『射命丸文』が現在に至るまで   作:parui

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決戦パート


第二十二話【風を斬る】

「スクープですね!」

「そうかね?私はよくわからないが·········」

 

止水さんが不思議そうに尋ねてくる。

その姿はあまりにも鬼のようには見えない。

やはり鬼じゃないんじゃないか?

手を顎に当て考える。

考えてみれば鬼の中にも元は人間だったりする者もいる。

水橋パルスィだ。

 

「フフ··········ぁい·····よ」

 

彼女は元は人間で、嫉妬の力で妖怪になった。

もしかして止水さんも何かの経緯があって············。

 

「射命丸!」

 

思考の海に潜っていた私に鋭い声が飛ぶ。

我に帰ると目の前まで刃がきていた。

 

「うわぁっ!?」

 

頭を抱え下にしゃがむ、所謂カリスマガード状態になって回避する。

刃は私の頭上を通っていく。

間一髪だった。エンヴィーめ、不意討ちとはやってくれる。

まぁ、悪いのは私なんだけどね。

にしてもまさかカリスマガードが役に立つとは。

なんでも役に立つときは立つものだなと感心していると、

休ませる時間など与えんと言わんばかりに刃が飛んでくる。

紙一重でかわす。

今度のは不意討ちじゃないから余裕だ。

一つ気になる点はあったが··················。

 

「ちぃっ!」

「さっきのでわかったでしょう?大人しく降参しなさい」

 

少し呆れながら言い放つ。

 

「このエンヴィーが負けるだって?そんなことあるわけないだろう?」

 

しかしエンヴィーは、

邪悪な笑みを浮かべながら明るくて緊張感の無い声で返す。

まるでそれが当たり前かのように。

まるでそれが常識かのように。

 

「見せてやるよ、このエンヴィーの本当の姿を」

 

ぐちゃ

 

エンヴィーの体が裂ける。

 

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ

 

エンヴィーの体から何かが出てくる。

 

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ

ぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃぐちゃ

 

そして最後には、元の十倍以上の大きさをした、

人の顔が、手が、足が蠢く醜い怪物になった。

 

さっき気になった点、それは重さ。

エンヴィーの体は小さい。私より小さいのだ。

しかし、エンヴィーの走った場所は、すこしヒビがはいっていた。

見た目に釣り合わない重量、それが気になる点だった。

 

その謎は解明された。いや、解明されてしまったというべきか。

このまま終わってくれたら幸せだったのに。

ただ、もう仕方がない。

もうどうしようもないんだ。

とてつもない絶望感に襲われ、崩れ落ちるように膝が地面に落ちる。

 

「アハハハハ!捻り潰してやるよ!」

 

沢山の声が混ざった不快な声で笑うエンヴィー。

私はそれを見て、聞いて、泣きそうになる。

目尻に涙が溜まる。

 

その涙が零れそうになった時、私はある言葉を思い出す。

 

エンヴィーの手が頭の上に来る。潰す気なのだろう。

 

私はそれを、

 

斬る。

 

「な!?」

 

今までになかった攻撃に、エンヴィーは驚きを隠せないでいる。

私はシャツで零れそうな涙を拭い、顔を上げる。

 

そして、笑う。

 

「なんで笑ってんだよ!?さっきまで絶望の奥底にいただろ!?」

「五月蝿いわね、さっき言ったけどもう一度言うわよ·············」

 

どうしようもない?あぁ、うん。もうこうなってしまったからか。

でも·················でも、

 

「手加減してあげるから本気でかかってきなさい!」

 

負けると決まったわけじゃない。

『有り得ないなんてことは有り得ない』。

 

「射命丸文、いざ参る············」

 

小声で呟く。

息を整え、ゆっくりと、言葉の残した芭蕉扇を上げる。

それを素早く降り下ろし、

 

-風を斬る。

______________________________________________________

 

「射命丸··········良い顔になったじゃないか·········」

 

止水が満足気に呟く。

その下にはグラトニー(名前は射命丸思考中に判明)が敷かれている。

椅子がわりに使われているようだ。

 

「いやぁ、お前さんも大人しくなってくれて助かったよ」

「うぅ········ラストォ···············」

「アッハッハッハッ!助けなんぞ来んよ!博麗の巫女じゃ相手が悪い。

にしてもあいつ、格闘術十分じゃないか。まぁ、先代の背中を見て育ったんじゃあ、

弱いと勘違いしてもしかたがないがね」

 

止水はこの時、気づいたことがある。

それは影から注がれていた、野生の殺意を含む視線があったことだ。

止水は気づいていて、あえて気づかないふりをした。

それがなにもできないことを知っていたから。




割りと長めに作りました。
出来はともかく。

高校が嫌すぎて辛い。

MMD始めました。出来ないけど。
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