第一話
我輩は転生者である。名は――――と申す。
どうも、転生者です。どこかの神様の悪戯によって転生させられた一般人でした。某、前世ではゲーマーであった身で、いろいろと
死んだ後、神様なる者が「転生してちょ☆」などと気色悪く言っていたが気にしなかった。死んだ理由も『神様のミス(笑)』だったし(ここでどうやって死んだかを聞いた)、特典も簡単に「強い武器」、「基礎能力の向上」、「ダイオラマ魔法球」、「最近やっていたゲームの能力」を頼んで、この世界に転生した次第だが……悪魔になっているみたいだ。
第一話 「これはテンプレですか? ~はい、そのとおりです~」
この世に生まれて早七年。何のトラブルもなく、すくすく育っている。三歳の時に鏡を見て「あらやだイケメン」と思った瞬間、全てを思い出した。え、ちょっ、出落ち担当の悪魔として転生ってマジかよ。
まあ、心の葛藤はともかくとして、魔王になった兄と次期当主の兄がいるせいか、三男坊の俺は自由に育てられている。それなりの悪魔に関する勉強はさせられているが深くはない。ダンスを踊らされているが厳しくはない。
「ゼファードル」
「何だよ母さん」
ゼファードル、それが俺の今世の名前だ。逆毛の緑色の短髪で、ちょっと顔の良いガキ大将みたいな姿……それが客観的な容姿の評価らしい。兄は俺とは真反対に委員長っぽい真面目な顔付きだ。因みに父と母は極道っぽい。兄は誰に似たんだよ。
「今度グレモリーで長女の誕生日会を行うらしいわ」
「……それに来いと?兄さんだけでいいじゃないか」
「グレモリーはグラシャラボラス家と同じ魔王輩出の家柄、顔合わせはしておけって」
「……就寝大魔王め」
魔王、それは悪魔が暮らす冥界の長。以前起こった大戦で長を失った悪魔達は新しい悪魔の長を(たぶん)実力で決めたらしい。勿論、長の血族からは反発が起こり、内乱が起こったらしいが。
四つの長の座はルシファー、レヴィアタン、ベルゼブブ、アスモデウスでグレモリーがルシファー、うちがアスモデウスだ。魔王の血族というのはまた特殊な付き合いがあるらしく、面倒なものらしい。今回の誕生会もその類だろう。因みに就寝大魔王というのはグラシャラボラス家が輩出した魔王、寝てばかりのファルビウム・アスモデウスを揶揄したものである。
「三男とはいえ、最低限の礼儀作法は教えたわ。魔王の血族に相応しい振る舞いぐらいはしておく事、いいわね?」
「はーい」
軽い返事を疑いながらも、母さんはその場から去っていく。魔王の妹の誕生日会ね……気が乗らないな。ただのご機嫌取りじゃないか。あーあ、早く
「あ、そろそろトレーニングの時間だ」
俺がゼファードルとして転生したと認識した後、真っ先に何をやろうとしたか。それはトレーニングだ。ゼファードルはサイラオーグの凄さを分からせる為の舞台装置であり、そのままフェードアウトした悲しい悪魔だ。まあ、文庫を見た限りは自業自得だが。
俺はそんな生き方はこりごりだ。何が悲しくて二度目の人生引きこもらなければならないんだ。しかも一万年もだぜ?そんな悲惨な生き方を避ける為にトレーニングをするんだ。といっても体は幼年期、基礎体力を上げるだけのメニューを組んでいる。環境が魔法球内だから誰にも見つからず集中できるのが良いね。
「さあ、今日も頑張りますか!」
リアス・グレモリーは辟易としていた。それは誕生日会が冥界の有権者を招くパーティになったからである。本当なら家族と親友であるソーナ・シトリーとその姉、セラフォルー・レヴィアタンだけで開かれるものだったのに。魔王である兄、サーゼクス・ルシファーの妹である事がいけなかったのか。とんとん拍子にこのような規模となってしまった
「はぁ……」
憂鬱だ、と心の内に溢す。別に兄が嫌いな訳ではない。リーアたんなどと言うが、真剣に私の事を思っていることは分かっている。今回の誕生日会がこの様な形式になった時も謝ってくれた。兄が駄目なんじゃない。魔王の妹としてしか見られない私が悪いんだ。
「はぁ……」
もう一度溜息を吐く。お嬢様に……なんて思うものじゃないわね。
修行もそぞろ、遂に誕生会の日がやって来た。母・エスティラと父・クマーと兄・フィスカーに連れられ、グレモリー邸に着く。一応子供用のスーツを身に纏い、姿勢を正している。有権者も呼んでいる為、お偉いさん方への挨拶を考慮しての服装だ。
「ここがグレモリー邸?」
うちの家よりちょっと広いな。日本大好きな父の影響か、衛宮邸よろしくの武家屋敷と化した家とは真反対に豪華な洋館が目の前に広がっている。これでも本邸でないというのだから驚きだ。ぽけーっとしてる俺を連れてパーティ会場へ入る親だったが、そこに一人の男が現れる。
「これはこれは、グラシャラボラス卿。壮健そうで何より」
「二人の子に恵まれたからな。元気でいなければあるまい」
ヤクザにしか見えない父が旧家の者と話している。その間に兄が学友らしきものに囲まれ、俺は母に手を繋がれている。しばらくすると女のアナウンスの声が会場に響いた。
《開始予定時刻となりました。それではリアス・グレモリー様の七歳の誕生日会を始めたいと思います。ここからはグレモリー当主の眷属が一人、アグリッパ様が司会となり、進行していただきます》
「この声はグレイフィア様ね……」
声の通ったアナウンスだった。母の溢したグレイフィアという名前が確かなら魔王サーゼクス・ルシファーの女王を引っ張り出す程の会なのだろう。またまた面倒くさくなってきたぜ。早く終わらねーかなー。
「ご紹介預かりました司会ことハインリヒ・コルネリウス・アグリッパと申します。ここからは私が進行を務めさせていただきます。まずは此度めでたく七歳の誕生日を迎えられたリアス・グレモリー様の入場です!」
拍手を起こせば登場のドラムロールが鳴り響き、スポットライトが壇上へと歩く少女を照らす。紅い髪の少女……彼女がリアス・グレモリーか。陰りを潜めた笑顔を振りまく彼女。彼女が壇上に着いてマイクを掲げると同時に拍手が鳴り止む。
「此度は私の為にこんなに来てくださってとても感謝しています。どうぞごゆっくりとパーティを楽しんでください」
「以上、お嬢様のお言葉でした。続いては……」
その後も話が続き、遂に自由時間(解散という訳ではない)となる。殆どが挙ってリアス嬢へ挨拶に向かう。シスコンで知られる
「……醜い」
酷い言い草だな母さんや。俺達やその他の数名はリアス嬢に群がる奴等を遠巻きに見ている。女神に群がる人ならまだしも、悪魔に群がる悪魔って想像以上に滑稽な光景だ。七十二柱時代にもこの光景はあったのだろうか。
「お腹すいた」
「立食形式だからそこら辺の料理をとって食べてなさい」
豪華な料理って逆に食指が動かないんだよな~。唐揚げとかパスタを適当に見繕っとこう。テーブルマナーとか気にしなくていいのが立食の良い所だって悪魔になって気付いたよ。いっぱいがつがつ食っておこう。しかし、俺も子供の身、数回皿に盛っただけでお腹いっぱいになってしまった。どういう事だ!(驚愕)
ふと周りを見渡す。ちょっと外に出て風でも浴びて来よう。会場も今は大人達の懇談会になってるみたいだし、気づかれないよね?そう思い、俺は外へ身を投じた。
「ふう……」
風が満腹の腹を撫でる様に吹いてくる。少しこの風が気持ちいい。一息入れていると話し声が聞こえてきた。こっちに向かってくる様だがあまり気にせずこの場に居座り続けた。空気は読まない!
「やっと一息吐ける……先客がいたみたいね」
「……どうも」
「貴方は誰でしょうか?挨拶してきた方々に貴方のような小さなお子様は見受けられなかったですが」
「グラシャラボラス家現当主の三男、ゼファードル・グラシャラボラス」
「「!?」」
二人とも驚いてる。魔王を輩出した家の子供だからそんな反応なの?それとも俺の知らない間に変な異名が?
「君達は?」
「グレモリー家現当主の長女、リアス・グレモリーよ」
「シトリー家現当主の次女、ソーナ・シトリーです」
「ふーん。まあよろしく」
原作ヒロイン達でした。こんな間近で会えるとは……何故だ?
「グレモリー達も逃げて来たのか?」
「ええそうよ」
「私もです。あまりいい気分ではなかったので」
魔王の血族って大変だね。自分もだけど三男坊は気楽なのだ。当主にならなくていいし、放任されるから楽ちんなのさ。
「あーあ、せっかくの誕生日なのに論争始めちゃうなんて失礼よ!」
「仕方がないわ。貴方との親交次第で冥界の先行きも変わるもの」
「美幼女だから仕方ないね」
「誰が幼女よ!?」
「「リアス(グレモリー)の事よ(だ)」」
ていうか幼女の部分に反応するんだ。美である事は否定しないと。自信満々ですな(笑)
「しっかし、女は大変だねぇ」
「突然なんですか?」
「大人の嫌な視線に耐えなきゃいけないって事だよ。俺だったら金玉蹴り上げてるぜ」
「金っ……!?」
「子供相手に向けるものじゃないよな」
ロリコンが多い冥界。だから出生率が低いのか?生理を迎えてない幼女に興奮するなんて独房逝き確定だろ。
「ま、まあ我慢しても慣れるものではないわね」
「金……玉……」
「……ソーナどうしたの?」
「い、いえ何でもないわ……」
この反応は……耳年増?でも、あの
「そろそろ戻るとしますか」
「……時間が経つのが早いわね」
「家族以外の男の人と長く話すのは初めてでしたので良い経験になりました」
「男の人っていうにはまだ年取ってないかなー」
まだ肉体は七歳のお子様ですよー。精神は二十五歳だけど。二人がパーティ会場に戻るのを見て思いました。
「……神様や、私はここで挫けそうです。どうか助けてください」
って、イタイイタイ!ちょっ、イタイよ!?
四千字書くのって疲れるね。