クリスマスの魔法   作:ATNAS

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12.&13.リュウ

結局一番でかいサイズのレジ袋5袋分くらいの材料を買わされた。

重い…

だが今日学校が終わったのは3時半。

今は4時5分。

仕方ないか。俺は一度家に材料を置いてくることにした。

で、家に向かおうと一歩足を踏み出した時に電話がリンリンリン。

見るとさっき登録したばかりの愛璃の電話番号だった。なんだ?

「そろそろ買い物を終えて荷物を家に置きに行こうと一歩足を踏み出したくらいかもしれないリュウ?ちょっと荷物を置いてきたら比較的キレイと思われる川でザリガニを5、6匹匹釣って来てくれない?」

は?意味がわからない。

何故かと聞こうとしたがブツリと電話を切られてしまった。

あの馬鹿野郎…いや、野郎じゃないな。あのアホレディー…。

13.リュウ

よくわからないが、取り敢えず釣ってくることにした。

先に家に帰って荷物を冷蔵庫に入れ、制服から私服に着替えトレンチコートを羽織り、外に出る。

しかしこの年齢で堂々とザリガニ釣りをしていては恥ずかしいのでコンビニでスルメを買ってきた後、木の枝ではなく普通の釣竿を二本持ってきた。

そしてそこそこ大きい川に向かう。

カモフラージュの為に片方では普通にルアー釣りをする。

釣りとか久しぶりだな。

俺は中学校の時釣り部に入っていた。

放課後になると後輩と共に近くの皿池まで足を繰り出したものだ。

だけど高校に入ってから一度も行っていない。

俺は今高2だから、本当に久しぶりだ。

手慣らしに小バス(小型のブラックバス)と遊びつつ、ザリガニがかかったのを視認するとひょいと引き揚げる。

今は夕方のマズメ時(筆者注:マズメ時とは早朝と夕方の魚が積極的に捕食活動を行う時間のことで、釣り人はよくこの時間帯を狙います。)なのでよく釣れる。言われた通りに4匹釣った後はしばらくデカバス(大型のブラックバス)とガチンコしてから帰った。

いやぁ、楽しかった。

そしてそのままあの場所へ直行。

すでに愛璃はそこで待っていた。

今日はブレザーにロングスカートの制服姿だ。

愛璃の高校は今日七時間目まであったようだ

「遅いよー。」

悪い悪い。

後で飲み物でも奢ってやるから。

「もう一声!」

んあ?調子にのるな。

せっかく奢ってやるって言ったのに全部無しにするぞ?

「顔にクリスマスケーキぶつけるぞ?」

降参だぞ?

俺たちはおかしくなって吹き出した。

わかったよ。

コンビニで好きなデザート一個だけ買ってやるよ。

「やったー!」

ただし料理できてからの後払いな。

「そういうところだよリュウ!」

いや、どういうところだよ。

とりあえず、俺のウチに行くぞ。

後ろ乗れ。

「うわっほ!私二人乗りした事ないんだよね。」

じゃあ初めての二人乗りだな。

まぁ実は俺も初めてだったりする。

「寂しい人種だね〜」

おい、これに関してはおあいこだろ。

「あっはは〜、バレた?」

バレるもクソもねぇだろ。

「はいはいそんな事で怒らない!」

怒ってねぇよ。

「あーそうだね!よししゅっぱぁーつ!」

ワタクシの話をちょっとは聞い当てくれませんかねぇ?!

もう、いいか…(聖諦)

そして俺は出来るだけ早く、かつ安全に愛チャリを走らせ始める。

「わぁ!はやいぜ!ハラショー!」

…幼児の面倒みてる気分だ。

「ん?なんか言った?」

ヴェ!マリモ!(いえ、何も!)…痛い!?背後から容赦ないアイアンクロー。

こいつ、聞こえてた上で聞いてきやがったな?

「嘘をついたらダメなのさ!謝れぇぇぇえええ!!!」

いや、怒るポイントそこn痛い痛い痛い!危険が危ない!?落車するからやめてください?!

「嫌です。このままなら私は落車する方がマシです!言わなきゃいけない事は?」

いや、言うからまずはそれをやめてくれ!

「駄目です!ごめんなさいは?」

痛い痛い痛い痛い痛い痛ってもうすぐ交差点だ!?死ぬ死ぬ死ぬ助けて!?

愛璃がさっきの閻魔退散の顔になった。

「ごぉめぇえええんなさいはぁぁぁあああ?」

ごめんなさあぁぁあああああい!!ブレーキが間に合わないもう駄目だ。

交差点の対向車と激突するかと思われたその刹那、愛璃の眼が赤と緑に輝いた。

そして赤と緑以外消えた。もう、光しか見えない。

宙に浮くのを感じる。

気付いたら俺たちは交差点を越え住宅街へ向かって裏道走るチャリの上に着地していた。

ここは直進だ。

そしてほとんどの場合誰も来ない。

後ろを振り返ると光の粒子を振り払った愛璃がキッと俺を睨んで言った。

「嘘つくとろくな目に合わないってわかった?」

わかったよ。

そして俺は愛璃を睨み返す。

わかったが2つ言わせてくれ。

「なに?」愛璃も負けじと俺を睨んでくる。

能力にものを言わせて人に言う事を聞かせるな。

そんなつもりもそんな感情も無いのはわかってる。

…わかってる?俺は愛璃の何をわかってるんだ?何を根拠に…俺は…。

くそ、まぁいい。

要するにお前のやり方はダークサイドに堕ちた奴らがやってる事と一緒だ。

もうちょっと方法を考えろ。

そしてもう一つ。

お前、今の時期の能力は未完成で弱いんだろ?あれだけの事をするのにどれだけの体力を使ったんだ?どれだけの無理をしたんだ?失敗したらどうするつもりだったんだ?

感情に振り回されずにもうちょっと自分を見つめろ。

見ている身にもなってみろ。

心配でそれどころじゃねぇ。

「心配、してくれるんだ。」

当たり前だろ!お前は俺の…俺はお前の……俺の……

「答え、られないよね?でもそれで良いよ?出会ったばかりなんだから…でも、ありがとう…ね……」

愛璃は何かを諦めたような弱々しい笑みを浮かべた。

ガクッと俺の背中に沈み込む。

一瞬ビクッとしたが、疲れて眠っただけのようだ。

落ちると困るので俺は後ろに片手を回して愛璃を支えながら一度チャリを止める。そのまま揺すっても「起きろー!」と大声上げても起きないのでどうやって家に連れて行くか散々悩んだ挙句俺は釣り糸を取り出し、俺に引っ掛けると愛璃の背中に回し、痛く無い程度に縛った。

俺の釣り糸のおかげで落ちる事は無い。

だが…

俺は背中に当たってくる愛璃の身体の体温にソワソワしながらチャリを漕ぐ羽目になった。

何やらせてんだよ…罪悪感的何かが半端ないし本人寝てるし…

覚えとけよ…

 

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