月鋼 ー復讐者の人理救済ー   作:橆諳髃

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2話の時点で新しく評価をして下さった読者の皆様

☆10 マスターM 様
☆4 ぼるてる 様

まさかオルレアンの章に入る前までにここまでの評価を頂けるとは思っても見ませんでした……評価して下さった方々、また1度でも呼んでくださった読者の方々には感謝しかありません! 本当にありがとうございます‼︎

さて、物語は冬木からオルレアンに入っていきます! とりあえずFGOの主人公である立香ちゃんのサーヴァントは……まぁ冬木で出会ったサーヴァントを召喚してオルレアンに向かうというシナリオで進めたいと思います。

しかしながら本作の主人公であるアルジくんについては……この時点ではまだサーヴァントを召喚しようとは思っていません。(彼自身がサーヴァントと対等に殴りあえるので……)

そこのところもいつ、どこのタイミングでどのサーヴァントがアルジと契約するかは考えながら話を進めていっています。

前書きはここまでと致しまして、ではさっそく物語の方……ご覧下さい!


本編1部 第1章 邪竜百年戦争オルレアン ー復讐者は邪竜すら歯牙にもかけずー
3話 復讐者、似合わない説教をする


 

 

 

 

 

 俺は復讐を誓った。彼女自身は……俺に対してはこんな事を望まないのかもしれない。俺には……いつもの様に笑っていて欲しいと……そう願っているのかもしれない。

 

 でも俺は……馬鹿で、どこにでもいる普通の人間だ。だから大切な人がそんな目にあって……その状況をそのまま受け入れて黙っていられるほどの人間じゃない。誰にでも芽生える様な復讐心よりもさらに濃い物を抱く様な……そんな人間だ。そんな物を抱えている今の俺は……誰から見ても醜いんだろうな。

 

 そんな醜い物を心に抱いて数日……といっても1日くらい経った頃だろうか。俺は放送で呼ばれた。確かダヴィンチちゃんだったか? 俺は放送で指示されたところに向かった。道順は……まぁ歩いていれば着くだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅い‼︎ 呼んだらすぐ来なさいよね‼︎」

 

 指示されたところに着いた瞬間、大声でいきなりそう言われた。その人物はオルガマリー・アニムスフィア……俺があの冬木で助けた奴だった。

 

「……時間にしてまだ10分しか経っていない筈だが?」

 

「その10分が遅いと言ってるのよ! ここにいる皆はあなたを待ってたのよ⁉︎」

 

(そんな事言われても……俺ここの施設の中を初めて歩いたんだが?)

 

「ま、まぁまぁ所長。アルジさんもこの施設は初めてでしょうから多分道に迷ったんだと思います」

 

「私とマシュで迎えに行った方が良かったかな?」

 

「……そうね。私も言い過ぎたわ。ごめんなさい」

 

「いや……気にしてないから」

 

「うん、どうやら仲直りは済んだみたいだね。それじゃあこれからの話をしようか」

 

 それから俺を含めてこれからの事を話した。まずは自己紹介からで、この世界の人類で最後のマスターとなった藤丸立香、そのサーヴァントであるマシュ、このカルデアの所長をしているオルガマリー・アニムスフィアと、副所長で冬木で通信とバックアップを担当していたDr.ロマニことロマン、そしてカルデアに召喚された2人目のサーヴァントであるダヴィンチちゃんだ。

 

 それが終わったら、次にこれから自分達が行うべき事……人理救済についてだ。話によれば、今のところ7つの特異点があり、所謂そこが人類にとってのターニングポイントとの事で……そこで何らかの異常が起きているから人類は消滅してしまった……との事らしい。

 

 まぁこの話は前世でアプリをやってたから大体は掴めている。勿論この後何が起こるのかも……

 

 だがそれは俺がここにいる時点で何もかもが変わっているだろう。アプリの通りにはならないはずだ。

 

(まぁそんな事は関係ないが……)

 

 そして今から向かうのは、イギリスとフランスで行われていた100年戦争があった時代……世界史でも有名なジャンヌ・ダルクが登場した年代に向かう様だ。

 

 また、その世界では何が起きているか分からないため、希少な魔力リソースを利用して立香が幾らかサーヴァントを1日前に召喚した様で……俺も顔合わせをしたんだが……

 

「あ、あなたは……っ⁉︎」

 

「き、君はっ⁉︎」

 

「って、あの時の兄ちゃんじゃねぇか⁉︎」

 

 上からアルトリアリリィ、エミヤ、槍クーフーリンの順だ。

 

「いや、俺全くの初対面だけど? なんでサーヴァントなのに怯えてんだ?」

 

 アンタらには何もした覚えがないんだが?

 

「まぁ状況を察するに、闇堕ちしたとはいえその時の状況があいつらの座に登録されてインプットされてんだろう? 若しくは座に帰った時にサーヴァント同士で共有しあったかだが」

 

「座で共有って……案外英霊も暇なんだな」

 

「そ、それであなたは私に何もしないですよね⁉︎ 私あなたや、ましてやあなたの大切な人に手を出したりなんてしてませんから⁉︎」

 

「お、落ち着け! か、彼と私達は初対面なんだ! 私達が何か琴線に触れなければ問題ない‼︎」

 

「いやお前ら怖がりすぎだろ?」

 

「君はあの感覚を体験したことがないからそんな事が言えるんだ! じきに分かる‼︎」

 

「そうですそうです! どうせならあなたもあの怖さを体感すれば良いんです‼︎」

 

「なんでだよ⁉︎」

 

 サーヴァント同士でわちゃわちゃやっていた。

 

「テメェらちったぁ静かにしろ‼︎」

 

「「「っ⁉︎」」」

 

 それを止めたのはアルジだった。アルジは目をキッと睨みをきかせて目の前のサーヴァントを見据えた。

 

「お前ら今から人理を救いにいくんだろう⁉︎ そのためにここにいるマスターに召喚されたんじゃねぇのかよ⁉︎」

 

「過去に偉業を成し遂げて、それで英霊っていう立派な存在になったお前らが! 高々俺みたいな人間に、自分が被害に遭ったわけでもないのにその記憶の共有だとか英霊の座にインプットされたからって怖がってんじゃねぇよ! 今からそれ以上の怖い目にあうかもしれねぇってのに」

 

「そんな半端な心意気だってんならさっさと英霊の座にでも戻っちまえ! 人理救済とやらは俺が代わりにやってやる」

 

 それを言われた立夏のサーヴァントは……それぞれが思い思いの表情になっていた。

 

「そ、そうですね! 私は剪定の剣に選ばれました。そんな私がこんな体たらくで良いはずがありません!」

 

「確かに……私もインプットされた記憶に惑わされていたよ。すまなかったな。これからは君も味方になるのだから、何か出来ないことがあれば言ってくれ。出来うる限りの力になろう」

 

 この瞬間……彼らとアルジとの間での絆レベルが1上がった。

 

「いや……俺何もしてないんだが……」

 

「るっせぇ! アンタも同罪だ‼︎」

 

「何でだよ⁉︎」

 

 逆にクーフーリンには何もなかった。訳のわからないまま同罪のレッテルを張られてしまったクーフーリン……完全なトバッチリである。

 

「確か立香って言ったよな?」

 

「えっ? う、うん……そうだけど……」

 

「アンタはこの世界の人類で最後に残ったマスターだ。だからもしアンタのサーヴァントがさっきの様になった時は、アンタ自身で何とかするしかねぇんだ。サーヴァントと契約するって事は、複数と契約する時点でかなり凄い事だが、それと同時に大きな責任が付き纏うもんだ。だからその時はしっかりしろよ?」

 

「う、うん! 分かった!」

 

「へぇ〜……立香よりかはちゃんとしっかりした考えを持っているのね。初めて会った時は凶暴な犬の様な感じがしたんだけど、ちゃんとしてるのね」

 

「テメェもそこのサーヴァントと同じだぞオルガマリー!」

 

「えっ⁉︎ な、何がよ⁉︎」

 

「テメェ死にそうになった時『皆嫌ってた』って言ってたけどよぉ……その上から目線が主な原因じゃねぇだろうな?」

 

「っ⁉︎」

 

「自分で意識してそんな物言いになってるかは知らないが、そんなんだといつまで経っても嫌われたまんまだろうが! 分かったならもう少し周りに気を配った話し方と態度をしろ‼︎」

 

「なっ⁉︎ か、勝手な事ばかり言わないでよ⁉︎」

 

「勝手な事ばかり言ってやるさ! 第一アンタ助けてもらってから礼を1つもしてないよな!」

 

「うっ⁉︎」

 

「それと既にやったかどうかは分らねぇが、道中でもそこの立香とマシュに助けられながら来たんだろうが! だったらまずは魔術師よりも先に人間としての基本的な礼儀! なにか自分に対して良くしてもらった人に対してのお礼を忘れるな‼︎」

 

「は、はいっ‼︎ ……立香とマシュ……わ、私を助けてくれてありがとう。それと……アルジで良かったわよね?」

 

「あぁ、アルジ・ミラージだ」

 

「その……私の命を助けてくれてありがとう。その……とても大きな借りが出来ちゃったわね。こ、この世界が元に戻ったらあなたには出来うる限りの褒美を出すわ」

 

「ハンッ! 褒美なんていらねぇよ!」

 

「ど、どうしてよ⁉︎」

 

「お礼の気持ちだけで十分だって話だよ! 今度から少しずつでも良い。自分によくした奴は大切にしていけよ? そうしたらアンタのことを認めてくれて、そんで助けてくれる奴らも出るだろうからよ」

 

「よ、余計なお世話よ‼︎ で、でも頭の片隅にだけは入れておくわ」

 

 一応の騒ぎは収まった。しかし……

 

(てっかなんで俺が説教じみた事してんだよ? 元々こんなキャラだったか?)

 

 そんな事を自問自答しているアルジが1人……ただ今の彼にはどれだけ考えたとしても答えは出ないだろう。

 

「いやぁー……にしても側から聞けばアルジくんって、偶に……いや結構な頻度で言動がめちゃくちゃ過ぎてついていけないところがあるけど、最後の点はしっかり抑えてるよね?」

 

「さぁな? 俺は俺で勝手に言いたい事言ってるだけだからな」

 

「うんうん! 多分そうなんだろうなぁ〜って思いながら聞いていたよ。ところでアルジくんも立香ちゃんと同じ様にサーヴァントを召喚しないのかい?」

 

「確かに……アルジくんもこの人理救済をしてくれる訳だし、マスターの適正値も凄く高いからね」

 

「因みにドクター、アルジさんのマスター適正とはどれ程の物なのですか?」

 

 気になっているであろう疑問をマシュが代表で聞いた。

 

「うん。それが……」

 

「そ、それが?」

 

「……ここに所属していたマスターの誰よりも高いんだよ」

 

「「「えっ⁉︎」」」

 

 この解答には、既に知っていたのだろうダヴィンチちゃん以外は驚いていた。

 

「こ、ここに所属していたマスターの誰よりもですか⁉︎」

 

「そうなんだ。正直なんでマスターとしてここに呼ばれなかったのかが全くと言っていいほど分らないくらいね。計器の故障も考えられたけど、どれも正常に動いていたからまず間違いないよ」

 

「そういえば俺の話をしてなかったな。なんでかは分らないが、気付いたら俺も爆発に巻き込まれた後のここに来ていたんだ」

 

「き、気付いたらって……」

 

「まぁそんな事はいつもの事だから気にはしないんだが「いつもの事なんだ……」、ともかくとしてだが俺はこの世界軸の人間じゃない。だから呼ばれなかったとしてもなんらおかしくはねぇって話だ」

 

「「「えっ?」」」

 

「ん? なんだ? 何かおかしな事言ったか?」

 

「いやいや! そんなレベルじゃないよ⁉︎ 僕の聞き間違いじゃないならこの世界の人じゃないって聞こえたんだけど⁉︎」

 

「あぁ、その通りだ」

 

「その通りだ……て、つまりこの世界と全く似た様な並行世界から来たとでもいうの⁉︎」

 

「そんなもんだろうな? この世界にも時計塔があったんだろう? なら俺の元いたところにも時計塔はあったし、なんなら在学してたからな。まぁ……俺がある事やらかして封印指定くらって逃げ回った挙句、そこを学友に救われてこっちの世界軸に飛ばされて、そんでもってその世界軸の過去から転々としてるからな」

 

「えっ? えーっとぉ……つまり?」

 

「せ、先輩? 私の方を向いても答えは出ませんし、寧ろ私も着いていけてません……」

 

「ぼ、僕も聞いただけじゃ何がなんだか分らないな……」

 

「……正直あり得ないことだらけなのは事実ね」

 

「まぁともかくアルジくんはそれ程に能力があるってわけさ! ともかくとして戦力としては申し分ないと思うな!」

 

「そ、そうね! それに封印指定を受ける程の人材ならこちらとしても願ったり叶ったりね! 少しだけだけど回せる魔力リソースは残っていたわよね? それを使ってアルジにサーヴァントを「必要ない」な、なんでよ⁉︎」

 

「俺は確かにアンタらの言うように、人理救済には参加するつもりだ。だが俺がこの旅に同行するのは復讐するためだ」

 

「ふ、復讐……ですか?」

 

「あぁ、オフェリアの事をあんな風に傷つけた……殺そうとしたアイツを俺はむざむざと放ってはおけねぇ」

 

「それにこの人理を元に戻したのなら……もしかしたらオフェリアも目が覚めるかもしれない。だから俺は参加するんだ」

 

「これははっきり言ってわがままだ。それも復讐って形のドス黒いもんだ。そんなものに……生前何をしたのであれ偉業を成し遂げた英霊を付き合わせるわけにはいかねぇんだ」

 

「そ、それは勝手が過ぎるじゃない⁉︎ 確かに理由はどうであれ人理救済に手を貸してくれる事は素直に感謝します。でもそれとサーヴァントを召喚しないのとでは全くもって別問題だわ! こっちにはこの星の未来がかかっているのよ⁉︎」

 

「そんな事は俺も分かってる。 だから俺だって力を貸すって言ってる! だがな!」

 

「英霊だって元は人なんだよ‼︎ それも過去に何かやり遂げた様な立派な奴らだ! 確かに中には愚かな道に走って、それで恐怖と共に座に入った奴だっているだろう! でもだ! 俺は……そんな偉人達に自分の私怨を押し付けてまで戦わせるなんて嫌なんだよ‼︎ そもそもそれでも戦うって言った奴はこっちからお断りだ! この私怨は……この想いは俺だけのものなんだから‼︎」

 

「な、なんって無茶苦茶なの⁉︎」

 

「まぁまぁ良いじゃないか。彼にも譲れない想いがあるって事さ。それも自分で成し遂げたいと思える様なね」

 

「だ、だからって……」

 

「それに所長だって間近で彼の戦闘を見たはずだ。しかもあの騎士王と単身で倒した所もモニター越しで私も見たしね。だから彼を、人間ではあるけどサーヴァントとやりあえる戦力と見ても私は問題ないと思うなぁ」

 

「……はぁ〜。分かったわよ」

 

「うん、話は纏まったね。それじゃあ早速だけど今からオルレアンにて人理を修復する旅に出てもらうよ。そしてあちらに着いたら立香ちゃんには霊脈を確保して欲しいんだ」

 

「霊脈?」

 

「カルデアからのバックアップが円滑に届く様にってのと、サーヴァントを召喚する為の陣地みたいなもんだろ?」

 

「あっ、あぁ〜!」

 

「……藤丸よりもアルジの方が人理を任せても問題ないって思えるのは私だけかしら?」

 

「まぁまぁ、立香ちゃんだってまだまだ素人なんだ。これからさ」

 

「そんなにのんびり構えている時間なんてないと思うけど……」

 

「ま、まぁそれはおいおいね? それじゃあレイシフトを開始するから、コフィンに入ってくれ」

 

 そして俺達はロマンが言うようにコフィンに入った。今から向かうはオルレアン……イギリスとフランスが100年戦争をしているその舞台に俺達は転移していった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ転移出来たまでは良いんだがな……

 

「何で周りに誰もいない……」

 

 なんか俺だけ違う場所に飛ばされた様だ……まさか転移する前に俺がギャーギャーと騒いだからレイシフトの機械に嫌われてる……のか?

 

 




はい、本日もアルジくんのめちゃくちゃな物言いの会となってしまいました。特にクーフーリンについてはトバッチリです。

まぁ支離滅裂も良いところなのですが、これがこの世界のアルジくんのクオリティーという事で(言い換えれば作者クオリティーとも言う……)

はてさて、次回から本格的にオルレアン入っていきます! また見て頂いたら嬉しく思います‼︎

ではでは、また会いましょう!

今作品ではヒロイン多数で出しておりますが、プロローグ時点で既に2人ヒロイン出しています! そこで質問ですが、読者の皆様でしたらヒロインの中でどなたを正妻にしますか⁉︎

  • ルヴィアさん
  • オフェリアさん
  • まだ見ぬ他のサーヴァント

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