死した親友クラウスと、主人公のマティアスの、出会いから別れまでのストーリーです。
進撃の涙〜肉を求めて〜本編の番外編です。
良かったらそっちの小説から読んでいただければ嬉しい限りです。
ついに完結。
[今回の登場キャラクター]
マティアス=ドレーアー
自作キャラクターの主人公。調査兵団に属する。
前期訓練兵次席の優秀な兵士。
金髪混じりの茶髪。
一生懸命になると周りが見えなくなる性格。
クラウス=バルト
マティアスの親友。
前期訓練兵首席の実力者。濃い金髪。
優しくて、でも厳しい面も持った完璧な人間だった。
ビョートル=ボーリンガー
マティアスと普段同じ班に属する仲間。金髪で目つきが悪い。背が高め。
常に最悪を想定して行動する癖がある。慎重なのが長所であり短所。
ラウラ=アーレンス
マティアスと普段同じ班に属する仲間。銀髪のセミロング。小柄。
心配性。喜怒哀楽が激しい。
[彼と交わした約束〜調査兵団時代〜]
その夜、俺もクラウスも熟睡して充分な睡眠をとった。
そして翌朝、早朝から兵舎内には緊張した空気が張り詰めた。
寝心地がなんとなく悪く、俺は起きる予定より30分も早く目覚めてしまった。
俺は誰も起こさないように音を立てぬようベットから降り、カーテンを開けて薄紅に染まる朝日を見つめた。
叶う。
俺達の夢が。
調査兵団になり、巨人を駆逐すること。
❇︎
開門の合図と共に、調査兵団はミッションが始まった。
今日のミッションは、取り敢えず上層部以外の者は巨人の討伐が目的だった。
特に俺達は巨人との戦闘に慣れるためでもある。
幾つかの班に分けられて、調査を行った。
俺達の班は、俺にクラウス、ビョートルとラウラ、ビアンカ達数人の班だ。
暫く馬を走らせていると、目の前に巨人の群れと思わせる巨人の大群が現れた。
驚いた。
訓練兵の時とは訳が違う。凄い量なのだ。
「クラウス!どうする?!」
俺は目の前を走るクラウスに声を掛けた。
「団長の指示を待とう。」
その直後、団長命令が入った。
「全員かかれ!!うまく巨人同士の距離を開けて確実に殺せ!!逃げれたら迷わず逃げろ!!」
その指示と共に班がある程度バラバラになった。
俺達はクラウスの後を走った。
巨人一体がかかり、俺達の後ろを10m級程の巨人が走ってきた。かなり速そうだ。だが、時間を掛ければ間も空きそうだ。
「取り敢えず走らせて間を作ろう!行くぞ!!」
クラウスの指示で、俺達はただ馬を最高速度で走らせた。
しかし、ここで運命が交差したのかもしれない。
「あ…。」
ラウラが突如声をあげた。
それもそのはずだった。
目の前に巨人が三体こちらに向かって来た。
そう考えていると、横から一体の巨人。
完全に囲まれてしまった。
「戦った方がいい!!行くぞ!!」
後方から声を誰かが発した。
その言葉でクラウスが馬から飛び降りる。
俺もそれに続き、馬を飛び降りて立体機動の刃を抜き取る。
アンカーを目の前の奇行種の足にかけて、ぐんっと距離を詰めた。
「だああああああああ!!!!」
叫び声と共に俺は奴の足を削ぎ落とす。
バランスを崩した所を他の仲間が狙って接近してきた。が、
バチィッ!!!
嫌な音と共にそいつが巨人の手で潰されてしまった。
血飛沫と共に俺の意識も飛びかける。
「あ…。」
しかし、呆然とそれを見つめていた俺にクラウスが名前を呼ぶ。
それにはっとして慌てて巨人から距離を取り直して、再度空中に浮上する。
ヤバイ。
想像以上に苦しい。
知ってた。
そんなの知ってたけどさ。
「っっ!!死ねよぉおおおおおお!!!!!」
俺は無意識に奴の首筋狙って刃を振り下ろす。
しかし、完全に平常心を失っていた俺はうなじを削ぎ落とすことに失敗していた。
瞬間頭が真っ白になる。
俺は、馬鹿だ。
っ。
いつの間にか奴等に囲まれた真ん中に俺達はいた。
中には腕の無い者。
死者。
刃がない奴。
俺と同じく、全ての思考が停止している奴。
もう、終わりだ。
何もかも。
全てがーーーーー。
「俺達の儚い約束。
果たされることはなかったのか。」
「マティアス、大丈夫。」
涙を零した俺に囁くクラウスがいた。
ガバッと起き上がり、優しい瞳で俺を見つめるクラウスを見た。
「まだ大丈夫。助かるかもしれない。でも、それにはマティアスに掛かってるんだ。」
俺は大きく頷いた。
「マティアスが今から言うことを約束してくれれば、皆助かるから。いいかい?」
俺はさっきよりも大きく頷いた。
「君は、俺との約束を破らない人だよね。」
頷く。
「まず一つ目、俺が今から言うことを約束してくれ。」
巨人の足音で身体がガクガクと震えた。
でも必死で俺は頷いた。
そしてその光景を皆が見ていた。
「二つ目、合図を出したらあっちへ馬を走らせてくれ。マティアスだけじゃなく、全員で。」
俺は頷いて馬をクラウスの指差す方向に向け直した。
「三つ目、わがままだけど、俺と親友だったことを誇ってくれ。一生大切にしてくれ、いつも俺はここにいる。」
クラウスが自分の腕章を外し、俺の右手に通した。
「四つ目、ゆっくり俺を抱きしめてくれ。」
俺は放心状態で、馬に跨るクラウスに身体を寄せた。
反対側にいる仲間が目を見開いた。
何かを察したように。
そしてその背後に迫る巨人の姿。
「マティアス、ありがとう。俺は果たすことが出来ないけど、きっと君なら果たせるはずだ。調査兵団…頑張ってね…。」
俺は漸く全てを察した。
ずっと察したくなくて、脳が必死に拒否してたのかもしれない。
「あ…クラウス!!お前…まさか。」
クラウスは俺からゆっくり身体を離すと、優しく微笑んだ。
「後から追いかけるよ。」
そう言ってクラウスは俺と反対方向を向いた。
「約束、守ってくれるよね。俺達、永遠に親友だよな。ありがとう。破ったら、俺は君が俺のことを信用していなかったとみなす。二度と君の元には現れないと思ってよ。…後から追いかけるからね。マティアス。
マティアス。
ありがとう。
さよなら。
……。」
クラウスは俺の馬を強く鞭打った。
途端に馬は驚いて興奮状態に陥り、進行方向を勢い良く進んで行く。
「今だ!進め!」
クラウスの叫び声が後ろから聞こえた。
「あ…クラウス!!クラウス!!」
「君に心臓を捧げよう。」
俺は振り向かなかった。
涙でぐちょぐちょになった顔を見せられなかった。
クラウス。
クラウス。
お前は、俺より馬鹿だ。
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後日ーーー。
ミッション中に、森の出口付近でクラウスの乗っていたものと見られる馬と、立体機動装置の刃の片割れが見つかった。
その場には無残にも残酷な血痕が残されていたらしい。
俺達の仲の良さはほぼ誰もが知っているくらいだった。
前期訓練兵主席、次席の二人だったから。
俺の親友は英雄となった。
数週間もして、気持ちも漸く整理出来た俺は兵舎の窓を開け放った。
クラウス。
俺はクラウスの腕章を通している右腕を太陽に掲げた。
俺は、お前の分まで巨人を討伐してみせる。
安心して待っていてくれ。
今度は俺が。
君に心臓を捧げよう。
ー進撃の涙〜彼と交わした約束〜ENDー
読んでいただきありがとうございます。
番外編、彼と交わした約束はこれで完結ですが、本編はまだ続いているので、見ていただければ嬉しい限りです!
ありがとうございました!