君、来てくれ、開庁130周年で、この世界の片隅な、艦これ聖地の、軍港都市に、巡礼へ(はぁと) ~美人巨乳レイヤー春菜とイクおねショタ呉聖地巡礼の本~   作:鳥頭堂正太郎

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第肆話「巴屋のアイス最中」

「呉の名物の食べ物って言われたら、何を連想する?」

春菜は君の顔を覗きこみながら言った。

心の内で、やっぱり、春菜さん、かわいいなぁ、ちくしょう。とか思いながらも、君はしれっとした顔で、

「そうですね。やっぱり肉じゃがとか、海軍料理とか、海軍カレーですかね。」

「そう思うよね~。

でも、残念だけど、肉じゃががも海軍料理もカレーも、観光客誘致の為に作られたもので、もともと呉で食べられていた訳じゃないんだよね~。」

「えっ、そうんですか?」

「うん、肉じゃがについては、東郷元帥が舞鶴鎮守府の初代司令官として赴任したことと、当時のレシピ(海軍厨業管理教科書)が舞鶴に残っていることで、舞鶴が1995年に肉じゃがの発祥の地として名乗りでたの。

その二年後の97年に東郷元帥が司令官として赴任したのが舞鶴よりも、呉の方が10年も前だったから、肉じゃがが最初に作られたのは呉だ。と主張したのが呉の肉じゃがの始まり。

海軍料理はそれ以降、町起こしとして、市内の店舗ごとに、海軍艦船のレシピを元に再現した料理を提供したもの。

さらにカレーに至っては2015年4月に市内のいろんな店舗でそれぞれ海自の艦船のカレーを伝授してもらい、それを提供する事で、呉海自カレーをスタートしたものだから、呉で食べられていた料理って訳じゃないのよね。」

春菜は話をしながら改札を抜けてコンコースへ出ていき、君もそれに従う。

「そうなんだ!」

「まぁ、そういう観光客向けに作られて、それで街のPRができるなら、それはそれでいいと思うの。

実際問題として、それらの料理は呉じゃないと食べられないわけだしね。

でも、その地域に特有の料理、

その地域で親しまれている郷土料理。

そういうのあるじゃない。

そういうのをソウルフード(注6)と呼ぶらしいの。

そんな、呉の人たちに愛されている食べ物の一つが…」

と言うと、春菜はコンコースの改札の左側にある駅の売店に置かれている冷凍庫に手を突っ込む。

「この、巴屋のアイス最中なんだよ!」

と言いながら、中から何かをつかみ出し、君の鼻先に突きつけた。

「アイス最中ですか?」

「うん!」

春菜は突きつけた手を戻すと、再び冷凍庫からもう一つアイス最中を取り出して、売店のおばちゃんに料金を支払うと、君の方に戻ってきて、アイス最中を君に手渡した。

「はい、あげる。食べてみて。」

さっそく自分の分を食べ始めた春菜に続くように、君は差し出された個包装のアイス最中を開封し、食べてみた。

感じるのはもち米のもなかの香り、そして、最近の強い甘味とは異なり、濃すぎないあっさりとした甘さのミルク味が、しゃりしゃりした食感と共に口の中に広がり、口の中でアイスが溶けるのと同じくして味わいもすっと消えていき、地味においしい。

「おいしいです」

そう言うと、春菜は満面の笑みを浮かべ、

「でしょ~。

巴屋はね、創業したのが、昭和28年というから、西暦1953年。

67年前。

太平洋戦争が終ったのが、昭和20年だから、終戦から8年後だね。

詳しくは私も知らないんだけど、テレビ放送が始まり、映画『君の名は』が大ヒットして、ヒロインが劇中でしていた真知子巻きが大流行した年だそうよ。」

「あっ、知ってます、君の名は!

あの、ちょっと前にやったアニメ映画のあれですよね。

確か、アニメで古い実写映画のリメイクしたんでしたっけ。

いや、続編を同じタイトルのアニメでやったんでしたっけ。

どっちだっけ。

しかし、とにかく、その実写映画って、そんな古い映画なんですね。」

「ちょっと待って!

突っ込みどころが多すぎて、突っ込みが追い付かないよ。

君、いろいろ混同してるよ。

まず、残念だけど、アニメ映画と実写映画は同名のまったく別の作品で、内容は全然違うし、接点もありませんし、続編でもリメイクでもありません。」

「じゃあ、アニメで実写の続編って…」

「それは、時をかける少女。

君の名はを作った監督は新海誠で、時かけは細田守。

全然違うよ。」

「そ、そうなんですね。」

「それはともかく、戦争が終わって、高度経済成長で豊かになっていって、もう戦争が過去のものになった時代に巴屋は営業を始めた。

当時はミルクやバターが高価だったから、砂糖、脱脂粉乳、卵を使った、黄色いシャーベットのようなアイスクリンが主流だった。

その後、ミルクや卵たっぷりの甘いアイスクリームの出現によりアイスクリンは消えていったんだけど、そのアイスクリンが、巴屋のアイス最中のルーツなんだよ。

そうして、60年以上も呉で愛され続けてきた食べ物なんだよ。」

「そうなんですね。」

「このせかはさ、終戦でお話が終わっているからわかんないけど、たぶん、すずさんも食べていたと思うよ、アイス最中。」

ふと、見ると、春菜は大和ミュージアムへと繋がる通路の上の壁に貼られている『この世界の片隅に』の大きな看板を見上げながら、そう言っていた。

「そうですね、りんさんの事を思い出しながら、食べていたんじゃないですかね?」

「そうだよね。

ところで、そんな60年にわたって広島県民に愛されてきたアイス最中なんだけど、前はここにある、この世界の片隅にの看板の下、今はコインロッカーになってる所に駅ビル店があって、アイス最中やとりめし、カレーなんかが売っていたの。」

「えっ、でも、今は無いって事は…」

「うん、巴屋は2017年9月26日に市内にあった本店、広店、駅ビル店の三店を閉店し、店舗営業を終了してしまったの。」

「えっ、でも、アイス最中食べれますよね。」

「うん、店舗は閉店になったけど、製造は継続して行われていて、スーパーとかで買えるようになってるの。

でも、店舗で売っていたアイス最中は、その場で最中にアイスを詰めていたから、最中がサクサクしていて、もっと美味しかったんだよね。」

「そうなんですね。詰めたてでサクサクの最中食べてみたかったです。」

と、残念な気持ちのままに君が言うと、

「食べれるよ。」

と、春菜はケロリとした顔で言った。

「えっ、でも閉店したって。」

「2019年4月に巴屋は片山店が復活して詰めたてサクサクのアイス最中を出してて、Yショップ阿賀北店でも出すようになったの。

ちょっと遠いけどね。

あと、中通りにある丼と串揚げの店のたまやも、詰めたてのアイス最中出してくれるよ。」

「なんかすごい寂しそうな顔してたから、もう食べれないんだと思いました。」

「いやまぁ、呉に来たら、当たり前のように駅ビル店で詰めたてのアイス最中食べてたから、ちょっと寂しいよね。」

「でも、食べれるんですよね。」

「うん。」

「じゃあ、行きましょうよ、僕、どうしても、その詰めたてサクサクのアイス最中食べてみたくなっちゃいましたから。」

と、君が春菜に迫ると、春菜は小首をかしげ、頬に指をあてて、ニッとイタズラっぽい笑みを浮かべると、

「いいよ、でも、今はダメ。後でね。

先に行くとこあるから。」

と言って、君の前をすり抜け、また、君の右手をつかみ走り始めた。

(注6)アメリカでは、アフリカ系アメリカ人の伝統料理をsoul foodというそうで、日本式のソウルフードというのは、和製英語らしいので、意味が通じないらしいですよ。

 

セブンイレブンおみやげ街道

呉市1 宝町1番16号

電話 0823-32-5857

営業時間 6時00分~22時00分

 

巴屋 片山店

呉市西中央5丁目13−10

月曜日 定休

電話番号0823-24-3433

営業時間11時00分~16時00分

 

Yショップ 阿賀北店

呉市阿賀北8丁目16−24

電話番号0823-74-7701

営業時間9時00分~18時00分

巴屋公式HP https://www.tomoeya-kure.com/

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