進撃の涙   作:神崎 吹雪

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あらすじー

主人公、マティアスと本作のメインメンバーの一部で、ハンジさんの買ってきた謎の美味な巨人の肉を調査するべく動き出した特別リヴァイ班。前回の作戦の練り直しの前、ビョートルがビアンカに直球で告白をするが、撃沈。その後、何かが起きてさらに仲が険悪になってしまった。そんな中行われる謎の奇行種狩りは…果たして…。


キャラのイメージを壊したくない方はUターンお願いします。
キャラの性格が異なる可能性があるので、温かい目でお願いします。

今回の主な登場キャラクター…☆はオリジナル

☆マティアス=ドレーアー
自作キャラクターの主人公。

エレン=イェーガー
本作の主人公。

ミカサ=アッカーマン

アルミン=アルレルト

リヴァイ

ハンジ=ゾエ

☆ビョートル=ボーリンガー

☆ラウラ=アーレンス

☆ルッツ
壁外調査で命を落とした。

☆ビアンカ=コリント

☆オリーヴィア=ハーニッシュ

☆ワレリー=グライスナー

☆クラウス=バルト
仲間の為に心臓を捧げたマティアスの親友。

詳しいキャラクターの詳細や、小説についてはこちら↓

http://touch.pixiv.net/novel/show.php?id=3233737


ー10ー亀裂の牙

ーー壁街調査が始まろうとしていた。

 

俺達は開門したウォールローゼと見守るオリーヴィアを後にして平原を馬で駆け抜ける。

 

ビョートルとビアンカの姿を見つめるが、お互い反対方向に陣を貼って完全に接触を絶っているようだった。

 

「今は集中しろ。マティアス。」

ワレリーの言葉にはっとして俺は正面を向いた。

目の前には自由の翼のエンブレムを付けたマントを羽織るリヴァイ兵長の背中。

 

俺は唾を飲み込み、前に向き直る。

 

二人なら大丈夫であろう。

 

また帰ったら相談しよう。

 

それでいい。俺は、今は、巨人を狩ることに誠心誠意、集中しないといけない。

 

 

俺達は前回謎の奇行種と出くわしてしまった場所まで馬を走らせていた。

 

そこには前回、うじゃうじゃと巨人がいた。

あいつらとの戦闘も考えないといけない。

しかし、まずは奇行種を探すことが最初だ。

 

すると、目の前から巨人の足音であろう軽度の地響きが身体を揺すった。

来る。

来るが…、戦うのか?

 

そんなことを考えると、巨体の姿が露わになった。

遥か遠くにスキップをしながら近づいて来る10m級程の奇行種。

通常の奇行種のようだった。

その顔には満面の笑みを浮かべた顔が張り付いており、俺の背筋を凍らす。

 

「言い方が悪いが練習だと思って殺ってみるぞ…いいか。」

リヴァイ兵長はそう言った。

「俺達はは参戦しないけどいいのか…?」

後ろからはワレリーとエレンが荷台を取り付けた馬を走らせる。

荷台を放って置くわけにはいかなかった。

その前を俺が走っていた。

 

「ああ…今回も同様、右目ビョートル左をビアンカ、右腕マティアス左を俺、右足ハンジ、左足ラウラで、ミカサはエレンを守る。アルミンが巨人の注意を引く。」

 

そう言った時には既に巨人は間近まで迫っていた。

 

「行くぞ。」

リヴァイ兵長の掛け声とともに俺達は立体機動装置の半刃刀身を握り締め、奴に向かってアンカーを飛ばした。

 

俺は真っ直ぐ奴の右腕に向かって飛ぶ。

真下を走るアルミンに気を取られ、奴は俺の方に視線を刺すことは無かった。

 

「うぉおおおおおおお!!!」

半刃刀身を振り上げて奴の右腕を削ぎ落とした。

瞬間に俺の耳元でも沢山の斬撃音が響く。

しかし、俺の目の前の右腕は外れていなかった。

 

 

 

明らかに俺の刃は折れていた。

 

 

 

ーーそう、目の前の巨人の正体は謎の奇行種だった。

 

 

 

「きゃああああ!!」

下からラウラの叫び声。

「な…。」

ハンジさんの声。

「こいつ…。」

リヴァイ兵長の声。

 

全員の刃が折れている。

 

 

 

こいつ…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全身が硬化してやがる?!!

・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、ありえない。そんな例は見た事がない。

 

俺達は唖然としながら着地した。

 

冗談だろ。

 

そんなことを考えていた瞬間、奴の下で佇んでいた俺達に奴の手が降りてきた。

 

倒せない。

 

分かっていた。

 

「あ…。」

 

俺達はやはりこの化け物に手を出すべきではなかったのか。

 

俺は奴の手に覆われた。

すぐ隣にいたラウラ、ビアンカ、ビョートルを一緒に巻き込んで。

俺は皆の中で唯一顔が正面を向いて指の隙間から出た。

 

奴はゆっくりと自分の顔に手を近づける。

目が合う。

 

背筋が凍る。

 

奴は強く握ろうとはしなかった。

 

ただ、ただ俺の顔を見つめた。

 

 

その時だった。

 

 

「っっざけんじゃ…ねえ!!!」

エレンの叫び声が聞こえた。

 

真後ろから音がする。

蒸気が噴き出て、後ろで何が起きたのが予想出来た。

 

エレンが、巨人化した。

 

俺は必死でもがくが、奴は殺そうともしないし離そうともしない。

その間にリヴァイ兵長達もこちらに向かってやってきた。

 

足音と叫び声で、エレンが接近して来るのが分かる。

 

「ラウラ…皆、生きてる…か?」

俺の声で、俺の足を誰かが掴んだ。

声は篭って聞こえない。

 

リヴァイ兵長達が腕に半刃刀身で斬撃を試みる。

 

案の定奴の腕に変化はない。

 

その時、奴は腕を振り上げた。

俺達は遥か上空から皆を見下ろす形になった。

 

エレンがいた。

奴に迫る。が、その前に奴は俺達を…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

投げた。

・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

途端に頭が真っ白になる。

 

すごい風圧で顔が歪む。

 

意識が飛びかける。

 

でも必死で目を凝らし、周りを見た。

 

 

 

今、巨人が俺達を何故か投げて…もの凄いスピードで平原を飛んでる。

 

このままじゃ木や地面に叩きつけられて死ぬ。

 

辺りがスローモーションに見えた。

 

「ラウラ!ビョートル…ビアンカ!!」

 

俺の叫びで返事を返したのはビアンカだ。

「早く!立体機動を木に…なんとか引っ掛けて…衝撃を抑えましょう!!」

すると、ビョートルも動いた。返事をしなかっただけのようだ。

立体機動に手を伸ばし、アンカーを木に向かって飛ばす。

 

まだ間に合う!!

 

 

って、あれ…?

 

 

「ラウラ?!」

真横を飛ぶラウラは動かない。

風圧で気絶したのかもしれない。

 

頼む。

 

上手く行くかわからない。

 

俺はラウラに手を伸ばす。

ラウラの腕を掴み、身体を引き寄せた。

 

しっかりと後ろから抱きしめて固定する。

反対の手でアンカーを巻き取った。

 

狙った木が通り抜けて、限界までアンカーが伸びる。

 

限界に達した時、もの凄い身体に負荷がかかりまたも意識が飛びかける。

 

顔が歪み、苦痛に耐えながら反発の勢いで木に向かって突進する。

今度はもう片方のアンカーを定めた木の横の木に引っ掛けて、方向転換をして木との衝突を避ける。

 

そしてブランコのような形でその両方の木の間で俺とラウラはぶら下がる。

何度も回転して気分が悪くなったが、やがてワイヤーの振動が少なくなり俺はアンカーを外して着地した。

 

しかし横では勢いよく地面を転がるビョートル。でも衝撃は激減していた。

ビアンカは一本の木にワイヤーを巻き付けて回転する形で着地した。

 

俺はなんだが今回、自分達の判断力を尊敬した。

咄嗟に着地の手段を考え、ラウラを死守し、…。

あ、ラウラ!

 

「ラウラ、起きろ!」

俺は地面にラウラを横たわらせて、軽く身体を揺さぶった。

長い睫毛が一瞬動いたような気がするが、意識は戻らない。

 

「…。」

こんなことしてる場合じゃないのは分かっていたが、つい可愛さに見惚れる。

ゆっくり髪に手を伸ばした時、現実に引き戻された。

 

「マティアス!」

ビアンカの声に我に返った。

今は…ここから皆の元へ合流しなければならなかった。

「…ラウラが目覚めない。どうする?…というかビョートルは?」

俺の言葉でビアンカの表情が曇った。

「ラウラ…ね、どうしよっか。…。」

言いにくそうに言った。

ビョートルの話題には触れてもくれない。

「二人は、どうしたんだよ。」

ビアンカは俯くばかりだ。

その間に木の葉を踏む音が近づく。

 

「よ。」

ビョートルは俺を見て言った。

 

「全員無事で良かったな。」

俺は耐えられず明るい話題を持ち込む。

「ラウラは…どうした?」

ビョートルはラウラを見て唖然とする。

「気絶してるから…大丈夫。」

「ここは危ないわ。まあ…壁外だから何処も駄目だけど。」

 

 

 

俺達は慌てて辺りを見回した。

 

周りに巨人がいる気配はない。

ここら辺は気が割と生い茂っており、死角ができていて危険ではあるが逆に隠れられる利点もある。

第一ほぼ巨人は足音がうるさいから安心だ。

 

「信煙弾でもあげる?」

「なるほど!」

ビアンカは頭がいいな…。助かる。

 

ビョートルを見ると、何も言わずただ遠くを眺めていた。

俺がビョートルを見ているのを確認したビアンカも、気まずそうに反対の空を眺めた。

 

俺が気まずくて困っていた時、ラウラが動いた。

 

「あっ!」

思わず声をあげてラウラに駆け寄った。

目を半開きにさせながら両手で体重を支え、なんとか起き上がろうとしている。

特に怪我をしている様子もなく、簡単に座り込んだ。

 

「まー…マティアス?あれ?二人も…えっと。」

状況を上手く理解出来ない様子で、挙動不審に辺りを見回した。

「あ!起きたのね。良かった…。」

ビアンカも駆け寄って、ラウラの隣に座った。

「ごめん心配かけて…私達、飛ばされたよね?確か…。」

ラウラは自分の身体を眺めている。

普通に考えれば死んでもおかしくなかった状態だ。

 

「じゃあ早く合流しようぜ!飛ばされた方向に向かおう。」

俺がそう言うと、皆が頷いた。

ビョートルもこちらを向いて頷く。

俺達は立ち上がり、元来た平原へ足を運ぶ…が、嫌な地響きが耳をくすぐった。

 

徐々に接近する足音は間違いない。

 

 

巨人だーー。

 

 

しかも、一体の足音ではなさそうだった。

複数の、大きな足音。

恐る恐る後方に振り返った。

 

7m級の四つん這いの奇行種が一体。

5m級の通常種が一体。

スキップしててよくわからない大きめの奇行種が二体。

 

…全部で五体以上が迫ってきていた。

「まずい…完全に俺達を…見てる。」

俺は独り言のように呟いた。

 

「戦いましょう。今私達は馬もないから逃げることすら出来ない!」

そうだった俺達は投げ飛ばされて馬はいない。

そして今リヴァイ兵長達の様子も全くわからない。

 

巨人化したエレンが無事でいるかもわからない。

 

「戦おう!」

ラウラが言うが…リヴァイ兵長程の実力者がいなければ無理だと思った。

 

でも、信じて見るのも大切だと……俺は…思えない。

 

クラウス、俺の親友は、また追いかけると言って、この世を去った…。

 

所詮信じたところで、何も変わらないのが現状。

 

「待てよ。」

俺達の足を止めたのはビョートルだ。

「どうした?」

俺とラウラは振り返る。

 

「これじゃあ、誰一人として犠牲者を出さずに済ませるのは不可能だ。誰かが食われてる間に殺る…とか、じゃないとな。それも一人で済めばいい。全滅の危機だってある。だからさ、俺に、いい案があるんだ。」

ビョートルの瞳に光は灯っていない。

 

慎重なビョートルに、何の考えが浮かんだのだろうか。

 

「俺さ、…爆弾、作るの得意なんだ。今まで隠してきたけど。」

 

俺はビョートルの発言に驚いた。

「え?だったら…その爆弾で…」

「爆発までの時間が短いほど強くてな?いつも四段階くらい持ち歩いてるんだ。…あ、もう迫ってくるな。下がれ!」

 

俺は迷わず巨人とビョートルから離れた。

 

 

 

ーーそれは俺が単純で馬鹿だったからだ。

 

 

 

ラウラとビアンカは慌てて俺についてくるが、

「ねえ、巨人と対等に戦わないといけない爆弾って、どのくらい強いのかな…もしかして…、ねえ。ビョートルは爆発に巻き込まれないの?」

ラウラの言葉に俺とビアンカがハッとした。

 

「ビョートル!!」

「来るな!!」

 

ビアンカが目を見開いた。

 

ビョートルの取る行動、まさか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺はこのパターンを知っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クラウスと…お願いだ。

 

 

 

 

これ以上俺を苦しめないでくれよ!!!

 

俺がそう心で叫んだ瞬間、横でも叫び声があがった。

 

「嫌…ちょっと!!やめなさいよ!!馬鹿?あんた…馬鹿なの?!」

ビアンカがビョートルに向かって叫んだ。

 

巨人は完全にビョートルを凝視し、ペースを下げてゆっくりと接近している。

 

 

 

 

「最期に…話しかけてくれたな。」

 

 

 

 

ビョートルはこちらを振り返った。

その顔は何処か悲しげに、涙を浮かべながら笑っていた。

 

いつも慎重なビョートルが壊れた瞬間だった。

 

「嫌…やめて…ビョートル!!!」

 

俺は不思議と身体が硬直していた。

ラウラの身体はガタガタと震えていた。

 

「お願い…死んじゃやだ!!!」

ビアンカが懸命に手を伸ばした。

 

その光景を、震える俺の瞳が捉えた。

 

ー10ENDー




読んでいただきありがとうございます!

今回は普段書かないような気持ちの入れ違いや心境の細かい変化などに気を使いましたw
こんな小説でも読んでいただけて本当に嬉しいです。ありがとうございました!

是非次回も読んでいただければ嬉しいです。
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