約4ヶ月ぶりの投稿となってしまい申し訳ありません。
ソシャゲのイベントに加えてリアルも忙しく、その間にコロナにもかかってしまって体調を崩していたりともう全然手が付けられない状態でした。
ここまで待たせてしまい大変申し訳ありません……。
一応物語の道筋としては今までと変わりなく、4章の本編は2話程にまとめて書こうと思っております。それから5章に行くまでの閑話を少しだけ挟んで、或いは5話の最初に後日談を少し挟んで進行する予定です。
読者の皆様には長らくお待たせしてしまい本当に申し訳ありませんでした。直近でまたしばらく忙しくなりそうなのですが、その間を縫って少しずつ書き進めて参りますので何卒よろしくお願いいたします。
では、物語の始まりです。
27話 復讐者、また遅れてやって来る
第三特異点から数日後、カルデアスが次なる特異点を映し出した。場所はイギリスで、丁度産業革命があった時期だ。立香は現地でいつも通り霊脈を確保。現地で召喚されたサーヴァントと協力して臨機応変に対応を指示される。
アルジについては、またカルデアスが癇癪を起こして別の所へと飛ばされる事がいつもになっている。そのためアルジに着いていくサーヴァントは、アルジが合流するまで立香と同行する事になった。
そして今回アルジがカルデアスによって飛ばされた場所は……
「……もはや地上ですらねぇ」
正直アルジからして見れば悪意マシマシの転送先である。アルジが言ったように、地表から約400kmは離れている。異変を察知した時点で咄嗟に魔力で身体を覆った為に問題なく活動できている。
「にしたって今ゆっくり自由落下してんだよな」
とりあえず目の前にはイギリス本土が見えるから、多分問題が発生している所に向けて落ちているのは確実だろうが……
呑気にそう考えていたら……目の前で起こっている事に目を疑った。そして……
「アイツ……」
(漸く……漸く奴本体が姿を現しやがった! それも……)
何はともあれ……
「オフェリアが受けた痛みを数十数百……いや、数万倍にして返してやる‼︎」
アルジの瞳は紅色に染まりきったその時にはアスタロトを展開しており、大気圏を突入しながら対物ライフルを構えていた。断熱圧縮によって燃えるアスタロト……だがそこもアルジが魔力でカバーしている為に損壊はない。逆にブースター出力を上げて降下しているところを見るに、魔力に遮られているものの表面温度は普通に落下するよりも熱くなっている事だろう。
その燃えている様は……本来アスタロトがあった世界線の過去、厄祭戦においてモビルアーマーを空を駆け回りながら屠った時と同じ様に真紅の色をしていた。
はてさて……元凶の運命や如何に……
A.まず間違いなく肉体および精神はボロ雑巾の様に痛めつけられる。最早地獄に素直に落とされた方がマシなくらいには……
side 邪ンヌ
(全く……何でいつもいつもアルジと離れないといけないのよ⁉︎)
ホントに毎回毎回……ふざけんじゃないわよ! アルジが何かしたっての⁉︎ 確かにこの世界とは違う並行世界から来たって言うのは、本人が最初から隠さずに教えてくれたから知ってるけど……
(だからって……アイツだけ蚊帳の外みたいじゃない)
それが堪らなく嫌で……同時に可哀想だと感じたのは多分私だけじゃないと思う。アルジは……ただ好きな人の為にこの世界を元に戻そうとしているだけなのに……
(……私がその好きな人だったらな)
ふと偶にこう思う。自分でも分かっているわ……私はアルジのことが堪らなく大好きだって。心の底から愛しているって……。でもアルジには私達なんかよりも大切な存在がいる事も……分かっているわ。
そう考えながら、アルジに言われた通り立香と合流して行動を共にした。それでこの特異点で人理側として召喚されたサーヴァントとも出会った。
名前はモードレット。アーサー王に仕えた円卓の騎士であり、アーサーと円卓を崩壊させた最後のトリガー……
(まぁさっさとこの特異点を正常化できれば何も言わないわ)
そうして始まった第4特異点の修復は、着々と進んでいった。先ずはこのイギリスの首都であるロンドンに充満した毒霧を何とかする為に散策。途中ジャック・ザ・リッパーや変態悪魔との交戦に入ったけど、立香達が何事もなく対処していた。
それで今回アルジと一緒に着いてきたのは私とマリー、音楽馬鹿、ブーディカ、アルテラとあの忌々しい勘違い花嫁で、今のところ目立った戦闘はしていないわね。まぁそれほど立香の方も成長したって事だろうけど……
そんなこんなでどんどん進んでいき、毒霧を生み出した計画に加担した蒸気機械系サーヴァントと戦闘に入り、その際にサーヴァントが作り出したとされるフランケンシュタインを仲間に引き入れたわ。
次第に毒霧の計画の首謀者の位置どりも明らかになっていって、遂にはロンドンの地下にある大空洞が毒霧を生み出す元となっている事も突き止めた。
その時に現地で召喚された小説家サーヴァンが合流して、大元の原因を突き止める手助けもしていたけど……正直アルジがいたらそこまで時間は掛からなかっただろうって思うわ。まぁアルジもアルジで巻き込まれ体質持ってるし、今回も違う場所違う時間軸に飛ばされたと聞くし……
(それにアルジなら立香の手で進めないと意味がないって言うわね)
私はそう考えながら立香達と一緒に大空洞に入った。そこで魔術師のゾォルケンって奴が今回の計画を執行した首謀者で、また奴が聖杯を持っている事も分かった。
立香達と協力して奴を倒す事に成功したけど……その時何となく直感で悪いことが起こるって感じた。
こんな勘なんて当たらなくていいのに、こんな時に当たる始末で……ゾォルケンが消えると同時にサーヴァントを召喚したみたい。これも放置すれば人理は修復されないって言ってたわ。
そいつはニコラ・テスラっていう科学者? で、本来であればそこまで大したことなんて無いんでしょうけど、奴の周りに魔力を吸い上げる雷がかかってて中々近付けないし、モードレットが宝具放って1回は邪魔な雷を消し去ったけど、それでもすぐ集まってきたりで有効打に欠けたわ。
そのついででなんか変なお邪魔虫が湧いてきて、私達はそいつらを立香に近づけない様にで手が離せなかったし……
お邪魔虫がいなくなったと思ったら今度は科学者がいつの間にか外に出ているわで、当然私達も急いで後を追ったわ。
それで立香達と急いで外に出ると、さっきまでは無かった光の階段が出来てて、よく目を凝らさないと分からないけどあの科学者が階段の先へと登っていくのが見えた。黒い渦みたく出来上がってる雷雲の中心へ……
(はぁ〜……次から次へと面倒ね)
それで階段を登ろうとしたら2体のサーヴァントに会ったわ。話を聞く限りどうやらアイツの力を削いでくれたみたいで……
(でもその内の片方……なんか嫌な感じがするわね)
立香と金髪で斧を担いだ男サーヴァントが話している間、狐耳した女サーヴァントが必死に何か探していたし……
(なんか、「イケ魂の気配がします! そこの黒いあなたからも微かにですがイケ魂の香りが致します! 何かご存じではありませんか⁉︎」って言われたけど……まさかねぇ……)
これも直感でだけど、この狐耳……アルジの事を探しているんじゃと思ったわ。いや、これは確実に探しているわね……アルジの事を。
確かあの女海賊達がカルデアに来る前に、英霊の座でアルジの事を凄く褒め称えてから来たと言っていたけど……絶対にそれが原因だわ。
(はぁ〜……これからもまた面倒臭くなるわね)
特にアルジのサーヴァント絡みで……これ以上ライバルが増えるなんてごめん被りたいけど。
(でも今回はアルジがその気にさせた訳ではないし……もしかしたらこれから来る奴らもあの女海賊達が言ってた事を気にしてアルジに近付くかもしれないわ)
その時はアルジの姉たる私がしっかりしないとね……
※アルジの姉云々は邪ンヌさんが勝手に言っている事です……
(なんか変な事言われた様な気がするけど、今はとりあえず……)
あのうざい狐女をどうにか振り切って立香達と科学者サーヴァントを追った。それで階段の先へと続くドス黒い雷雲に到達する前に立香達がサーヴァントを撃破したわ。
(あれ? これってアルジが来ないまま終わった感じがするんだけど……)
そう思ったのも束の間で、今度は雷雲の渦の中からまたサーヴァントが召喚された。しかも今度はアーサーが召喚されたって言うし、隣でモードレットが言ってたんだけどね。
それも立香達とモードレットで仕留めるあたり、立香が第三特異点よりも強くなっている事が伺えるわね。後は地下に放ったらかしの聖杯を回収したらこの世界も元に戻るでしょ?
(でもそうしたらアルジはどうなるの?)
アルジとは1回もここで会っていないのに、そんな状態で聖杯を回収したら……
(この世界に……アルジが取り残されちゃう……?)
そ、そんなの絶対にダメ‼︎ それはアルジと契約しているアイツらも感じていたし、立香もロマニって奴に相談していたわ。ただ、このロンドンに蔓延る毒霧もなんとかしないといけないのは事実だし……
(っ⁉︎ この感じは‼︎)
その場にいた皆も異常とも取れる魔力を感じた。それと同時にロマニも警告してくる。それで現れたのは……
「フンッ……まさかカルデアがここまで来るとはな。だが、それもここで終わりだ」
褐色の肌に白髪、それと全体的に白い布衣を身に纏った男。でもこれだけは分かるわ……こいつがアルジの復讐対象。アルジを苦しめている元凶だって。
『な、なんだこの魔力量は⁉︎ 立香ちゃん! すぐにそこから逃げるんだ‼︎』
「遅い……」
ロマニが立香に対して立ち去る様に促すも、その存在は立香以外のサーヴァントに攻撃を仕掛けた。邪ンヌ達は、いつもアルジと訓練をしている為に紙一重で避けられたものの、モードレットなどロンドンで協力してくれたサーヴァントは喰らってしまいダウンする。
「ほぅ……中にはできる者もいる様だな」
「アンタ……何者?」
「ここで消えゆく者達に名乗っても仕方がないが、先程の攻撃を避けれた褒美だ」
「我が名はソロモン……貴様らからしてみれば魔術王と称される存在だ」
『そ、ソロモンだって⁉︎ そんな……キャスターのクラスではグランドクラスのサーヴァントで呼ばれてもおかしくないのに⁉︎ 本来なら世界が滅びるかもしれない一大事な時に世界によって召喚される救世主の役割を担う存在がどうしてここに⁉︎』
「救世主? ほとほと呆れるな人類史とやらは」
『な、なんだって⁉︎』
「貴様ら人間という種は、数万年前から何も変わってはいない。本質的な物は何もな。いくら技術や化学が発展しても、争いの種は尽きぬ」
「貴様ら魔術師も同じよ……自分が良ければ他者はどうなっても構わない……どんな犠牲がついても根源にたどり着ければと何百年、何千年と同じ事を子孫達にも繰り返させる……それを呆れない以外でなんと言う?」
『そ、それは……』
ロマニはソロモンの一言に言葉を返す事が出来ない。数ヶ月前までただの一般人であった立香も、魔術などの勉学には励んでいるものの会話についていけず言葉を挟む事すら出来なかった。
だが……
「だからって、アンタが人類を滅ぼしていい理由にはなないと思うけどね?」
「……なに?」
ソロモンにそう言ったのはブーディカである。ソロモンからしてみれば眼中に無いに等しいサーヴァントの1人ではあったが、先程の一撃をブーディカは傷つく事なく防いでいた。
ソロモンはブーディカが何故傷付かなかったのか、そしてブーディカが発した一言に対しても疑問を抱く。
「分からないかな? まぁアンタが人類を滅ぼすと考えたって私はどうだって良いけどね?」
「……なら何故貴様はそちら側に付いている?」
「アンタさ、ソロモンって言ったよね? 先の未来の事も予測できるって聞いてるけど……私の考えも読めないの? 何故ここにいるかって?」
「確かに我にはそのスキルは備わっている。だが貴様ら程度に使うものでもない」
「そしてサーヴァントであれ貴様にとっては現在の人類は関係がないのならば、ここから立ち去るか私の攻撃で素直に消え去れ」
「ふ〜ん……まぁ良いわ。でも私、アンタの言葉に従うのは死んでもごめんだね」
「ほぅ……ここまで圧をかけているにも関わらず汗ひとつ流さないとは、貴様に少し興味が湧いた。この場に残り我の邪魔をする理由を聞こうか?」
「邪魔? 確かにアンタから見たら邪魔だろうね。でも……私から見たらアンタが1番邪魔なんだよ?」
「それで理由だったっけ? そんなの、アンタが私の大切な人を傷付けたからに決まっているじゃない」
「フンッ……どんな理由があると思ったら、くだらないものだな」
「確かにあなたのような存在からすれば、その理由は下らなく見えてしまうかもしれないわ」
それに対して今度はマリーが口を挟む。
「でも私達にとってそれはとても大事な事……大事な人が傷付いて、それでも無理をしながら前に進み続けるのを見るのは、私達からすればとても辛い事だと思ってしまうわ。まぁ……あなたにはそんな事なんて分からないんでしょうけど?」
「……ただの儚い女王だと思っていたが、どうやら貴様はそこら辺の有象無象とは違うらしい」
「そんな事を言われたって何とも思わないわね。そう思うという事は……あなたのことを心底嫌いだと感じているからでしょうね」
「いや〜、マリーが珍しく毒を吐いているねぇ〜……いや、こうして見るのは初めてだったかな?」
「貴様……ただの音楽家サーヴァント風情が何故立っている?」
「えっ? かのソロモン王でも僕が立っている事が分からないのかい? それだったらとんだ拍子抜けって物だよね?」
「……貴様、あまり私を怒らせてくれるなよ?」
「う〜ん……僕はただ事実しか言ってないつもりなんだけどなぁ〜。それにさっきの攻撃だったら、マスターの手加減した攻撃の方がもっと強かったしね?」
「確かに……過去に私が受けたマスターの攻撃に比べれば簡単に凌げた物だったな。貴様も加減はしたのだろうが、私達を完全に消滅させるのであればまだ足りない」
「貴様も随分と舐めた口を叩いてくれる。そこまでして身を滅ぼされたいか?」
「私は英霊であり、既に一度死んでいる身だ。いまさら死ぬ事に恐怖などない。ただ……」
「私のマスターを傷付けた
「ただのサーヴァントが我を破壊するなど……しかし先程の物言いとして、貴様らはそれぞれの特異点でそのマスターとやらに負けた、所謂敗者であろう。そんな存在が我を倒そうという時点で烏滸がましい」
「余はアルテラの言は烏滸がましくないと思ったがな?」
「なに?」
「余達はマスターという人間性に惹かれてここに集っているのだ。確かにマスターに負けたサーヴァントもいるが、最終的にマスターの心に惹かれた。正直な所に惹かれたのだ。それを貴様もそうだが、誰かが侮蔑する権利などない。それに……」
「余の奏者を傷付けたのだ……覚悟はできているだろうな?」
「フンッ……今から消え去ろうとする貴様達が我を倒すだと? ……ハハ、ハハハハハハハハハハハハッ……貴様達の魂諸共この世から消し去ってやろう」
その発言と同時にソロモンからの重圧が桁違いにのしかかる。立香とマシュは耐えきれずに膝をついて四つん這いになり、その体制を維持するので精一杯だ。
だが邪ンヌ達は違った。彼女達はそんな圧すらもどこ吹く風の様に受け止める。
「そんな圧で私達が怖気付くと思った? 仮にそうだとしたら……舐められたものね?」
「そんな圧はマスターで何回も経験済みだよ!」
「マスターのに比べたらとても可愛らしいぐいかしら?」
「こんなのじゃ全く作曲する気にならないね」
「こんなものかソロモン?」
邪ンヌからアルテラまでがそう発言した。
「ただこれ以上すると立香達にも影響するであろう?」
「それもそうね……挑発はここまでにしておきましょうか」
しかしながらこれ以上の圧を受け続けると、立香達に更に影響が及ぶ事を考えてか、嫁ネロがそこで挑発じみた事をやめて邪ンヌ達もそれに従った。
「余程……余程我に消して欲しいと見える。汚い言葉だが……ただのゴミクズに等しいサーヴァントがどれだけ束になろうと我が見た結果は変わらぬ」
「そんなのやってみなければ分からないわよ。アンタの千里眼とやらがどれだけ凄いものであったとしても、私達は……アルジのサーヴァントである私達は負けないわ‼︎」
「アルジ……フラウロスが言っていた小僧か? しかしフラウロスが送ってきた情報と合致する者がこの場にいないが? まさかこの事を予知して逃げたのならば、腰抜けにも程がある」
「「「「……はっ?」」」」
「アンタ今何って言ったのよ?」
「その言葉……取り消せ!」
「アルジの事を侮辱するなんて……」
「……これは悠長に作曲なんてしていられないな」
「やはり貴様は破壊するべき存在だな!」
「余は温厚な方であると思ったが……ここまで余の奏者を傷付けたのだ……タダではすまんと思え‼︎」
「フフフッ……ハハハハハハハハッ……‼︎ やってみるがいい! 小さなゴミ屑に等しいサーヴァントどもよ‼︎」
そこから戦闘は激化していく。ソロモンが操る魔神柱の攻撃は周りに甚大な被害を及ぼすと同時に邪ンヌ達にも牙を剥く。だが邪ンヌ達はアルジに日々鍛え上げられたのだ。ソロモンの攻撃を簡単に避け、次の瞬間には逆に攻撃を繰り出していた。
だがソロモンの周りには球状の形をした障壁が展開されていて、邪ンヌ達の攻撃で少し吹き飛びはするものの傷は付けられていない。
「なかなか硬いわね」
「少しダメージを与えられていると思ったけど……」
「そんな様子は全然ないわね」
「もっとバフやデバフとかかけまくらないとキツそうだね……」
「あの障壁を越えねば彼奴を破壊できない……」
「っ! 皆のもの、奴が何か仕掛けてきそうだ。気を引き締めよ!」
嫁ネロがそう言って数秒後、ソロモンから広範囲に渡る攻撃が邪ンヌ達を襲う。その範囲は立香達は勿論、立香に協力したサーヴァント達にまで及ぶ範囲だ。
「守ってみせる‼︎『
広範囲攻撃に対してブーディカが宝具を展開する。その範囲は立香や倒れているサーヴァント全員に効果を発揮し、手加減などは加えたであろうがソロモンの一撃を食い止めてみせる。
「それじゃあこっちもお返しで|攻撃(演奏)してあげよう! 『
「いつになく本気ね! なら私も! 『
「いいタイミングだアマデウス! マリー! 喰らえ! 『
攻撃を受け切った事を皮切りにアマデウスとマリー、そしてアルテラが同時に宝具を展開してソロモンに攻撃を仕掛ける。アマデウスの宝具がソロモンではなく障壁に対してデバフをかけて弱体化。そこに2人の宝具が突き刺さる。強力な障壁が2人の宝具を防ぐも、1箇所にほんの少しだけヒビが入る。
「むっ?」
障壁にヒビが入った事が予想外だったのかソロモンが少し顔を歪める。
「私のアルジを馬鹿にした罪……地獄で存分に後悔しなさい‼︎ 『
ヒビ割れた箇所を中心に邪ンヌの宝具が叩き込まれる。それによりヒビは大きなものとなっていった。
「今よバカ嫁!」
「バカ嫁ではない! だが見事であるぞ! 後は余に任せよ‼︎ 春の日差し、花の乱舞! 皐月の風は頬を撫で、祝福は
「ヌゥォッ⁉︎」
嫁ネロの宝具がソロモンの障壁を崩し、その一太刀はいよいよソロモンに届く。嫁ネロが障壁を崩さんと思いながら振るわれたそれは、本来相手を斬り伏せる事に特化したものであるが勢い余ってソロモンを斬り付けながら吹き飛ばした。
宝具で一太刀を喰らったソロモンは背後にある廃墟に吹き飛ばされ、そこから土煙が立ち昇る。
「ようやく攻撃っぽいものは通ったけど、感触的にはどうなのよ?」
「確かに一太刀は入ったが、見た限り少しであろうな」
「はぁ? あれだけ啖呵きってここにいないアルジに対して告白してたっていうのに? アンタの愛って所詮その程度なのね?」
「何をぉっ⁉︎ そんな事あるはずが無いのである! そもそももう少しあの障壁にヒビを入れられなかったのかオヌシはっ⁉︎」
とまぁいつものごとく邪ンヌと嫁ネロの言い合いに発展する。立香とマシュは、こんな状況なのに何故言い合いが出来るのか疲れた表情をしながらも不思議に思い、倒れ伏しているサーヴァント達に限っては、コイツら何なの? と一同に思ったという。
「まぁまぁ、でもこれだとかなり厳しいよ」
「中々厳しいわね……」
「っ! 奴が動くぞ」
アルテラが言うように、土煙の中からソロモンが何事も無かったかのように出てくる。
「まさか……我に傷を付けるサーヴァントがいたとはな。それに加減しているとはいえ我からの攻撃に対して全て避けるとくる……」
「ハンッ! そんなの当たり前よ。あんなものはアルジの加減している攻撃に比べたらどうって事ないんだから‼︎」
「そうか……ならば我も返礼として、この一撃で貴様達を無に還そう。なに、ほんの一瞬だ。抗う事なく……楽に行くが良い」
ソロモンから莫大な魔力が噴き出す。それは事態を観測していたロマニがアラームが鳴るよりも前に逃げろと言う程……
「……あれは私の宝具でも防ぎ切るのは難しいかなぁ」
ブーディカが困惑気味にそう言うが、それと同時に邪ンヌが皆の前に立つ。
「防げなくても、少しの時間稼ぎくらいならできるでしょう?」
「えっ? で、出来なくは無いけど……」
「ならそれで良いわ。マリー、アンタのあのガラス細工みたいな宝具も防御に回せない?」
「えぇ、私の宝具は攻撃にも防御にも転用出来るわ!」
「なら私達を守る様に展開してくれない?」
「邪ンヌが何を考えているかは分からないけど……良いわ! あなたを信じます」
「音楽馬鹿、アンタはいつも通りサポートに回ってちょうだい」
「まっ、この局地を乗り越えれるなら全力で奏でてあげようじゃないか!」
「後のアルテラと嫁バカは3人に出来る限りの魔力を供給しなさい」
「そう言う邪ンヌはどうするのだ?」
「……ぶっつけ本番だけど、アンタらを守る準備に入るわ」
「ぶっつけ本番とは……それは大丈夫なのか?」
「それでもやるっきゃ無いわ。アイツの障壁は張り直されたっぽいし、アイツが攻撃を放つまでに壊すのは少し無理があるわよ」
「分かった! そなたがそこまで言うなら余達も全力を尽くそう!」
「だが……無理はするで無いぞ? もしそなたに何かあればアルジが悲しむからな……」
「言われなくても分かってるわよ。それじゃ……手はず通りにやってちょうだい!」
「「「「「えぇっ!/まかせよ!/分かったよ!/任せろ!」」」」」
そして邪ンヌの合図通り、まずマリーが宝具でガラスの宮殿を立香達まで覆う様に展開、その周りをブーディカの宝具の車輪が周り、強度を強化する。更にそこへアマデウスのバフがかかり、より強固なガラスの宮殿が出来上がった。
その魔力を供給しているのが、7基のサーヴァント中魔力が比較的に高く安定しているセイバークラスの嫁ネロとアルテラだ。中途半端な攻撃ではかすり傷さえ与えられないだろう。
だがそれがグランドキャスターの位を持つソロモンの、一瞬であれ全力であろう一撃だ。その宮殿がどれくらい保つか分からない。
(それでも私は決めたの……アルジを悲しませないって!)
私だけを見て欲しい……そんな事はアルジを慕っている皆が思う事。私はそれよりも貪欲にアルジを独り占めしたい。でも……
(アルジが大切に思っているアイツらに何かあったなら……絶対に悲しむ。そんな顔も見てみたいって思うけど……私はそれよりもアイツの、いつもの日常で見せてくれる何気ない顔が好きなの! だから……)
「憎悪に塗れた私だけど……守って見せようじゃない‼︎」
(正直言って
数日前……
「それにしてもあなたは変わりましたね」
「ハァ〜? いきなり何よ?」
ジャンヌが邪ンヌに話しかける。邪ンヌからしてみれば本当に急な事で、しかも同じ顔の自称自分の姉だと言い張る女から声をかけられる時点でイラつきが若干ある。
「いえ、ここに呼ばれて数ヶ月は経ちましたが、最初の頃のあなたは物凄く棘があって近寄り難い雰囲気を出していました」
「いや、それデフォルトだから」
「まぁあなたはそう言うんでしょうけど、でも最近のあなたは他のサーヴァントやカルデアの方々に対しても、少なからず優しさ……でしょうか。そんな物を感じます」
「なにそれ? そんなことした覚えは無いし、何より優しくするならアルジだけよ」
「聞こえていますよ? やはりアルジさんの事を物凄く大切に想っているのですよね。よく分かります」
「っ/// か、勝手に聞いてるんじゃ無いわよっ‼︎」
「まぁまぁ、それであなたに今日話しかけてのは、少し教えたい事があったからなんです」
「……何よ教えたい事って?」
いつもなら邪険に扱うのだが、今日は幾分マシな気分だったのか少しだけ話を聞いてやろうかといったスタンスで話を聞くことにした。
「私達の宝具の事なのですが、私はご存知の通り皆を守る聖なる光の障壁。対してあなたは憎悪の炎による圧倒的火力を用いた対人宝具です。これだけ聞くと同じ顔でありながらも性格による違いから生まれ持った物が違うという認識が起こりますよね?」
「まぁ……そう思う人もいるんじゃないの?」
「ですが、神や何らかの偉業を成し遂げた存在、そしてサーヴァントとして現界した私達も逸話を複数持っていて、それが要因で宝具も複数持っている方々が多いですし、私も守りの宝具以外にも敵を殲滅する物を持っています」
「……私はあのいけすかない奴が聖杯に願って生まれた存在だから、偉業なんて誇れる物は無いわね」
「確かにあなたはジルによって願われて生まれました。それはこのカルデアに所属する者であれば誰でも知っている事です」
「ですが、願われたベースとなる物は
「だからあなたにも……私と同じ様に誰かを守りたいと思う心がある筈です。特に今のあなたは、アルジさんの事が大好きですから尚更ですよね?」
「なっ⁉︎ ななな何言ってるのよ急に⁉︎」
「いえ、ただ私は事実を言っただけですよ?」
「だからってここでアルジの名前を出す所なの⁉︎」
「ここだと思ったからこそアルジさんの名前を出しました」
「……はぁ〜。それで? 結局最終的には何を言いたいの?」
「あぁ、少し脱線してしまいましたね。まぁ私が最終的に言いたい事は……あなたにも攻めるだけではなく皆を守る力があるのではと思っているんです」
「皆を守る? 全然想像がつかないわね……アルジは別だけど」
「そう言ったわけなので、私からあなたに守る心構えみたいなものを教えようと思いまして。曲がりなりにもあなたの姉ですし」
「ハァ〜ッ⁉︎ 私の姉ぇ〜っ⁉︎ 寝言は寝てから言いなさいよ‼︎」
「いえ、これは結構真面目な話ですよ?」
「んなもの私が認める訳ないでしょっ⁉︎ 何考えてんのよ⁉︎」
「あっ、そういえば結構前の話ですがあなたはアルジさんの事を自分の弟の様なニュアンスで発言してましたよね? と言う事は、義理ではありますがアルジさんは私から見ても弟ということになりますね! 何だか家族が増えたみたいで嬉しいですよ!」
「ちょっ⁉︎///何勝手に聞いてんのよ⁉︎ しかも勝手にアルジの姉宣言しないでちょうだい! アルジの姉は私1人だけなんだから‼︎」
(確かそんな事あったわね……今思い出してみてもムカつくわ! だけど……)
ここでアイツに教わった事を使えたら……最低でもここにいる奴らは守りきれるわ。そうしたら……アルジが悲しい顔をしなくて済むかもしれない。
(ならここで私が体を張らないでどうするってのよ! アルジが悲しまない為なら、例え気に食わない奴から教わったものでも使ってやるわ‼︎)
「私は願う……貴方が悲しまない道を。私と貴方が、何の変哲もない日常に笑いながら過ごす日々を……」
邪ンヌの詠唱が始まる。それは偏に……彼だけを思ったもの。周りの者を守る事が彼に対して今出来る最大限だと、邪ンヌは思った。
「我が身の内に宿る憎悪の焔よ……彼方の者達を守護せよ」
詠唱を行う度、邪ンヌの魔力の高まりは物凄い勢いで高まっていく。それは宝具を展開しているマリーやブーディカの魔力が合わさったとしても足りない程……それ程までに魔力の本流が邪ンヌの周りを迸る。
(早く……早く貴方に会いたい……。今すぐにでもアルジ……貴方の事を抱き締めたいわ)
詠唱を続けながら邪ンヌは、アルジへの恋慕を募らせていた。それに比例して邪ンヌの纏う魔力は増大していった。
side ソロモン
(黒衣を纏う女の魔力量が爆発的に上がった?)
一体何が起こった? 今追いやられているのは彼奴らの筈……少々の本気ではあるが今我が繰り出そうとする攻撃であれ程の大袈裟な宝具展開をする程の者どもの筈だ。なのに……
(なんだあの女から湧き出る魔力量は? 下手をしたならば我の本気に届きうるぞ)
「だが……我のする事に変わりは無い。彼奴らが何を仕出かすか分からないが、それまでに討ち果たすまでだ。さぁカルデアの尖兵らよ……この一撃で朽ち果てよ」
ソロモンからの攻撃がカルデアの面々を襲う。
side out
ソロモンの攻撃がマリーとブーディカの展開した宝具とぶつかる。ソロモンからの強力な一撃を想定した宝具展開は、数十秒以上に渡って防ぐ。
「ほぅ? 我の攻撃をここまで長く防ぐとはなかなか……だがこれならばどうだ?」
ソロモンが攻撃の威力を更に強めた。それは今防いでいるものよりも数倍の威力だ。これにはマリーとブーディカが展開した宝具も所々がひび割れていく。
「も、もう持ちそうに無いよ!」
「私もそろそろ限界かしら……」
宝具を展開していたマリー達の顔が苦悶の表情に変わる。
「くそぅ! 奴の攻撃は滅茶苦茶だ! 幾らこっちがバフデバフかけても力技で跳ね除けてくる‼︎」
「こちらも全力で魔力を渡しているが……」
「ぬぅ……余もそろそろ限界に近い……。邪ンヌよまだか⁉︎」
嫁ネロがそう言ったと同時に、邪ンヌの纏っていた魔力は安定した。
「待たせたわ。後は私に任せなさい!」
「憎悪の焔よ! 我らを守りて敵を燃やし尽くせ‼︎『|憎悪の焔よ、我らを守りて仇敵に鉄槌を下せ《ポジェ・アボゼネ・ラ・フレムグレ・デュヘイン》‼︎』」
邪ンヌが展開した宝具は、いつもの攻撃時に繰り出す焔の比では無かった。マリー達が創り出したガラスの宮殿を囲う様に、憎悪の火柱が地中から何本も迸る。それらは宮殿を柵の様に覆い、ソロモンからの攻撃を完全に封じて見せる。
「まだまだぁっ‼︎」
更に邪ンヌは繰り出される攻撃を飲み込まんとして、憎悪の焔をソロモンへと伸ばした。それによってソロモンの攻撃は中間地点まで追いやられる。
「ハッハッハッハッ! まさか我にここまで抗えるとはな‼︎」
「そのニヤケた面もいつまで持つかしらね‼︎」
(と言いながら確かにこれはキツイわね……でも)
「私はアルジのサーヴァント……だからあの子の誇りの為に無様にやられてなるもんですかぁっ‼︎」
「何を言っているが分からないが……だが我に対してここまで持ち堪えたのは褒めてやろう! それもここらで幕引きだ。ここまでやると知ったからには……生かしては還さん‼︎」
ソロモンからの攻撃が更に上がった。邪ンヌの焔が少しずつ押し込まれる。
「くっ⁉︎」
それを押し返そうとさらに魔力を放出させるが、身体がそれに追いつかないのか左腕に付けていた鎧がひび割れてそこから出血してしまう。
「まだ……まだっ!」
「邪ンヌ! それ以上は‼︎」
「フンッ! なかなかにやったが、やはり一介のサーヴァントではそこまでだ。人類史、いや貴様の場合は反英霊であり人類史に名を残していない者だったな。何の功績も持たないただのサーヴァント……それを従える貴様のマスターは変わり者だなぁ?」
「……アンタが私のアルジを馬鹿にするっての?」
「馬鹿にではない。ただの事実だ。フラウロスから幾らか聞かされてはいたが、この場にいないのであればこの目で確かめることすら出来ん。ならば貴様らを見て判断したまでだ。その筆頭が貴様だ。反英霊の功績持たぬサーヴァントよ」
「私の事は……幾ら馬鹿にしたって構わないわ」
ソロモンは下卑た笑いを浮かべながら言い放つ。自分の事を馬鹿にした様な発言をするソロモンに対して、彼女は態度を変えなかったが、アルジを馬鹿にした様な発言で食ってかかろうとするも、自分に対して言っている事は事実に近い。
それが邪ンヌにとっては、物凄く悔しかった。
「邪ンヌ……」
「だけど……」
「だけど! アルジの事を……私の最愛の人を馬鹿にするなぁーっ‼︎」
「愚かな……だからこそ人類は……っ⁉︎」
途中まで何かを言いかけたソロモンだったが、急に勝ち誇った様な顔つきをやめて空を凝視する。それも真剣な表情になって……
「っ⁉︎ 魔神柱よ‼︎」
ソロモンが未だに周りに侍らせていた魔神柱を使って何かを指示しようとすると、それは空から降り注ぐ5発の何かに遮られる。それらは魔神柱達がいた所を正確に穿っていた。
「なっ⁉︎」
何かを感じ取ったソロモンは、上空に向けて多重にも渡る障壁を展開した。最後の障壁が形成された次の瞬間……
バキバキバキバキバキバキバキバキンッ‼︎
上空から穿たれた何かがソロモンの障壁をいとも簡単に叩き割ると、ソロモンが立っていた所に着弾した。着弾したと同時に大きな炎の渦を発生させてソロモンを飲み込んだ。
「な、何が起こったの?」
先程まで蚊帳の外だった立香が言った。邪ンヌやマリー達も目の前で起こった事に戸惑ってか、宝具の展開をやめていた。
「まさかこれって……」
「っ⁉︎ 見て‼︎」
ブーディカが何かに気付いて空を指差す。指を刺したその先には、ロンドンを覆う白い雲を突き破った紅い閃光がこちらに落ちて来るのが見えた。まぁそれもサーヴァントだからこそ見えたのであって立香には見えていなかった。
それ程の速さを誇った紅い何かが丁度邪ンヌの目の前に落ちる。と言っても10m程は離れており、思ったより砂埃は立っていなかったが……
「……アルジ?」
少し目の前の事に呆気に取られながらも邪ンヌが目の前に落ちた何かに対して自然と口を開いてそう言っていた。
しばらく経って完全に砂埃がおさまると、そこには……
「悪い……邪ンヌ。皆……待たせたな」
体はソロモンの方向を向きながらも、顔だけ優しい笑みを邪ンヌ達に浮かべながら立つアルジがいた。
今回は邪ンヌ中心に物語を展開していきました。久々に書いたこともあって10000文字超えです。4ヶ月空いたことを考えると少ないと自分でも思います……
次回は今月末又は来月までに1話分投稿できたらと思いますので、暫くお待ちいただければと思います。
さて、今回の解説です。
解説
|憎悪の焔よ、我らを守りて仇敵に鉄槌を下せ《ポジェ・アボゼネ・ラ・フレムグレ・デュヘイン》
作者が考えた邪ンヌのオリジナル宝具。
本来攻撃特化の邪ンヌが周りを守る為に編み出したもの。憎悪の焔が効果範囲まで取り囲み360度からの攻撃を防ぐ。また攻撃してきた者に対して攻撃された威力×1.5倍を返す。
展開する時は常にアルジの事を想っている。別に想わなくても出せない事はないが、アルジへの想いが高まる程に効果範囲や効果が向上する。
解説は以上となります。
前書きでも書きましたが、本日は読者の皆様を長らくお待たせしてしまい申し訳ありませんでした。リアルとの兼ね合いでまたお待たせしてしまうかもしれませんが、何卒応援の程よろしくお願い致します。