線を逸らしていた為に、ヘラクレスも好機と思ったのだろう。先程はまさか壁をぶち抜いたと同時に殴ってくるとは思わなかったが、しかしそれも一瞬気が緩んだだけだ。今の敵も先程の自分と同じ隙だらけである。叩くならば今だと。

 

 バーサーカーのクラスになりながらもヘラクレスは理解していた。この中で1番厄介な存在は目の前に立つ銀髪の男だと……本能で感じ取っていた。この隙だらけを流せばまたいつ倒せる機会が来るか分からない。

 

 だからこそヘラクレスはアルジを先に潰す事を考えた。

 

 

 

 

 

 

だがそれも……

 

 

 

 

 

 

 

「お前が思っている様な隙なんてねぇよ」カチャ……

 

「っ⁉︎」

 

 ヘラクレスの視線に映ったものは……

 

ドドドンッ‼︎

 

「グゥゥゥゥッ⁉︎」

 

 数発銃声が鳴り響いた。それはアルジがいつの間にか持っていた長銃からで、証拠にヘラクレスの額には1箇所穴が空き、そこから血が尋常じゃないほど流れ出ていた。

 

「これで1回……さて、後何回で倒れる?」

 

「グルルルルッ……グルゥォォォッ‼︎」

 

 それに怒りを覚えたヘラクレスが先程の速度以上にアルジに接敵。それに対してアルジは右手で持った長銃、ベイオネット・ライフルのフルオートモードで発砲。

 

 だがヘラクレスも先程の様にはなるまいと大剣で防ぎながら速度を落とさない。ヘラクレスはそのまま大剣の腹をアルジにぶつける、謂わばシールドバッシュの様な感覚で攻撃を仕掛ける。

 

「まぁそれも計算済みだがな?」

 

 それもアルジがフルオートで連射しながら狙いをヘラクレスの足に移した。その数発がヘラクレスの強靭な肉体に突き刺さる。

 

「グァァァッ⁉︎」

 

 それによってヘラクレスの姿勢が若干崩れた。それを見逃すアルジではない。アルジもヘラクレスに向け、ライフルを撃ちながら距離を詰める。

 

 対してヘラクレスは予想外だと感じながらも、体格や体重の面からして押し方のは自分だと思いながら突進をやめない。

 

 いよいよ互いの得物がぶつかり合う。ヘラクレスは最初と同じく体格差などで容易に吹き飛ばせるだろうと思った。

 

ガギンッ‼︎

 

「っ⁉︎」

 

 だがヘラクレスの思った様な事にはならなかった。それに先程までアルジが握っていたのは長銃の類……しかしさっきの音はまるで刃と刃が直接ぶつかり合った様な……

 

「っ⁉︎ グゥゥゥ……」

 

 アルジが握っていたのは……確かに長銃だ。長銃ではあるが……先程よりも長くなっていた。それに加えて銃口下部に大きな銃剣が備え付けられてある。己の持つ得物はそれとぶつかって鳴った音だろう。

 

 だが、何故自分の力を込めた一撃で敵の武装が壊れないのか? これまでの存在であれば、武器ごと敵の身体を容易に潰す事ができた。なのに何故……

 

「なんで俺が未だにピンピンしてて、武器も壊れていないか不思議に思ってる顔だよなそれ?」

 

「っ⁉︎」

 

「なら答えてやる、よ!」

 

「グゥゥッ⁉︎」

 

 自分が思った事とは真逆な事が起きる。今では体格差なども優っている自分が逆にアルジに弾き飛ばされる。

 

「俺の使う武器には……一定量の魔力を流し込んで外殻に纏わせている。まぁ一種の強化だな。それでお前ほどの敵と真正面からぶつかっても簡単には壊れない様になっている」

 

 勿論放った銃弾にも魔力を込めているが……と、アルジは付け加える。

 

 ヘラクレスはというと、アルジの解説をその場で親切に留まって聞いているわけではなく、今もなおアルジに向かって大剣を振り下ろしていた。

 

「まぁ戦いっていうのはお前の様な行動を取る奴が大体正しいがな……」

 

 アルジもヘラクレスの、話している最中にも攻撃を仕掛ける姿勢については特に苦言を言わず、逆に是と感じていた。

 

「ただそれも説明を最後まで聞いていたらだが?」カチャ……

 

「っ⁉︎」

 

 ヘラクレスが次に目にしたものは……アルジが左手に持つ長銃。それは右手に持っているものと同じものだ。

 

 アルジはその2つを水平に、そして腕を交差してヘラクレスに照準を向ける。その次には既に引き金は弾かれていた。

 

「ルゥァァァァァッ⁉︎」

 

 発射された弾丸は先の比ではない。ヘラクレスの身体全体を抉るように銃弾の雨が襲う。そして心臓を何発か貫通してヘラクレスの命はまた奪われた。

 

「さて……後何回でお前は力尽きる?」

 

「グルルルルッ……」

 

 そこからヘラクレスは慎重に戦わざるを得なくなり、またそれによってアルジのペースに乗せられてしまい、更に3回力尽きる事となる。

 

 

 

 

 

 

 

side ???

 

 

 

 

「オイオイ……マジかよこれは……」

 

 ここに遠隔からヘラクレスの動きを見ている者達がいた。といってもヘラクレスを従える者だが……

 

(これは……出し惜しみはすべきではありませんね)

 

 そしてヘラクレスがやられる度に魔力を送って強化していた少女は、出し惜しみするべきでないと考えた。

 

「イアソン様……ここは一気にヘラクレスを強化します」

 

「……確かに、出し惜しみをしてこの調子でいけばヘラクレスは完全にアイツに負ける。どこのサーヴァントかは知らないが、あんな厄介な存在……さっさと退場させてしまえ!」

 

「いえイアソン様……あの者はサーヴァントではないかと」

 

「……えっ? マジ?」

 

「はい……残念ながら」

 

(という事は……既にヘラクレスを5回倒してるアイツって……やばい奴?)

 

 ヘラクレスを従えるイアソン……かつてはアルゴー号の船長であり、その際もヘラクレスを従えた事がある英雄であるが、遠隔でヘラクレスと戦うアルジの事を見て戦慄した。

 

 そしてヘラクレスを強化していた少女であるメディアも、アルジが現時点での最重要危険人物であると認識し、ヘラクレスに出し惜しみなく魔力を送った。

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ! グォォォォォッッッ‼︎」

 

『っ⁉︎ これはまずい事になりそうだ』

 

「ダヴィンチちゃんどうしたの?」

 

『ここに来てヘラクレスの魔力が何倍にも膨れ上がったんだ。どうやらヘラクレスに魔力を送っている存在もアルジが物凄く危険だと感じたんだろうね』

 

「それって……アルジがピンチって事⁉︎」

 

『多分今までよりも危険な戦闘になるだろうね……』

 

「そ、そんな……私達でも何とか3回倒すのが精一杯だったのに……」

 

 立香達はダヴィンチの報告でアルジの身を心配するとともに、もしもアルジが負けてしまった場合の後の行動を考えていた。

 

 一方のアルジは……

 

(ようやく全力ってところか)

 

 立香達の思いとは裏腹にヘラクレスがようやく本気を出したことについて遅いと感じていた。まぁアルジの方もそれに合わせていたわけだが……

 

(とりあえずあの剣を破壊するか)

 

 そこからアルジはヘラクレスが持つ大剣を中心的に攻撃し始める。理由としては様子見をする必要がなくなったからであり、アルジも早々に勝負をつける気だ。

 

 ヘラクレスが持つ大剣を銃弾の嵐が襲う。それに着弾している箇所はほぼ一緒であり、そこを中心に剣戟をお見舞いする。側から見れば本気を出したヘラクレスをアルジが圧倒する様に見えていた。

 

 そして大剣の強度が限界をむかえたのか、アルジの一振りと一緒に根本から大きな音を出して壊れる。

 

『へ、ヘラクレスのあの大剣が折れたーっ⁉︎』

 

 これを見ていたロマニは驚くしかない。

 

 しかしヘラクレスは戦意を落とさず……

 

「グルォォォッ‼︎」

 

ドゴォッ‼︎

 

「アルジっ⁉︎」

 

 立香達が見た光景は、ヘラクレスの重心を乗せた拳がアルジの顔にクリーンヒットしているところだ。

 

 アルジが初めて攻撃を受けた所を見たのと同時に、ヘラクレスの巨体から打ち出された拳がなんの防御もされてなかったアルジの顔面を捉えていた。

 

「そんな……いくらなんでもあの一撃ではアルジさんは……」

 

 マシュの中で絶望が少しずつ広がっていった。これまでアルジがいればどんな窮地に立たれていても何とかなると……彼女は無意識にもそう思っていたのだ。

 

 だがこの光景を見てそれも儚い音を立てて崩れ去っていく……これから本気を出したこのヘラクレスにどう立ち向かえば良いのかと……

 

(あれだけの強さを誇るあの者でも……ヘラクレスには勝てないか)

 

 アタランテも、元度の同行者だったヘラクレスの力を再認識する。といっても今はバーサーカーの状態なので自分の事は分からないだろうが……

 

 そう思っていた者達もいればその逆で……

 

「全く、アルジったら……」

 

「そうだよね〜」

 

「えっ? ま、マリー?」

 

「ん? どうかしたの立香?」

 

「い、いやだって……アルジがヘラクレスに」

 

「ふふふっ、アルジは負けてないわよ?」

 

「えっ?」

 

「確かにあの殴られ方はわざとにしてもヒヤッとするよね? まぁでもアルジのそんな一面も見れて、僕としては更に作曲活動に勤しめるってものさ!」

 

『ちょ、ちょっと待ってくれ! その言い方だとアルジは……』

 

「えぇ、ヘラクレスにわざと殴られたのよ?」

 

「「えっ……」」

 

『『えぇーーーっ⁉︎』』

 

 そんな会話もあった。そしてアルジを殴った当のヘラクレスも違和感を感じてならない。目の前の相手は何故自分に殴られて()()()()()()()()()()()なのか……

 

「はぁ〜……この程度か」

 

「ッ⁉︎」

 

「ギリシャで語られた英雄のヘラクレス……その本気の拳がどの程度なのか、はたまたそれによって俺が死んでしまうの……」

 

「だが受けてみたら……ガッカリだ。テメェの拳に信念が篭っていない事にな

 

「グゥゥゥ……」

 

「まぁこれでハッキリした。これ以上ここで時間を潰すのは勿体無いと。だから……」

 

 

 

 

 

 

 

 

次はこっちからいくぜ?

 

 

 

「ッ⁉︎」

 

 アルジの覇気によるものか、ヘラクレスはアルジから離れようとした。

 

 だがそれよりも先に……

 

「ダンタリオン……ハーフカウルT装着、並びに展開」

 

 アルジが唱えた途端、背中に黒くて大きな四角い箱のようなものが顕現。顕現したと同時にそれは素早く形を変えてアルジの腕へと纏わりつくように装着された。

 

 そして出来上がったのは無機質な巨大な腕……見ただけでも重いと感じるその腕を、右腕を限りなく引いて……

 

ギガンティックゥッ! アーーームッ‼︎

 

「グブッ⁉︎」

 

 ヘラクレスの顔面を強打し一瞬で吹き飛ばした。そしてヘラクレスは首をへし折られながら壁に頭からめり込んだ。

 

『『えぇ〜っ⁉︎』』

 

『す、すごいっ! なにその腕‼︎』

 

 観測側はもういつも通りの反応……ただ驚くしかない。そしてダヴィンチはアルジが出した可変式の腕に興味津々だ。

 

(アルジって……すごいなぁ)

 

 以前アルジの隣で戦いたいと思っていた立香は、未だ力の底を見せていないアルジを見てただそう思った。

 

 本来なら相手と自分を比べて意気消沈する……前までの立香であればそうだった。だが今は……

 

(確かにアルジの様な絶大的な力なんてない……)

 

だけど……

 

「私には……頼れる仲間がいる」

 

「? 先輩?」

 

「うぅん、アルジってやっぱり強いなって」

 

「そうですね……彼には助けられてばかりですね」

 

「でも私達だって……負けてない。でしょ?」

 

「っ! はいっ‼︎」

 

 立香達はアルジの戦う姿を、1つずつの動きを目に焼き付ける様に見ていた。

 

「マスターってば心臓に悪い事をするなぁ……」

 

「もぅ、全くです!」

 

「流石に顔面にパンチを喰らっていた時はヒヤヒヤしましたよぉ〜……」

 

「ふふっ、でもアルジは負けないわ!」

 

「そうだねマリー。そんなマスターだからこそ僕は作曲活動に勤しめるし、安心して着いていけるもんさ!」

 

「……前々から思っていましたけど、あなたって作曲の事しか頭にないのでは?」

 

「ハハハッ! そんな事ないさ‼︎ さぁ、マスターの戦いはここからだよ‼︎ 僕達も応援しようじゃないか‼︎」

 

(と言いつつ作曲の手は止めないんですね……やっぱり作曲の事しか頭にないんじゃないですかぁ〜)

 

 沖田はアマデウスに対して最早そうとしか思わなかった。だがアマデウスの言う通り……目の前でヘラクレスと殴り合いを演じているアルジの戦いぶりを見て……

 

(確かに心配ですが……でもマスターの戦い方は、凄く参考になります)

 

 一見がむしゃらに殴り合っている様に見えるアルジの戦闘スタイルは……沖田から見れば洗礼されている様に見えた。

 

 自身の被害は最小限に抑え(寧ろ最初の1発しか当たっていない)カウンターで相手に甚大なダメージを及ぼす。避けるものは余裕のある動きをもって避けて、相手の焦りを誘発させる。そこにもう1撃特大の攻撃をお見舞いする。

 

 そうしている間にヘラクレスの命は1つ失われていた。

 

「グゥゥゥッ……ゴォォォォッ‼︎」

 

 殴り合いだけでは倒せないとようやく判断したヘラクレスはアルジに対してタックルを仕掛ける。最早やぶれかぶれだ。だが実際には当ると並のサーヴァントは1発で瀕死に追いやられる。

 

 しかしながらそれも……

 

「バイデント」

 

 左腕に強大な白銀の二股槍が顕現する。持ち手部分は広く、そこから先端にいくほど細く鋭い作りとなっていた。

 

 その二股槍を突進してくるヘラクレス目掛けて一突きした。結果はヘラクレスの腕を貫通して胴体を差し貫く。

 

 それに負けじとヘラクレスは刺されたまま巨体を支える足で蹴りを繰り出す。

 

「今度は蹴りか。良いだろう、付き合ってやるよ!」

 

「ハーフカウルT解除。ハーフカウルB装着、並びに展開!」

 

 アルジが纏っていたハーフカウルTが解除され、同時にバイデントも解除された。代わりに腰のあたりに同じく黒く四角い物が装着。今度は脚に纏わりつくように形を変え……

 

ハァァァァァァ"ァ"ァ"ッッッ‼︎

 

「ゲブゥッ⁉︎」

 

 ヘラクレスの蹴りよりも先にアルジの右脚の蹴りがヘラクレスの顔面を捉えた。その顔面を捉えたままアルジは左脚を軸にし、まるで竜巻を作る勢いで回転した。

 

ギガンティックゥッ! レッグゥゥゥッ‼︎

 

 その勢いのままヘラクレスを床に蹴り付けてめり込ませた。

 

「コイツはオマケだ! ケラウノス!」ドドンッ

 

 めり込ませたヘラクレスの頭部にアルジは真っ白な巨大砲塔を顕現させながら向け、2発お見舞いした。これによって更にヘラクレスの命は削れたのである。

 

 

 

 

 

side イアソン

 

 

 

 

「……もう跡がないんだが」

 

「これは……私も予想外でした」

 

「ですので最終手段を使います」

 

「えっ? あるの⁉︎」

 

「はい、イアソン様。ただこれをしてしまえばヘラクレスは完全に座へと還ります……」

 

「ぐっ……ヘラクレスは俺にとっても大切な戦力だ。ここでヘラクレスを失うのは大きな痛手だが……あの人間が最後まで残ってしまったら元も子もない! メディア、やれ‼︎」

 

「はい! イアソン様のおっしゃる通りに!」

 

 そしてメディアと呼ばれた少女はヘラクレスに莫大な魔力を送り込む。それによりヘラクレスの身体は赤く染まり、身体も大きく膨れ上がっていった。

 

side out

 

 

 

 

 

 

『っ⁉︎ 皆今すぐそこから離れるんだ‼︎』

 

「どうしたのですかドクター⁉︎」

 

『ヘラクレスの魔力数値がここに来て大幅に上昇を始めているんだ! 恐らく魔力を暴走させて立香ちゃん達ごとこの一帯を更地にするつもりだ‼︎』

 

『でも逆算してみてもそんな時間ないわ!』

 

『ヘラクレスが放出してくる魔力と同等の物をぶつければ何とかなるんだろうけど……これは賭けに等しいものだよ』

 

「ど、どうすれば……」

 

 そんな議論が行われつつもヘラクレスの身体は更に膨張していった。

 

 だがその状況でも変わらぬ意志で立つ者がいた。

 

「ここも俺に任せろ。立香達は吹き飛ばされないように1箇所に固まっておけ。マリー、アマデウス、頼めるか?」

 

「えぇ、アルジが好きなようにやってちょうだい。私も立香達を全力で守ってみせるわ!」

 

「僕もサポートは大得意だからね!大船に乗ったつもりで頼ってよ‼︎」

 

「よし、なら頼んだぞ」

 

 後方の守りをマリー達に任せ、アルジはいつもと同じ歩調で今も膨張を続けるヘラクレスへと向かう。

 

「アイギス」

 

 アルジが静かに呟くと、先程展開したバイデントの様にとはいかないが、マウント部分がバイデントより広く、ハサミの形状をした真っ白な物が顕現していた。一見すると普通サイズの盾といったところか。

 

 それを身体が膨張しながらも見ていたヘラクレスは、直感でそれが危険だと察知した。自身が今どんな状況になっているかは分かっていた。自身を犠牲にして目の前の人間だけでも倒し切る。

 

 それを決断した時には、膨張に回している魔力の一部を口元に溜めて圧縮……そして勢い良く吐き出した。簡単に言えば口から高出力のビームを放ったのである。

 

『っ⁉︎ 不味い‼︎ その攻撃は絶対に避けるんだ‼︎』

 

 ロマンが通信越しに叫ぶ。その攻撃は既にヘラクレスとアルジの中間点を超えており、カルデア側の方で計測し叫んでいた時には既に中間に到達していた。

 

 勿論その時にはマリーがガラスの城で守備を固めていた。そこにアマデウスのサポートもプラスされている為、そんじょそこらの攻撃ではビクともしないだろう。

 

 まぁそれでも……

 

「全ての災厄を防いで潰せ! アイギス‼︎」

 

 アルジがアイギス前方に構えながら叫ぶと、アイギスの表面に真っ白な膜が出来上がり、ヘラクレスの攻撃を塞ぎ止める。

 

(アイギス……私の持つ熾天覆う七つの円環(ロー・アイアス)と似ている)

 

 立香のサーヴァントであるエミヤは、アルジのアイギスを見てそう考えていた。

 

(だがあの防具……ギリシャの女神であるアテナが持っていた防具と同じ名前なのは偶然か? そしてそれを持っている彼は……本当に何者なんだ?)

 

 エミヤが考えている通り、確かにアテネが持っていた防具と名前は一緒だ。だが、英霊でもない魔術師のアルジが何故そんな物を持っているのかが、やはりエミヤからしてみれば疑問しか浮かばなかった。

 

 そんな中でも関係なくアルジはヘラクレスの攻撃をアイギスを備え付けた左腕だけで防ぐ。顔を除けばそこには汗ひとつもかかず、いつもと同じ表情だ。それどころか……

 

「ッ⁉︎」

 

 ヘラクレスは攻撃をしながらも驚く。何故なら目の前で自分の攻撃を防いでいるアルジが盾を前にしながらこちらに一歩ずつ近づいてきたから。それどころか走って突撃して来る。

 

「ハァァァァァッ!」

 

「ッ⁉︎ ゲブゥ⁉︎」

 

 とうとうヘラクレスに到達したアルジは、アイギスをシールドバッシュの要領でヘラクレスにタックル。攻撃は中断されたものの未だにヘラクレスの身体が膨張し続ける。後数秒で身体は破裂し、魔力を伴った爆発は辺り一帯を飲み込んで更地とするだろう。

 

「テメェはさっさと座に還りやがれっ‼︎」

 

 そこにアルジがアイギスの二股に分かれている部分をヘラクレスに向けて突き刺した。その勢いはシールドバッシュをした時から変わっておらず、ヘラクレスを突き刺したままアステリオスが展開したラビリンスの中を一直線に駆け巡る。勿論壁など最初からなかったかの様に突き破って……

 

「ギガンティックレッグゥッ‼︎」

 

 暫く突き進んでギガンティックレッグを素早く展開して頭上へと蹴り上げた。ヘラクレスは天井を何層も突き破り、やがてラビリンス外へと突き出た。

 

 そこにアルジがハーフカウルTのブースターを吹かしてヘラクレスに再度接敵し……

 

ギガンティックゥゥッ‼︎

 

ツインッ‼︎

 

マグナムゥッ‼︎

 

 音さえも置き去りにしたアルジの右ストレートがヘラクレスを穿つ。ただその右ストレートは先ほどまでのギガンティックアームと違い、左腕に装着されるはずのアームも右腕へと展開され、重さ、威力ともに2倍となっている。

 

 並のものであれば振るうのもそうだが、その重さに耐えるのにも体力を使うのだが、アルジはそれすらも関係なく、それどころか音速を超えて振るった。

 

 結果は一目瞭然で、ヘラクレスはみるみるうちに空へと吹き飛ばされ、豆粒程度の大きさになったところで大爆発を起こした。

 

 その爆発の光と衝撃は簡単に地上にまで届いたが、アルジはそれに関係なく、右手の拳を掲げながら宙に立っていた。

 

 

 

 

 

 

 

side イアソン

 

「……」

 

 イアソンはヘラクレスが負けた結果を見て呆然とした。確かに最後はメディアのアイディアを採用した。最強戦力がここでなくなるのは本来、途轍もなく嫌ではあったものの、背に腹は変えられない。

 

 そんな博打を打ったにも関わらず、結果はヘラクレスの損失のみ。相手側には何も影響がなかった。それどころか……

 

「あんな存在……アリかよ普通⁉︎ あんなチート野郎! 誰が勝てるって言うんだよ⁉︎」

 

 イアソン自身も認めていた。奴はただの魔術師ではないと。

 

 まだどこにも語られていないマイナーな英雄である……そう言われるのであれば、悔しいがまだ納得できた。だが……

 

(メディアにも何回も調べてもらった。それで何回も奴が魔術を扱える人間としか出てこなかった!)

 

 だがメディアはこうも言っていた。奴を見た時に不自然な空白があると。注意深く見なければ分からないほどの空白で、しかしどんな手段を講じてもここからは今出ている情報以外何も出てこない。彼を直接見ない限り……

 

「ですが私はオススメ出来ません。多分あの魔術師を真の意味で覗いてしまった瞬間……取り返しがつかない事になります」

 

 これは私の勘ですが……その言葉を最後に添えてメディアはイアソンに言った。

 

「……聖杯でなんとか出来れば」

 

 だがイアソンは本能で分かった。否、分かるしかなかった。例え聖杯を使ったとしても奴には敵わないだろうと。

 

 敵ったとしても立香と呼ばれる魔術師の方であり、アルジに付き従っているサーヴァント達を攻めたとしてもこちらの敗北だろうと。

 

「しかし……ここで考えていても仕方がない。行くぞメディア」

 

「はい、イアソン様」

 

 彼は腹を括った。勝てないと悟っても男には行かなければならない場所(理想)がある。

 

 その背中を見たメディアは、久しぶりにイアソンという男に惚れた。

 

 

 

 

 

 

 

side out

 

 

 

 

 

 

side ???

 

 

 

 

「訳も分からずこの様な地に出ては来たが……フム、ワシが世界征服をする最初の地に相応しいではないか」

 

 シルエットだけだが、形的にはただの人間ではない様だ。この物もセプテムにて脇侍と呼ばれるヘンテコ機械を召喚した者と同じ世界の出身だ。どれだけ暇なのだろう……

 

「何やら知らん間にワシの事を愚弄した発言があった気がするが、まぁ其奴は後で粛清するとして、まずはここに根を下ろすとしようではないか!」

 

 意気揚々と嵐の中に居座るこの存在……稲光によって漸く正体が判明した。

 

 それは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこからどう見てもイカ人間だった! しかも内臓脂肪たっぷり中年オヤジで煙管を加えた姿は……正に踏み台に相応しい出立だった‼︎

 

 

 

 

 

「……またどこかでワシを愚弄した発言が聞こえたが?」

 

 否、気のせいである。

 

 

 

 

 

 




書き連ねて1万字を超え……多分他の作者に比べれば時間かけたにも関わらず少ないですが、読んで頂いてありがとうございます!

それでは早速解説を……


解説

・ガンダムダンタリオン

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズー月鋼ー より

オルフェンズの世界で悪魔の名を冠する機体の1つ。本体は他のガンダムに比べて少し細い造りではあるものの、手に持ったベイヨネットソードはアスタロトが持つデモリッションナイフと遜色ない威力を持つ。他にも付属パーツが存在しており、通常状態はネイキッドと呼称される。

・ベイヨネットソード/ライフル

ダンタリオンの主武装。近・遠距離どちらにも運用できる武器であり、ライフルモードからソードモードに移行した時射程が格段に伸びる。威力は上記に書き記した通り。

・ハーフカウルT/ギガンティックアーム

ダンタリオンの追加武装。背中に取り付けられたブースターは、通常よりも高速で移動する事ができる。そこからギガンティックアームと呼称される状態に変化、ダンタリオンの腕に装着された状態で振るわれた剛腕は軽々敵を吹き飛ばすほどの威力。防ぐ事は並々ならぬ装甲でなければ不可能に近い。

また、ハーフカウルTのTはトップスの意味である。

・ハーフカウルB/ギガンティックレッグ

ダンタリオンの腰に装着されるブースターであり、足に装着する事によってギガンティックレッグとなる。そこから放たれるケリもバーサーカーであるヘラクレスですらも蹴り上げる威力。並のサーヴァントがいくら襲い掛かっても一蹴されるだろう。

ハーフカウルBのBはボトムスの意味である。

・バイデント

ハーフカウルTに付属されている武装であり、ダンタリオンの左腕に装着される攻防どちらにも転用できる二股の長槍。

・ケラウノス

ハーフカウルBに付属されている武装で、超遠距離狙撃を可能とした滑空砲。ネイキッドとギガンティック用で大小2つのグリップがあり、適用以外のグリップは収納される。

・アイギス

ハサミの形状をした様な武装であり、バイデントよりも攻撃範囲は狭くなるものの、こちらも攻防どちらにも優れた物である。色は主に白色。

そしてこれらの武装全てがネイキッドに装着された瞬間……


そんな状態を次に書いていきたいと思います!

・ギガンティック・ツイン・マグナム

アルジが考えたオリジナル技。ギガンティックアームを片方の腕にどちらとも装着した状態で、音を置き去りにする程のストレート放つ。(最早人間辞めている状態の剛腕)それを受けたヘラクレスは座に還り付いた時から数えて約1ヶ月、その痛みが忘れられずトラウマとなってしまったのは別の話……

以上解説でした。にしても最後に出てきたイカ人間……まぁ分かる人には分かるキャラクターですが、私はあまり見たことないキャラですね。でも踏み台としての役目は変わりません。そもそもその世界から流れ着いたボス的存在はアルジにとっては全て踏み台程度。その範疇で物語を書く作者です。

次は出来るだけ早く……といってもまた1ヶ月以上経つかもしれませんが、またこの物語でお会いしましょう!
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