「あの二人、本当に大丈夫でござるか」
「くどいな抜刀斎。あの鬼はともかく永倉君は強い。貴様も刀を交えてわかっているだろう」
「それはそうでござるが」
「ならもう聞いてくれるな」
「新八っあん。今回はヤバいかもよ」
目の前に平助が現れた。
「平助くん…」
「平助。道はあってるか」
「このまま行けば親玉に会えるよ。このまま行けばね」
「なに」
刀で斬り掛かる平助。斎藤は余裕な表情で受け止める。
「そんながら空きで大丈夫か、斎藤さん」
平助の後ろから鋭い一振りが斎藤に襲いかかる。
「斎藤さんー」
剣心がその刃を振り払った。
「すまん抜刀斎。助かった」
「こいつ何奴…お前は」
「沖田さん…」
平助の後ろには余裕な笑みを浮かべる元一番隊組長沖田総司がいた。
「久しぶりだね、皆。千鶴ちゃん大きくなったね」
「沖田さんまで…」
「沖田君。そこを通してはもらえないだろうか」
「いいよ。1人だけなら」
「おい総司。なに勝手に」
「勝手なのは君だろ平助。皆には謎を解いてここまで来てもらう手筈だったと思うけど」
「山南さんがそう言ったんだからしゃーねーだろ」
「山南さんが…」
「約1名は薄々勘づいてたみたいだけどね」
「では、親玉というのは」
「抜刀斎、俺が行く。いいな」
「…あぁ。千鶴殿は拙者が必ず守る」
「行くのは斎藤さんね。どうぞこちらに」
斎藤は清々しいまでに普通に奥へ進んだ。
「さて…。僕達4人はなにしてよっか…さっきからなにイラついてるの平助」
「もう、我慢ならねー」
剣心に斬りかかる平助。
「平助くん」
冷静に受け止める剣心。
「藤堂殿…」
「さっきから千鶴と馴れ馴れしくしやがって。ムカつくんだよ抜刀斎」
「あーあ。男の嫉妬は見苦しぞ平助」
「うるせー。総司黙ってろ」
「藤堂殿。誤解を招いたのならば申し訳ない。拙者と千鶴殿は依頼人と雇われ主の関係。藤堂殿の思っておられるような関係では御座らん」
「その馴れ馴れしさ、どう見てもそれ以上の関係だろうが」
「落ち着いてくだされ、思い出されよ。貴方の知る千鶴殿は、誰にでも隔てなく優しく接し笑顔を向けてくれる。そんな女性ではなかったか」
「剣心さん…」
「それに拙者には、拙者の帰りを待っていてくれる大事な人がいる」
「あの『人斬り抜刀斎』がね…」
「それにだ、ここ7日千鶴殿と接していたことで拙者ですらわかった。千鶴殿の想い人は今も昔も『あの方』なのだと」
「…」
「…ったく相変わらず『あの人』は、それは妬いちゃうな」
「俺は…俺は…」
突然、平助の身体から黄金色の焔が出火する。
「平助くん」
「藤堂殿」
「なんだろう…身体が燃えてるはずなのに全然熱くねー」
「平助くん」
「千鶴。またオメーの顔が見れて良かったよ。あの頃は俺と同じ位の背丈だったのに、綺麗な女になったな」
「10年は経ってるからね」
「オメーの元気な顔が見れて安心したよ」
「私も、また平助くんに会えて嬉しかったよ」
「また会えるかな」
「うん。会いにいくね。何度でも」
「千鶴、ありがとう。俺お前のこと…」
焔は火の粉とともに空へ羽ばたいた。
「平助くん…」
泣き崩れる千鶴。
(そういうことね、山南さん)
「藤堂殿…」
総司は勢いよく、剣心に斬りかかる。
「沖田さん」
「沖田殿…何を」
「刀を取れ抜刀斎。あの頃の決着ここでつけようじゃないか」
幕末を代表した剣客同士が10年の時を経て再び刀を交えようとしていた。