【完結】調の軌跡   作:ウルハーツ

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終-2

 無事に塩の杭を攻略し、空に浮かぶ要塞を守る結界を維持する機能を無効化した鉄騎隊とティア。他の杭でも攻略は完了した様で、リィン達新旧Ⅶ組は作戦通り要塞への突入に成功した。騎神を扱えるのはリィンとクロウだけ。故に彼らへ思いを託して、全員はカレイジャスⅡへ帰還した。

 

「あぁ、無事で良かったよ、ティアちゃん!」

 

「わぷっ! あう、アンゼリカ……苦しい」

 

 戻るや否やアンゼリカの抱擁を受けたティア。その傍では同じ様に待っていたティオが両手を広げて待っており、どうやら本来であれば彼女がするつもりだったのだろう。だが取られた事で少し面白く無さそうな表情を浮かべると、それに気付いたアンゼリカは片手でティアを抱きしめながらもう片方の手でティオを抱きしめ始める。

 

「ふふふ、姉妹纏めて私の者だ……!」

 

「アン。まだ全部終わった訳じゃ無いんだから」

 

「ふっ、分かっているさ」

 

 そんな彼女を注意するのは、見た目ふくよかな男性……ジョルジュ・ノームだった。彼もアンゼリカやクロウと同じ旧Ⅶ組の先輩的な存在であり、それと同時に先日までは結社と帝国の側に付いていた。クロウやアンゼリカ、ティアに仮面を付けたのも彼である。

 

「今更遅いのは分かっている。だけど……済まなかったね」

 

「ううん……デュバリィと、クロウが……言ってた。私を……助けてくれて、ありがとう」

 

 そして、ルーファスに撃たれたティアの命をこの世に繋ぎ止めたのも彼であった。身体に残った弾丸を除去して、傷が悪化しない様に治療を続けたのは彼だったのだ。彼と親交のあったクロウや、話に聞いていたデュバリィからそれを聞いていたティア。彼の謝罪に首を横に振って、彼女はお礼を言う。ジョルジュはそれに一度目を閉じてから、その場を去った。

 

「さぁ、共に様子を見ようではないか」

 

「取り敢えず、私とティアを離してください」

 

 アンゼリカの言葉に冷たく返したティオは、解放されると共にティアを連れて別室へ移動してしまう。

 

「あぁ、私の愛しい天使たちが……」

 

「自業自得ですわね」

 

「むっ。ふふ、こうなったら仕方無い。鉄騎隊筆頭のデュバリィたんを愛でるとしよう!」

 

「な、何でそうなるんですの!? 後その気持ち悪い呼び方を今すぐ止めなさい!」

 

 ティアが帰還した故に、当然ながら一緒に居た鉄騎隊の面々。その中でデュバリィが今までの光景を見ていた為、アンゼリカへ告げた途端。彼女の狙いはデュバリィへ移ってしまう。伸びて来る手にたじろぐデュバリィ。そんな彼女を置いてアイネスとエンネアは巻き込まれない様に離れ、アリアンロードも気付けばその場から姿を消していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 塩の杭での戦いからしばらく。空に浮かぶ要塞の外に多数の人影を感知した事で確認。それがリィン達だと分かり、彼らの元へ近づき始めていた。ヴィータやローゼリアの魔術を通して聞こえるのは、黒との戦いに勝利した事。その結果、黒の起動者が抱えていた呪いがリィンを蝕み抑えきれない事。……そして黒のアルベリヒと同一人物でありながら違う、アリサの父……フランツ・ラインフォルトによってそれをリィンの中から追い出し、呪いを実体化させる。つまり倒せる存在(・・・・・)にする事。

 

「まさか……そんな、事が……」

 

「マスター!?」

 

 話を遠くから聞いていたアリアンロードはその会話に普段は見せない動揺を見せる。そして彼らの手によって空に浮かぶ要塞の傍に、それは現れた。黒の騎神イシュメルガから生まれた呪いが具現化された姿、イシュメルガ=ローゲ。その大きさは騎神や機甲兵よりも遥かに大きく、だがそれを倒せば……今までの戦いの元凶を討つ事が出来る。

 

「皆の衆、準備は出来ているかな?」

 

「あぁ、勿論だ!」

 

「リィン君達ばっかりに頼る訳にはいかないもんね!」

 

「黒を……呪いを……討つ事が、出来る」

 

「リアンヌ! お主の本懐、妾も共に果たそうではないか!」

 

「マスター、私たちも共に参りますわ!」

 

「ママ!」

 

 オリヴァルトの言葉を合図に、ロイドやエステルを始め続々と戦闘の準備を始める面々。やがて匣と呼ばれる力を使う男性の力で空中に足場が展開され、ヴィータやローゼリアの魔術で全員は転移を開始。リィン達と共に呪いの元凶と対峙した。

 

「これが、黒」

 

「レンちゃん……」

 

「とんでもない存在感ね。とても、禍々しい」

 

「あぁ、近づくだけで身体が震えて来やがる。ティータ、無理はするなよ!」

 

 エステルの傍で、双剣を構えるヨシュアが。鎌を構えるレンが。重剣を構えるアガットが、オーバルギアと呼ばれる機体に乗る少女……ティータ・ラッセルと共に目の前の存在と対峙し、武器を握る手に力を籠める。

 

「はっ、やってやろうじゃねぇか!」

 

「彼らの為にも、私達の全身全霊を持って!」

 

「エイオンシステム、限界突破(リミットブレイク)! 援護は任せてください!」

 

 ロイドの傍では、スタンハルバードを手にランディが。導力銃を構えてエリィが。魔導杖を使って戦闘準備をしながらティオが告げる。

 

「ふふ。美しき少女達の笑顔の為にも、アンゼリカ・ログナー。全力で行かせて貰おう」

 

「動機が不純なのは君らしいね。……僕も、全力でやらせて貰う!」

 

「妾も久々に全力で行くかの!」

 

「ふふっ、御婆ちゃん。無理し過ぎると明日辛いわよ?」

 

「全く、お前ら少しは緊張感を持てっての。ま、無駄に気負うよりは楽で良いかね」

 

 拳を握るアンゼリカと、アルティナやティアの様に傀儡を背に構えるジョルジュ。その傍では杖を手にローゼリアと扇子を手に構えるヴィータが会話をし、そんな彼女達の会話に頭を抱えながらトヴァルが共に対峙する。

 

「師よ、共にかの者を打ち倒しましょう」

 

「ふっ。元より。我がアルゼイド流の全身全霊を持って」

 

「私もお嬢様の為に、ラインフォルトに仕えるメイドとしてお力添え致しますわ」

 

「団長の為に。何よりフィーの為にや!」

 

「帝国の呪い、俺達の手でここに終わらせてやろう!」

 

 オーレリアがラウラの父であり、片腕を失っても尚実力を損なわないヴィクター・アルゼイドと共に。そしてそんな2人の後ろで鋼線と短剣を手に構えるシャロンと、嘗てパンタグリュエルでティアが出会った西風の旅団の2人……ゼノとレオニダスが構える。

 

「これが、マスターの狙いだった……黒」

 

「悍ましく、汚らわしく、悲しい……まるでこの世の負を集めた様な存在ね」

 

「怖い、けど……負けない……!」

 

「我ら鉄騎隊の全力を持って、討たせて貰おう!」

 

「……相克での敗戦によって、私の手で討つ事は二度と適わないと思っていました。ですが、これも巡り合わせなのでしょう。ティア。貴女には少し、無理をさせるかも知れません」

 

「大丈夫……ママの為に……皆の為に……頑張る!」

 

 目の前の存在に構えながらデュバリィとエンネアが告げると、恐怖を感じながらも逃げる事無く立ち向かおうとするティア。そんな彼女の姿にアイネスはハルバードを手に構え、アリアンロードが胸に手を当てながら呟いた後にティアへ告げる。言われた彼女が力強く頷いてグラーシーザを呼び出せば、アリアンロードも槍を手に構えた。

 

 その巨体を相手にするとなれば、分かれて別々に攻撃するのが得策。足場は自然と動き、リィン達は前面のイシュメルガ=ローゲ本体と。エステル達とオーレリア達は右上へ移動し、その本体を守護するローゲ=オウガと。ロイド達とデュバリィ達は左上へ移動し、同じく本体を守護するローゲ=アウラと対峙する。カレイジャスⅡにはアルフィンを始め様々な者達がオーダーによる支援を行う為に待機しており、全ての戦力がこの戦いに注がれていた。

 

「皆……各自全力で黒を……呪いを討ち倒すぞ!」

 

≪応!≫

 

 リィンの言葉に全員が一斉に答え、それを合図に呪いとの最終決戦が始まる。

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