「山南さんが俺達を集めた…なんでだ」
「ちなみに俺が動くのは、その山南ってやつに忠告を受けたからだ」
「忠告…」
「【俺達の尊厳を踏みにじる存在が復活する】ってな」
「【俺達の尊厳】とは」
「こいつら『鬼』の尊厳だ」
「『鬼』じゃと、本当なのかそれは」
「否定はしねーが、肯定もしねー。『鬼』はもう存在しないってことになってるからな、ちなみによ抜刀斎。その娘の出自も『鬼の一族』の家系だ」
「真か千鶴殿」
「その…ようです」
「なんと…」
「純血な『鬼』はな、常に己を律し、己と向き合い、己を磨く。他者から『修羅』と思われようと己の信じた道と信念を必ず貫き通す。迷惑なんだわ俺達にとって、たかが数滴鬼の血が混ざった劇薬で己を見失い。欲望のままに荒らし、そいつらが『鬼』と同類扱いされるのがよ」
「不知火…」
「だから今回俺は手を貸すことにした」
「…まあ。得体の知れない敵だ数が多いに越したことはないか」
「いいのか、斎藤さんよ」
「俺達を裏切るようなら斬り捨てるのみ」
「安心しな、お前らが俺の誇りを汚す選択をしない限りは、んなことにはならねーよ」
「いいだろう。手を貸せ」
こうして5人は行動を共にすることとなった。
「しかし。どうするでござるか、人は集えど敵の居場所が分からなければ本末転倒ぞ」
「その案内は俺がしてやるよ」
いつの間にか小柄な男が窓から忍び混んでいた。
咄嗟に刀を振る剣心。男は間一髪刀で受け止めた。
「うひょー流石は抜刀斎。伊達に幕末伝説の人斬りと言われただけはあるな」
「嘘…平助くん」
「なんでテメーがいる平助」
「新八つぁんおっかねえな、俺がいちゃ悪いかよ」
「斎藤。彼は」
「藤堂平助。元新選組八番隊組長。一度は新選組を離脱するが、伊東暗殺後に油小路で天霧率いる薩摩藩によって窮地に追いやられていた永倉や原田たちへの応援に駆けつけて復帰。生きるために自ら変若水を飲んで羅刹になったため表向きには油小路で戦死したことになっていた。その後は羅刹隊として戦い続けたが、最期は仙台城での戦いで羅刹の力を使い果たし、千鶴と土方さんに看取られながら山南さんと共に灰になったと聞いていた」
「こやつも羅刹化した隊士」
「皆おっかねー武器はしまってくれよ。俺は招待しに来たんだから」
「招待…何処に」
「この事件の親玉の所だよ、斎藤さん」
「随分気前がいいなその親玉は」
「待ってるみたいだから早くしてやってよ」
(どうするつもりだ)
(罠の可能性は高いがわざわざ向こうから招待してくれているんだ。乗らん手はなかろう)
(わかった)
「案内しろ平助。その親玉の肝っ玉に免じ出向いてやろう」
「斎藤さん。今どっちが困った状況かわかってます…。まいいか、じゃあついてきてよ」
平助の案内のもと、剣心達は敵の親玉のもとへ向かった。