BLEACHの世界でうちはサスケに転生しました   作:ポピー

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お久しぶりです。


『団扇屋敷』にやってきました。

 

 目を覚ますと、真っ白な天井が目に入った。

 ここが病院の個室だということを身体を起こしてから知る。

 

「気がついたか、サスケ」

 

 俺が目を覚ましたことに気づいたイタチは、手に持っていた本を閉じて俺の顔色を伺ってくる。

 

「疲労は溜まっているが外傷は少ない。すぐ退院出来るだろう」

 

 そう言って額に己の掌を当ててくるイタチに「そうか」とだけ返した。

 

 俺が気を失ってから、イタチが殆どやり繰りしてくれていた。

 母は即死、父も半刻ほど意識があったものの、イタチに最期の言葉を残して息を引き取った。

 自宅は半壊している為、住居は移さなければならないそうだが、すでに知人に話はつけているらしい。

 

「サスケがいなければ、父さんも母さんも肉体すら残っていなかっただろうな……」

 

 そう呟いたイタチの言葉に、ギュッと心臓を鷲掴みにされた気分になる。

 そんな俺の様子に気づいたイタチはそんな顔をするなと頭を撫でた。

 

「お前は何も悪くない。あの虚はお前を見つけると直ぐに跳びかかって来たんだろ?父さんと母さんを襲うことで俺達を誘き寄せようとしたんだろう。恐らくあの虚を此方に送り込んだ主犯がいる」

 

「じゃあ……俺達、また狙われるのか?」

 

「可能性はあるだろうな。お前も写輪眼を開眼したんだ、以前より霊力も増えていくことだろう。その眼の扱い方も慣れてもらわないとな……」

 

 ともかく、と続けイタチは立ち上がる。

 

「これから少し忙しくなる。退院の許可が出たらすぐに引越しの準備をするぞ」

 

 

 ◆

 

 

 数日が経過し、無事退院することができた俺はイタチに連れられて件の知人の元へ訪れていた。

 空座町の山の麓にあるというその知人の家の玄関前にやってきた訳なのだが……。

 

「……デカ過ぎないか?」

 

 そう、デカいのだ。玄関先にあった門のような扉を潜った時から思っていたが、やっぱりデカすぎるだろ。

 通常の一軒家など比ではないくらいの大きさの建物。もはや武家屋敷だ。周りを取り囲んでいる塀も恐らくこの武家屋敷の一部なんだろう。

 

「そうだろう?ここはうちは一族が代々使っていた会合場所だ。と言ってももう何十年も使われていないそうだがな」

 

 会合?何十年も使われていない?

 首を傾げる俺をよそに、イタチは武家屋敷の呼び鈴を鳴らした。

 

「ここに住んでいるのはその会合を取り纏めていた者の子孫だ。さっきも言ったがほとんど使われていないんだが一族の者に何かあればこの『団扇屋敷(うちはやしき)』に来るようになっているんだ」

 

 屋敷は相当広いのか、呼び鈴を鳴らしてもしばらく扉が開くことはなかった。その時間を有効活用するようにイタチからこの屋敷の説明を受ける。

 しばらくして、中からドタバタと慌てる足音が聞こえてきた。

 

「おーおー、やっと来たか、ガキ共!」

 

 ガラガラと引き戸が開き、男性が顔を出した。この顔にも覚えがある。

 ……あー、なるほどな。

 

「急ですまなかった。恩に着るよ、オビト」

 

「良いってことよ、これが俺の役目ってやつだしな。それにお前の親父さんには何かと世話になってたからな」

 

 俺たちを出迎えたこの男の名は、うちはオビト。

 原作じゃ第四次忍界大戦の戦犯の一人であり、はたけカカシの友であった男だ。

 だが原作とは違い彼の半身は健在のようで、顔のシワも見受けられない。

 

「こいつがお前の弟か?」

 

「ああ。この人が話した知人だ。これから世話になる、挨拶しろよサスケ」

 

「……うちはサスケだ。よろしく」

 

 名を告げて頭を下げると、何故か驚かれた。

 

「ハハッ、もっと小憎たらしい餓鬼かと思ってたが随分と素直だな。オレはうちはオビト。これから同じ屋根の下で過ごす同居人だ、ヨロシクな!」

 

 そう言って無邪気な笑顔で出してきた彼の手を、遠慮しながらも握り返した。

 

 その後オビトに連れられ屋敷の中に入り、居間に通される。居間に入るまでに見たもので驚いたことといえば、部屋に続く縁側から見えるめちゃくちゃ丁寧に整備された庭だろうか。

 前世でもここまで壮観な庭は見たことがない。もう文化遺産レベルではないだろうか。

 夢中で庭を眺めている俺の横でイタチが微笑んでいたが、俺は気づかなかった。

 

「今日からお前の部屋はここだ。中にある書斎は好きに使ってくれて構わないぜ。必要なモンがあるなら言ってくれよな」

 

 一通り屋敷の中を案内され、最後に自分が過ごすことになる部屋に着いた。

 なんかもう、凄いの一言である。本当に今日からこんな所に住んでもいいんだろうか。

 

「遠慮なんかするなよ?厚意に甘えるのもガキの務めだからな」

 

 なんて言いながら頭をグリグリ撫でてくるこの男。さすがにムカッときたが初日から問題を起こす訳にもいかないため心の中で悪態をつく程度に収めた。よく耐えたぞ(サスケ)

 

「じゃあ、俺はこれからの事をオビトと相談してくるよ。サスケは疲れたろう?飯の時間までゆっくりするといい」

 

 そう言ってイタチは居間の方に消えていった。

 本当は着いて行くべきなんだろうけど、確かに病院から直接ここに来たから少し疲れた気もする。

 イタチの言葉に甘えて備え付けられていたベッドに寝転がった。

 

 ……そういえばこの部屋に来る途中で見かけた離れみたいな小屋、何の説明もされなかったな。

 ちょっと独特な雰囲気があったから少し興味があったんだけど……今度オビトに聞いてみようかな。

 そんな事を考えながら眼を閉じた。

 

 それからまた数日が過ぎた。

 虚によって破壊された家は建て壊すことになり、細かいところはオビトが話を付けてくれることになった。

 話を聞いていたオビトの顔色が真っ青になっていたがきっと気のせいだろう。

 

 父と母の葬式は関係者のみの小さい物となった。

 転生する前の俺の家族は全員健在だったから、この歳で親を失った事は俺の中でかなり複雑な気持ちだった。

 原作のサスケはもっと幼い頃に亡くしているわけだし、誰かを失うことがこんなにも辛いものなんだなと改めて心が痛くなった。

 葬儀中ずっと眼の奥がざわめいていたような感じがしたが、何の前触れなのやら。

 

 空座町で過ごすことになった俺は、登校していた中学校から空座町の中学校に転校することになった。

 たった1ヶ月での転校に同級生(主に女子)達は残念がっていたが、俺としてはかなり助かった。

 次の学校ではあまり目立たないように過ごそう……そう心に誓った俺だった。

 

 


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