機動戦士ガンダムーBullet in the desertー 作:五河陽太
お付き合い頂きました読者様には感謝の言葉しかありません。
作者としては、長年望んだ作品を全話読んで頂けたと思うと感無量です。
では、最後までゆっくりお読み下さい。
希望
※宇宙西暦0080年1月10日 ブカレスト 午前10時
戦争は終戦になり、残ったのは無残な戦火の痕だけだった。
04小隊はアキハ・アンドーを除き、全員の生存が確認されていた。アキハ・アンドーは戦死者として扱われ、除籍となった。
だが、04小隊の全員がアキハは生きていると確信していた。
マリアもコフィンもマーフィーに至るまで、全員が口を揃えて、「あの坊やが死ぬはずがない」と切に語っていた。
だが、そんな04小隊も戦争が終わると全員がバラバラになってしまった。
ミツハは1人、脱走兵として自由を手に入れたと同時に、04小隊全員からの願いを託された。
場所はルーマニアの首都ブカレスト。
そこで、フタバらしい人物を見たとマーフィーが情報を仕入れてミツハに回して来た。
ミツハはアキハとフタバ、ヨツハが全員生きていると信じて、街を訪ね歩いていた。
ブカレストは戦時中、両陣営の占領下に置かれ、戦争の被害を受けた首都として有名だった。
だが、街は復興の兆しを見せており、人々は賑わいを見せていた。
そんな中、ミツハは初めての一人旅を楽しみながら、アキハたちを探していた。
「全く、生きているのでしたら一報くらいよこして頂いてもいいのではありませんか?」
ミツハは露店で買った珈琲で渇いた可愛らしい唇を濡らすと文句を垂れた。
そんなミツハに店主の女性が優しく声をかけた。
「あんた、誰か探しているのかい? そんな若さで人探しとは、ご苦労だねぇ」
「そう思って頂けるのはありがたいことですわ。失礼ですが、この写真の男性に見覚えは有りませんか? 何でも構いません。情報を頂きたいのです」
店主の女性はミツハから写真を受け取ると、マジマジと見て驚いた風に話した。
「この人、最近、郊外の村に引っ越して来た夫婦の旦那様にそっくりだねぇ。仲の良い夫婦で、娘さんまでいる歳若い3人だったような……」
「そのかた、どこの村にお住みなのでしょうか? うかがってみたいものですわ」
店主の女性は珈琲をもう一杯入れては右掌を差し出して来た。
「このご時世、情報料ってのも商売なんだよ? 珈琲、もう一杯どうだい?」
ミツハはこの地に住む女性は逞しいと感じて、珈琲をもう一杯、購入した。
○
「街はずれの村とは……、あそこですわね」
ミツハが目指した先はブカレストから北東へ3キロ離れた山のふもとに隠れるようにある村だった。
村の中にミツハが入ると村人たちは奇異な目でミツハを見ては、家の中に姿を隠した。
「何でしょうか? わたくしを怖がっているのですか?」
ミツハは小声で呟くと村人の老婆に声をかけた。
「すみません、人を探しているのですが――」
「……あっちに行っておくれ」
会話を短く切った老婆は即座に煉瓦造りの古い家に入ると鍵をかけた。
まるで、この村はまだ戦争を続けているようにミツハには感じられた。
だが、ミツハはこの村に拒まれようともアキハたちを見つけるまで帰らないと腹を括った。
しばらく、村の中を散策したミツハだが、どの家も厳重に窓や戸を閉めているので、中の様子は解らなかった。
そんな時、ミツハの背後に殺気を感じた。
ミツハの背中に不意を突いた形で銃口が突き付けられた。
「貴様、よそ者だな。何用だ?」
若い青年の声がしたので、ミツハは冷静に返した。
「わたくし、ミツハ・バーキアと言いますわ。ここで人を探していますの」
「バーキア……。お前の知った人間はこの村にはいない。出て行け」
「なぜ、わたくしが出て行く必要がありますの? あなたの口調では、まるで『アキハがこの村にいる』と語っているのと同じですわ」
「出て行け!」
激高した青年が拳銃の引き金を引く瞬間に、ミツハは瞬間的にしゃがんで足払いを仕掛けた。
青年はミツハの体術が余りにも早すぎて、対応しきれなかった。
仰向けに倒れた男性の拳銃を蹴り飛ばしたミツハは睾丸を抑えて男性に問うた。
「このまま踏みつけても宜しくってよ。でも、あなたには聞きたいことがありますわ。この村はなぜ、旅人を拒むのですか?」
「……ッ!」
「沈黙が回答だと宜しくありませんよ? わたくし、非道になれば相応の事ができますので――。あなたの家族がどうなっても知りませんよ」
「負けだ。離せ」
青年が簡単に吐いた。
ミツハは青年がなぜ、こんなにも必死になっているのか解らなかった。
青年は立ち上がると答えた。
「この村は戦争中に脱走や軍規違反、敵前逃亡した人間と家族が暮らしている。だから、お前みたいな変な奴が来たら俺が追い払う役割を村長から受けている。村長は優しい人だ。会わせてやる。着いて来い」
青年は少し残念そうな口調で話すとミツハを先導した。
村長が住むという家は普通の民家だった。コンクリート製の平屋。酷く古めかしい作りだった。
青年がドアを二回ノックして応答を待った。
返って来たのは、低く唸る男性の声だった。
「合言葉は?」
「『祝福を、バーキア』」
ミツハは合言葉を聞いて驚いた。自身の苗字、バーキアシリーズの名前の由来が合言葉になっていたことに驚いた。
ドアが開かれて青年はミツハを中に通した。
中で待っていたのは屈強な男性だった。筋骨隆々といった言葉が良く似合う体躯。右目に傷を負っており、禿頭。身長は二メートルからあった。
ミツハは村長がアキハだと思っていたが、違ったのでがっかりした。
「どうした、ご客人。俺で何か文句あるのか?」
「いいえ。探し人と違ったのでがっかりしただけですわ。あなた、アキハ・アンドーという男性とフタバ・バーキア、ヨツハ・バーキアを知らなくて?」
「話を急ぐな。まずは貴様の名前は?」
「ミツハ・バーキアと申します」
「そうか。俺の名前はガズだ。ここの頭を張っている。貴様の探し人だが、会いたい理由はなんだ?」
「私以外にも生きていると願う人の想いを託されてきましたわ。その想いと手紙も受け取っています。どうか、会わせて下さいな」
ガズは顎に手を当てて考えた。
後に、一つの提案をして来た。
「貴様も聞いただろうが、この村は訳ありの村だ。他言無用で今後一切かかわらないを条件ならいいぜ」
ミツハは全てを承知で「解りました」と返した。
ガズが「着いて来い」というので後に続く。
薄暗い小道を進んだ先の部屋にミツハは通された。
ノックをして中に入った。
その先の光景でミツハは涙が溢れて止まらなかった。
アキハがいた――。
フタバもいた――。
何より、ヨツハがフタバと笑って遊んでいる姿がミツハには嬉しくて仕方がなかった。
アキハは右腕が肩からなかった。戦いの怪我がまだ癒えていないと一目で解った。ベッドに横になってフタバとヨツハのおままごとを優しく見守っていた。
フタバは五体満足で元気に笑顔で遊んでいた。髪が伸びて、お腹が少し膨らんでいた。きっと新しい命が宿った証拠だ。
ヨツハはあの感情のない表情が嘘だったみたいにアキハとフタバに笑顔を見せていた。
ミツハは零れる涙を拭っては、アキハたちの輪に入った。
戦争は多くの傷跡を残した。
だが、新しい命を繋いでいくことだって出来るとアキハたちが証明していた。
ミツハはきっとこの時のことを語り継ぐ。
砂漠で出会った青年と乙女の行きついたエンドロールを――。
(了)
※あとがき※
長かったようで、短かったアキハの旅もひと段落しました。本当は「オデッサ作戦に参加
させてあげよう」と考えていたのですが、そうすると、某ゲームと被る件を執筆中に気付き
急遽この形になりました。
自分としては、納得できているのですが、読者様からはどうですか?
もっと、ダークな終わり方が良かったですか?
もっと別の終わらせかたが良かった等、絶対にあると思います。
でも、作者としては「この形がベストかな?」と何度も推敲しながら考えました。
きっと、この先、アキハたちは何があっても乗り越えると思います。
今、世俗は非常に辛い状況にあります。作者も含め、この辛い世俗でアキハたちと同じ様に「強く生きて行く心を持てたらいいな」と思いを込めてこの作品を書かせて頂きました。
悩み、苦しむ時が誰しもあります。
そんな時、この作品を思い出してもらえたらと思います。
戦争を実感したことはありませんが、人生は戦争と同じだと思います。そんな時にこの作品を読み返して、「さぁ、頑張ろう!」となれればこれ以上のことはありません。
最後に文豪「太宰治」の名言でしめたいと思います。
『希望に裏切られる時もある。だが、絶望にも裏切られる時もある――』
また、どこかで会いましょう。
(了)
「機動戦士ガンダム」の二次作品として時代考察、話の内容は成り立っていますか?
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大丈夫!心配するな!
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もっと、勉強しなさい!
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実は、良く解りません!