今回の出演者は
御神亜麻音
戸山香澄
氷川日菜
湊友希那
弦巻こころ
奥沢美咲
瀬田薫
湊由愛
です。それではどうぞ。
ある日のファミレス。
そこで今日も今日とて私はバイトだ。今日は知り合いと同じシフトだ。
そのメンバーは……
「亜麻音先輩―、1番テーブルオーダー待ちでーす」(香澄)
「私が行くわ。日菜はレジを、香澄は17番テーブルの片付けを」(亜麻音)
「りょーかいっ」(日菜)
「解りましたっ! 亜麻音先輩!」(香澄)
「由愛、2番テーブルの給仕頼むよ」(薫)
「解りました。薫さん」(由愛)
私と香澄、日菜、薫、由愛である。大体この4人でシフトを組むことが多い。何か作為的なシフト組みな気がするのは私の気のせいなのだろうか。
それはさておき。
今は丁度お昼どき……故にピークタイムで超忙しいのだ。私達の他にも大学生バイト・パートの先輩たちも居るのだが……それでも目が回るほど忙しい。とはいえ、以前より負担が減って私の体力的に余裕が出来る様になっていた。それは薫のお蔭が大きい。
薫は以前の「休日包囲網会議」の結果、ファミレスでバイトする事になったのだ。演劇部に所属の彼女は接客スキルが高く、それに加え記憶力も良い方で比較的短期間で仕事を覚えている。(その割に学力がアレだけど)その結果、私と同じ「時間帯責任者」を任されるくらいに成長していた。
更に薫目的で訪れるリピーターが格段に増え、ファミレスの収入が嬉しい悲鳴と言わんばかりに増えた。その裏付けとして私はりみとひまりに毎日ファミレスで会っている気がする。
「そんなに会いたいならひまり達も此処でバイトすればいいのに」
そう思う私である。
さて、1番テーブルにオーダーを取りに行きますか……。
「ご注文はお決まりでしょうか?」(亜麻音)
「えっと……『日替わりランチセットA』1つ」(美咲)
「はい。『日替わりランチセットA、1つ』ですね?」(亜麻音)
「はい」(美咲)
「こころはどうするの?」(亜麻音)
「私はコレが良いわ!」(こころ)
「えっと……『しおんのおまかせ』ね」(亜麻音)
「ええ! 姉様の手作りですもの! 当然これよ!」(こころ)
「そう……。では、ご注文は以上ですね? 暫くお待ちください」(亜麻音)
こころと美咲のテーブルを注文を取った後に厨房に戻る。
こころの注文は私が作ることになってるのだから当然といえば当然か。
えっと……今日はなんだっけか。 そうだ、そうだ。ビーフシチューだった。
私は素早く調理に取り掛かるのだった。
調理を終えて料理の給仕を丁度オーダーを取って戻ってきた薫に頼む。
ハロハピで面識もあるし大丈夫だろう。多分。
「あーちゃん、14番テーブルのオーダーだよ。日替わりE×2」(日菜)
「解った。私は暫く調理に回るから日菜、指示頼むわ」(亜麻音)
「オッケー。 香澄ちゃん、16番テーブルのオーダーお願い」(日菜)
「解りました! 日菜先輩」(香澄)
日菜は何時もは破天荒な性格が目立つが、実は要領も良く、天才故の飲み込みの早さと相まってこのピーク時には欠かせない即戦力となっていた。
さてと……私は調理に取り掛かろ──
がしゃーん。ぱりーん。ぱりーん。がしゃーん。
──と、思っていた矢先に調理場に響く食器が割れる音。
私を含む調理場の皆が皿洗いをしている友希那の方に視線が行った。
「……どうしてかしら?」(友希那)
友希那は首を傾げていた。
『どうしてかしら?』じゃ、ねーよぉっっ!!
友希那が割ったんでしょうが!! ……ってか、今日もなのか!?
「お姉ちゃん!? また割ったの!?」(由愛)
友希那の妹である由愛が音を聞き付けて友希那の下へ。
「またとは随分な言い方ね、由愛」(友希那)
「当たり前だよっ!? もう毎日食器破壊してるじゃん!!」(由愛)
そう。友希那は前回の会議から此処でバイトを始めたのだが……正直、私の負担が減るどころか、寧ろ増えている。
他の先輩方が友希那の指導をしたのだが、何も覚えられずに終わった為に指導役の匙を投げてしまっていた。店長なんて酷い物であまりのストレスから胃潰瘍を発症して病院送りとなってしまったのだった。
当然ながら店長は現在、小夜鳴先生のお世話となっている。
こうして、指導役は自然と私に回ってくる事になり、私も一生懸命教えたが……ダメだった。
なので、日菜に頼んで紗夜と交渉した結果、妹の由愛をファミレスでバイトさせる事になったのだ。
由愛が入った事で友希那は皿洗い専任にする事にして、由愛を監視役にする事にした。
「この食器が勝手に割れたのよ」(友希那)
「んな、訳無いでしょ!? お姉ちゃん」(由愛)
「勝手に滑り落ちた食器が悪いのよ」(友希那)
「違うよ!! ちゃんと持たないお姉ちゃんが悪いのっ!」(由愛)
もうこの湊姉妹の姉妹喧嘩がここでの恒例行事になりつつあった。
私もこれには苦笑するしかないのだ。
他の調理場の皆様も私と同じ様な反応だった。
ピークも過ぎて、私達も交代で休憩を取って、シフトタイムは過ぎていく。
「あの、亜麻音先輩、ちょっと良いですか?」(香澄)
「……? どうしたの、香澄」(亜麻音)
「さーや達のオーダーなんですけど……」(香澄)
「……ドラマー組の?」(亜麻音)
「量、多くないですか?」(香澄)
「……確かに」(亜麻音)
私は香澄の指摘に納得した。
その内容は……ラーメン×7、ドリンクバー×7、ペペロンチーノ×1、ケーキ×1、フライドポテト×1、野菜スティック×1、しおんのオススメ×2。
「あそこって、7名様だよな……?」(亜麻音)
「は、はい……」(香澄)
「取り敢えず、全部作って余ったら、余剰分を賄いに回そう」(亜麻音)
「わ、解りました……」(香澄)
私は香澄と相談してそうする事にした。
案の定、日菜がラーメンを7つ給仕した時には皆、絶望顔していた。
どうやら、注文中にラーメンの話題で雑談してたらしくそれがキッチリ注文に含まれたらしい。
こうして、私の方策は功を奏した様で、ラーメンが5つリターンとなったのだった。
それと同時に私達の賄いがラーメンに決定したのであった。
「あの……亜麻音先輩」(由愛)
「どうしたの、由愛」(亜麻音)
「お姉ちゃん、何処に行ったか知りませんか?」(由愛)
「え、友希那?」(亜麻音)
由愛が友希那の現在地を尋ねてきた。
「私は知らないけど……薫、知ってる?」(亜麻音)
「友希那かい? それなら、割れた食器の処理を頼んだのだが、どうかしたのかい?」(薫)
薫に振ったらまさかの返答だった。
「あの、瀬田先輩。 それは何れ位前ですか?」(由愛)
「そうだね……40分前、だったかな」(薫)
「「……………………………………」」(私&由愛)
薫の返答に押し黙る私と由愛。
まさか…………ねぇ?? 考えたくもない結論に至った私だった。まぁ、友希那なら有り得そうだけども!
「あの、亜麻音先輩、瀬田先輩。 ちょっと私、外出てきますんで」(由愛)
由愛も私と同じ結論に至ったらしく、私達に一言断りを入れて勝手口から外に出ていった。
「お姉ちゃん、一体何やってんのさぁぁっっっっっっっっ!!!!」(由愛)
その直後、由愛の怒号が響き渡るのだった。
「………………(思考放棄)」(亜麻音)
「あーちゃん……」(薫)
「どうしたの、かおちゃん」(亜麻音)
「胃薬……飲む?」(薫)
「……ありがと」(亜麻音)
それを聞いた私と素の喋り方に戻った薫は2人で仲良く胃薬を服用するハメになったのだった。
そして、それを見ていた香澄と日菜にエラく心配されるのだった。
その後、日菜経由で紗夜に此の事が伝わって、紗夜とひまりがファミレスのバイトとして追加されたのだった。
それと同時に弦巻家で「絶対に割れない食器」が開発されてファミレスに導入されるのだった。
続く。
如何だったでしょうか?
オリ回だったし、結構間が空いちゃいましたね。
次回はりみコロネ回の予定。
では次回におあいしませう。