死した親友クラウスと、主人公のマティアスの、出会いから別れまでのストーリーです。
進撃の涙〜肉を求めて〜本編の番外編です。
良かったらそっちの小説から読んでいただければ嬉しい限りです。
[今回の登場キャラクター]
マティアス=ドレーアー
自作キャラクターの主人公。調査兵団に属する。
前期訓練兵次席の優秀な兵士。
金髪混じりの茶髪。
一生懸命になると周りが見えなくなる性格。
クラウス=バルト
マティアスの親友。
前期訓練兵首席の実力者。濃い金髪。
優しくて、でも厳しい面も持った完璧な人間だった。
ビョートル=ボーリンガー
マティアスと普段同じ班に属する仲間。金髪で目つきが悪い。背が高め。
常に最悪を想定して行動する癖がある。慎重なのが長所であり短所。
ラウラ=アーレンス
マティアスと普段同じ班に属する仲間。銀髪のセミロング。小柄。
心配性。喜怒哀楽が激しい。
ー1ー約束の糸
「なあ、クラウス?俺達ってさ…始め、結構簡単に打ち解けたよな。」
「…ああ、出会った時ね。懐かしい。どうしたの?」
俺とクラウスは兵舎で話をしていた。
「いや、こうして二人で話すの久し振りだったから。」
明日は調査兵団の最初のミッションだ。
場所はシガンシナ区。巨人を討伐する目的だ。
「遂に、叶ったんだな、俺達の夢。」
「そうだね…俺たちの夢。懐かしいな…!」
クラウスが目を細めて兵舎の窓を見つめた。
「今じゃもう…忘れてたよ。俺が記憶を失ってたこと。」
「そうなんだ。」
「ばあちゃん家に来たときはさ…。」
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[彼の優しさ〜幼少期〜]
俺は記憶を失った。
原因はウォールマリア破壊…超大型巨人と鎧の巨人出現だった…らしい。
俺は全壊した自宅で両親と共に倒れていた。
両親は即死。俺だけが記憶を失った状態で発見されたのだ。
そしてそれを救ってくれたのは祖父母の存在。全てを話してくれたのはウォールローゼ内に暮らしていた祖父母だ。
そして俺の祖父母が見つかったのは、肌身離さず付けていた、発見時にもずっとだ。
前髪を留めるピンの存在だった。
裏側にマティアス=ドレーアーと掘ってあり、自分の名前を見つけた。
そこで祖父母に引き取られたのだ。
「マティアス。隣のお家の人が遊びに来たよ。」
ばあちゃんの声が一階から聞こえた。
「えー…と?今行く!」
俺はベットから下りた。
俺がこの家に来たのは一週間前。自分とばあちゃん、じいちゃんで暮らし始めた。
二人は優しく、何処か懐かしく、簡単に打ち解けることが出来た。
じゃあ近所の子供達は?
俺は人見知りが激しいのか、記憶を失って興味を示さないのか、友達が一向にできなかった。
俺は一階に下りて、玄関を見た。
そこにはばあちゃんと話す女性と、同年齢程の金髪の少年が立っていた。
そして、俺を見るなり「あ…。」と声を出す。
「こんにちは。クラウスの母です。マティアス君?宜しくね。」
女性が俺に声をかけた。
「あ、どうも、宜しく…。」
そう言うと、女性は
「クラウスはマティアス君と話してきなさい。貴方が言い出したのよ。」
そう言ってクラウス…という少年の背中を押した。
「どうぞ、上がってくださいな。」
ばあちゃんが少年を誘導する。
「部屋まで案内しておやり。」
「あ、うん。」
俺は近づいて来る少年を確認し、元来た部屋に戻る。
階段を上がったすぐの扉だ。
部屋に入るなり、ベットに座る。
どうすればいいんだ?
何を話せばいい?
俺の脳内は軽くパニック状態に陥っていた。
そこで、少年が口を開く。
「俺も座っていい?」
俺は取り敢えず頷く。
すると、俺の横に少年が座った。
「俺はクラウス=アドルフ。気軽にクラウスでいいよ。俺は君の隣に住んでるんだ。宜しく。」
引越しの挨拶か。
「えと、俺はマティアス=ドレーアー…宜しく。」
俺は話し上手でも何でもなかった。ましては記憶喪失だ。話すこともない。
しかし、どんどんとクラウスが会話を持ちかけた。
「記憶喪失…なんでしょ?やっぱり辛い?」
「…わからない。」
「ここに来てからどのくらい?」
「…一週間。」
俺は知らない人と話すのが慣れず、眈々と答えを話した。
つまらないと思われるだろう。だけどこれ以上の会話の広げ方が分からない。知識もない。
「あのさ、今日は色々話そうと思って色々持って来たんだ!」
クラウスが思い出したように手を叩いた。
そして提げてきた紙袋から何冊もの本を取り出す。
「何も覚えてないなら知らないよね…外の世界や巨人、兵団とかのこと!」
パアッとクラウスの表情が明るくなった。
本を開くと、大きな円が何重にも重なる絵。
俺は言葉もなく首を傾げた。
「一番外側の円がウォールマリア。真ん中がウォールローゼ。内側がウォールシーナっていうんだ。そのウォールシーナの内側には大富豪や貴族が住んでるんだ。俺達のいるのはここ、ウォールローゼ内。」
彼の指を差す先を見つめる。
俺の記憶が失ったのはウォールマリア破壊とかいっていたな…。
「俺、記憶がなくなったのこれが壊れてから。」
俺はウォールマリアと呼ばれる円を指差す。
「そう、これが破壊されて俺も引っ越してきたんだ。…巨人によって…ね。」
巨人。
聞いたことある。
「人を食らう化け物だよな?」
俺が問うと、クラウスが大きく頷く。
「巨人はね!!」
クラウスが語り出すと同時に、俺はめくったページを凝視する。
いつの間にか好奇心で溢れていた。
もっと、知りたい!
そんな気持ちで溢れていたのだ。
「じゃあさ!!」
俺は不思議とクラウスと打ち明けた。
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クラウスと本当に仲良くなったのは、初対面で話した時から一週間の頃。
あれから毎日クラウスは俺の家に来て、二人で読書をしたり写真を見たりして、俺は知識を貯めていた。
そして壁外や兵団などに興味を抱くようになっていた。
そして数年も経った頃だ。
「クラウス君が来たよー、マティアス!」
俺がクラウスに借りていた本を読んでいると、下からばあちゃんの声がする。
「おう!」
俺は慌てて一階に下りて玄関を開ける。
「元気だねえ…最近。」
「そうか?」
俺は靴を履きながら返答した。
すると、目の前のクラウスは焦っている様子だった。
「ど、どうした?!」
「は、早く!!とにかく早く!!」
俺はクラウスに引かれるままに家を飛び出した。
走りながら俺はクラウスに問う。
「はっ…はっ…えっと…今、今日…あの調査兵団の…遠征帰還で野次馬が集まってるんだ…!」
息も切れ切れでクラウスは振り返る。
「え…あの?!」
俺が目を輝かせると、クラウスは大きく頷いた。
「初めて見るでしょ!!」
そう言われて走って行くと、ウォールローゼ付近で人集りが出来ているのを捉えた。
盛大な盛り上がりだ。一瞬祭りを連想する程だ。
「行こう!クラウス!」
俺はいつの間にか好奇心に負けてクラウスを引く形で走っていた。
迷わず人集りに飛び込み、上手に人を掻き分けて行く。
すると、遂に視界の端に鈍い明かりが差し込んだ。
人集りの出口だ。
力いっぱい手を伸ばし、先頭のロープを手に取る。
身体を引き寄せると、先頭にたった。
目の前に調査兵団の勇姿が飛び込む。
怪我をしている人、死体を運んでいる者、誰もが勇ましい表情で帰還した。
マントに刻まれたエンブレム。
「自由の…翼…?」
「おーい…マティアス…待って…。」
後ろから苦しそうに呻きながらクラウスが手を伸ばした。
俺はしっかりその腕を引き寄せ、クラウスも最前列に連れて来る。
「うわ…!」
クラウスも感嘆の声をあげた。
これが…調査兵団。
「かっこいい…。」
俺が呟くと、横でクラウスが大きく上下させて頷く。
皆を守る兵士…。
俺も、あんな風になりたい。
なりたい。
俺にも。
そういえば…俺の両親は忌まわしい巨人の影響で死んだんだったな。
その仇も…ある。
俺を愛してくれる、両親が見たかった。
覚えていたかった。
俺は無意識に拳を握り締めていた。
「クラウス、俺、絶対になる…。初めは誰だって初心者だよな?俺にもなれるよな?!
調査兵団に!!」
ふと軍団の方を見ると、黒髪緑目の荷台に乗った青年と目が合った。
何か悲しそうな表情をしていた気がした。
「マティアス、終わるよ。戻ろうか。…一旦人だかりから離れて話そうか。」
俺は素直に頷き、人集りを後にする。
路地裏に入ると、クラウスが俺を見つめた。
「調査兵団に入ることがどういうことかわかるよね。それでもいいんだよね?」
確認するようにクラウスは言う。
俺は大きく頷いた。
「もう年齢的にも待った。俺、今年の訓練兵に志願する!」
俺が言うと、クラウスは微笑んで言った。
「当然俺もね。ずっと俺だって、憧れ続けてきたんだ。」
クラウスの瞳には確かに決意の火が灯っていた。
ー1ENDー
読んでいただきありがとうございます。
番外編、彼と交わした約束はもう少し続きます。次回は訓練兵時代のお話となります。そして最後に調査兵団…です。本編もまだ続いているので、見ていただければ嬉しい限りです!
ありがとうございました!