君、来てくれ、開庁130周年で、この世界の片隅な、艦これ聖地の、軍港都市に、巡礼へ(はぁと) ~美人巨乳レイヤー春菜とイクおねショタ呉聖地巡礼の本~ 作:鳥頭堂正太郎
呉駅の発着メロディを前奏、歌い出しの順に聞き終えて、一息つくと、お互いが自己紹介をしていない事に気がついた。
彼女は
「春菜っていいます。榛名ちゃんとは字が違ってて、春夏の春に菜の花の菜で、春菜。」
と名乗った。
「ツィッターで字は違うけど、自分と同じ名前の榛名というキャラがいるんだって事を知って、興味が沸いたの。
どんな女の子なのかなって。
それで、艦これを始めたの、榛名に会いたくて。
でも、これが全然榛名が出ないのよ、笑っちゃうくらい。
で、榛名が出た頃には、私、すっかり艦これにハマってて、気がついたら廃人って呼ばれるレベルになってた。
それから先は坂道を転げ落ちてくみたいにどんどんハマっていって、ゲーム中のイベントは全部甲でクリアしたし、リアルイベントも全部行ったわ。
横須賀サーバーだけど、今までずっとランカーから落ちた事が無いの。」
と、春菜は言った。
とんでもないヘビーユーザーだ。
君なんて、昨年、艦これを始めたばかりで、先のイベントを丁でやっとクリアできたばかりだというのに、
「気がついたら、私は艦これ中心な生活してたのよ。
旅に出るのも鎮守府のあった街とか、艦娘ゆかりの地だし、コスプレも艦娘ばっかりするようになってさ。」
「コスプレするんですか?」
「えっ、ええ、しますよ。というか、今でもしてるようなもんなんですが。」
「あぁ、そうか。
その服装に見覚えがあると思ったら、三越コラボの時の、榛名のお買い物modeですよね。
すごく、よく似合ってます。
かわいいです。きれいです。すてきです。」
「あ、ありがとうございます。」
春菜は照れながらもはにかんだ笑みを浮かべた。
「回ってくれませんか?」
気がついたら、君はそう口に出していた。
「えっ、えぇっ!」
驚いた様子の春菜だったが、まんざらでもなさそうな雰囲気だった。
「回って回って」
気がついたら、つい先日に体験した艦これのイベントで初めてコスプレをした声優へ声をかけるような気持ちになって、君は春菜にそう言っていた。
春菜は君の勢いに押されるかのように、くるりと回った。
長い黒髪がはためき、スカートがひらめき、豊かな双丘がたゆんたゆんと揺れ踊った。
「すてきです。春菜さん。」
そう言うと、春菜は少し恥ずかしそうに笑い、君を見た。
その時、春菜は何かに気が付いたような顔をして、
「そういえば、正太郎くんが着てるのって、榛名のアベイルのTシャツでしょ?
榛名好きなの?」
と言った。
「あっ、そうですね。
まだ誰もケッコンできるまでのレベルにまで育ってないんですけど、榛名、愛宕、アイオワとか好きです。」
それを聞いた春菜はちょっと考える顔をして、
「なんか、三人ともちょっと共通点あるよね。髪が長くてスタイルが良くて、女性っぽいタイプみたいな。
正太郎くんは、そんな女の人が好みなのかな?」
と、いたずらっぽく笑って言った。
「そ、そうなんですかね?
あまり意識したこと無かったけど、そう言われたらそうなのかもしれません。」
君がそう言うと、春菜はひときわいたずらっぽく、まるでチェシャ猫のような笑みを浮かべ、
「じゃあ、私も正太郎くんの好みのタイプだったりする?」
と言った。
あぁ、好みのタイプどころか、直球ど真ん中ですよ、春菜さん。
という言葉が、あやうく口から出そうになったが、
「春菜さんぐらいスタイルが良くて美人でかわいい女性を好きにならない男なんていませんよ。」
と言っていた。
それを聞いた春菜はあっけにとられた顔をしていたが、プッとふきだして、
「そう?
お世辞でも嬉しいよ。ありがと。
でも、正太郎くんは、なんだよね、口がうまいなぁ。
絶対、将来、女の子を泣かすやつだ、こいつ。
けしからんよなぁ。」
と言って笑った。
君は
「まだ、なにもしてないのに、それヒドイです。」
と言って笑った。
ひとしきり笑った後、春菜は真面目な顔をして、
「あ、そうだ。正太郎くんさ、ご家族の人とか、友達とか、一緒に来た人はいないの?」
と聞いた。
「えっ?」
と、聞き返す君に、
「ほら、なんかこんな事してる間にけっこう時間過ぎてるよね、今さらだけど。
一緒に来てる人がいたら、申し訳ないじゃない。
私、事情を話して謝らないと。」
と春菜は言った。
「それなら、問題無いです。
僕、一人旅ですから。
初めての一人旅、初めての呉なんです。」
と君が答えると、春菜は安堵した表情を浮かべた。
「春菜さんはどうなんですか、お友達とか一緒じゃないんですか?」
と、君が聞くと、春菜はふと遠くを見つめ、
「うん、私も一人旅。
本当はか…、いやいや、友達とね、来る予定だったんだけどさ、友達に急な仕事入っちゃって、これなくなって一人旅なんだよね。」
と、答えた。
友達という前のか…の後の沈黙が気になるが、ここは突っ込んだらいけないとこ。
そう思っていると、
「ねぇ、一人旅同士さ、一緒に行動しない?
せっかく知り合ったんだしさ。」
と、春菜は言った。
そりゃあ、春菜みたいな美人と一緒なら、きっと一人旅よりもっと楽しくなるに違いない。
「それとも、私とじゃ嫌?」
と、問いかける春菜に、君が、
「いえいえ、こちら僕なんかでいいんですかって感じで、僕としては喜んでです。」
と答えると、春菜は満面の笑みを浮かべると、
「そう、良かった。
私、呉は何回も来てるから、正太郎君に呉のいいとこ、案内したげるよ!」
と、言った。
そして、再び君の手を掴むと、
「私、呉に着いたら真っ先行って食べるものがあるの、おごってあげるから、そこ、行こ!」
と言って、改札へと走りだし始めた。
ふへぇ、やっと呉駅から出てくれました。
思ったより長くなりました。
さて、次は巴屋のアイス最中ですよ。