機動戦士ガンダムーBullet in the desertー 作:五河陽太
「よし、通信機が生き返ったぞ。これで救難信号が出せる。でも、この地底湖がどこでどの深さか解らないな。深過ぎたら電波が地上に出ないぞ」
「それなら、アッグバレットの通信機とそっちの角突きの通信機、合わせる?」
「! ナイスアイディアだ! 地底はそっちの機体が一番得意とするところだ! フタバ、流石だよ!」
フタバはアキハに褒められたことを照れながら「もっと褒めて!」とおねだりして来た。
そんなフタバを見てアキハは「可愛いな」と心から思ってしまった。
アキハは非常用通信ケーブルを伸ばして、フタバに手渡した。
フタバは通信ケーブルの先を端末に繋ぐと、アッグバレットを仮起動させた。
アッグバレットの頭部の右横に付いていたアンテナの先端はドリルになっており、伸
ばせば地底湖の硬い岩盤も掘りながら地面を目指した。
「地上まであと、十メートル、九、八、七――」
アキハは「無事に出てくれよ」と心から祈った。だが、アキハは何に対して祈れば良いのか全く解らなかった。
「アンテナ、地表に到達したよ!」
「救難信号を発信させる。フタバ、今後どうする? 俺と連邦のキャンプに戻ろうなんて……、駄目だよな。あんな酷い仕打ちをされて連邦軍を信じる奴なんていない。俺だって……」
そんな時、フタバがアキハに明るい声で話しかけた。
「アキハ、夢ってある?」
「俺の夢か……。技術士官になることだったな。でも、今は夢に裏切られたかたちだよ」
「私の夢はね、お嫁さんになることなんだ! 純白のウェディングドレスを着て、教会で好きな人とキスして牧師さんの前で指輪交換して、幸せになる!」
「いい夢だね。俺の夢なんかより目指しがいがある」
「今、できた夢なの! 凄く素敵な夢だと思わないかな!」
「俺も夢を考えたほうがいいかな? 除隊して何かを始めようか」
「アキハは良い電気屋さんになりそう!」
「そうだな……、それも良い夢だ」
アキハが自嘲気味に笑った。
その時、洞窟の奥から駆動音が聞こえて来た。
アキハはコックピット内に装備してあった拳銃を引き抜くとフタバを庇うように立った。
駆動音は徐々に近づいて来る。
アキハは嫌な予感がした。
こんな大型な地底湖を闊歩するなんて一つしか存在を知らない。
それはMSだ。
連邦か? ジオンか?
どちらかが救難信号を受けて位置を特定して来たと考えたほうが自然だ。
アキハはどちらが来てもいばらの道だと感じた。
姿を見せたのはスカート付きだった。MS-09ドム。最新鋭のモビルスーツだった。
アキハは自身がサイド3にいた時に実験をしていた「熱核ホバー推進装置」が陽の目をみたのを見て感動を覚えた。
アキハたちに近づいて来たドムは砂漠用に調整されていた。色は肌色の迷彩に塗装されており、武装はザク・マシンガンを装備していた。先行量産型と見えてまだ調整が上手く行っていないのか速度がアキハの想定よりも出ていなかった。
ドムはアキハたちの前で片膝を突くとコックピットの前に左手を持っていった。左掌に姿を現したのはピンク色を基調にしたパイロットだった。パイロットはヘルメットを取った。地底湖でも煌めくその美貌はミツハだった。
フタバはミツハの姿を見ると満面の笑みを浮かべて駆け寄った。
「ミツハ、来てくれたんだ! お姉さんは嬉しい!」
「お姉様、遅れて申し訳ありませんわ。意識はアキハより早く戻ったのですが、地底湖のマーキングを忘れ位置特定に時間がかかりました。それに最新鋭機の試運転も兼ねての出撃だったので……、お姉様に辛い想いをさせてしまいました」
「そんなに思い詰めないで! アキハがいてくれたから、私、怖くなかった! 色々教えてもらえたよ!」
ミツハはアキハの姿を見ると右手を差し伸べた。
「アキハ、一緒に行きましょう。わたくしがお父様に進言させてもらいますわ。だから――」
アキハはフタバとミツハの想いが心から嬉しかった。
だが、アキハには踏ん切りがつかなかった。
「裏切りに裏切りを重ねるなど……、俺には無理だよ……。ごめん」
「アキハ、ここにいても連邦が来るかどうか解らないよ! だから!」
「お姉様、アキハの気持ちを大切にするのもまた、想う形だとおもいますわ。アキハ、お姉様を守ってくれたことに感謝いたしますわ。プロトタイプを破棄させて頂きます。救難信号もわたくしが受信できるぐらいです。連邦が間抜け揃いでも大丈夫ですわ」
アキハは陸戦型ガンダムから降りて、ドムのスカートの裏に退避した。
ミツハはアッグバレットの自爆プログラムを20秒に指定すると、叫んだ。
「20秒で爆発しますわ。ショックウェーブに注意してくださいな!」
ミツハは華麗な身のこなしでドムのコックピット内に懸け込むと左腕でアキハを庇った。
陸戦型ガンダムを含めて四機の熱核融合路が誘爆に次ぐ誘爆で凄まじい衝撃波を発生させた。
地底湖の波は荒波に変わり、全てを飲み込む勢いで岸に覆いかぶさる。
地上までかなり硬い岩盤があったが、それすら貫通するすさまじい爆発は核で動くMSとMAの戦いの悲惨な結末の一つを体現していた。
ショックウェーブが収まり、崩落の危険性もないと判断したミツハはコックピット内にいたフタバに優しく声をかけた。
「アキハは無事ですわ。お姉様、思い残すことはありませんか?」
「……、うん。大丈夫」
「では、帰投いたします!」
ドムが動き出したのを確認してアキハはスカートの側から離れた。
アキハの頭の中はこの戦いについて「無益だ」としか考えられなくなっていた。
アキハはドムが去った後を呆けて見守っていた。すると、暁が見えた。
同時に聞きなれた声が聞こえた。
『あの爆発は坊やだったのかい! 生きているとは悪運が強いね! 迎えに来たよ!』
マリアが皮肉交じりに陸戦型ガンダムから声をかけて来た。
だが、アキハは敬礼をする気分にすらなれなかった。
暁を背に悠然と立つ雄々しい陸戦型ガンダムに対して、「お前の存在意義はなんだ……?」とアキハは問いかけた。
陸戦型ガンダムからの返事はある筈もなく、唯、機械の駆動音が聞こえるだけだった。
「機動戦士ガンダム」の二次作品として時代考察、話の内容は成り立っていますか?
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大丈夫!心配するな!
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もっと、勉強しなさい!
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実は、良く解りません!