『射命丸文』が現在に至るまで   作:parui

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デデドン(絶望)


第二十三話【天狗と嫉妬】

エンヴィーが来る。

風で斬る。

来る。

斬る。

来る。斬る。

 

来る斬る来る斬る来る斬る来る斬る来る斬る来る斬る来る斬る来る斬る

 

何度繰り返しただろうか。

続くループに私の体は疲弊し、前は霞んで見えてきた。

足はガタガタだし、腕も重い。

そんなボロボロの私を支えているのは心だけだった。

 

-生きないと。

 

-言葉に怒られる。

 

-生きるんだ。

 

-絶対に。

 

必死に自分に言い聞かせる。

エンヴィーも再生がかなり遅くなっている。

このままいけば勝てる。

全身に力を込め、疾風の如き速さで懐に潜り込み、もう一度斬る。

 

何故だろう。

風で斬るという初めてのことをしているのに、まるでいつも通りのように自然にできる。

何故だろう。

 

その疑問を頭に浮かべる。

だが、疲労で頭は回らない。

思考をやめ、戦闘に集中する。

 

斬ったエンヴィーの体からドス黒い血が吹き出る。

私はそれを浴びる前に離れる。

 

「あ······················」

 

エンヴィーの中からさっきまでの人型が出てくる。

再生を続けているが、限り無く遅い。そろそろ限界のようだ。

 

「まだ················続けますか?」

「···············チッ·······もういいよ、死にたくはないからね」

 

エンヴィーが私の後ろを指す。

そこには霊夢さんと止水さんがいた。

あぁ、勝ったのか。

確認もせず安心しきった私は抵抗もせずに眠りの中に潜り、意識を手放した。

_____________________________________________________________________

 

「ん·············」

 

ドタドタという音で目が覚め、ゆっくりと瞼を開ける。

木の天井·········どこだ?

起き上がろうとする。しかし、全身に痛みが襲い掛かる。

 

「っつぁ·············!」

 

呻きながら布団に体を落とす。

少し考えれば、いや考えなくてもわかることだが。疲労による筋肉痛のようだ。

無理したからなぁ·············。

苦笑いしながらふへへと少し笑う。

そのまま寝ていると、襖がストッと開く。

 

「やぁ、射命丸。起きたのかい」

「はい···········、止水さんも勝ったんですね」

「当然だろう?私は鬼なんだ」

 

笑う止水さんに釣られて私も笑う。

傲慢だとは思わない。鬼はそういう種族なんだから。

 

「にしても射命丸、強くなったね·············」

「い、いえいえ!全然強くないです!」

「いや、強くなったよ。私でも勝てるかどうか···········

って鬼がこんなこと言っちゃいかんね。今のは誰にも言わないでくれよ?」

「はい···········」

 

やっぱりこの人鬼っぽくないなぁ··········。

何度も考えていることだけどやっぱり思う。

止水さんはまるで人みたいだ。

 

「あ、そういえばここはどこなんですか?」

「博麗神社さ、あの後私がここまで運んで看病したんだよ?」

「へぇっ!?あああ、ありがとうございます!」

「いいんだよ、そんな焦らなくて。私が勝手にやったんだから」

 

止水さんがクククと笑う。

 

「そういえばホムンクルス達は·······?」

「あいつらなら送り返された。

紫のやつが文化バランスが崩れるって言って怒ってたから、

相当な技術か何かを持っていたんじゃないかな」

「そうですね···················」

 

グリードさんはいい人だったのになー。

少し残念に思う。

 

「じゃ、もう一回寝な。動けんだろう」

「あ、わかりました」

 

そう言って止水さんが部屋から出ていく。

さて、もう一度寝よう。

 

まだ疲れが残っているのか睡魔は直ぐに来て、私を意識の外に誘っていった。

 

次目が覚めると動けるようになっていて、お礼を言って家に帰った。

止水さんはいなかった。

きっとそこらを歩いているのだろう。

 

日常は直ぐに帰ってきて、新聞の原稿という現実を私に突き付ける。

ただ私には、その現実すら愛しく感じられたんだ。




裏タイトル
第二十三話【もう一つの賢者の石~Another Philosopher's stone~·終】

また異変終了。
当分戦闘ものは書きたくないです。
苦手ですから。

次のは何にしよう。
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