別世界の異邦者   作:みども

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13話 ぬばたま忍軍の脅威

「『星条海将 アメリカンイクシード』にライド!」

 

 

「出ましたね」

 

 

 フォースのイマジナリーギフトのアイコンを持つシーストライカーのグレード3、『星条海将 アメリカンイクシード』。

 V限定だが、相手に多くのカードを消費させる極めて強力なスキルを持つユニットだ。

 向こうが手札を破棄させるなら、こっちはRを破壊して戦力をそぎ落とす! 

 

 ダメージが劣っているので、今回の選択はパワーではなく一撃のダメージ重視で行くつもりだ。

 まずはアメリカンイクシードの持つアイコン、イマジナリーギフトを獲得する。

 

 

「イマジナリーギフト、フォース! フォースはIIを選択し、Vサークルに展開!」

 

 

 これによりアメリカンイクシードは私のターン中であれば、常にクリティカルが2となる。

 一撃当てれば大ダメージ、クリティカルトリガーを引けばさらなるダメージを与えられる逆転の可能性を持つギフトだ。

 

 正直次のターンになれば変態の切り札的存在であるあのグレード3のカードが出てくる可能性が高い。

 どうせ捨てさせられるくらいならば、手札を使って攻撃力を上げる。

 

 

「『海将 ジパングイクシード』の後ろに『煉獄大空母 タイホウ』、『海将 アメリカンイクシード』の後ろに『駆逐艦 はれかぜ』をコール!」

 

 

「はれかぜはシールド15000を持つグレード1、ブーストよりはガードに使う方が都合のいいカードだと思うのですが」

 

 

「お前のあのカードのスキルで捨てさせられるくらいなら、盤面に出してブーストとして使うだけだ。アタックフェイズ、行くぞ」

 

 

 変態発言はともかく、安っぽい挑発くらいなら流せる。

 ……まあ、私の沸点は人より低い自覚あるけど。

 

 さて、アタックフェイズだ。

 もちろん先陣は単騎で突撃して無双しまくるこのユニットである。

 

 

「『星条海将 アメリカンイクシード』でアタック! ブーストを受けずにアタックした時にスキルを発動、カウンターブラスト!」

 

 

 Vのアメリカンイクシードは、ブーストを受けずにアタックした時にパワーを+10000し、さらにカウンターブラストのコストを払うことで相手の前列のユニット全てと同時にバトルできるようになる。

 イマジナリーギフトのおかげでアメリカンイクシードはクリティカルが2となっている。ツインドライブもあり、ノーガードを宣言して手札を温存しようものならRだけでなくVにも大ダメージを一撃で叩き込まれる可能性が高い。

 それだけじゃない。変態のRにいる『忍獣 タマハガネ』は相手の手札が減ればパワーを上げるスキルを持つ。手札を捨てられる前に使っても、このユニットがいる限り変態のぬばたま軍団の術中を逃れることはできない。

 

 そのために、アメリカンイクシードのスキルはタマハガネの排除にぴったりのユニットである。

 こいつも守るとなると、変態の手札の消耗は相当なものとなり、見捨てるほかない。

 

 

「『忍獣 タマハガネ』は相手の手札が4枚以下ならパワーアップします。排除するのにアメリカンイクシードのスキルは最適ですね」

 

 

「フォースによりアメリカンイクシードのクリティカルは2だ。ノーガードなら最低2ダメージもらうけど?」

 

 

「では、タマハガネは差し上げましょう。空蝉の術、『忍獣 ミジンガクレ』でカブキコンゴウをガードします!」

 

 

 守護者のスキルを持つカードを出してきた。

 Vのカブキコンゴウのみをガードする選択をしたようだ。

 

 

「ミジンガクレのスキルにより、手札の『忍竜 カブキコンゴウ』を破棄することで、アメリカンイクシードのアタックを完全ガードします!」

 

 

 これによりアメリカンイクシードのアタックはカブキコンゴウには届かない。

 だが、まだこちらにはツインドライブがある。

 

 

「ツインドライブファーストチェック……『救護艦 ひかわ』」

 

 

 1枚目はヒールトリガーだ。

 これでダメージを回復し、さらにR1枚のパワーを10000あげられる。

 

 

「ヒールトリガー発動! ダメージゾーンのゼロをドロップゾーンに置き、ジパングイクシードにパワー+10000!」

 

 

「さすがです! さあ、セカンドチェックをして下さい」

 

 

「なんだよ……まあいい。セカンドチェック……『鉄甲戦艦 鬼金剛』、ノートリガー」

 

 

 2枚目はノートリガーだが、今はこれで十分だ。

 タマハガネのパワーではアメリカンイクシードの放つバズーカ砲に耐えられない。

 タマハガネは退却、これでインターセプトを持つ後々やっかいな存在になるユニットを片付けられた。

 

 ダメージは3対2。

 だが、私にはまだアタックできるユニットが2枚残っているし、相手は手札を大きく消費させられた。Rも減り、変態の方も戦力が減っている。攻撃するにしても厳しいだろう。

 この調子なら手札破壊のスキルで戦力を削られても、十分に変態のぬばたま忍軍と渡り合える。

 

 ここが攻め時だ。

 アタックフェイズを進める。

 

 

「次だ。『駆逐艦 はれかぜ』のブースト、『海将 アメリカンイクシード』で『修羅忍竜 カブキコンゴウ』にアタック!」

 

 

「姫のアタックならば喜んで! ノーガードです!」

 

 

「いちいち言い方気持ち悪い……」

 

 

 両手を広げてウェルカムの姿勢をとる変態。

 こいつに使われるぬばたまのユニットたちが哀れだ。使い方は上手くても、使い手の中身がこれだとな……。

 

 

「ダメージチェック……『忍妖 オボロカート』、ノートリガーです」

 

 

 これでダメージが並んだ。

 変態の手札はすでに2枚。変態はマリガンを使用していないから1枚は確実にグレード3だ。防御に回せる手札はもはや無いだろう。

 次の攻撃が通ればダメージ4、フォースIIのイマジナリーギフトを得ているVのアタック1撃で6ダメージとなる射程圏内に入る。

 

 だめ押しの一撃だと、ジパングイクシードとタイホウをレストした。

 

 

「『海将 ジパングイクシード』に『煉獄大空母 タイホウ』のブーストを加え、『修羅忍竜 カブキコンゴウ』にアタック!」

 

 

 ジパングイクシードはタイホウの13000のブーストとヒールトリガーの効果により、合計パワーが28000まで上がっている。

 カブキコンゴウは9000。1枚で防ぎきるにはシールド20000を持つヒールトリガー以外に手段は無い。

 4ダメージとなる一撃を変態は……

 

 

「姫のアタックならば、もちろんノーガードです!」

 

 

 両手を広げてウェルカムノーガード宣言をした。

 ……気持ち悪い。殴っていいか? 良いよな。

 

 

「ダメージチェック……『忍獣 チガスミ』、ノートリ––––がガントス!?」

 

 

 これでダメージ4。

 クリティカルが2になっているフォースIIを持つVのアタックの射程圏内に入った。

 

 しかしこれで私のターンは終了。

 変態の手札も削れたし、次のターンをしのげれば勝てる可能性が高い。

 ……そう、次のターンをしのげれば。

 

 

「ターンエンド」

 

 

 こちらは3ダメージ。クリティカルトリガーの可能性を考慮しなければ、一撃防ぐだけで良い。

 こちらの手札は5枚。中には守護者のスキルを持つカードもあるし、ジパングイクシードのインターセプトもある。普通にやれば3ダメージはおろか1ダメージも受けずに守りきることも容易な防御だ。

 だが、変態の駆使するぬばたま忍軍はその守りを切り崩す力がある。

 

 先ほどぶん殴られて腹を抑えていた変態が復帰する。

 すぐにはファイトを進めず、深呼吸をした。

 

 

「すう……はあ……」

 

 

 集中している、ということはいよいよあの切り札を出してくるのだろう。

 この守りを突破して3ダメージ叩き込む可能性をもつ必殺のカードを。

 

 

「すう……はあ……クンクン……ハアハア……おお、マイプリンセスの色濃い香りがする。やはり姫の自宅、僕はここで––––ボゲッ!?」

 

 

「一瞬でも真面目にやると思った私がバカみたいじゃねえか!」

 

 

 集中してんのかと思っていたら、相変わらずの変態だった。

 良いから真面目にやれ! 

 

 

「も、もうひわへありまへん……では、気を取り直して」

 

 

 今度こそ真面目な雰囲気になった。

 変態は変態だけど、ファイトに集中している時のこいつは一流のファイターだ。……変態だけど。

 

 

「スタンド&ドロー。では、行きます!」

 

 

「……真面目にやれよな」

 

 

「ご心配には及びません。このターンで攻めきってみせますので」

 

 

 どうやら今度こそ本当に真面目にやるつもりになった様子。

 

 

「影に生き影に徹し影に消える、孤独に歩むは修羅の道……変わり身の術、『修羅忍竜 クジキリコンゴウ』!」

 

 

 予想していた通り。

 変態はやはりというべきか、変態にとっての切り札であるぬばたまのグレード3『修羅忍竜 クジキリコンゴウ』を繰り出してきた。

 先ほどのドライブチェックで変態の手札には『忍竜 ドレッドマスター』がいることがわかっている。

 ここからぬばたまのユニットのスキルを連携させた、手札破壊を駆使する静かだが極めて防ぎにくくなる攻撃を仕掛けてくるだろう。

 

 変態のライドしたユニット『修羅忍竜 クジキリコンゴウ』には、2つのスキルとイマジナリーギフト『プロテクト』のアイコンがある。

 まずはイマジナリーギフトの獲得から。

 

 

「イマジナリーギフト、プロテクト! プロテクトはIを選択します」

 

 

 変態の手札はプロテクトを加えて3枚となった。

 このターンで攻めきらなければならない局面でパワーアップの恩恵があるIIではなく、守護者のスキルを持つ手札として獲得できるIを選んだのは、おそらくドレッドマスターがいるからだろう。

 変態の手札は2枚だった。Rが3つ空いている状況、全力で展開してもどうしても攻撃力が不足する。

 

 だが、変態の手札にあるドレッドマスターにはそれを覆し味方を増やせるスキルがある。

 予想通り、変態は右の列の後方にドレッドマスターをコールしてきた。

 

 

「口寄せの術、『忍竜 ドレッドマスター』! 登場時のスキルにより、手札を1枚破棄することでドローします」

 

 

 ドレッドマスターのスキル。

 登場時に手札を入れ替えられるこのスキルを駆使すれば、攻撃には使えないプロテクトをコストに新たな仲間を攻撃用の戦力を獲得でき、手札の不足により空けてしまうRを埋めることが可能となる。

 そして、ドレッドマスターのスキルはこれだけでは終わらない。

 

 

「さらなるドレッドマスターのスキルを発動します、ソウルブラスト! 僕のVが『修羅忍竜 クジキリコンゴウ』の時、ドレッドマスターはソウルブラストすることにより姫のユニット1枚を手札に戻し、手持ちの手札1枚を破棄させます!」

 

 

「チッ……やっぱり来たか」

 

 

 ドレッドマスターにもVがクジキリコンゴウであるという条件があるとはいえ、タマハガネ同様相手の手札を破棄させるスキルがある。

 そのスキルにより、クジキリコンゴウと連携させると面倒な存在なのだ。

 

 タイホウを手札に戻し、手札の鬼金剛を代わりにドロップゾーンへ置く。

 着実に防御用の戦力を削ぎに来る、さながら暗殺者ような動き。さすがはぬばたまといったところか。

 とはいえ、ぬばたまのスキルの連携はこれだけにとどまらない。

 

 

「まだです。『修羅忍竜 クジキリコンゴウ』のスキルを発動! 姫のRが手札に戻った時、このターン中に手札に戻したカードと同じグレードのカードを姫はRにもGにもコールできません」

 

 

 これが『修羅忍竜 クジキリコンゴウ』の1つ目のスキル。

 タマハガネやドレッドマスターなどのスキルにより相手のRが手札に戻った時、ターン中その手札に戻ったカードと同じグレードのカードをコールできなくするというもの。

 これにより私は手札からグレード2のガーディアンをコールすることもできなくなる。

 ドレッドマスターのスキルと連携させ、さらに相手の防御に使えるカードを減らす。

 パワーやクリティカルを上げるといった直接的な攻撃手段ではなく、相手の防御を妨害して攻撃を通しやすくスキル。手札破壊を軸としたら変態のぬばたまの攻撃は、いくら手札を持とうが突破される可能性を持つ。

 

 一撃必殺を影から通すようなこの攻撃は、特に序盤にダメージを多く受けてしまっている相手にとっては非常に効果的であり、見極めにくいぬばたまのスキルを駆使する変態のこの戦い方はトップクラスのファイターでも足元をすくわれるものだ。

 手札破壊のスキルに気を取られ捨てさせられる前にとRを多く展開しようものなら、逆にクジキリコンゴウのスキルで防御できるカードを制限され余計に追い込まれてしまう。

 手札を温存しても破壊され、手札を駆使しても制限されと、変態のこの戦い方は慣れていなければ見極めることなど不可能に近いし、慣れていても正直厄介極まりない。

 

 これで私はグレード2のカードをガーディアンとして使えなくなった。

 変態のメインフェイズはまだ続く。

 

 

「まだ行きますよ。口寄せの術、『忍獣 チガスミ』、『修羅忍竜 カブキコンゴウ』!」

 

 

 手札を全て使い、Rを埋めてきた。

 どちらもぬばたまのグレード2で、この局面において相手にとってはさらに厄介なスキルを持つユニットたちである。

 カブキコンゴウはRに登場した時、Vがクジキリコンゴウならばターン中パワーを3000プラスすることができる。これでカブキコンゴウは単体でパワー12000、後列の『忍獣 トガジュウジ』のブーストを合わせればパワー20000となる。

 さらに、カブキコンゴウにはカウンターブラストを2枚行う事で発動できる追加のスキルがある。

 

 

「『修羅忍竜 カブキコンゴウ』のスキルを発動! カウンターブラストにより、カブキコンゴウと同じ縦列のRを手札に戻し、戻した数だけ手札を破棄してもらいます!」

 

 

「チッ……!」

 

 

 思わず大きめの舌打ちになった。

 これによりアメリカンイクシードとはれかぜが手札に戻され、さらに2枚の手札を破棄させられる。

 そしてさらにクジキリコンゴウのスキルが発動し、グレード2に加えグレード1のカードもガーディアンとしてコールできなくなった。

 つまり、私の手札の守護者のスキルを持つ『幻想戦艦 ヒラヌマ』が使えなくなった。これはかなり大きい。

 

 

「『幻想戦艦 ヒラヌマ』と『駆逐艦 はれかぜ』を破棄」

 

 

 もはや持っていても防御に使えないグレード1の手札を破棄した。

 手札の枚数は減っていないが、Rは手札に戻された上で破棄させられ大きく戦力を削られた。ユニット自身のスキルであるインターセプトならばともかく、グレード1と2のカードはもはやガードには使えない。

 だが、これで終わりではない。

 ……まだ、クジキリコンゴウのもう1つのスキルが残っている。

 

 

「そして、『修羅忍竜 クジキリコンゴウ』の起動スキルを発動します。カウンターブラスト! マイプリンセス……さらに手札を1枚破棄してください!」

 

 

 クジキリコンゴウのもう1つのスキル。

 相手の手札が4枚以上の時、カウンターブラストを1枚行うことでその手札から1枚を破棄させる。

 

 

「『海将 アメリカンイクシード』を破棄……」

 

 

 これで手札は4枚。

 カードの枚数で言えば、このターンだけで4枚も破棄させられた。

 ガード制限もかけられ、防御力が大きく削がれてしまっている。

 そして相手は盤面全てを埋めている。

 1ターンでここまでひっくり返されるとは、やはり変態でもファイターとしての腕は一流だ。

 

 これならば3ダメージが通る可能性もある。

 変態がアタックフェイズに移行してきた。

 

 

「それではアタックフェイズ、参ります。『忍獣 トガジュウジ』の支援した『修羅忍竜 カブキコンゴウ』で『星条海将 アメリカンイクシード』にアタック!」

 

 

 パワー20000のアタック。

 クリティカルトリガーさえ出なければ、このアタックを防ぐ方が賢明だろう。

 だが、ここはあえて受けることにした。

 

 

「ノーガード」

 

 

 クリティカルトリガーの可能性を考慮すれば、パワーアップのスキルを持つチガスミに対応できるよう手札を温存したい。

 それに上手くいけばダメージトリガーをゲットできる。

 

 

「ダメージチェック……『海将 トルキスイクシード』、ノートリガー」

 

 

 ノートリガーだった。

 ……厄日続いているのか? 

 ともあれ、これでダメージ4。変態はクリティカルトリガーをデッキに8枚入れているから、警戒するべきだ。

 

 クジキリコンゴウのスキルはあくまでコールの制限なのでインターセプトは含まれない。なのでVのアタックはジパングイクシードで対応できるが、問題はチガスミの方だ。

 あのユニットにはアタック時に手札を1枚破棄することでバトル中パワーを+15000するスキルがある。ツインドライブでコストとなる手札を補充できるので、クリティカルトリガーを引かれれば6ダメージの圏内に入る。

 こちらは実質グレード0の手札しか使えない。ギリギリ足りるかどうかというところだ。

 

 

「『忍妖 オボロカート』の支援、『修羅忍竜 クジキリコンゴウ』でマイプリンセスにアタックです! 我が愛、どうか届けぇ!」

 

 

「届かせて堪るか! 『海将 ジパングイクシード』でインターセプト、スキルで指定するのはお前だ変態!」

 

 

 性懲りも無く変態発言を出しながら突撃仕掛ける変態。

 クジキリコンゴウって孤高のTHE・シノビという感じのユニットなのに、こいつが使うとイメージが崩される。

 使いこなしているなら、ユニットも大切にしろよ。なんで変態イメージの媒介にしやがるんだ。こいつに使われている間は変態忍者集団にされるぬばたまが可哀想だ。

 

 

「ツインドライブファーストチェック……『忍獣 トビヒコ』!」

 

 

 変態はドライブチェックで早速クリティカルトリガーを引き当てた。

 ダメだ変態の相手している場合じゃない。こっちはもう4ダメージだから、チガスミのアタックで6ダメージ受ける可能性がある。

 

 

「クリティカルトリガー発動! チガスミにラブレター入り花束を託します!」

 

 

「変なイメージするな! さっさと2枚目出せ!」

 

 

 ラブレター入り花束ってなんだよ! 

 ほら受け取ったチガスミも呆れて……ねえし! やる気みなぎらせている。

 ……って、なんだよこのイメージは!? 2つのクランが真剣勝負で激突しているクレイの戦場に変なイメージ持ち込んでんじゃねえ! 

 

 

「セカンドチェック……『忍獣 ドガジュウジ』、ノートリガーです」

 

 

 2枚目はノートリガーだった。

 手札を確認する。

 

 クジキリコンゴウのアタックは防いだが、クリティカルトリガーを受け取ったチガスミのアタックがまだ残っている。

 

 

「さあ、マイプリンセス! この花束を受け取ってください! 『忍竜 ドレッドマスター』が支援、『忍獣 チガスミ』がマイプリンセスにアタック! スキルにより手札1枚と引き換えにチガスミはバトル中パワー+15000、合計パワー42000のアタックです!」

 

 

「断固拒否だこの変態! 『エンタープライズ』と『救護艦 ひかわ』でシャットアウト!」

 

 

 グレード0を2枚、それぞれシールド15000と20000。アメリカンイクシードのパワーと合わせ、合計で48000。

 シールドはギリギリで足りた。

 ダブルトリガーが出ていたら負けていたので、結構ギリギリである。

 

 

「さすがマイプリンセス。照れちゃって、可愛らしいこと––––ブホォ!?」

 

 

「ふざけんなこのど変態野郎!」

 

 

 本日……もう数えてねえ。何度目かの物理アタック。

 ともかくこのターンを凌ぎ切ったなら、私の勝ちだ。

 変態はすでに4ダメージ。手札は1枚。そして私の手札にはイマジナリーギフト『フォース』のアイコンを持つカードがある。

 ライドしてもう1つフォースを獲得すれば確実に1度はクリティカル2の攻撃を通すことができる。

 

 

「スタンド&ドロー。『星条海将 アメリカンイクシード』にライド!」

 

 

「……あ、これは」

 

 

「イマジナリーギフト、フォース。フォースIIを左のRに展開し、『煉獄大空母 タイホウ』と『海将 ルーシイクシード』をコール!」

 

 

 タイホウはスキルでパワーが13000となり、ブーストを獲得している。

 フォースマーカーを展開したことでクリティカルが2となっているルーシイクシードも、タイホウのブーストと合わせればパワー18000。クジキリコンゴウにアタックを通せる。

 そして、Vには前列全てのユニットとバトルしインターセプトを破壊するスキルを持つ『星条海将 アメリカンイクシード』。

 変態の方ももはやこちらの攻撃態勢が整ったことを察したようだ。クリティカルトリガー1枚ではこのアタックを防げないと。

 

 

「『星条海将 アメリカンイクシード』でアタック! ブーストを受けていないのでパワー+10000し、さらにスキルを発動! カウンターブラストで相手の前列全てのユニットと同時にバトルする!」

 

 

 手札を使えばクジキリコンゴウはガードできるが、次のルーシイクシードのアタックを防ぐ手段はない。

 そして私の前列はフォースマーカーによりどちらもクリティカル2。ダメージ4の変態は、どちらの攻撃を受けたとしても6ダメージになる。

 

 

「ムムム、バトル相手に選ばれた以上インターセプトもできない……打つ手なし、ですか。ならば僕は姫のアタックを受けましょう! さあ、ノーガードです!」

 

 

 変態は、両手を広げてウェルカムノーガード宣言をした。

 ……そのノーガード宣言やめてくれねえか? 

 

 

「ツインドライブファーストチェック……『海将 トルキスイクシード』、ノートリガー。セカンドチェック……『海将 アメリカンイクシード』、ノートリガー」

 

 

 ツインドライブではトリガーは無し。

 だがアメリカンイクシードのクリティカルは2。ヒールトリガーを引けなければ、6ダメージとなる。

 

 

「ダメージトリガーファーストチェック……『忍獣 アラクレギツネ』、ノートリガーです」

 

 

 1枚目はノーマルカード。

 そして、2枚目は……

 

 

「セカンドチェック……『修羅忍竜 クジキリコンゴウ』、ノートリガーです」

 

 

 ノートリガー。

 つまり、6ダメージである。

 

 

「……ふう」

 

 

 結構危ういところだったけど、なんとか勝利できた。

 さすがにこのシーストライカーのデッキでは限界がある。ユニットの個々の能力は高いが、守護者のカードはグレード1だし、改良の余地が多々あるデッキだ。

 でも、これでこの変態にも勝てるくらいなら、このクランはかなり強いかもしれない。

 どこの誰かは知らないけど、こんな強いクランを何で私のポストに入れたのだろうか? 

 

 

「マイプリンセス……さすがの強さ、惚れました! プリーズキッス––––ぼげっ!?」

 

 

「するか変態! 用済みだ、さっさと消えろ!」

 

 

 そして予想通りファイトが終わるなり変態は飛びついてきた。

 ……こいつやっぱり嫌いだ!

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