BLEACHの世界でうちはサスケに転生しました 作:ポピー
俺が産まれてから7年経った。
小学校一年生になって半年。グダるような暑さから解き放たれ、程よく心地よい風が吹き抜ける秋。
未だに光沢をもつピカピカのランドセルを背負って、5年先輩のイタチと共に小学校に向かう。
初めはイタチと一緒に登下校しているなんて原作からして有り得なかったのになぁと思いつつ、この世界が現代により近い場所である事に安堵する。
そりゃ、時代が一つでも二つでも違っていたら、こうしてイタチと一緒に歩くことなんてなかなか出来なかっただろう。原作のイタチは確かアカデミーを1年で卒業している訳だし。
「それじゃ、授業頑張れよ、サスケ」
「うん、兄さんも頑張って!」
一年と六年の教室は違う階にある。階段を登っていく兄を見送ってから、俺も自分のクラスに入っていった。
そして夕刻。
今日は委員会の集まりがあると、クラス委員を担当しているイタチより先に校舎を出る。
どこにも寄る場所はないので、よく話すクラスメイトと喋りながら帰路につく。
最後の一人と十字路で別れてから、まっすぐ家に向かって歩いていく。
もはや慣れ親しんだ道のりだ。
と、通りかかった細い脇道に無意識に視線を向ける。
その先に、自分と同じ年頃だろうか、女の子が一人立っていた。どうやら泣いているようだ、目元を手で多い、肩が僅かに震えているのが見える。
しかし、俺は目を疑った。
確かにそこに女の子はいるのだ。なのにその女の子は、そう、半透明に見えている。しかもわずかだが浮いているようにも見えた。
あれはもしや……幽霊? まさか俺には霊感があったとでも言うのか?
自分に霊感があった事に驚いた。まあ幽霊が見える程度なら差ほど気になることはない。他の人間より少し見えるだけなのだがら。
しかし、次の瞬間。
俺の目の前は真っ赤に染まった。
俺は、ソレを見てしまった。
目の前にいた女の子が、白い骨のような頭を持った大きな化け物に喰い殺される所を。
「────」
言葉を失う。
だんだん小さくなっていく女の子の悲鳴。その声も聞こえなくなった頃。
女の子はその形を失い、赤黒い肉片となって辺りに散らばっていた。
真っ白だった化け物の頭部は、女の子の血やら肉やらでベトベトだ。化け物は夢中になっているのか此方に気づいていないのだけが救いか。
……嘘だろ、まさかこの世界は。
あの外見、見た事がある。というかそうだ。あれは、
この世界には
なんという事だ、この世界は全然平和じゃなかった。
しかも何で『BLEACH』の世界なんだ、勘弁してくれ。
頭の中は早く逃げなければという思いでいっぱいなのに、身体が思うように動かせない。俺はまだ小学一年生だぞ、あんな化け物見たらチビりそうになるに決まってるだろ!
しかも俺には霊感があった、つまり僅かにでも霊力があるという事だ。こんなんもう命が幾つあっても足りない。
と、パニックになっている俺を他所に、
た、助かった……?
やばいものを見てしまった。普通の人間なら間違いなく気絶していただろう。原作知識があって助かったと思うべきか。
と、後ろからよく知った声が聞こえてきた。
「サスケ、大丈夫か!?」
身体は未だに震えているので、視線だけそちらに向ける。酷く焦った様子でイタチはこちらに駆けつけた。
「一体何があった?」
「……お……おんな、の、こが……」
声が震えて思うように言葉が出せない。辛うじて動かせるようになった左手を持ち上げて、女の子がいた場所を指差す。
その指先を追って視線をそちらに向けたイタチは、その惨状を視界に映すと顔をしかめた。
「……まさか、サスケまでも……」
「え……?」
ボソリと呟いたイタチの言葉は俺には聞き取れなかった。
「とにかく、ここは危険だ。早く家に帰ろう」
立てるか?と手を差し伸べてくれるイタチに少しだけ気分が楽になった。何ともわかりやすい性格だろうか。
イタチに手を引かれて、何とか家に帰ることができた。
◆
「……そうか、そんな事があったのか」
その日の夜。
下校中に目撃したことをイタチと共に父親であるフガクにそのまま伝えることになった。
話を聞いていたフガクの表情はいつにも増して険しかった。多分この表情は俺がこの世界に転生してから初めて見るかもしれない。
「……父さん、あの化け物は一体何なの?」
とりあえず話を進めてもらおうと問いを投げる。
さすがに
「……お前が見たのは恐らく『
そう言うとフガクは顎に手を当てて考え込んでしまう。
……やっぱり虚だったか。俺は心の奥底で項垂れた。
「父さん、サスケにも
「イタチの言う通り……だな。それにいずれは話さなければならん事だ。サスケ、よく聞きなさい」
イタチに促され、フガクは真剣な表情をして俺を見つめる。
俺も姿勢を正し、言葉を待つ。
「我々『うちは一族』は、従来の人間にはない特殊な力を持っていた一族だ。今や生き残りも多くなく、その力を発動できる者は少なくなってしまったが……、お前が普通の霊やが見えてしまうのは、お前にもその力が存在しているという証でもある」
俺は黙ってフガクの言葉に耳を傾ける。
「代々うちは一族に伝わる瞳術、“写輪眼”。お前はイタチと同じく写輪眼を発動できる力を持っているようだ」
フガクは確信を持ってそう言った。
「写輪眼……」
俺は小さくその単語を復唱する。
まさかとは思っていたが、写輪眼まで出てくるとは……俺は胃が痛くなった。
どこまで行っても平穏とは程遠いようだ。
「今は使えなくとも、これから先写輪眼が発動する機会はあるだろう。もし写輪眼が発動したり、その傾向が現れるようなら俺に言いに来るんだ」
いいな?と俺を見つめるフガクは、先程と違い心配そうな表情をしていた。
写輪眼かぁ、原作では発動条件が色々細かかった記憶があるが、今回はどうなるのやら。
そう考えながら俺は頷いた。
イタチと一緒に部屋に戻る時、俺はとある事を思い出す。
そう言えば、この地域の死神は何をしているんだろうか、と。
「ねえ、兄さん」
「何だ?」
「あの化け物……
俺の問いが少し意外だったのかイタチは少し目を見開く。
少し直球だったかなと後悔するも、イタチはいつもの表情に戻り、そうだな……と口を開く。
「
それもそうか。死神も霊体だし、もし仮に会うことが出来たとしても記憶ナントカって道具で記憶を飛ばされるんだしな。
「あの
「始末してくれているはずさ、奴等はそういう仕事をしているんだからな」
……何か、イタチの機嫌が悪そうだ。
表情はいつもと変わらない筈なのに、何だか声色が低いと感じた俺はこれ以上踏み込むことはやめる事にした。