別世界の異邦者 作:みども
帝国が誇る陸上部隊『たちかぜ』。
恐竜をモチーフにした種族『ディノドラゴン』が多くいるこのクラン。デザインから人気が高いが、たちかぜ特有の武装ゲージ、そして仲間を犠牲にして発動する強力なスキル。考えなしにスキルを使えば瞬く間にデッキアウトや戦列の不足に陥るし、アクセルの特徴である4つ目のトリガーのフロントトリガーを採用するかなどトリガー構成に関してもデッキの特色によってファイターに選択を迫るなど、非常に扱いの難しい玄人用のクランである。
しかし、使いこなすのは骨が折れる反面、使いこなせればそれは他のドラゴンエンパイアの追随を許さない桁違いの火力や連続攻撃、隙のない防御という強力な効果を発揮する。
「鎮まぬ怒りに身を任せ、相対する敵全てを滅ぼせ! 『餓竜 ギガレックス』にライド!」
店長がライドしたカードは、たちかぜのグレード3『餓竜 ギガレックス』。
長らく愛用しているカードというだけあり、何度も対戦したことがある相手だ。スキルは知っている。
けど、それでもこれを使いこなす店長は慣れている相手にさえ容易に6ダメージを叩き込む攻撃を仕掛けてくるのだ。私もこのユニットには何回海賊団をボコボコにされたことか……。
それだけ強いカードということ。
正直、たちかぜのグレード3は『破壊竜 ダークレックス』と『烈光竜 オプティカルケラト』以外は癖の強い強力なカードだ。強い反面扱いは苦労する。
中でも大量の武装ゲージを駆使する『餓竜 ギガレックス』はデッキアウトのリスクが一際大きい。下手をしたらデッキアウトのリスクと隣り合わせのグランブルー以上である。
フロントトリガーと相性が良くその効果は絶大だけど、これを使いこなすのは一朝一夕ではまず無理だ。使えるようになったとしても、相性が良い『サベイジ・トルーパー』や『破壊竜 ダークレックス』とも、そのスキルと照らし合わせながら武装ゲージを消費するか溜め込むかを選択していく必要がある。
ギガレックスの持つスキルは2つ。
1つ目はアタック時任意で選んだRに武装ゲージを1枚ずつ追加し、Rの数だけパワーを+5000するというもの。選択できるRは何枚でも可能と武装ゲージを大量に追加することが可能なので、武装ゲージの数だけ力を増す『破壊竜 ダークレックス』などの大幅なパワーアップに繋げられるが、武装ゲージを多く溜めるということは山札を多く消費するということ。仲間も自分も強化するという『暴君 デスレックス』に比べるとデザインに反して何とも仲間想いなスキルに見えるけど、戦列も削らずにパワーアップをするためのリスクはその仲間の数だけデッキアウトの危険が増大していくというもの。
たとえ6ダメージを叩き込める戦況でも、ドライブチェックでデッキアウトを起こせば直ちに負けだ。ヴァンガードはその時点で勝敗が決する。ダメージと違いヒールトリガーのようなチャンスがないデッキアウトのリスクは大きい。
そして2つ目のスキルは、メインフェイズ中に発動する起動スキル。
武装ゲージ5枚をドロップすることで前列のR3枚のパワーを全て+5000し、その上4ダメージ以下の相手には強制的にダメージを一撃たたき込むというもの。武装ゲージを大量に消費するため武装ゲージでパワーを増すユニットにとってはその力を削いでしまうことに繋がるが、アタック時にはその分の武装ゲージをギガレックスがすぐに補充してくれるし、R3枚のパワーアップと1ダメージ追加という武装ゲージの消費に見合う強力なスキルだ。
このスキルを使えば相手をあと1ダメージという瀬戸際に追い込んだ上で強力なパワーを加算したユニットたちの怒涛の攻撃を行える。カウンターブラストなど普通のコストを必要としないものの、強力すぎる反面リスクが高いので何度も使えるスキルではないが。
そして、この2つのド派手なスキルに埋もれがちだけどギガレックスにはもう1つ重要なアイコンがある。
グレード3、ツインドライブ……そして、イマジナリーギフトだ。
「イマジナリーギフト、アクセル。アクセルIIを選択、アクセルサークルを展開し1枚ドロー」
たちかぜのイマジナリーギフトは、アクセル。
その効果は前列にアクセルサークルという新たなRサークルを追加するというもの。ギフトを得られるユニットにライドするたびに攻撃回数を増やしていく、連続攻撃を得意とするものである。
追加されるアクセルサークルは後列が存在しないのでブーストを受けられないRだが、それを補うようにアクセルサークルには置かれたユニットのパワーを+する効果がある。
アクセルのギフトはIかIIでアクセルサークルのパワーアップの数値が変わる。
Iならシンプルにアクセルサークルのユニットにパワー+10000。IIならアクセルサークルのパワーアップは+5000と低めだが、代わりにアクセルサークルを追加する度に1枚ドローできるようになる。
ギガレックスのスキルを使えば容易に5000のパワーアップを補えるので、もちろん店長が選択するギフトはIIだ。
「手札を引けば山札が減るけど?」
「その前に決着をつければ済む話だ」
軽く挑発してみたけど、店長には全く響いていない。
さすがにこんな簡単な煽りには乗せられないか。
……さて、ギガレックスは強力なユニットだ。多少の手札、多少のダメージ差など簡単にひっくり返せるだけの強力なパワーアップのスキルを持つ。
攻撃回数もアクセルサークルによって増えるし、プロテクトにより防御面も強いグランブルーでも、そう何度も攻撃をしのげる相手ではない。
デッキアウトのリスクと戦うのでギガレックスも長期戦は避けるだろう。お互い、攻め時とあれば怒涛の攻撃を仕掛けあう展開になりそうだ。
「アクセルサークルに『掃討竜 スイーパーアクロカント』、右の列に『破壊竜 ダークレックス』と『ソニックノア』をコール!」
さらに店長は手札を惜しむことなくアクセルサークル含め空いている列にRをコールしてきた。
単騎でも十分すぎるパワーアップができるギガレックスにはブーストは必要ないと、Vの後ろ以外の全てのRを埋めて攻撃態勢を揃えてきた。
Gアシストを使ったことでこちらの手札は完全に把握されている。
守護者があるとはいえ、このターンで一気にダメージを稼がれる可能性が高い。
店長がアタックフェイズに移行する。
いよいよ大地を疾走するたちかぜがその猛威を振るう時が来た。
「行くぞ! 『餓竜 ギガレックス』で『ルイン・シェイド』をアタック、同時にスキルを発動!」
ギガレックスのスキル。
仲間に武装を与え、その仲間の数だけパワーを増す。
「R全てに武装ゲージを1枚追加し、ギガレックスはR1枚につきパワー+5000! 5枚で+25000、よってギガレックスは合計パワー37000だ!」
ブースト無しで37000というパワー。たちかぜの火力はやっぱり凄い。
しかもスキルはそれだけにとどまらない。
デッキアウトのリスクを承知の上でR全てに武装ゲージを追加したのは次のターンのギガレックスのための布石というのもあるが、このターンの攻撃力を底上げするためでもある。
「そして、武装ゲージの追加によりRのスキルも発動する。Rの『掃討竜 スイーパーアクロカント』と『サベイジ・トルーパー』は自身の武装ゲージ1枚につき常にパワー+5000となる。スイーパーアクロカントはアクセルの効果と合わせてパワー19000、トルーパーは3枚で合計パワー23000だ!」
Rのユニットも武装に応じて強化される。
パワーアップが少なめになるアクセルIIを選んだというのに、そのアクセルサークルのスイーパーアクロカントは自身のスキルにより瞬く間にIを選んだ場合と同じだけのパワーアップを遂げて見せた。
おまけにギガレックスのアタックはVでブースト無しなのに37000ときた。
これはとてもじゃないけど防げない。クリティカルトリガーが出ないことに期待しよう。
「ノーガード」
「ツインドライブファーストチェック……『群竜 タイニィレックス』!」
クリティカルトリガーには確かに出てほしくなかったけど、できればフロントトリガーも遠慮したかった。
出たのは前列全てのユニットのパワーを上昇させるフロントトリガー『群竜 タイニィレックス』。これによりただでさえ武装ゲージにより強化されているユニットたちがさらにパワーアップをする。
「フロントトリガー発動! 前列全てのユニットのパワーを+10000!」
武装ゲージに加え、フロントトリガーの効果によりRのユニットたちのパワーも大幅に上昇してきた。
こちらの手札と相手のパワーを見直す。
……『破壊竜 ダークレックス』の効果はアタックしたバトル中に発揮され、『餓竜 ギガレックス』のスキルはメインフェイズに武装ゲージを消費しアタック時に溜めてくる。この連携は最大の火力をお互いに遺憾なく発揮できる店長が得意とする布陣だ。
そしてまだギガレックスのツインドライブは終わっていない。
「セカンドチェック……『掃討竜 スイーパーアクロカント』。ノートリガーだ」
2枚目はトリガーではない。
けれど、その程度で攻撃の手が緩むたちかぜではない。
まずは一撃と、ギガレックスの攻撃がルイン・シェイドに襲いかかる。
「ダメージチェック……『キャプテン・ナイトミスト』。こっちもノートリガー」
ダメージトリガーはない。
出たところで私のダメージは2だった。多少のパワーアップはこの整えられた戦列の前には無意味、トリガーが出たところでな……という場面だからそれほど落胆はない。
店長の攻撃はまだ3回残っている。
続いてアクセルサークルにいる『掃討竜 スイーパーアクロカント』をレストする。
このユニットは自身のスキルにより、アタック時に己に武装ゲージを追加することができる。そしてもう1つの永続スキルにより、自身の武装ゲージ1枚につき常にパワー+5000となる。
「『掃討竜 スイーパーアクロカント』で『ルイン・シェイド』をアタック! スキルにより武装ゲージを1枚追加し、さらにパワー+5000だ!」
スイーパーアクロカントの武装ゲージは2枚。アクセルサークルとフロントトリガーの効果により、合計でパワー34000となる。ヒールトリガーでも防ぎきれない。
クリティカルは1。ダメージ数は逆転されるが、これも受けた方がいいだろう。
「ノーガード」
ギガレックスの攻撃に膝をつくルイン・シェイドに、休む暇など与えないと言わんばかりに続けてスイーパーアクロカントの銃撃が突き刺さる。
ガーディアンはコールしない。仲間となるRもいない1人のルイン・シェイドは受けるしかない。
「ダメージトリガーチェック……『お化けのりっく』!」
ところがここで幸運が訪れる。
正直厄日ということもあり、このままこのターンにがっつりダメージを食らうと覚悟していた私自身も驚くタイミングのトリガーだった。
今の私のダメージは3。店長とのダメージ数は同じなので、回復が可能である。
「ヒールトリガー発動! パワーはルインに、ダメージを1枚回復」
これでダメージは3対3。
ギガレックスのスキルと武装ゲージを駆使したコンボは4ダメージから本格的な猛威を振るってくる。ヒールトリガーで3ダメージに抑えられたのは僥倖だ。
ダメージゾーンの『突風のジン』をドロップゾーンに、代わりに『お化けのりっく』をダメージゾーンに置く。
けど、やはり店長のたちかぜデッキにとってトリガー1枚のパワーアップは障害にすらならない。
残る2列の攻撃も、余裕で30000を超えるパワーを発揮してくる。
「まだまだ、『ターボスミロドン』を『サベイジ・トルーパー』がブーストし『ルイン・シェイド』をアタック! さらにターボスミロドンのスキルでトルーパーに武装ゲージを追加しパワーアップ!」
ルインのパワーはトリガーの恩恵で19000。
対するターボスミロドンのパワーはスキルでパワーアップをしたトルーパーのブーストを受け、47000。
けど、これは防がせてもらう。
「『突風のジン』でガード!」
シールド0の守護者をガーディアンとしてコールした。
ジンの起こす風がルイン・シェイドを狙い爪を光らせたターボスミロドンを押し返した。
風を味方につけた海賊に怖いものなんかない。どれだけパワーが高くても、このバトルではルイン・シェイドを傷つけることはできない。
「スキル発動! 手札の『ストームライド・ゴーストシップ』をドロップし、攻撃を無効にする」
これで残る攻撃はあと1回。
こっちはダメージ3、このまま凌げば次のギガレックスのスキルが防ぎやすくなる。
けど、残る攻撃は『破壊竜 ダークレックス』。こいつに関しては自身の武装の枚数でパワーを上げるスイーパーアクロカントやトルーパーと違い、このユニットは武装ゲージの枚数そのものを力に変える、広く武装を展開し武装ゲージの枚数を稼ぐギガレックスのスキルを最大限活かせるユニットである。
ジンのおかげで攻撃をしのいだルインに、本命とも言える攻撃をギガレックスがダークレックスに攻撃を命じた。
「もう一撃残っているぞ。『ソニックノア』のブースト、『破壊竜 ダークレックス』で『ルイン・シェイド』をアタック! ダークレックスの永続スキル、武装ゲージ1枚につきアタックしたバトル中パワー+2000、9枚でパワー+18000だ!」
ダークレックスは武装ゲージの枚数次第で無尽蔵のパワーアップを作り出せる。
それに、このユニットをブーストしているのは『ソニックノア』。このユニットはブーストしたユニットに山札の上から1枚を武装ゲージに追加するスキルがある。
これにより、ダークレックスは新たな武装ゲージをさらなる己の力に変えることができる。
「『ソニックノア』のスキルだが……まあ、当然知っているよな」
「武装ゲージの追加、でしょ? そこのスイーパーアクロカントと組み合わせた攻撃で見慣れた」
「ま、そうだわな」
知っているなら言うまでもないかと言わんばかりの笑みをこぼしながら、ダークレックスに武装ゲージを追加する店長。
「『ソニックノア』のスキルで武装ゲージを1枚追加、合計10枚の武装ゲージとソニックノアのブースト、そしてフロントトリガーの効果により、ダークレックスは合計でパワー50000だ」
「……武装が10枚?」
パワー50000。
対するルインのパワーは19000。
この攻撃を凌ぐためには最低でも35000のシールドが必要となる。
しかし、ダークレックスのスキルでわかったがもう店長は10枚もの武装ゲージを貯めていた。
パワー50000の攻撃よりも、私にとってはこちらの方が深刻である。
10枚に及ぶ武装ゲージならば、ギガレックスの起動スキルを2回発動できるということ。つまり、3ダメージで抑えようとも次のターンにはどちらにせよ必ず5ダメージに追い込まれるということだ。
ならば3ダメージで抑えても手札を削られるだけ。
すぐに選択を変更する。
「……ノーガード」
「なんだ、防がねえのか? 4ダメージからのギガレックスのスキルはお前が1番その真価をわかっているはずだが?」
「…………」
店長は恐らくわかっているだろう。
それでも私も表情を変えずに動揺を悟られないようにする。
「ダメージトリガーチェック……『ナイトスピリット』、クリティカルトリガーかよ」
ルイン・シェイドにダークレックスが襲いかかる。
ゴーストでもダークレックスの牙は獲物を逃さない。
……クリティカルトリガーの無駄落ち。
小宮山の呪いが発動したとしか思えない。腹立つなあ、あのクソ野郎……!
「ターンエンド……なんかイライラしてねえか?」
「うるせえハゲ!」
「お前な……」
これで4ダメージ。
ギガレックスのスキルを使えばダークレックスなどは武装ゲージから得られるパワーを確保できる。次のターンは確実に溜め込んだ武装ゲージを吐き出してくるだろう。
そうなればたちかぜは止められない。
どっちにしろダメージ5に追い込まれてしまうなら、手札を温存し4つ目のダメージをくれてやる方がいい。
次のターンに攻めきらなければギガレックスがその猛威をふるってくるけど、3ダメージを撃ち込むというのは容易なことじゃない。次の私の攻撃で攻めきれるかは、賭けになる。
店長のたちかぜ、やっぱり強い。
……というか、小宮山がムカつく! くそ、あのゴミ山ぁ!
「私のターンだ! スタンド&ドロー!」
もうポーカーフェイスも崩れた。
それでも気にしない。
こっちもグレード3を繰り出して、このターンで攻められるだけ攻めるだけ!
「我は嵐の剣豪なり! 『剣豪 ナイトストーム』にライド!」
私がライドしたのはグランブルーのグレード3『剣豪 ナイトストーム』。
2つのスキルとプロテクトのイマジナリーギフトを持つ、私のお気に入りのカードだ。
まずはイマジナリーギフトの獲得。
選択するのは守護者のスキルを持つ手札となるIのプロテクトだ。
「イマジナリーギフト、プロテクト。プロテクトはIを選択」
プロテクトを手札に加え、さらにナイトストームのスキルを発動する。
ナイトストームのスキルは2つ。1つは登場時に発動するスキルで、山札を上から2枚ドロップゾーンに送ることでターン中パワーを+5000するというもの。
コキュートスなんかと比べると効果は地味だけど低コストで発動できるので、割と使い勝手が良い。
「『剣豪 ナイトストーム』のスキル。山札を上から2枚ドロップゾーンに送り、ターン中パワー+5000!」
これでドロップゾーンのカードは6枚。
防御において力を発揮してくれるナイトストームのもう1つのスキルを使うためには、ドロップゾーンのカードの枚数を10枚以上まで増やす必要がある。
ここから攻撃と次のギガレックスの攻撃を耐えられる防御を確保するための展開に向け、温存していた手札からRをコールした。
「『ルイン・シェイド』、『悲痛なる銃弾 ナイトゲベール』、『細波のバンシー』をコール!」
右の列に『ルイン・シェイド』と『悲痛なる銃弾 ナイトゲベール』、左の前列に『細波のバンシー』をそれぞれコールする。
ルインは自身のスキルに合わせてナイトゲベールのブーストがあるから問題ないけど、バンシーの方は単独ではギガレックスに攻撃を届かせることができない。
けれど、そこはグランブルーのスキルの使い所だ。
まずはナイトゲベールのスキルを発動させる。
「『悲痛なる銃弾 ナイトゲベール』のスキル、登場時山札から1枚をドロップゾーンへ」
ナイトゲベールのスキルはR登場時に山札の1番上のカードをドロップゾーンに送るというもの。
その時ドロップゾーンに10枚以上のカードがあればパワーを+10000できるのだが、今回は枚数が足りないためドロップゾーンのカードを増やすだけである。
けれどナイトゲベールのおかげでドロップゾーンのカードは7枚になった。
そしてここでバンシーしかいない左の列にギガレックスに攻撃を届かせるパワーを作り出す。
ドロップゾーンに置かれたカードからスキルを持つユニットを選択し、不死の海賊団グランブルーの象徴とも言えるドロップゾーンからのスペリオルコールを発動した。
「ドロップゾーンの『サムライスピリット』のスキルを発動。ソウルブラストにより『細波のバンシー』を退却させ、『サムライスピリット』をスペリオルコール!」
墓場であるドロップゾーンに置かれた『サムライスピリット』には、ソウルブラストとR1枚の退却をコストとしてドロップゾーンからパワーを+4000してスペリオルコールする起動スキルがある。
私のソウルは3枚。コストに『細波のバンシー』を退却させ、入れ替わりでドロップゾーンから『サムライスピリット』をスペリオルコールした。
そしてスペリオルコールされた『サムライスピリット』のパワーは12000となる。それはブーストをつけない単独でもギガレックスへアタックを通せるパワーだ。
これで3つの列全ての攻撃をギガレックスに届かせることができるようになった。
店長の手札は5枚。やっと戦列を整えられた状況であの手札と2枚のインターセプトを持つ守りを突破して3ダメージを叩き込むというのはさすがに無謀である。
トリガーが出ればミラクルが起こせるかもしれないけど、さすがに厄日に運任せというのは……。
というわけで、次のギガレックスの猛攻を耐える防御を整えるために、あえてこの布陣でアタックフェイズへと移行した。
「『サムライスピリット』で『餓竜 ギガレックス』にアタック!」
次のターンの攻撃力を削ぐためにダークレックスを狙い撃ちするという選択もあるけど、あのユニットはたちかぜのくせにグランブルーのような復活してくるスキルがあるから狙うだけ無駄だ。
ならばサムライスピリットの攻撃はせっかくパワーが届いているので、ギガレックスへ向けた。
「良いだろう……ノーガードだ」
店長はノーガードを選択した。
店長のダメージは3。3度のアタックというのは避けなければいけないこの状況で、1番ガードしやすい『サムライスピリット』の攻撃をガードしないのはちょっと意外だ。
カウンターブラストを使わないギガレックスが余計なダメージを受けるというのは得策ではないはずだけど、何か他に狙いがあるのだろうか?
警戒する私をよそに、サムライスピリットのアタックがギガレックスへヒットする。
「ダメージチェック……『掃討竜 スイーパーアクロカント』、ノートリガーだ」
これで店長はダメージ4枚目。
トリガーも出ない。ダメージトリガーを狙っているにしても、『ルイン・シェイド』は自身のスキルによりトリガーのパワーアップと合わせてもアタックが届くだけのパワーを得られるし『剣豪 ナイトストーム』にはツインドライブがある。私だったらクリティカルでも出なければノーガードは『ルイン・シェイド』のアタックにするところだけど。
けど、今は店長の思惑よりも自分のファイトをしようと気を取り直し、続いてナイトストームのスキルを使えるようにするために『ルイン・シェイド』と『悲痛なる銃弾 ナイトゲベール』によるブーストアタックを仕掛けた。
「『ルイン・シェイド』を『悲痛なる銃弾 ナイトゲベール』でブーストし、『餓竜 ギガレックス』にアタック! 『ルイン・シェイド』はアタック時、山札を上から2枚ドロップゾーンへ送ることでパワー+4000!」
ルインのスキルにより、ドロップゾーンのカードは合計11枚となった。
これによりナイトストームとルイン・シェイドのスキル発動のための条件が整った。
「『ルイン・シェイド』の永続スキル! ドロップゾーンのカードが10枚以上なら、私のターン中パワーをさらに+4000!」
合計でルイン・シェイドのパワーは25000。
これだけやっても先のターンにダークレックスが出したパワー50000の半分である。
つくづく強烈なデッキだなと、店長の力を改めて思い知らされる。
一方、店長の方はここでガードをしてきた。
「『サベイジ・シャーマン』でガードだ!」
たちかぜのヒールトリガー『サベイジ・シャーマン』。
そのシールド値は20000。メガレックスのパワーと合わせれば32000となり、ルイン・シェイドの攻撃を防ぐことができる。
つまりガード成功ということ。
普段怪しげな祈祷でたちかぜの戦士たちを癒すシャーマンの守りを突破できず、ルイン・シェイドは悔しさをにじませながらも無駄なことだと撤退する。
だが、こちらにはまだ嵐の剣豪が残っている。ツインドライブでクリティカルトリガーを引ければ、勝機はある。
……結局トリガー頼みだけど。ヴァンガードって、だいたいトリガーが勝負の分かれ目になるからなぁ。
そんなネガティヴな考えが頭の片隅に浮かびながらも、Vのナイトストームをレストした。
「『剣豪 ナイトストーム』でアタック!」
「悪いな、その攻撃も防がせてもらおう。2枚の『群竜 タイニィレックス』でガードだ」
しかし、店長は手札からガーディアンをコールしてきた。
シールド15000の『群竜 タイニィレックス』が2枚。ギガレックスのパワーと合わせれば42000となる。
ナイトストームはパワー17000。ツインドライブがダブルトリガーだとしても、最大でパワー37000。ギガレックスには届かない。
でも、店長がこの程度防ぎきることは想像できていた。
私の狙いはナイトストームのアタックを通すことよりも、そのスキルに本命がある。
「『剣豪 ナイトストーム』のスキルを発動、カウンターブラスト!」
ナイトストームの2つ目のスキル。
それはアタックした時、ドロップゾーンのカードが10枚以上ならダメージゾーンのカードを1枚裏返すカウンターブラストにより、山札から1枚ドローして手札を増やすというもの。
私のドロップゾーンは11枚。カウンターブラストのコストも払える。スキルの使用には問題ない。
これにより手札を補充することができれば、次のギガレックスの攻撃を凌ぎやすくなる。
これで手札はプロテクトを含めて5枚となった。
それだけじゃない。ダブルトリガーでも届かないパワーとはいえ、まだナイトストームのアタックは終わっていない。
グレード3の持つツインドライブがある。これにより、手札を最低でも2枚増やすことが可能だ。
「ツインドライブファーストチェック……『荒海のバンシー』」
1枚目はクリティカルトリガーだ。
しかし、肝心のクリティカル増加もアタックが届かなければ意味がない。
「クリティカルトリガー発動! 『剣豪 ナイトストーム』のクリティカルを+1、パワー+10000!」
「だが届かないぞ?」
「わかってる! セカンドチェック……『夜警海賊 ニルデ』、ノートリガー」
2枚目はトリガーではなかった。
たとえ2枚目がクリティカルトリガーだったとしても、結局攻撃は通らない。
ナイトストームの攻撃も通らず、このターンで与えられたダメージは結局1枚だけだった。
「ターンエンド」
アタックできるユニットはないため、私のターンはこれで終了。
やれることはやった。あとは、次の店長の攻撃を凌ぎきれるかどうかで、勝負が決する。
「よし、では俺のターンだな。ファイナルターン!」
このターンで攻めきるつもりの店長も、ファイナルターン宣言をしてきた。
いやいよ、店長の切り札的存在であるギガレックスがその真の力を発揮するターンが。