【本編完結】ラブライブアフター~あれから5年…… 作:ひいちゃ
「うわぁ~」
鞠莉ちゃんがチャーターしたバスから降りた私は、目の前の光景を見て、思わず感嘆の声をあげていました。
目の前に広がるのは、一面の芝生と周囲の草原、その奥の森、そしてさらにその向こうにそびえる山々。まるで、「アルプスの少女ハ〇ジ」に出てくるような風景でした。
あ、リアルタイムで見てたわけじゃないですよっ。ビデオで見たんですビデオっ。
「千歌ちゃん、誰に向けて言ってるの?」
「え、あはは、なんでもないよ、梨子ちゃん。たはは……」
でも本当に素敵な場所です! 他のみんなも目を輝かせています。旧一年生組もとても楽しそうにはしゃいでいます。
「うわぁ~、とってもきれいな場所ずらね、ルビィちゃん!」
「うん。ルビィ、すっごく感動しちゃった……」
「ふ、ナイスなロケーションよ、リトルデーモンマリー。誉めてあげるわ」
「善子ちゃん。こんな素敵なところでまで堕天使キャラ作らなくてもいいずら」
「別にキャラ作ってるわけじゃないしっ!」
「芝生もとてもきれいずらね。こんなところで寝ころんだら気持ちいいだろうね」
「話聞きなさいよっ!」
旧一年生トリオ、とても楽しそうだなぁ。
そう思いながら、彼女たちを見守ってる私のところに、曜ちゃんがやってきました。
「本当に素敵なところだよね。きれいだし、何より走りがいがありそうだよ!」
「あはは、曜ちゃんらしいね。でも、気持ちわかるなぁ。こんなところでトレーニングしたらはかどりそう!」
「うんうん。それに、思わず叫びそうになっちゃいそうだよ! ほら、『ヨーソロー!』って」
「それを言うなら、『ヤッホー』じゃないかなぁ……」
曜ちゃんにそう突っ込む梨子ちゃんですが、そんな彼女も、なんか楽しそうに見えます。もちろん、私も、これからの合宿が楽しみです!
そして向こうのほうでは、空ちゃんと涼ちゃんが……。
「とっても素敵。おしゃれなものが買えないのが残念だけど、来てよかったかも。ねぇ、空ちゃん」
「うんー。青いそーらー、そして、緑のそうげーんー。素敵ーー」
二人とも、とっても楽しそうです。と、そこでダイヤさんが……。
「はいはーい、みなさーん。風景に見とれているのはいいですが、そろそろ別荘に入りますわよー」
「荷物を置いたりしたら、いよいよトレーニングに入るからね!」
「10時になったら、Training Roomに集合よ!」
……え?
『トレーニングルーム!?』
* * * * *
「うわぁ……すごい……」
荷物を部屋に置いて、鞠莉ちゃんの言ってたトレーニングルームにやってきた私は、また感嘆の声を上げていました。
トレーニングルームというから、スポーツジムみたいな感じかと思っていたら、全然レベルが違いすぎます!
スポーツジムのあるような施設はもちろん、とっても大きいプールなんかもあったり、スポーツジムにあるようなトレーニング器具も、普通のスポーツジムとはくらべものにならないぐらいたくさん!
「ふふ、びっくりしちゃった?」
「ここまですごいとは思いませんでしたわ……」
「まったくだよね。でも、これならトレーニングもはかどりそうだなぁ」
驚きに絶句しているダイヤさんや果南ちゃんを見て、鞠莉ちゃんはとても嬉しそうです。
でも、本当にすごいなぁ……。個室もとても素敵だったし。こんなすごい別荘を持ってるなんて。
「さて、驚くのはこの辺にしましょうか。いよいよトレーニングに入りますわよ」
「まずは柔軟体操からだよー。ケガしないようにしっかりね!」
* * * * *
「うーん。ちょっと痛いけど、これが気持ちいいんだよね~……」
「千歌、それはいいけど、気持ちいいからと言ってやりすぎると、体痛めちゃうから気を付けてね」
「はーい」
さっそくみんなで、トレーニングルームの片隅で柔軟体操!
ダイヤさんたちも、コーチやトレーナーをするというので、一緒に柔軟体操をしてます。
「いたた……。やはり体が固くなっていますわね。ブランクが空きすぎでしたわ……」
「ouch……私もそうみたい。Italiaでは椅子に座って座学ばかりだったから……。果南はそうでもないみたいね」
「まぁね。向こうの体育大学で、一杯運動とかしてきたし」
柔軟体操に苦戦しているダイヤさんと鞠莉ちゃんの横で、果南ちゃんはテキパキとこなしていきます。さすがだなぁ……。
一方の一年組はというと……。
「うーん……。手伝ってもらってごめんね、涼ちゃん」
「そんなこと、いちいち気にしなくてもいいの。はい、いち、に、いち、に」
「いてて……」
仲良く柔軟体操に励んでます。二人は本当に、仲がいいんだなぁ……。
と、そんな二人を微笑ましくみている私の横で、梨子ちゃんがなぜか、少し難しい顔をして二人を見てました。どうしたんだろう?
「どうしたの、梨子ちゃん?」
「うん。なんか、ちょっと二人の様子がぎこちないような気がして。空ちゃんが遠慮しているような……」
そう首をかしげながら言う梨子ちゃんのところに、曜ちゃんがやってきました。
「そうかなぁ。別に普通だと思うけど……気のせいじゃない?」
「うーん、そうかも……変なこと言ってごめんね」
そして私たちはまた、柔軟に戻りました。
それが終わったら、いよいよトレーニングの始まりです!
* * * * *
まずは遠泳から! とはいっても、この別荘の近くには海がないので、代わりにプールを何往復ですけどね。
「うーん。やっぱり泳ぐと気持ちがいいね~」
「それはいいけど、最初から飛ばしすぎると、後がきつくなっちゃうよ、千歌ちゃん」
「うん~」
そうは言っても、やっぱり気持ちよすぎて、つい飛ばしたくなっちゃうんだよね~。それで結局後になるとへばっちゃうんだけど……たはは。気を付けないと。
二年生(旧一年生)組のほうはというと……。
「ふぅふぅ……きついよぉ、お姉ちゃん……」
「まだ序の口ですわ、ルビィ。頑張るのですよ」
「うぅ……お姉ちゃんはいつもルビィに厳しいの……」
「ルビィちゃん、ファイトずら」
「う、うん……」
「ルビィ、頑張りなさい。このヨハネが加護を授けてあげ……ごぼごぼこぼ」
「あぁっ、善子ちゃん~~!!」
「余裕ないのに泳ぎながらしゃべるからずら……大丈夫ずら?」
「え、えぇ、なんとか……」
うん。仲良く頑張ってるみたいです。本当に仲良くて何よりだね。
そして次は腹筋と腕立て!
「うーん。腹筋腕立ては、中学の陸上部でよくやってたけど、やっぱりちょっときつい~な~」
「陸上も運動も何もしてない私も頑張ってるんだから、空ちゃんも頑張るんだよ」
「う、うん~……。心配かけてごめんね、涼ちゃん」
一年の二人もとても仲良く腹筋と腕立てに励んでいます。特に空ちゃんは元陸上部だけあって、きついきついと言いながらも、すいすいとこなしていってるみたいです。さすが陸上部! 一方の涼ちゃんはマイペースにこなしていきます。
そしてそんなこんなしながら、一日は終了!
これからもこんな楽しい合宿が続けばいいなぁ……。
と思っていたんだけど……。
* * * * *
この日の最初のメニューはランニング! みんなでトレーニングルームのランウェイを何周もします。
みんな思い思いのペースで走っていて、私も、曜ちゃん、梨子ちゃん、そして空ちゃんと一緒に走っていました。
そして何周かしたころ、ふと空ちゃんの足が止まりました。
「あれ、空ちゃん、どうしたの?」
「千歌ちゃん、涼ちゃんは……?」
空ちゃんの質問を聞いてあたりを見回すと、確かにランウェイに涼ちゃんの姿はありませんでした。おトイレに行ったのかな?
「そういえばいないね。席外してるんじゃない?」
曜ちゃんがそう答えますが、その言葉は何か空ちゃんの耳には届いていないみたいです。
空ちゃんの表情が、迷子になった子供のような、不安に満ちたものに変わっていきました。その表情のまま、まるではぐれた親を探す子供のように、おろおろと周囲を見回しています。
空ちゃん、様子、何か変……?
「いや……涼ちゃん、どこにいるの……? 涼ちゃん、涼ちゃ……!」
いつもの明るく元気な様子はどこへやら。ひどく取り乱して動揺している様子の空ちゃんに、私たちが戸惑っていると……!
「……っ、あっ、かはっ……!」
「空ちゃん!?」
突然、空ちゃんはその場にへたり込むと、変な呼吸を始めました。それが尋常でなく大変なことであることは、私にもよくわかります。
だから私は、大声でみんなを呼んでました。
「みんな、大変! 空ちゃんが!!」
To Be Continued...