「左之助なのか…」
かつての友と対峙する新八。
「どう見てもそうだろ」
新八からみても間違いなく。新撰組十番組組長 原田左之助その人であった。
赤い目と銀の髪を除いては…。
「そこで寝てるのは…なんだ不知火じゃねーか。生き延びたんだな」
「左之助。やっぱりお前はもう…」
「あぁ。死んでるよ。お前も死んだか新八」
「生きてるよ。斎藤さんと千鶴もな」
「斎藤さんに千鶴ちゃんも…そうかそれは良かった」
「左之助」
「その槍もしかして」
「ああ、お前のだ。ちゃんと届けにきたぜコイツは」
「あまり期待してなかったけど、そうか…なら良かったっておい新八危ねーじゃないか」
「その槍はお前が持ってたほうがしっくりくるからよ」
手慣れた槍裁きを披露する左之助。
「そうみたいだな。なあ新八」
「どうした」
「一本立ち合ってくれないか」
「なんだよ改まって。こいよ」
身構える二人
(立ち合っていう割りに左之助のやつ俺を殺す気マンマンじゃないか)
空洞から流れる風が周囲に冷たい音を起てる。
(リーチの長い槍からしたら、わざわざ接近する必要は無いってか左之助)
新八が気迫を全面に圧し出し左之助に迫る。しかしかわされ素早い突きの応酬が新八を襲う
(相変わらず。的確で速い突きだ油断したら一気にやられちまうしかも速さ以上に一撃が重すぎる。)
「なんか随分強くなったな左之助」
「お前が弱くなったんじゃないか新八」
「その目にその髪まさか…堕ちたのか俺と分かれたあと」
「…」
「この重い突きはまさかあの薬の効果とか言わねーよな左之助」
「どうだかな」
「見損なったぜ。左之助」
鞘に刀を納める新八。
(刀は納めたが、この構え…まさか抜刀術。新八が)
(確かあの時あいつは)
瞳を閉じる新八。左之助は新八の予想外の行動に困惑していた。
風が吹いている…
正面切って駆ける新八
「おいおい槍を相手に正面突破は自殺行為だぜ。新八」
(飛天御剣流…)(なっ、新八が消えた)
「奥義・九頭龍閃」
「なんだこの連撃…防ぎきれない」
辛うじて防いだ左之助。尻餅を着いたところを新八が詰める。
「…俺の負けだ。まさか新八が抜刀術とはな」
「見よう見まねの初披露さ」
「マジかよ」
「しかもあれは失敗だ」
「あれでか」
「俺は6連撃だが完成形は同時9連撃。壱(いち):唐竹(からたけ)弐(に):袈裟斬り(けさぎり)参(さん):右薙(みぎなぎ)肆(し):右斬上(みぎきりあげ)伍(ご):逆風(さかかぜ)陸(ろく):左斬上(ひだりきりあげ)漆(しち):左薙(ひだりなぎ)捌(はち):逆袈裟(さかげさ)玖(く):刺突(つき)を一撃で同時に放つ技だからな」
「そんなの会得した奴がいるのかよ」
「あぁ…。最近出来た友がな」
「すげーな。会ってみたいぜそいつ」
「きっとお前も気にいる」
「そうか…」
「左之助。お前身体が」
佐之助の身体から黄金色の焔が出火していた。
「今度はしっかりと逝けそうだ」
「左之助」
「今度はちゃんとお前と会えた。それだけで俺は十分だ。コイツを頼む」
持っていた槍を新八に託す左之助。
「あっちで待ってはいるけどよ、あんまり早く来ると追い返すからな」
「おう…」
新撰組屈指の槍使いは友の腕で再び息を引き取り、焔となって黄泉へ旅立った。