因みに後書きで毎回本編では出てこない事実を書いていきます。
第二話【風を操る程度の能力】
「うん、おいしい·········」
私が『誰かわからない私』から『文』になり『射命丸文』になってから
既に3年経過していた。
言葉と夫婦になってからは、仕事は分担して行っている。
私は家事を主とし、言葉は仕事を主とする。
私には羽根があるから、仕事を手伝いには行けない。
だから、空いた時間で薪を燃やすための木の枝や山菜を
取りに行ったりしている。あとは罠を仕掛け兎などを取ってきている。
妖怪なんだから猪でも狩ればいいのでは?と思うかもしれない。
確かに私は妖怪だ。
歳をとっても見た目は変わらない。羽根もある。
それに怪我をしても簡単には死なないだろう。
だけど、それ以外は人と大して変わらない。
力も少し強いくらい。
猪を狩る力などない。
ただ、妖怪には『○○程度の能力』という物があるらしい。
これは博麗神社という私達がたまに行く神社の巫女さんに教えてもらった。
博麗の巫女は悪い妖怪を退治するらしいが、
言葉が大丈夫だと言ってくれたおかげで、関係は良好だ。
名は『博麗霊那』というらしい。優しい人だ。
彼女は私の質問に答えてくれた。
『私が天狗であること。もっと詳しく言えば恐らく鴉天狗だということ』
『妖怪には【○○程度の能力】があるということ』
この二つが現在彼女との会話で知ったことだ。
言葉の考察は割りと合っていた。
だが、鴉天狗であることはそこまで気にしていなかった。
人と暮らしているのだ。あまり関係ない。
しかし、能力の方は気になる。
もしかすると役に立つものかもしれない。
私は霊那さんに聞いた。
能力がわかる方法はあるのかと、
すると彼女はこう答えた。
「能力は基本、自己申告だから自分で見つけるしかないわね」
そのあとそれを聞いた私は彼女に礼を言い、博麗神社を後にした。
そして考えた。
自分の能力はなにかと。
しかし、答えはでなかった。
諦めきれなかった私はまだ考えた。
しかし、答えはでない。
ついに諦めた私は残っている家事を始めた。
今はその残った家事をしてる最中だ。
「ただいまー」
「おかえりなさーい」
言葉が帰ってきた。
言葉も三歳を取ったが、まだ若い。今、28歳だそうだ。
私は急がねばと思い、少し料理を作るのを急いだ。
「夕食はもうちょっとでできそうだな」
「うん。ちょっと待ってね。すぐ作るから」
できた。今日の夕食はご飯と豆腐の味噌汁、あと鳥の燻製だ。
···············鳥系の料理は自分が鴉天狗なせいか悲しくなってくる。
そんな暗いことを考えないようにしながら、
私はいつも通り、料理を部屋に運んだ。
そこまではいつも通りだった。
家の壁が吹き飛ばされるまでは。
私が料理を置いた瞬間、壁が吹き飛ばされたのだ。
舞い上がった誇りや砂の奥に影が見える。
私も言葉もわかった。
あれは『妖怪』だと。
私達は青ざめた。しかし青ざめながらも壁まで下がった。
すぐに妖怪の正体はわかった。
天に向かうように生えている角。大きな体。
「····················鬼だ」
「ん?なんで天狗がいるんだ?」
「あ··············うぁ·········」
恐怖で思考がふちゃぐちゃになった。
だが、ただ一つわかることがあった。
《こいつは私を食う気はない。だが言葉を食おうとしている》
それだけは理解した。
案の定、鬼はまぁいいやと言って、言葉のほうに近づいていく。
言葉を恐怖で言葉も出せていなかった。
ただただ青ざめた顔で、鬼を見ていた。
言葉が食われる?
嫌だ·············嫌だ·······嫌だ···嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
青ざめた顔でそう考えていた私は無意識のうちに叫んでいた。。
「嫌だ!」
私が叫んだ瞬間、突如家のなかに風が吹き荒れた。
その風は鬼の体を切り、切り刻み、最後には首を切った。
「え····················?」
言葉を摩訶不思議な現象に驚いていた。
しかし、私は驚かなかった。
本能的に理解したからだ。
『私の能力は【風を操る程度の能力】なのだと』
「これが私の能力·············」
恐怖は気がつけば消えていた。
私のなかには言葉を守れるという事実に対する喜びだけがあった。
その夜、私は眠る言葉を守り続けた。
現在、霊夢たちの時代から約1?00年前。