BLEACHの世界でうちはサスケに転生しました 作:ポピー
これは一体全体どういう事なのだろうか。
俺はどこにでもいる普通のサラリーマン。だった。
なのに意識が浮上したかと思えば、目の前には自分を抱いている女性と、俺の顔を覗き込む男性の顔が。
俺はビックリして声を上げた、のだが、声が出ない。
いや、音は出ているのだ。「あー」とか「うー」しか出ないだけで。
……これは、つまり。
「元気な子だ。これは将来大物になるかもしれないな」
と男性が言った。
「そうね、アナタ」
と女性は言った。
……どうやら俺は知らない間に第二の人生を歩き始めたらしい。
「元気に大きくなってね、サスケ」
自分を見下ろして微笑むその女性の顔が、目に焼きついた。
結論から言おう。俺は『うちはサスケ』に転生したようだ。
物心がついた(ように見せかけている)頃から、自分がどんな状況になっているのかをようやく理解することが出来た。
見た目はうちはサスケの幼少期。中身は普通のサラリーマン。どういう組み合わせなのか俺にはさっぱり分からない。知りたくもないが。
家族構成は原作通り、父親のうちはフガク。母親のうちはミコト。そして兄のうちはイタチ。
うーん。これは正直、辛い。
いや、『NARUTO』は俺にとって人生の教科書と言っても過言ではないくらい身近にあったものだ。俺は『NARUTO』と共に成長したと言っても過言ではない。
しかし、しかしだ。まさか自分がうちはサスケとしてこの家族と過ごしているというこの状況、おかしいに決まっている。そうだろう神様よ。
しかもうちは一族は、その、何だ、色々と厄介な一族であるし、将来的に言えば滅亡することになっている訳だ。俺は復讐者になんてなりたくないぞ。
と、そんな事を考えていたのだが、その考えは杞憂に終わりそうだ。
どうやら俺が産まれたこの世界は、身近な人間こそ『NARUTO』キャラだが、世界観は別のもののようだった。
俺が住んでいるこの一軒家だって、『NARUTO』で見た家とは程遠い、どちらかと言えば現代風なものだ。
それに父親も原作よりは柔らかい雰囲気、のように感じられる。いや、原作も優しいところはあったかな。
ともかく、この世界は『NARUTO』の世界ではない、これはハッキリした。けどまだどんな世界なのかは分かっていない。
出来れば平穏な日常を過ごせたらいいんだけどな。
「よし、サスケ。兄さんと遊ぼう!」
物思いに耽っていると勢いよく扉が開いたかと思えば、兄からの明るい声が部屋に響いた。
ちなみにこの部屋は俺とイタチ用の子ども部屋だ。俺がまだ幼いせいか、部屋には玩具が散らばっている。
キラキラとキレイな笑顔を浮かべてこちらを見る兄。なんか原作と印象が違うような気もするが、これもこの世界が平和だからだろう。
「うんっ!」
出てきた言葉はめちゃくちゃ嬉しそうな声だった。
どうやらサスケ自身のブラコン気質がこの身体には染み込んでいるようだ。
しかし、今更だがこうなってはもう仕方がないので、俺は大人しくうちはサスケとしてこの第二の人生を楽しむことにしようと思う。
……まあ、この緩やかで暖かい日常も、そう長くは続かなかったんだけどな。