機動戦士ガンダムーBullet in the desertー 作:五河陽太
本作品もクライマックスです。
もう少し、お付き合い頂けたら幸いです。
楽しい時間をお過ごし下さい。
だが、狂気のテツハがこのままで終わる訳がなかった。
「軍務だけしか能がない、烏合の衆が! 儂の作品に傷をつけたな! ヨツハ!」
テツハの声掛けにヨツハは冷徹に行動を開始した。
機器を操作してネオ・アッグバレットの形態変形を行った。
本体砲門左右がせり上がり合体して巨大ドリルとなった。巨脚は膝から折れてすねの部分からホバー走行する仕組みになっていた。
全長三十メートルの掘削機に姿を変えた、ネオ・アッグバレットは轟音を立てて地下に潜った。
アキハはソナーをExGの腰から落としてネオ・アッグバレットの出現位置を特定しようと必死になっていた。だが、ネオ・アッグバレットの動きは思った以上に素早く、気付いた時には遅かった。
後方のキャンプ陣営の場所が地下から砲撃にあった。
「大隊長!」とアキハは無線に何度も応答を確認した。
だが、ノイズだけが無慈悲に聞こえるだけだった。
アキハは奇襲に遭った後方陣営に出現したネオ・アッグバレットに対して激しい憎悪を覚えた。
自分のスパイ容疑を違うと信じ続けてくれた心優しく、寛大な大隊長はもういない。
その立派な男を一瞬にして屠った相手は実の父親だ。
だが、アキハの中ではテツハという男をもう、実の父親と考えてはいなかった。
本部が焼き払われただけで、各部隊は混乱していた。
そんな中、アキハとフタバだけは気持ちが違った。
「テツハの元にヨツハを置いておいたら駄目だ」という確固たる気持ちと共に、ネオ・アッグバレットに強襲した。
潜地型から拠点殲滅型に姿を戻した怪物にExGは果敢に攻めた。
ビームサーベルを投げ捨てて、前面から張り付き、コックピットハッチをこじ開けた。
そこには小柄な少女と恰幅の良い男性の二人が複座式に並んで座っていた。
アキハとフタバは頷き合って、コックピットハッチを開いた。
戦場の熱風がアキハたちの頬を撫でる。
その視線の先では実の父親が不敵な笑みを浮かべて座っていた。
「ここまで来たか――。愚息よ」
「父さん。違う、テツハ・アンドー。もう終わりだ。これ以上、破壊をするなら俺はお前を殺す覚悟がある」
「軟弱者の貴様が実の父親を撃てるか? 儂は貴様を簡単に撃てるぞ」
アキハはテツハに銃口を向けて躊躇なく引き金を引いた。
発砲した弾丸はコックピットの側面モニターを砕いた。
「俺だって覚悟は出来ている。家を継ぐ目的で俺を連邦軍に亡命させただけでなく、多くの人としてしてはならない領域に足を踏み込んだ罰。俺はお前を止める」
アキハがテツハと話をしている最中にフタバがヨツハに声をかけた。
「ヨツハ、お姉ちゃんだよ! こっちにおいで! また一緒にお人形を使っておままごとをしよう! アキハも一緒にしてくれる! だから、そんな怖い物に乗っていては駄目だよ!」
ヨツハはヘルメットを取って、フタバの言葉を復唱し始めた。
その行動を見たテツハが激怒した。
「失敗作め! 儂の希望を惑わすか!」
「ヨツハはお父さんの希望とは違う! この娘の人生はこの娘の物だ!」
「黙れ!」とテツハはアキハに向けていた銃口をフタバに向けた。
発砲された弾丸はフタバを庇った、アキハの左肩に当たった。
アキハは反射的に撃ち返し、テツハの右脚に弾丸を叩きこんだ。
その間にアキハは痛みに耐えながら、ヨツハに声をかけた。
「ヨツハちゃん、こっちにおいで――。怖くないよ。お姉さんも二人待っている。だから、そんな狭い鉄籠から出て来て一緒に遊ぼう。お前はこれから沢山笑う必要がある。悲しみを覚えたら――駄目だ」
ヨツハが意志の籠っていなかった瞳に徐々に自身の「感情」という大切なモノを取り戻していくのがアキハとフタバには解った。
だが、テツハが阻止しようとヨツハに拳銃を向けた。
「貴様等のような失敗作に儂の夢と作品を取られてたまるか! 貴様等のどっちかが動いたら即、この作品を射殺する! 貴様等は本当に厄介な存在だ! 愚息、まずは貴様だ!」
テツハの拳銃が咆哮をあげた。
アキハは咄嗟の判断で心臓に当たるのは避けた。
だが、腹に弾丸を叩きこまれた。
フタバがアキハの名前を叫ぶ。
「次は失敗作、貴様だ。本当に手間をかけさせおって……」
フタバが「自分が撃たれる!」と覚悟を決めた時、ヨツハが動いた。
ヨツハが自分の意志でネオ・アッグバレットの主砲のトリガーを押し込んだ。ネオ・アッグバレットの主砲は二人でバランスを制御しながら発射するのが前提の兵器だ。
唯、発射するだけだったら、体勢が後方に大きく崩れる。姿勢制御を担当していたテツハの意表を突いた行動に本人以外、全員が驚いた。
山を抉り取りながら大きく仰向けに倒れる化け物を見て、連邦軍全員が「何事だ!」と感じた。
ExGも下半身が完全に吹き飛び、動作出来ない状況になった。
咄嗟の出来事にアキハが残った命を燃やした。
激しい速度で倒れるネオ・アッグバレットのコックピット内に素早く手を突っ込むとヨツハの手を取った。そのまま引き寄せて、フタバを抱いたまま三人でExGのコックピット内に逃げ込んだ。
ExGは起動したままだが、下半身がないせいもあってアラートが鳴り続けていた。破損個所を知らせる警報が出たままで稼働時間も長くなかった。
アキハはフタバとヨツハを抱きしめて優しい口調で話をした。
「この場で終わらせるよ。ごめん、付き合わせて――」
フタバはアキハの頭を優しく撫でると穏やかな口調で返した。
「そんなに謝らないでよ。アキハと一緒なら私、怖くない――。ヨツハ、ごめんね。お姉ちゃんが最期は一緒に逝ってあげるから許してね」
最後の最後までヨツハは無表情だった。だが、アキハの流れる血を見て「ごめんなさい」と小声で呟いた。
そんなヨツハを見てアキハは「頑張った甲斐があったな」と感じた。
朦朧とする意識の中で、アキハはExGの左拳をネオ・アッグバレットのコックピットに叩きこんだ。
ExGの拳が叩きこまれるその前にテツハはネオ・アッグバレットの自爆プログラムを起動させていた。
「アンドー家とジオン公国に栄光あれ!!」
狂気の科学者の雄叫びと同時にカルパチア山脈を震撼させた化け物が最後の時を迎えた。
六基の核融合炉を暴走させた大爆発で一帯は光の渦に飲み込まれた。
その場にいた多くの連邦軍兵士たちは声を揃えてこの後に語った。
「アキハ・アンドー技術士官は命を賭して化け物を屠った」と――。
「機動戦士ガンダム」の二次作品として時代考察、話の内容は成り立っていますか?
-
大丈夫!心配するな!
-
もっと、勉強しなさい!
-
実は、良く解りません!