【本編完結】ラブライブアフター~あれから5年……   作:ひいちゃ

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第3章~海未とことり

 穂むらを出て、私は実家ではなく、秋葉原に足を向けていました。

 

 実は私は、穂乃果にひとつ嘘をついてました。

 

 それはあの郵便のこと。実は私はあの郵便の差出人を見ていたんです。穂乃果の心に余計な波風を立たせたくなかったのであんなことを言いましたが……結局あの後穂乃果自身が差出人を見たら同じですよね。

 

 そして穂乃果のもとにラブライブ運営から郵便が来たとなれば、それはμ's絡みと予想がつきます。でも、穂乃果は動かない……ううん、動けないでしょうね。あの子は、思い込んだら一直線なんです。やりたいことができたらそのために猪突猛進するのですが、それがネガティブの方向に向くと、そのことに固執して逆に動けなくなってしまう、というか。

 五年前の騒動の時もそれで大変でしたし……。

 

 でも、今回のことを逃すのは、よくないと思います。穂乃果のためにも。今回のことを逃せば、きっと穂乃果はずっと後悔すると思うから。

 

 そう考えながらやってきたのは、ある喫茶店……というよりメイド喫茶。私の幼馴染の一人、南ことりがウェイトレスをやっている店です。

 卒業後、ことりはここで引き続きウェイトレスとして働いてるんです。

 

「いらっしゃいませ! あ、海未ちゃん! こんにちは!」

「こんにちは。今日も頑張っていますね、ことり」

「うん! あ、注文はいつもので?」

「はい。お願いします」

 

 そう出迎えてくれたことりと会話を交わすと、私は席の一つに着席しました。そして、水を飲みながら待つことしばし。ケーキを持ってきたことりがやってきました。

 

「はい、どうぞ。特別製ケーキです♪」

「ありがとうございます、ことり。そういえば、メイドの仕事のほうは順調なのですか?」

「うん! 先月も、メイドランキング2位にまで上がったんだよ♪」

「2位ですか、それはすごいじゃないですか」

「えへへ、ありがと」

 

 そう言ってはにかみながら笑うことりを、私はとてもまぶしく感じました。でも……。

 

「でもよかったのですか? デザイナーになることが、ことりの夢だったのでは……。卒業したらここで働かずに、留学するという道もあったのではないですか?」

 

 私が前々から気になっていたことを聞くと、ことりはその柔らかい笑みのまま、首を横に振りました。

 

「うぅん、二年の夏の時にここで働き始めて、そして今まで働いてきて、わかったの。私のやりたいことはこれなんだって。それに、夢を諦めたわけじゃないよ? デザイナーの先生とは、インターネットでやりとりして、デザインのこと教わったり、ことりの作ったデザインを添削してくれたりしてもらってるんだよ」

「そうなのですか。良かったですね。夢に向かって着実に歩んでるんですね、ことり」

 

 そう言うと、ことりはまたはにかみながら微笑みました。その微笑みに私は、夢に向かって一歩一歩歩んでいる人の輝きのようなものを感じたのでした。

 

「あ、そうそう、海未ちゃん。花陽ちゃんから連絡来た?」

「花陽から? いいえ、来ておりませんが」

「そうなんだ。ことりから海未ちゃんに連絡してくれってことだったのかなぁ?」

 

 花陽が連絡をよこすなんて珍しいですね。何かあったのでしょうか?

 

「実はね……」

 

 ことりが語ってくれたことによると、花陽の元に、今度のスクフェス……ラブライブ・スクールアイドルフェスティバル……に、μ'sを再結成してゲスト出演してもらえないか、と依頼があったそうです。

 なるほど。穂乃果があの郵便を見て様子がおかしかったのはこのせいだったのですね。運営のほうも、穂乃果に依頼を出しても動かないことを予想して、にこの後のスクドル部の部長だった花陽のもとにも依頼を出したんでしょう。

 私たちが音の木坂の三年の時にも、μ'sに出てほしいとの声が上がっていましたが、穂乃果は動きませんでしたからね。

 

「どうしたの、海未ちゃん? 難しい顔をして」

「はい。穂乃果のことで……」

 

 ことりに聞かれて、私は穂むらでのことを話しました。それを聞いて、ことりも表情を曇らせます。

 

「そうなんだ……。穂乃果ちゃん、スクドルをやめると言ったときも大変だったもんね。三年の時とかも……。穂乃果ちゃん、昔から良い意味でも悪い意味でも、やると決めたら一直線で、止めても聞かなかったから」

「えぇ。それと、穂乃果も心の中で葛藤があるんだと思います。あの子は、本当にμ'sのことが好きでしたから。だから、自分たちで解散と決めたことと、またμ'sをやりたい、という気持ちの間で」

 

 そこまで言うと、私もことりも、黙って考え込んでしまいました。しばしの沈黙。そして。

 

「海未ちゃん、ここはやはり海未ちゃんの出番だよ! 五年前の時みたいに!」

「やっぱりそうなりますか。でも仕方ありませんね。私は貧乏くじばかりです。そんな星回りなのでしょうか?」

 

 私が冗談めかしてそう言うと、ことりも笑顔になりました。

 

「そうなのかもね。でも、穂乃果ちゃんに振り回されても嫌なことなかったでしょ?」

「そうですね、ふふ」

 

 ことりの言葉に、私も微笑みました。

 そうでしたね。穂乃果のせいで私たちは色々振り回されましたが、最後には色々と良いことがありました。木登りに付き合わされた時には、危うく落ちそうになりましたが、街のきれいな夕焼けを見ることができましたし、μ'sの時も、私は最初のほうこそスクドル活動は嫌でしたが、やっていくうちに、素晴らしい輝きを感じることができました。

 あの子が始めることは、本当にとんでもないことばかりでしたが、最後にはとても素敵な結果が待っていました。それは、あの子がそのことに対して一生懸命だからなのかもしれません。

 

 だからこそ。

 

 五年前のあの事件の時もそうでしたが、あの子が止まったまま、動かないでいることはよくないと思うのです。穂乃果には、走り続けてほしい。そしてその先にある素晴らしいものを私たちに見せてほしいし、あの子にも見てほしいと思うのです。

 そのためなら、穂乃果にカツを入れる役という貧乏くじを引くのも悪くないかもしれません。ふふふ。

 

「それではごちそうさまでした。また来ますね」

「うん。スクフェスのこと、よろしくね」

「えぇ」

 

 そう言って、私はメイド喫茶を出ました。さて、家に戻って、日舞の練習をして、それから考えをまとめてあの子を走りださせるにはどうしたらいいか考えなくてはなりませんね。

 

 今回穂乃果が動き出した時、その時には何が待っているのでしょうか。

 

 

 

To Be Continued...

 

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