進撃の涙   作:神崎 吹雪

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「お前に、約束してほしいことがあるんだ。」

死した親友クラウスと、主人公のマティアスの、出会いから別れまでのストーリーです。

進撃の涙〜肉を求めて〜本編の番外編です。
良かったらそっちの小説から読んでいただければ嬉しい限りです。

[今回の登場キャラクター]

マティアス=ドレーアー

自作キャラクターの主人公。調査兵団に属する。
前期訓練兵次席の優秀な兵士。
金髪混じりの茶髪。
一生懸命になると周りが見えなくなる性格。


クラウス=バルト

マティアスの親友。
前期訓練兵首席の実力者。濃い金髪。
優しくて、でも厳しい面も持った完璧な人間だった。


ビョートル=ボーリンガー

マティアスと普段同じ班に属する仲間。金髪で目つきが悪い。背が高め。
常に最悪を想定して行動する癖がある。慎重なのが長所であり短所。


ラウラ=アーレンス

マティアスと普段同じ班に属する仲間。銀髪のセミロング。小柄。
心配性。喜怒哀楽が激しい。




〜彼と交わした約束〜編(番外編)
ー1ー約束の糸


「なあ、クラウス?俺達ってさ…始め、結構簡単に打ち解けたよな。」

「…ああ、出会った時ね。懐かしい。どうしたの?」

俺とクラウスは兵舎で話をしていた。

 

「いや、こうして二人で話すの久し振りだったから。」

明日は調査兵団の最初のミッションだ。

場所はシガンシナ区。巨人を討伐する目的だ。

 

「遂に、叶ったんだな、俺達の夢。」

「そうだね…俺たちの夢。懐かしいな…!」

クラウスが目を細めて兵舎の窓を見つめた。

「今じゃもう…忘れてたよ。俺が記憶を失ってたこと。」

「そうなんだ。」

「ばあちゃん家に来たときはさ…。」

 

 

✴︎ー✴︎ー✴︎ー✴︎ー✴︎ー✴︎ー✴︎

 

[彼の優しさ〜幼少期〜]

 

 

 

俺は記憶を失った。

 

原因はウォールマリア破壊…超大型巨人と鎧の巨人出現だった…らしい。

 

俺は全壊した自宅で両親と共に倒れていた。

 

両親は即死。俺だけが記憶を失った状態で発見されたのだ。

 

そしてそれを救ってくれたのは祖父母の存在。全てを話してくれたのはウォールローゼ内に暮らしていた祖父母だ。

 

そして俺の祖父母が見つかったのは、肌身離さず付けていた、発見時にもずっとだ。

 

前髪を留めるピンの存在だった。

 

裏側にマティアス=ドレーアーと掘ってあり、自分の名前を見つけた。

 

そこで祖父母に引き取られたのだ。

 

 

 

「マティアス。隣のお家の人が遊びに来たよ。」

ばあちゃんの声が一階から聞こえた。

「えー…と?今行く!」

 

俺はベットから下りた。

俺がこの家に来たのは一週間前。自分とばあちゃん、じいちゃんで暮らし始めた。

 

二人は優しく、何処か懐かしく、簡単に打ち解けることが出来た。

 

 

じゃあ近所の子供達は?

 

 

俺は人見知りが激しいのか、記憶を失って興味を示さないのか、友達が一向にできなかった。

 

俺は一階に下りて、玄関を見た。

そこにはばあちゃんと話す女性と、同年齢程の金髪の少年が立っていた。

 

そして、俺を見るなり「あ…。」と声を出す。

「こんにちは。クラウスの母です。マティアス君?宜しくね。」

女性が俺に声をかけた。

「あ、どうも、宜しく…。」

そう言うと、女性は

「クラウスはマティアス君と話してきなさい。貴方が言い出したのよ。」

そう言ってクラウス…という少年の背中を押した。

 

「どうぞ、上がってくださいな。」

ばあちゃんが少年を誘導する。

 

「部屋まで案内しておやり。」

「あ、うん。」

俺は近づいて来る少年を確認し、元来た部屋に戻る。

階段を上がったすぐの扉だ。

 

部屋に入るなり、ベットに座る。

 

どうすればいいんだ?

 

何を話せばいい?

 

俺の脳内は軽くパニック状態に陥っていた。

そこで、少年が口を開く。

「俺も座っていい?」

俺は取り敢えず頷く。

すると、俺の横に少年が座った。

 

「俺はクラウス=アドルフ。気軽にクラウスでいいよ。俺は君の隣に住んでるんだ。宜しく。」

引越しの挨拶か。

 

「えと、俺はマティアス=ドレーアー…宜しく。」

俺は話し上手でも何でもなかった。ましては記憶喪失だ。話すこともない。

しかし、どんどんとクラウスが会話を持ちかけた。

「記憶喪失…なんでしょ?やっぱり辛い?」

「…わからない。」

「ここに来てからどのくらい?」

「…一週間。」

 

俺は知らない人と話すのが慣れず、眈々と答えを話した。

つまらないと思われるだろう。だけどこれ以上の会話の広げ方が分からない。知識もない。

 

「あのさ、今日は色々話そうと思って色々持って来たんだ!」

クラウスが思い出したように手を叩いた。

そして提げてきた紙袋から何冊もの本を取り出す。

「何も覚えてないなら知らないよね…外の世界や巨人、兵団とかのこと!」

パアッとクラウスの表情が明るくなった。

本を開くと、大きな円が何重にも重なる絵。

俺は言葉もなく首を傾げた。

 

「一番外側の円がウォールマリア。真ん中がウォールローゼ。内側がウォールシーナっていうんだ。そのウォールシーナの内側には大富豪や貴族が住んでるんだ。俺達のいるのはここ、ウォールローゼ内。」

彼の指を差す先を見つめる。

 

俺の記憶が失ったのはウォールマリア破壊とかいっていたな…。

「俺、記憶がなくなったのこれが壊れてから。」

俺はウォールマリアと呼ばれる円を指差す。

「そう、これが破壊されて俺も引っ越してきたんだ。…巨人によって…ね。」

巨人。

 

聞いたことある。

 

「人を食らう化け物だよな?」

俺が問うと、クラウスが大きく頷く。

「巨人はね!!」

クラウスが語り出すと同時に、俺はめくったページを凝視する。

いつの間にか好奇心で溢れていた。

 

もっと、知りたい!

 

そんな気持ちで溢れていたのだ。

 

「じゃあさ!!」

俺は不思議とクラウスと打ち明けた。

 

 

✴︎ー✴︎ー✴︎ー✴︎ー✴︎ー✴︎ー✴︎

 

 

クラウスと本当に仲良くなったのは、初対面で話した時から一週間の頃。

あれから毎日クラウスは俺の家に来て、二人で読書をしたり写真を見たりして、俺は知識を貯めていた。

 

そして壁外や兵団などに興味を抱くようになっていた。

 

そして数年も経った頃だ。

 

「クラウス君が来たよー、マティアス!」

俺がクラウスに借りていた本を読んでいると、下からばあちゃんの声がする。

「おう!」

俺は慌てて一階に下りて玄関を開ける。

「元気だねえ…最近。」

 

「そうか?」

俺は靴を履きながら返答した。

 

すると、目の前のクラウスは焦っている様子だった。

「ど、どうした?!」

「は、早く!!とにかく早く!!」

俺はクラウスに引かれるままに家を飛び出した。

 

走りながら俺はクラウスに問う。

「はっ…はっ…えっと…今、今日…あの調査兵団の…遠征帰還で野次馬が集まってるんだ…!」

息も切れ切れでクラウスは振り返る。

 

「え…あの?!」

俺が目を輝かせると、クラウスは大きく頷いた。

「初めて見るでしょ!!」

 

そう言われて走って行くと、ウォールローゼ付近で人集りが出来ているのを捉えた。

盛大な盛り上がりだ。一瞬祭りを連想する程だ。

「行こう!クラウス!」

俺はいつの間にか好奇心に負けてクラウスを引く形で走っていた。

迷わず人集りに飛び込み、上手に人を掻き分けて行く。

 

すると、遂に視界の端に鈍い明かりが差し込んだ。

人集りの出口だ。

 

力いっぱい手を伸ばし、先頭のロープを手に取る。

身体を引き寄せると、先頭にたった。

 

目の前に調査兵団の勇姿が飛び込む。

 

怪我をしている人、死体を運んでいる者、誰もが勇ましい表情で帰還した。

 

マントに刻まれたエンブレム。

 

 

 

 

「自由の…翼…?」

 

 

 

 

「おーい…マティアス…待って…。」

後ろから苦しそうに呻きながらクラウスが手を伸ばした。

 

俺はしっかりその腕を引き寄せ、クラウスも最前列に連れて来る。

 

「うわ…!」

クラウスも感嘆の声をあげた。

 

これが…調査兵団。

 

「かっこいい…。」

俺が呟くと、横でクラウスが大きく上下させて頷く。

 

皆を守る兵士…。

 

俺も、あんな風になりたい。

 

なりたい。

 

俺にも。

 

 

 

そういえば…俺の両親は忌まわしい巨人の影響で死んだんだったな。

 

その仇も…ある。

 

俺を愛してくれる、両親が見たかった。

 

覚えていたかった。

 

俺は無意識に拳を握り締めていた。

 

 

 

「クラウス、俺、絶対になる…。初めは誰だって初心者だよな?俺にもなれるよな?!

 

 

調査兵団に!!」

 

ふと軍団の方を見ると、黒髪緑目の荷台に乗った青年と目が合った。

何か悲しそうな表情をしていた気がした。

 

「マティアス、終わるよ。戻ろうか。…一旦人だかりから離れて話そうか。」

俺は素直に頷き、人集りを後にする。

 

路地裏に入ると、クラウスが俺を見つめた。

「調査兵団に入ることがどういうことかわかるよね。それでもいいんだよね?」

確認するようにクラウスは言う。

 

俺は大きく頷いた。

 

「もう年齢的にも待った。俺、今年の訓練兵に志願する!」

 

俺が言うと、クラウスは微笑んで言った。

 

「当然俺もね。ずっと俺だって、憧れ続けてきたんだ。」

 

クラウスの瞳には確かに決意の火が灯っていた。

 

 

ー1ENDー




読んでいただきありがとうございます。

番外編、彼と交わした約束はもう少し続きます。次回は訓練兵時代のお話となります。そして最後に調査兵団…です。本編もまだ続いているので、見ていただければ嬉しい限りです!

ありがとうございました!
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