最弱のヒーロー~強い者の味方だ~   作:スキえもん

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第3話

「そう言えば、眼帯って意味あるの?」

 

「うむ、これを外すと私の中にいる獣が目を醒まし、辺り一体が火の海に…!」

 

「はいはい厨二乙」

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 

Side モブ男

 

ふむ…ヤケクソで選んだ男が本当にインストールに成功するとは…。

 

スペックは残念な様だが、まぁ最悪こいつは次の駒を作る迄の繋ぎと思えばいい。

 

それにしても、やはり私は神に選ばれた人間のようだな。

 

こんなド田舎に連れてこられた時は絶望したが、なんとか“加速研究会”に命じられた【辺境ファーミング】を成功させて見せるさ。

 

同僚の紫メガネには

 

『左遷されて可愛そうになぁ。まぁ気張って行きや、心の隅っこで応援しといたるわぁ』

 

と言われたが、断じて左遷等ではない。

 

確かに、私は何故か周りの者に妙な目線を向けられる事もあった(主にイタイ人を見る目)が、それもこれ迄だ。

 

私に任されたこの作戦、必ず成功させて返り咲いて見せるさ。

 

Side out

 

 

「何でよりによって“救いのヒーロー”なんだよ。他にも色々あるじゃん」

 

手から極太ビーム出せたりする野菜の人とか、口から雷出す優しい魔物の王様とか…

 

こいつビーム出すどころか武器すらない只の雑魚なんだぞ。

 

初期装備が飴って…最初から素手の方がまだ諦めついたわ。

 

結局あの後、刀を捨ててやさぐれていた僕はモブ男くんに石をぶつけ、ダメージを与えて勝利と言うのを数回繰り返した。

 

え?何で石かって?素手じゃダメージ通らなかったんだよ。

 

いや、少しは減るけど、石投げた方がゲージが減ってた。

 

泣きたくなった。

 

何でも、レベルが4になると行けるなんちゃらフィールドって所じゃないとエネミーが出てこないんだとか。

 

その為のポイントをモブ男くんから貰うために、現在対戦を繰り返しています。

 

ちなみに“ミレニアム・ソード(笑)”は対戦の度に遠くへ投げ捨ててるのに、必ず手元に戻ってきてしまうので諦めた。

 

どうやら僕は呪われたらしい。

 

そんな事を何度か繰り返し、レベル4になるのに必要なBPをようやく手に入れた。

 

レベルアップするとボーナスが出るらしいけど、よくわからないのでまだレベル1のままだが。

 

その方がポイントごっそり手に入るし。

 

む、モブ男くんが近づいてきた。

 

「ふむ、これでレベル4になれるな。ボーナスは何に振るか決めたかね?」

 

「よくわかんないけど、僕が決めちゃって良いの?」

 

「構わんよ、好きにしたまえ(何を弄っても最弱に変わりないしな。)」

 

んじゃやってみよ。

 

えっと…ここを押すのかな?

 

あれ、違うの?じゃあここ?

 

…あ、間違えて対戦申し込んじゃった。

 

「ん?なんだ、さっそく実力を確かめたくなったのかい?いいよ、やってみようか。(残存ポイントが危ないしな、少々回収させて貰おう)」

 

辺りの風景が変わっていき、辺りが機械的なビルに囲まれている。

 

戦闘が始まってしまった。

 

制限時間のカウンターの隣に、それぞれの名前と体力ゲージが現れる。

 

「ちょっと待っ…」

 

「それじゃあいくよ」

 

僕の制止を聞かずにモブ男くんは肩のガトリングを乱射し始める。

 

ちょ、レベルアップなんざしてないんだから当たったらやられる!

 

ワタワタと足をみっともなくバタつかせて銃撃をよけ、建物の陰に逃げ込む。

 

「逃がさんよ!」

 

「っ!?」

 

銃撃が腕に当たった瞬間、激痛が走った。

 

マジでか、ホントに撃たれたみたいに痛い。

 

いや、撃たれた事なんかないけども。

 

体力ゲージを見ると、4分の1程削れている。

 

下の必殺技ゲージが代わりに増えているが…今の僕には意味がない。

 

僕にも必殺技はあるらしいのだが、効果がよくわからなかった。

 

レベルアップの為に対戦を繰り返していた際、モブ男くんに必殺技の事を教えて貰った。

 

技リストを覗くと、必殺技欄に【チャージグル・バースト】と言うものを発見。

 

オブジェクトを破壊してゲージを溜め、必殺技をいざ発動!

 

しかし何も起こらんかった。

 

凹んだ。

 

結局そのまま解らなかったので、その時はまた石をぶつけて終了したのだが…

 

僕が考えこんでいると、いつの間にか銃声が止んでモブ男くんがに近づいてきていた。

 

彼は腰の刀を引き抜き、僕目掛けて振り下ろす。

 

倒れ込むように飛び退いてなんとか避けつつ、僕も刀に手を掛けて腰だめに構える。

 

「それで、どうするんだい?ダメージを与えられない処か、折れる刀なんか構えても仕方ないだろう」

 

「ふはは!僕だって無駄に対戦を繰り返していた訳じゃないぞ!」

 

僕が構えたまま斬りかかる。

 

モブ男くんに当たった瞬間、折れ掛けるが、その前に素早く納刀。

 

モブ男くんは何をしているのか分からず、立ち尽くしている。

 

そして再び刀を引き抜く。

 

そこには先程と変わらない刃もない刀身がある。

 

「どうだ、折れても納刀すれば元通りくっつくのだー」

 

流石飴、折れやすければくっつくのも簡単らしい。

 

僕が得意気にするとモブ男くんは首を傾げた。

 

「…で?」

 

「うん、ダメージ与えらんないのは変わんない。ただくっつくのが解っただけ」

 

そう言いながら斬り付けるのと納刀を繰り返していた。

 

ぶっちゃけ只の嫌がらせである。

 

ダメージ与えらんない武器で格上倒せとか、それなんて無理ゲー?

 

そんなことを暫く続けていたら、モブ男くんは深い溜め息をついた。

 

「…少しキツめの指導が必要みたいだね」

 

マズい、調子に乗りすぎた。

 

このままでは僕のスーパーフルボッコタイムが始まってしまう。

 

逃げようと転身したら、いつの間にやら眼前にはモブ男くんが。

 

そのまま殴られて数m吹っ飛び、壁に叩きつけられる。

 

意識が飛びそうになるが、なんとか身体を立ち上がらせる。

 

体力ゲージを確認すると大幅に削られ、赤くなっている。

 

「…ギブアップしちゃダメ?」

 

「許すと思うかい?」

 

ですよねー。

 

痛いの嫌いです。

 

勝てる気はまったくしないが、せめて必殺技ぐらいは出してみたい。

 

刀を引き抜いて、テレビで見た剣道の選手の様に構える。

 

モブ男くんも構えたが、もう僕はなんも出来ないので関係ない。

 

必殺技ゲージは満タン。

 

さぁいってみようか!

 

「頼むからなんか出て、【チャージグル・バースト】!」

 

 

 

チン。

 

 

 

 

あれ?振り下ろした筈なのに何故に納刀してるんだろ?

 

「ぐおぉぉぉぉぉっ!?」

 

おおぅ!?急に叫ばないでよ、恐いから。

 

ふとゲージを見ると、何故かモブ男くんの体力が一気に真っ赤になっていた。

 

何故に?

 

「ぐ…!油断していたよ…!まさか君がこんな隠し玉を持っていたなんて…!」

 

いや知らんし。

僕のせいなの?

 

「だがっ!私はまだ実力を半分も出していない!さらに私はあと二回の変身を残して…!!」

 

まじでか。

 

「じゃあトドメ」

 

足元の石を確保。

投擲。

 

モブ男君は逃げ出そうともがいているが、どうやらダメージが大きすぎてすぐには動けないようである。

 

「くっ、だがレベル4なら負けてもポイントは…」

 

「え?僕のレベルまだ1だよ?」

 

「な!?それでは全損に…!」

 

む、それはマズイ。

 

「なんとか避けなければ…!目覚めろ私の眠れる力よ!」

 

「頑張って厨二してるトコ悪いんだけど」

 

 

 

 

時既に時間切れ。

 

 

 

カコン。

 

 

 

「あふん」

 

石が当たった瞬間、ゲージが全て失われてモブ男くんも消えていった。

 

-○●○-

 

気がつくと、モブ男くんと並んで図書館の椅子に座っていた。

 

確かポイント全損すると二度と加速出来なくなるとか言ってたな…

 

うん、素直に謝ろう。

 

「マジすまん」

 

誠意が感じられないのはきっと気のせい。

 

「あれ…?私は何をして…何でこんな所に…」

 

聞いてよ。

 

「あぁ君と…一緒に遊んでて…すまない、ちょっと調子が悪くて…今日はもう帰るよ」

 

そう言いながらモブ男くんは帰っていった。

 

…え?何?どゆこと??

 

 




○●○●○●○●○●
更新遅れてすみません。
書きあがってはいたんですが、会議やらなんやらで掲載遅れました。

ちなみに私、テヘぺロの女の子が目印のお店で店長やっております。
ケーキを5時間持ち歩くというお客様の度胸に感心しながら仕事をしております。

次こそは一週間以内に更新目指して頑張ります。

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