宙が少女か、少女が宙か   作:銀ちゃんというもの

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頭の中でリサにリィエルを襲わせたらいつの間にかリサが受けになって口調直されて下半身が使い物にならなくなって調教されてた……なんで?リィエルちゃんこわひ。

そして今回も難産というかなんというかはい、特大の眠気の中書くものじゃありませんね。


13.今にも落ちてきそうな星々

 リサはその短い半生、その半分を、天球を屋根に過ごしてきた。

 

 獣がはびこる領域で、高く聳え立つ木々の中で、彼方まで見渡せる若い草原で。

 

 幾度も幾度も、飽きるほどに。

 

 丸い月も、赤い月も、月が無い夜も。

 

 吸い込まれる夜空に恐怖を、希望を、失望を、憧れを抱いたこともある。

 

 だから、だからこそなのだろう。

 

 タウムの天文神殿最深部──大天象儀(プラネタリウム)場、その幻想的な宇宙空間に誰よりも魅せられた。

 

 圧倒的な星雲が恒星が流星がリサの心を魅了した。

 

 

 

 

 

 遺跡探索開始から六日目、最深部へと至り、恐らく最後となるだろうその日。

 システィーナが天象儀(プラネタリウム)装置で星空を見たいと言ったことが発端だったが、まさかここまでいいものが見れるとは思わなかったとリサは思考する。

 柄にもないことを考えていると思ったリサは自分ができる調査に移る。

 

 背後で、システィーナに頼まれセリカが天象儀(プラネタリウム)装置を黒魔【ファンクション・アナライズ】で解析する様子を流し見つつ、綺麗に丹精込めて磨かれたであろう半球体の部屋の壁にびっしり刻まれた碑文を自分の本と見比べて類似点を探す。

 

 鼻歌交じりに、百合妄想で鼻血を垂らしつつ、呑気に調べていると……それは本当に突然起きた出来事だった。

 

 きん……きん……──と魔力反響音が響いたかと思うと、一瞬床の紋章がなぞられるように蒼く光る。

 何があったのかと光の元──天象儀(プラネタリウム)装置の方向を見やると傍らに立つ呆けた様子のシスティーナとルミアよりも先に。

 奇妙な挙動で駆動する天象儀(プラネタリウム)装置が視界に思考に入る。

 

 天象儀(プラネタリウム)装置のアームが天象儀(プラネタリウム)を映し出し……先程の様に映し出された星辰は狂ったように暴走回転を始める。

 あまりに速く、もはや見えるのは銀の筋。

 銀の線が一点を中心に円を描く。

 呆然とそれを見ていたリサの視界の端で天象儀(プラネタリウム)装置がゆっくりと動作を止め、星空が消失──

 

「な──ッ!?」

 

 呆然と見上げるリサはグレンの声で我に返る。そして、グレンの視線の先、大天象儀(プラネタリウム)場の北の空間を見ると。

 

 また……目を奪われた。

 明らかにワープゲートの類のそれに驚いた。

 虚空に三次元的に投影されて、先には漆黒を孕むそれに対して湧いた自分の感情に。

 

 システィーナの驚愕の声も、遠くに聞こえる。

 その機能がどのように考えようと疑似容量(パラ・キャパシティ)オーバーという思考にも至らない。

 

 ただ、ゆらりとふらりと扉へセリカが駆け出すのを追うことしか考えられなかった。

 グレンの制止も、遥か彼方。

 空間へ、一寸先の闇へとセリカに続いて足を──踏み入れた。

 

 

 

 別に、セリカが心配だから追ったわけではない。

 セリカの言う《星の回廊》を並走して駆け抜けるリサは思う。

 好奇心、興味、喜び。

 リサを喜色が支配する。

 そうだ、この先には何か望むものがあると思ったのだ。

 ただ漠然とした何か。

 人から離れて暮らしてきたリサだからこその野生の勘なのかもしてない。

 何が待ち受けるのかはわからない、でもそれでも一度道を外せば落ちてしまいそうな回廊をかける。

 外せば迷う夜空の樹海の一本道をひたすらに抜ける。

 彼方に見える光の門、それをくぐる寸前、リサが見たものは。

 なにか、懐かしいと焦るセリカの横顔だった。

 

 

 

 濃厚な死の気配。

 苛烈で、強烈で、リサが扱う気配。

 ここに居てはいけないと告げる本能。

 ただ二人には関係がなかった。

 

「──《邪魔だ》ッ!」

「《耳を貸せ・聞き従え・下僕共》!」

 

 セリカの放つ放つ【プロミネンス・ピラー】の即興改変。地上で扱えば果てまで届きそうな業火の柱が圧倒的制御力でリサを除いた他を悉くに焼き滅する。

 リサの眷属秘呪(シークレット)を応用した即席の霊魂支配が悪霊の心を壊し操り使い捨てられる。

 

《星の回廊》を抜け出た先の空間、そこは魔術師の物と思われる無残な死体がゴロゴロと転がる地獄だった。

 しかし焦るかのように進むセリカの手によって干乾びた臓腑を引き摺りながら近寄るミイラも、何もはまっていない眼下で這い寄るミイラも、焼け飛び氷結し、道が開かれた。

 大量大量と悪霊乱獲、浄化どこらか恨みを増やして傀儡(みかた)を増やすリサにより狂気がより強い狂気に塗りつぶされていく。

 

「セリカ……なんここ?」

「知るか……っ、だけど覚えてるんだ!」

「はぁ……? どーいうこっちゃ」

「わからない……けど私はここに来たことがある。思い出したんだよ……ッこんなの目覚めてから初めてだ! 確かに私は昔、あの《星の回廊》を行き来したことがある!」

「なんだ、そりゃーよかったんかい……? いや良かったんよな、今までセリカが見つけられんかった過去の手がかりだんな」

「ああ、やっとこれで……これで」

「…………」

 

 はて、どうしたのだろうと暗い雰囲気を纏うセリカを見てリサは悩む。けれどすぐにグレンに解決してもらおうと思考を眼前に戻す。

 自分の意見では他人と違いすぎて間違えさせてしまう、それはこの世に生まれ落ちたその瞬間からついている性のようなもの。

 リサは人の悩みを解決できる立場にない。いつからかそう考えていたリサは、愚痴を聞いても聞くだけ吐き出したいことを聞く立場に回ったとしても教えを垂れる立場になったことはない。

 今もそう、どうしようとリサにはできないのだろうとセリカの悩みを聞く前から思い込んで聞くことをやめる。そしてセリカを一番理解しているであろう人間に役目を投げつけた。内心ガンバと付け足して。

 ただリサに今できることは好奇心に飲まれるがままセリカを手伝うことしかできない。そう思っている。

 

「要するに投げ出してるだけなんだけんなぁ……はぁ。心を読む魔術だけんも練習すっかい? それとも眷属秘呪の応用で……」

「……どうしたんだ?」

「うんにゃ、なんでもないぜぃ」

 

《門番の詰所》の悲劇喜劇はまだ始まったばかり。

 




ふにゅ……ただセリカと共に星の回廊に突っ込ませたかっただけなのになんだろうこのダイジェスト感。
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