宙が少女か、少女が宙か   作:銀ちゃんというもの

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そろそろ、原作を先に読むこと推奨の文字を入れるべきな気がしてくる私の語彙力に涙が……。


21.不穏と疑問と……

「チィッ……!」

 

 嗚呼、斯くも相性が最悪といっていい程の者が存在しているのが不思議でならない。

 

 失念、とは中々に辛いものだ。己だけで完結していたが故に、魔人の魔刀の片割れが魂を喰らうものであったが故に、本当に簡単すぎる。

 もう片方の魔術をねじ伏せ消し去る物の存在を忘れていた。

 

 どうやら相当に焦っていたのかもしれない。

 馬鹿で余裕を持った発想に戻るというのが定着しすぎていて内心の乱れを見向きもしなかったリサは、右の魔刀だけでない、左の魔刀もリサの眷属秘呪(シークレット)と異常に相性が悪いということを忘却していた。

 忘却の術の使い手が物事を忘却するとはなんとも皮肉な話である。

 

『……愚者の子よ、あの愚かしき者の末裔か……』

 

(うん? ……どうゆー? いやいや、それより、馬鹿かい……? わたしゃ馬鹿なのかい……?)

 

 再生とグレンほどで無いにせよ実践で培ってきた勘で、斬っても断っても裂いても、骨で刀を受けて流し再生し浮かべた人形(ヒトガタ)で上空、【愚者の世界】効果範囲外から魔術行使し残り少ない数を減らしつつ、魔人へ噛み付いて断たれて、しかし絶対に右の魔刀を拾わせない立ち回りを演じ切る。

 その必死の抵抗は、必死であれど必ずの死ではなく、特異たる再生能力で、確かにグレンらへ僅かばかりの癒しの時間を与えていた。

 

「リサ……っ! こっちはもう万全だ……! 悪ぃな、待たせた!」

 

「……っ! いんや、割り込んだんは私であってだぁなぁ!?」

 

「んな事はいい、今度こそやるぞ……ッ!」

 

 あれ、これは私また殆ど役に立たなかったか、いやいや、グレンたちの疲弊はほんの微量に回復したし……と戦闘に入り込む連携が見事なグレンたちを後目に本格的に学び舎で鍛え直した方がいいと考えたリサは自分を叱咤し戦へ食らいついた。

 

 

 

 剣戟の響く最中(さなか)、セリカは目を覚ます。

 

 それは寝かされたテラスの下に広がる光景である。

 

 無傷でありながら反比例するように疲弊したリサ、満身創痍ともいえるリィエル、ボロボロで致命傷こそないが片膝をつくグレン、治癒限界のギリギリまで使用された治癒魔法、肝心のルミアとシスティーナもすでにマナ欠乏症。過激で惨劇な、大きな戦いを容易に想起させる姿だ。

 

 それはその先で立ち振る舞う者である。

 

 セリカが意識を暗くする前より、その時から依然として健全な振る舞いを崩さない魔人は、グレンたちの状態が故に更なる威圧を醸している。

 

 しかし、辛うじて保たれた拮抗も破れる寸前の様で、何かを悟ったように跳躍し高所に着地した魔人に顔色を変えるグレンたち。

 

 浮かぶはセリカは知らないが既に三度目の顕現たるあの太陽の魔術で、しかし諦めず間に合わないという言葉を捨てて魔人へ駆けるグレンへ投擲された魔人の刀が…………───。

 

 

「……0(ヌル)ッ!」

 

 セリカは、そこに居た。

 

 息子(グレン)の危機に時間停止の固有魔術(オリジナル)異形の翼(ナムルス)に止められ阻まれ、そして力を与えられて、行使して、そこに現れた。

 

 グレンへ迫った刀は弾き飛び、魔人は胸を穿たれる。

 

「はぁー……はぁー……ああ、そうさ……後悔なんてあるわけない……」

 

 そう、セリカは満足気な顔を浮かべる。

 

 四つめ、最後の命を奪われた魔人はどこか満足気に。

 本体の影だとかいずれ、また剣を交えようぞだとか、果てには門の先でまつなどという不穏を残して消失した魔人にリサは内心鍛え直しをよりハードなものにする方針に変えながら聞かなかったように耳で流す。

 

 そんなことよりも、眼前で倒れたセリカを回収すべく、未だ残る高揚と不安と、新たに生まれたやる気と疑問を胸に、歩き出した。




最新刊読んで気分が高揚してたからその熱意を文字で発散した。後悔はしていないが、少し一気に進めすぎたことは反省している。つまり、ショートカット突っ走りすぎた!!!
だけどこの巻分とっとと終わらせないとモチベーションが……。

多分次回終わったら閑話挟む……かな???そうしたら七巻のないように入ります。
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