【本編完結】ラブライブアフター~あれから5年……   作:ひいちゃ

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第2章~にこと真姫と花陽と凛

「ふぅ~、今日もやってやったわ!」

 

 楽屋に戻って、私、矢澤にこは気持ちよさそうに言い放った。

 さっきまで、にこはトーク番組に出演していたのだ。まさか卒業した直後は、バラドル(バラエティアイドル)をすることになるとは思ってなかったけど、スカウトされてから5年。何か板についてきたみたい!

 

 魅力的なフェイスと、時々飛び出す毒舌が人気を博して、今はあっちこっちの番組に引っ張りだこ! ふふふ、これも私の才能ゆえね! 自分の才能が恐ろしいにこ!

 

「魅力的なフェイスと、時々飛び出す毒舌、ねぇ」

 

 そう言って入ってきたのは、クールな雰囲気をまとう見知った顔だった。

 

「何よ、文句あるの?」

「うぅん、別に。『ちっこいボディと頻繁に飛び出す毒舌』の間違いじゃないかな、と思っただけ」

 

 私がそう食ってかかると、彼女はクールにそれをあっさり流す。これも高校時代はよくあった光景だ。そんなやりとりができることが、何か嬉しい。

 

 彼女は西木野真姫。μ'sのメンバーであり、そのころも今もにこの親友の一人だ。確か今は、猛勉強の末に医大に入って、医学生として、医者を目指して頑張ってるって言ってたっけ。

 

「むぅ。それで真姫、どうしてここに?」

「花陽から、にこちゃんと三人で話したいことがある、って相談を受けてね。そうそう、ちゃんとマネージャーさんに頼んで入室の許可をもらってきたから不法侵入じゃないわよ」

「そう。でも、月1のお茶会以外で、μ'sの誰かと会うなんて久しぶりね」

 

 そう話すと、真姫は苦笑した。

 そう、μ'sが解散してからも、にこたちμ'sのみんなは、月に1回、みんなで絵里の家に集まってお茶会をすることにしてる。旧交を温めようという意図だ。でも、みんな色々忙しいこともあり、それ以外で会ったりすることは、皆無とは言わないけど、あまりないと言っていい。数名、穂乃果の実家の和菓子屋に行って、和菓子を買うついでにお話ししてくる、ってこともあるらしいけどね。

 

 でも、本当に真姫や花陽と三人で会うのって久しぶりだし、なんか嬉しい。真姫とは高校時代から、こんな風に軽口を叩きあう仲だったし、花陽や彼女の幼馴染である凛とは、μ'sの活動してた頃は、三人でつるんでたこともあったのよね。……こらそこ、背丈が一年生と同じだからとかいうな。

 

 そんなことを想ってる間に、私は外出用の私服に着替えていた。行く準備は万端だ。

 

「さて、それじゃ行くとしましょうか」

「えぇ。でも、にこちゃんのこの後の予定とかはいいの?」

 

 そう真姫は心配そうに聞くけど、ふふん、心配はご無用! このスーパーアイドル(自称)、矢澤にこに抜かりはないわ! ちゃんとこの後の予定はチェック済み!

 

「えぇ、問題ないわ。さっきの『いわし御殿』が今日最後の収録だったから。この後はフリーよ」

[それならよかったわ。それじゃ行きましょうか」

 

 そう言葉を交わすと、マネージャーに、旧友に会いに行くことを告げ、私たちはテレビ局を後にした。

 

* * * * *

 

「あ、真姫ちゃん、にこちゃん……」

「二人とも、この前のお茶会以来だにゃー」

 

 真姫に連れられて入った喫茶店には、待ち人の花陽の他にも、もう一人元気そうなショートカットの娘が待っていた。

 

「この前ぶりね、凛。体育大学、頑張ってる?」

「うん、もちろん! もう少しで大会のレギュラーに選ばれそうだにゃ!」

 

 私の質問に、ショートカットの娘はそう言って元気に答えた。手をぶんぶん振って。その様子がやっぱりかわいいわね彼女は。

 

 彼女は星空凛。μ'sの元メンバーの一人で、その頃は花陽と一緒ににことつるんでたかわいい後輩の一人。あれから五年たって、少し凛々しくなってきたように見えるけど、やっぱりあどけなさは残ってる。

 

 卒業後は、凛は海未と同じ体育大学に進学して(受験勉強には私も一杯力を貸してあげたにこ)、陸上部に所属。そして花陽は普通の短大に進学して、確かこの春短大を卒業したって言ってたわね。今は花嫁修業中なんだとか。

 

 さて、あいさつを交わすと、私と真姫は、花陽と凛の席の真向かいに座った。そしてやってきたウェイトレスさんに、コーヒーを注文すると、改めて花陽たちに向き直る。

 

「それで、凛はどうしてここに?」

「うん。大学の帰りに花陽ちゃんと会って、それで一緒についてきたんだにゃ!」

「お互いの近況とかスクドルの話しながら、ここまで来たの……」

 

 なるほどね。凛は花陽ととても仲良しだったから、そんなこともあるわね。

 さて、と。

 

「それで花陽、あなたがにこたちを呼び出すなんて珍しいわね。何があったにこ?」

 

 そう、μ'sが解散してから今まで、月1のお茶会で集まることはあっても、花陽のほうから会いたいと誘ってくることは皆無と言ってよかった。それは別に花陽が人付き合いが苦手だからというわけではなく、単に彼女が引っ込み思案というだけのことなんだけど。それだけあって、彼女がにこたちを呼ぶというのは、よほどのことがあったんだろうな、と思える。

 

「うん。実は、昨日うちにこれが届いて……」

 

 そう言って花陽が出したのは、封が切られた一通の封筒。にこはそれを手に取ると、中にしたためられていた手紙を出して広げ、それに目を通す。その前と横で、凛と真姫もその手紙をのぞきこんでいた。

 

「ラブライブ・スクールアイドルフェスティバルにおける、μ's再結成ライブの依頼……?」

 

 ラブライブ・スクールアイドルフェスティバル、通称スクフェス。それについてはもちろん、にこはとてもよく知っている。スクドルの情報は、高校のころからずっとチェックしてたし、芸能界に入ってからも、本職のアイドルのニュースと一緒にチェックしてたしね。

 

 さて、スクフェスは、スクールアイドルにとってのあこがれとなる一大イベント。有名なスクドルたちが出演して、新曲を披露するフェスティバル。去年からスタートして、その初回は今噂のAqoursも参加したことで有名だったわ。(ちなみにその時の曲は、松浦果南って子がセンターを担当した『HAPPY PARTY TRAIN』だった)

 そしてこのスクフェスの目玉の一つが、過去のラブライブに出場したスクドルグループが、再結成して出演する、というコーナー。『あの伝説のグループが復活!』というやつね。去年もスクフェスでは、にこたちのライバル、A-RISEが再結成して出演してたっけ。さすがにこたちμ'sのライバルだけあって、時の経過を感じさせないライブだったわ。

 今回はそのコーナーに、私たちμ'sに出てほしいということなのだろう。復活して。

 

 となれば、にこの答えはもう決まっていた。

 

「そ、それでね。これについて、にこちゃんたちのいけ」

「いいじゃない! 出ましょうよ!」

「返事早いにゃっ!?」

 

 即答とも言えるにこの返事に、凛が驚きの声をあげる。ふふん、凛もまだまだこのスーパーアイドル(自称)矢澤にこという人物をつかみ切れてないようね。

 

「スクドルのイベント、しかもスクドルの憧れであるスクフェスに私が飛びつかないわけがないじゃない。μ's、そしてこの矢澤にこがいまだ健在であることを思い知らせるのに絶好のステージよ!」

「ふふ、にこちゃんらしいわね。でも、穂乃果ちゃんたちのことはどうするの?」

「あ、そうだよね……」

 

 真姫の懸念に、凛もうなずく。

 そうだったわね。5年前のμ's解散の時、穂乃果たち残った2年や1年が話し合って、みんな納得のうえ、μ'sは私たちの卒業をもって解散ということになり、そして紆余曲折の末、あのラストライブを迎えた。

 そして、穂乃果なら、一度終わらせたμ'sを復活させることに消極的になるかもしれない。彼女がスクドルをやめると言い出した騒ぎのことを考えると、その可能性は高そう。変に意固地だからね、あの子。思い込んだら一直線、どんな障害も蹴とばして突き進む、というか。リーダーとして事を進めるさいにはそこが頼りになるけど、それが逆方向になると困ったことになるのもまた事実。

 とはいえ。

 

「大丈夫よ。穂乃果のことだから、なんだかんだ言ってても、まだ胸の中にスクドルへの想いがくすぶっているはずよ。解散騒ぎの顛末のこと忘れた?」

「あ、そうだよね……」

 

 にこの言葉を受けて花陽がうなずく。

 そう、穂乃果は本当に、歌が、スクドルが、そしてμ'sのことが大好きだった。だから、あの騒ぎの時も、自分と向き合って、そして海未と話し合って、スクドルに戻ってきた。

 そんな彼女だから、まだμ'sへの想いは、完全に消えず、燻っているはず。きっときっかけがあれば、先頭に立ってμ's復活のために動き出すと思うわ。まぁ、そこは……。

 

「そこらへんは、海未やことりに任せましょ。私たちは、いつ動き出してもいいように、準備を整えておくことに専念しましょう」

「うん、そうだね」

「了解だにゃ!」

「わかったわ。……でもまさか、また私の財布をあてにする、とか言わないでしょうね?」

 

 真姫の愚痴はスルーよスルー。さて、話していく中で、私の中ではあるプランが動き出していた。

 せっかく来たμ's復活の機会。これが成ったとき、そのまま終わらせるにはもったいないもの。家に戻ったら色々と動き出さないとね!

 ところで……。

 

「花陽、どうして喫茶店でおにぎり食べてるのよ?」

「え? お米は裏切らないんだよ?」

 

 

 

To Be Continued...

 

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