博麗の巫女、博麗霊夢さんが帰るための結界のスキマを作ってくれて、
俺は二人に別れを告げ、帰ろうとする。
その瞬間、風が吹き荒れた。
俺は吃驚して、後ろを振り向く。
そこには、あきれた顔をした霊夢さんと、涙を流した射命丸さんがいた。
さらに吃驚している俺に、射命丸さんから言葉が投げ掛けられる。
「啓介さんあなた、幻想郷に残る気はありませんか?」
「え························すみません。ありません」
突然の問いに少し沈黙したが、なんとか返答を返す。
俺は残る気はあまりない。オカルト好きとしては残りたいが、
飯野啓介という人間としては、帰りたい。
向こうには友も、家族もいる。そいつらを悲しませる訳にもいかない。
明確な返答を聞いた射命丸さんは、数秒苦笑いして、微笑んだ。
「力ずくでも返さないと言ったら?」
「··········霊夢さんに、勝てるんですか?」
正直聞きたくなかった言葉を聞いて、
少し焦るが、恐らくは強いであろう霊夢さんの名を出し、様子を見る。
意味がないことはわかってる。
霊夢さんはさっきから、欠伸をしたりしながら、なにもしないでいる。
今は関わらないでいるつもりだろう。
名を出しても効果は見込めない。
「いえ、無理です。ただ、あなたを連れて逃げるくらいならできます」
ほらね。
「···あなたは何故俺を幻想郷に残したいんですか?」
「わからないんですか?」
わかります。
これでわかってなかったら相当なバカだろう。
わかっている事実を言葉にし、口に出す。
「言葉さんと瓜二つだからですか」
「瓜二つ、というのは間違ってますね」
「え?」
「あなたは言葉なんです」
「なっ!?」
意味不明な言葉に言葉が詰まり、頭のなかが掻き乱される。
どういうことだ。俺が言葉さん?違う、俺は飯野啓介だ。
この人は何を言っているんだ?訳がわからない。
頭が回らない。息が少し荒くなる。
そんな状態で、彼女が続ける言葉を聞く。
「幻想郷で死んだ言葉が転生したのが、あなた飯野啓介です」
「·········」
「同じ顔の者というのは双子以外存在し得ません。
きっと私のせいで転生できずにいたんでしょうが、閻魔様の慈悲かなにかで転生できたのでしょうね」
「·········」
「あなたは言葉なんです。そして私は、あなたを見ていたい。だから幻想郷に残ってほしいんです」
彼女の続いていた言葉が終わったところで、ゆっくりと口を開く。
「射命丸さん·················」
「なんでしょう?」
答える彼女に対して、言葉を続ける。
「あなた、残す気なんてないんですよね?」
「え?なんでですか?」
彼女の顔を指差して、更に言葉を続ける。
「涙を流しながら、そんな悲しい悲しい顔をしながら、
そんなことを言われてもそんな気があるとは思えません」
「え?」
射命丸さんが、自らの目元を指で触れる。
涙は指に付き、彼女はそれを苦笑いしながら見る。
「アハハハ···········、ダメだなぁ私、やりきれてないや············」
「今のは、自白と見ても?」
「はい、いいですよ」
涙を拭き、微笑みながら肯定する。
「なんでこんなことをしたかは、聞かないでおきます」
「ありがとうございます、その方が助かります」
「でも、きっとあなたにとって重要なことだったんですね」
「はい、とても、とても重要なことでした。ご迷惑を掛けて、申し訳ありませんでした」
「あー、はいはい。いい話だったわねー。で、早く通ってくれないと困るんだけど」
霊夢さんが、拍手をしながら間に入ってきて、ダルそうに言う。
この人いいキャラしてるなぁ。
「はい、もう行きます。ありがとうございました」
「では、啓介さん。さようなら、もう会うこともないでしょうが······」
「いつか、会いに来ますよ。多分」
少し悲しそうな顔をしながら、別れの言葉を告げる彼女に、
俺は笑顔でそう言い、最後に
「またいつか、また会いましょう!」
と言って、スキマを越えた。
越えた瞬間、景色は変わる。
越える前は綺麗な神社だったのに、越えた瞬間、寂れた神社に変わった。
後ろを振り向く、しかしそこには誰もいない。
俺は安堵し、スマホで位置確認する。
幸いそこは、家からそう遠くない場所だった。
そして、俺は家路につく。
ビルや建造物に妙な安心感を覚えながら。
彼が、後に幻想郷に行くのはまた、別の話だ。
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彼女が何故あんなことをしたのか。その理由は迷いを断ち切るためだ。
そして彼女はこの一件の後、その前より風を操れるようになっていたという。
また、彼女が、彼が後に幻想郷に来たときに迎え、少しの間世話をするのも別の話だ。
何故か書けなかった。ホントに。
そのまま無理したからダメなままです。
いつか、書き直します。
すみません、すみません。
約2000文字の長編。
GWの宿題が多すぎて詰んでる。