機動戦士ガンダムーBullet in the desertー   作:五河陽太

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第1章 連邦とジオン
秘事


 アキハはマリア機のコックピットにジオン軍の美少女と一緒に乗せてもらいオマーンのキャンプ場へ帰還した。

 

 帰還の際、マリアもジオン軍の美少女の顔を見て「何かの間違いだろ?」と言葉を零していた。

 

 唯、美少女だからといって良い目で見てもらえるわけではなかった。

 

 マリアと同じく、先行量産型陸戦型ジムで命のやり取りをしたコフィンは、美少女の前で一言も喋らなかった。

 

 終始、般若の形相で美少女を睨みつけては威嚇していた。

 

 そんな状況でアキハは美少女についてなぜか、激しく興味を持った。

 

「可愛らしいからだろ?」と言われたらそうかもしれない。

 

 だが、何故か心の中でアキハは美少女に後ろ髪を引かれる想いがある自分に気付いていた。

 

 4人が無事に帰還した時は陽も暮れて夜になっていた。

 

 帰還した4名を待っていたのは、第32技術試験隊大隊長フォックス少佐だった。

 

 フォックス少佐は陽に良く焼けた健康的な顔が特徴的な三十路後半の若い士官だった。人当りも良く、特にマリアと一緒にいる姿が多い。だから、2人の関係について詮索する兵士が後を絶たない。

 

 そんな善人のフォックスがマリアの帰還を見て、声を荒げた。

 

「大尉、どういう事だ! ウィル少尉とコム少尉がいない! まさか、戦死させたのか!」

 

 マリアはジムをキャンプ入口に立膝で座らせると、面倒臭いといった様子でショートヘアの髪をグシャリと掻きまわした。

 

「あぁ、そうさ。アタシの判断ミスで二人はお空に還っちまったよ。罰なら受ける覚悟がある。だが、敵を確保してきた。アンタはソイツから情報を聞き出すのが先だろ?」

 

「ジオン軍兵士を捕らえてきたのか! また、無謀なことをしたもんだ! 両少尉のラックの整理はコフィン少尉に任せよう。それと、アキハ技術官。少し話がある。大尉と一緒に私の私室に来てくれないか?」

 

 アキハは自身がなぜ、フォックスに呼ばれた理由が解らなかった。

 

 それより、美少女の容態と今後の処置が気になって、落ち着かなかった。

 

 マリアが担架で運ばれて行く美少女の後を視るアキハに、面白い玩具を見つけた子供みたいに燥いで話しかけた。

 

「坊やはあんな子がタイプなんだ。アタシみたいないい女がすぐそばにいるのに、同じ歳でも少し幼い童顔が好みとは……。アンタは本当に坊やだねぇ。キスは今までの人生でした経験はあるのかい?」

 

「何でそんな話になるんですか? 唯、俺はあの子がどうしても気になって――」

 

「好きなんだろ? 一目惚れなんだろ? 抱きたいんだろ?」

 

「煩い上官ですね。違いますよ。俺はやましい思いなくあの子を心配しているのです」

 

「なら、さっさと狐のところに行こうか。用件とやらを早く聞いて、アンタにジオン兵の尋問をお願いしようか」

 

「俺があの子を尋問する? 冗談言わないで下さい。俺は技術者として連邦に亡命してきたのです。尋問関係は黒服の得意分野だ」

 

「アンタ、このキャンプ場を甘く見ているね。最初に話をしたと思うが、このキャンプ場に集まり、勤続年数が長い連中は全員、ジオンを心底憎んでいる。勿論、アタシも含めてね。そんな場所の黒服とやらが、ジオン兵に対して真面な尋問をすると思うかい?」

 

 マリアが碧眼を大きく見開いて真剣な眼でアキハを見据えてきた。

 

 アキハはマリアの眼を見て気付いた。

 

「真面な尋問なんてここに絶対にない」

 

 現実を知ったアキハは自身の胸が縄で縛りあげられるほど痛い感覚に見舞われた。

 

 もし、あの美少女が傷を負う目に遭ったら……。

 

 もし、あの美少女が女の子としての尊厳を失う行為に遭ったら……。

 

 もし、あの美少女が二度と話せない状態になったら……。

 

 考えれば考えるほど、アキハの胸は縛り上げられた。

 

 マリアはそんなアキハの表情を視て、笑顔を浮かべた。

 

「アンタは優しい奴だな。この戦争で人類同士傷を負ってもまだ、憎み合っている。なのに、アンタは立場が違う相手の状況を考えて真っ青な顔をしている。その想いを『優しい』以外にアタシはどう呼ぶか知らないよ」

 

「でも、俺にこの感情を気付かせてくれたのは隊長です。俺、あの子と話をしてみたい」

 

「なら、こんな入口で立ち話をしていないで、狐野郎の部屋に行くよ。アタシは戦闘から生還したら一晩中酒をかっ喰らわないと生きた心地を実感できないんだ。用事が終わったらアンタにも晩酌を付き合ってもらうからね!」

 

 マリアは豪快に笑うとアキハの背中を豪快に右手で一回叩いた。

 

 気分が晴れる清々しい音がキャンプ場に響き渡った。

 

 アキハは「凄く痛い。だけど、心がスッキリした」と思い心中でマリアにお礼を述べた。

 

 アキハとマリアは並んでキャンプ場の中心部にあるフォックスの私室に向かった。

(続)

「機動戦士ガンダム」の二次作品として時代考察、話の内容は成り立っていますか?

  • 大丈夫!心配するな!
  • もっと、勉強しなさい!
  • 実は、良く解りません!
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