機動戦士ガンダムーBullet in the desertー 作:五河陽太
業火の中、アッグバレットは巨脚でトリアーエズ、六一式戦車の残骸を踏みしめて一つ目を光らせた。
アキハはその眼が「自身を次の獲物に捉えた」と感じ、戦慄を覚えた。
そんなアキハを無視するようにコフィン機が動いた。
光信号でアキハへメッセージを送って来た。
『怖いなら、逃げていいよ。僕は、コイツを仕留める』
コフィン機は100ミリマシンガンを拾うとアッグバレットに対して精密な射撃戦を始めた。
「コイツ、仲間をよくも殺してくれたね。僕はジオンを許さない。絶対に――」
コフィンは自身の信念に懸けて、仲間を殺したアッグバレットを心底、恨んでいた。
「君はやり過ぎた。僕を本気にさせたからね」
コフィンは巧みに操縦桿を操作して、機体を滑らかに動かせる。
コフィンは解っていた。
「止まれば、巨大なドリルの奥に隠されている、大型メガ粒子砲の的になる」と。
だが、音波フィールドの前に100ミリマシンガンの弾丸は無意味だった。
全て霧散され、本体に傷一つ与えられていなかった。
コフィンはその原理を一瞬にして理解した。
この男の戦闘センスは常識を逸していた。
コフィンは右ペダルを一気に踏み込む。
バック・パックから青い炎が吹き荒れる。
コフィン機は凄まじい勢いでアッグバレットに突貫していった。
「コフィンさん、止めろ! ソイツに近づくな!」
アキハが外部音声をオンにして叫ぶ。
だが、コフィンはアキハの言葉を無視した。
先行量産陸戦型ジムは連邦軍の中でも、まだ、性能評価の段階にある機体だ。スペックは陸戦型ガンダムに迫るものがあった。部品には現地改修の劣悪な物を使用していた。だが、先行して量産体制に入った「RGM-79」系統の部品が使われていた。
「君はできる奴だと信じている。だから、ジム、飛べよ」
コフィンはそう愛機に呟いて、大きくジムを跳躍させた。
そのまま、バック・パックの炎を吹かせて、滞空姿勢に入った。
コフィンが狙ったのは一つ目の横にあった音波フィールドを形成する掘削機だった。
「君、沈め」
コフィンは呟いて、100ミリマシンガンを至近距離で発砲した。
甲高い炸裂音と破砕音が戦場に響く。
コフィン機は音波フィールドを纏ったアッグバレットの体当たりを受けて大きく後方に吹き飛んだ。
だが、初めて、アッグバレットから炎が上がった。左側の掘削機が至近距離からの発砲で破損した。
大地に勢い良く叩きつけられた、コフィン機は動きを停めた。
アキハはコフィンが気絶したと悟った。
それまで唖然としていた、アキハは頭を振って叫んだ!
「これ以上は駄目だ!」
残った左手に左脹脛からビームサーベルを抜き放つとアッグバレットに向かってアキハ機は突貫した。
後部座席にいたミツハがアキハに必死に声をかける。
「アッグバレットはジオン軍拠点制圧試作機ですわ! あなた1人で撃破は無理です! 先にお姉様の説得を考えて下さいな!」
「解っている! フタバの安全を考えて攻撃はするさ! だから、俺に力を貸せ!」
「どう、力を貸せとおっしゃるのですか!」
「直接会って、あんな怖い方法は駄目だって伝えるんだ! そのために方法を考えるのに力を貸せって言いたい! 提案がないなら俺流で行くぞ!」
アキハは想い1つで操縦桿を押し込み、ペダルを踏み込んだ。
そのまま機体を上昇させて、ビームサーベルの斬撃をアッグバレットに向かって放った。
コフィンの攻撃で音波フィールドは消えていた。
アキハの斬撃はアッグバレットの分厚い装甲を溶解させて斬り裂く。
「まだだ!」
アキハは陸戦型ガンダムを巧みに操作して、アッグバレットに張り付いた。
そのまま、胸部バルカンを掃射した。
「フタバ、俺だ! アキハ・アンドーだ! 俺の声が聞こえるならこんな怖い物から降りてくれ!」
激しい跳弾の音と火花がコックピットのモニターに映る。
アキハの声もフタバには届かない。
アッグバレットは巨体を激しく旋回させると、アキハ機を振り払った。
アキハ機は大地に仰向けに放り出された。
そのまま、アッグバレットは大型メガ粒子砲の一撃でアキハ機とコフィン機を焼き払おうと砲口を開く。
だが、そこに援軍が入る。
マリア機が180ミリキャノン砲で援護砲撃に入った。
共通の敵はアッグバレットだった。
マリアはアキハの行動を見て、奮い立った。
『坊や、早く、対策があるならやりな! 援護ならアタシにまかせろ! この機体の癖は掴んである! アンタはアンタの戦いをしろ!』
光信号でマリアの意志をアキハは知った。
マリア機の援護砲撃はアッグバレットの装甲を確実に崩壊させていた。
アキハはマリアの想いが本当に嬉しかった。
アキハは機体を立て直す。
ゆっくりと起き上がった陸戦型ガンダムはまるでアキハの意志をそのまま表現したモノと化していた。
「まだ、終われない!」
アキハ機はビームサーベルを左手で構えると、再度、アッグバレットに向かって飛んだ。
アキハの行動を援護する形でマリア機が砲撃支援を続ける。
2機の連携はとれていた。
アキハ機は近接戦を仕掛ける以外の手がなかった。
「アキハ、お姉様は背中の冷却装置上にあるハッチの中にいますわ! 攻撃するならそこ以外を狙って下さいまし!」
「マーカーを宜しく頼む! こっちは攻撃で手一杯だ!」
「あなた、技術者が生業ですわね! 操縦くらいしっかりなさい!」
「戦場はまだ2回目の素人だ! お前みたいに鍛え上げていない!」
「なら、代わりますか? わたくしならお姉様を確実に救い出しますわ!」
「断る! 俺がフタバを救う!」
ミツハは心で「この人は本当に真っ直ぐで馬鹿だ」と思った。
同時にここまで異性に想われてみたいと強く感じた。
アキハ機は再度、跳躍して左腕を振り上げる。アッグバレットのずんぐりした身体に
一撃を振り下ろした。
だが、アッグバレットも唯、攻撃されるだけの身とは違った。身体中から砲身を覗かせると砲撃を始めた。まるで「誰も近づくな!」とフタバが拒んでいるとアキハは感じた。
アキハ機は近づき過ぎていた。
対地対空砲火の直撃を受けた。
陸戦型ガンダムは取り回しが良いが小型のシールドを装備していた。
咄嗟の判断でアキハはコックピットをシールドで守った。
だが、他の部分は対地対空砲撃を受けた。
激しい衝撃。
「ノーマル」の表示が「ダメージ」の赤色に次々代わって行く。
アキハは操縦桿が急に重くなる感覚で、陸戦型ガンダムが凄まじい損傷を受けたと解った。
「だけど!」
アキハは左足のペダルを踏み込んだ。
操縦桿は前に押し込み、左手のスロットルも全開にした。
アキハ機はアッグバレットに突っ込むと、そのまま動く四肢全てを使って抱き着いた。
後部座席のミツハが叫ぶ。
「あなた、馬鹿ですの! もう、この機体は死んでいますわ! 脱出しますわよ!」
「脱出するなら一人でしろ! 俺はまだ諦めていない! あがくなら最後の結果が出るまであがく!」
「……、本当にこの人は。わたくしもお付き合いさせて頂きましょうか。お姉様を放って1人生き延びるのも嫌ですし」
「駄目だ、危ない! 危険な目に遭うのは俺だけでじゅうぶんだ!」
「わたくしを見くびらないで下さいまし。念のために教えておきますが、わたくし、あなたより身体は丈夫ですし、強い自信がありますわ」
「……、頼む」
「最初からそういえばいいのですわ。今、この機体はアッグバレットに引っかかっている状態ですわ。今後は運任せですわね」
「動く箇所は!」
「左足が動きますわ。以外は死んでいます」
「上等だ!」
アキハは全損状態の陸戦型ガンダムの左足を全力でアッグバレットの装甲に叩きつけて、固定した。
アッグバレットはアキハ機が身体に固定されたと解ると、身体の前に突き出した巨大なドリルを回転させ始めた。
『坊や! そいつから離れな! 地中に潜る気だよ!』
マリア機から光信号が入った。
だが、時は遅かった。
アッグバレットが地中に潜ると同時に、シートに叩きつけられる衝撃と地中熱でアキハの意識は一瞬で刈り取られた。
(続)
「機動戦士ガンダム」の二次作品として時代考察、話の内容は成り立っていますか?
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大丈夫!心配するな!
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もっと、勉強しなさい!
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実は、良く解りません!