今欲しい本は無の書とかデイヴィッドコンウェイの魔術理論篇とか??その前に結構前からTwitterでも言ってる古事記も読んでおきたいしなんなら他の神話も読みたいの沢山あるし。
本格的にオカルト知識学んだら創作の幅が広がる……はず。
ひとまず金欠をどうにかしたい。
23.薄桃色を呼び水に煩悩と母性が招来された
「今日は転入生を紹介するぞー……こないだの遺跡調査に参加したやつは覚えてると思うが、新しくお前らの学友となるリサ=カミハだ……リィエルタイプのやつだが仲良くしてやってくれ」
「いや、リィエルちゃんとき一体何があったのん?」
グレンの唐突なる編入生紹介と、リィエルより幼く薄桃の髪をした少女のツッコミが教室へ響く。
ちなみにこのタイミングでクラスの男子と一部女子は美幼女の登場に歓声を挙げる準備をしている。
「まぁいいか……私の名前はリサ=カミハです。得意な魔術は
「お前、標準語喋れたの……!?」
「意識すらあ喋れるわい!」
しかし、突如始まる下手な漫才の方が面白いのでは無いのだろうかという会話と、教室に漂うシラケた空気。
いつもなら美少女の登場だなんだと騒がしくなる男子生徒も、黄色い声をあげる女子生徒もなんなのだこれは、と首を傾げる。
開始早々、リィエルの時とはまた違った意味で収集つかなくなってきそうな雰囲気にグレンは、ごほんっとわざとらしく咳をして。
「あの、その、なんだ? 標準語じゃなくてもいいからもうちょっと自己紹介してくんね?」
「あー……年齢はみんなと同い年、体重は知らん身長も知らん、九つくらいから変動しないから測るの飽きた。ただ合法にもなってねぇから合法ロリとは言わせねぇぞ?」
あの自己紹介の情報の少なさにツッコミが入らないということはリィエルの時に何かあって感覚が狂ったなと察したリサは、後でその時のことを誰かに聞いてみるかと思いつつ、自己紹介を続けた。
「家は……どっちの方だったかんなぁ……うん、場所は何となーくわかるけど地方とかなんやかんやは全部忘れたよ……えーっとなんだぁ? 後はここに入った理由とかか? セリカにそろそろ定住しろ、ついでに学院通うか? と誘われたからな、試験はどうにか突破した」
「まぁ、うん、なんだ……リィエルの時と比べたら普通に聞こえるな……」
グレンの言葉に生徒全員が内心肯定した。
編入生の自己紹介というものが普通一体どういうものなのかと悩むグレンの耳に一人の生徒の声が聞こえてくる。
「……えーっと、質問、よろしくて?」
空気を改善しようと思ったのか、しかしリサは知らないがリィエルの時のことがあるからか少し慎重にウェンディが手を挙げた。
「ん? どしたん?」
「差し障りなければ教えていただきたいのですけど……先程、アルフォネア教授のお誘いでこの学院へ来たとの事ですし、あの時も共に馬車にやってきて……いや、正確には元から居ましたが……アルフォネア教授やグレン先生とどのようにして知り合いになられたのでしょうか……?」
「ああ、それなー……えーっと……結構前な? 数年前、紆余曲折あって自爆しようとしたらな、助けられた。その後、セリカん家で少し世話んなったからそんときグレンと会った」
教室全員の心に疑問符が浮かぶ。
自爆しようとしたら助けられた、なる重いシリアスじみたワードを笑顔で語られたらそりゃ誰もこうなるのだ。
引き気味のウェンディが席について、更に不思議なことになった空気にどうすべきかと頭を回転し始めた。
その後の誰かの質問も、笑顔でパワーワードが返ってくる現状のせいで、空気を変な方向へ持っていく効果しか持たなかった。
飛ばした質問は形容しがたいの返答となり返って来る。
そんな、なんとも言えない空気感を切り開く一手が投じられた。
そう、リィエルの時もぎこちない空気感からクラスを救い出した救世主、カッシュだ。
「リサちゃん、そろそろ『社交舞踏会』っていうのがあるんだけど……こんなかなら誰と組みたいー?」
「んぇ……舞踏会? 誰と組む……んー……あぁ」
頼むからここで変なこと言ってくれるなよと願うグレンの思いは……
ルーゼル、そう呼ばれる生徒の方に指先が向けられた瞬間砕け散った。
「───……っっっ!!」
「ち、ちなみに……どうして?」
女子に初めて共に踊りたいの類義語を言われたルーゼルは、一人涙を流し言葉にならない叫びを上げつつ震え喜んだ。
そして、誰が発したのか、教室の中の誰かの声にリサはゆっくりと返答を返す。
「いやぁ……同類の匂い? 会場の隅で射影機構えて共に美少女について語り合ったら盛り上がりそうなそんな仲間の感じが……いやぁ、別に私は男女どちらも踊れっからリンちゃんとかでも良かったんだけんなんか同好の士の予感が……」
おっさん思考の百合違法ロリとか最高と思います、などなどと何らかの形で大きく反応するだろうと、ルーゼルの行動を誰もがそう予測した矢先、先程までの涙はどこへやら、彼は静かに立ち上がり、教壇の前、否、リサの真ん前へ歩み出てきて右手を差し出した。
そして、ふっと微かに笑みを浮かべて言う。
「同士リサよ……いや、心の友よ……後で学院の美少女巡りツアーをしよう」
どうやら彼の琴線へ触れたらしく、もはやリサを見る澄んだ瞳は、女子を見るものではなく、同士、同じ志を胸に戦う者のようである。
その言葉を受け取るやいなや、リサは彼の右手にパンッと右手を合わせて握手する。
そして、くすりと微笑んで言った。
「……ああ、ありがとう、後で頼むぜぃ……。そして、美少女について存分に語ろうではないか」
そう言ったやり取りが交わされた後、ルーゼルは再び静かに席についた。
なお、クラスの数人の男子はツアーへ参加したいとルーゼルへ申し出ていたとか。
あまりに理解不能を呼び水に不可解と不可思議の混ぜるな危険を混ぜる事態となった所を、グレンが頭を抱えてどうにかこうにか持ち直し、何とかしてリィエルの時のように、あの時は失敗したが、リサなら皆と一緒に魔術の実践授業で体を動かせばきっと仲良くなってくれるだろう馴染んでくれるだろういやお願いだから馴染んでくれと願い、早めの時間に組んでいた魔術実践授業の時間やって来てしまった。
そして、リサが魔術で的当てをする番になってやっとリサの魔術の下手さを思い出した。
リサは二百メトラ先の的に命中させるほどの技術は無く、良識はあるが先程の光景を作り出した後だと不安が込み上げてどうにか変なことはしないでくれとグレンは切に願うのだった。
「……」
静かに左指先を的へ向けて呪文を唱えようとするリサ。
先程もまでの雰囲気があっても、気になるものは気になるようで、グレンの生徒たちも静かにどれほどの腕なのかと固唾を飲んで見守る。
「《幼き雷精よ・微弱たる紫電を以て・無比に・無邪気に・疾く駆けよ》」
五節、恐らく黒魔【ショック・ボルト】の改変と思われるその術は、弱々しい電流とともに空間を抜けて、六つに電気の線が分離して、それぞれの的に当たると共に消えた。
「ええぇ……? なに今の?」
意図のわからない行動に、代表してシスティーナが質問する。
「ドッキリレベルの電流の強さに変えた代わりに消費を抑えられてなおかつ500メトラ以内なら見ていなくても一度飛ばす場所を指定したら障害物すら避けて飛んでってくれるように改変した黒魔【ショック・ボルト】……名ずけるなら黒魔改【スペサファイ・ボルト】」
「つまりどういうこと?」
「錬金術で作った剣をぶっ飛ばしてるリィエルちゃんに負けたかーなかったから、昔嫌がらせ用に必死で改変した魔術を大人気なく行使したんね」
「【ショック・ボルト】じゃだめなの? あとその背で大人は流石に……」
「【ショック・ボルト】じゃ、当たんねぇからなぁ!」
その背丈で大人は無理あると言う言葉を遮って、あまりに情けないセリフをドヤ顔で語るリサ。
ホーミング機能といい、作成理由からしての消費魔力の節約といい、なかなかに悪戯用という意味では完成した術であると理解したシスティーナだが、ここまで緻密な術を【ショック・ボルト】を的に当てられないリサが行使できた理由が気になった。
そこで、グレンが答えを告げる。
「お前……普通使役してる物の演算能力を借りてまで真剣にやるものか……? というかそれ普通にズルだぞ?」
「使役じゃなくて深層領域まで支配してっから私みたいなもんだかんな、ズルくないズルくないセフセフセーフ」
と言いながらリサは目を逸らす。
「つーか、この距離なら走って殴った方が早くねえかい?」
「それは当たらないお前だけだ……あーあれだ、もっかい【ショック・ボルト】でやれ」
「……えー」
若干、頬を膨らませながらもブツブツと呟いた呪文が終わると共に飛び出た雷光は、滝を登って龍へ昇華する鯉が如く、遥か上空へと登って行った。
「「「…………」」」
リィエル以外からの暖かくなった視線にもめげずに第二射……は的の方へ飛んだはいいものの的を掠めることなくその後ろへと虚しく飛んで行った。
「「「…………」」」
第三射、第四、第五、第六。
「あ゛ぁぁああぁ!?」
ガッテムとばかりに地団駄を踏むリサへの視線は皆、優しいもので、女子の極一部はそれはもう我が子を見るような、新たな扉を開いて母性を感じている。
そしてその母性は、我が子を虐める悪い大人を見るような視線をグレンへ、リサがこうなった原因のグレンへと……。
「なんでこうなった……」
「あはは……」
グレンの小さな呟きがギリギリ聞こえる距離、すぐ側で控えていたルミアの困ったかのような笑いがやけにグレンの耳に残った。
いつも以上に酷くないかと言われたら毎度難産だし今回も難産なのですと言い訳を叫ぶしかない。