宙が少女か、少女が宙か   作:銀ちゃんというもの

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セリカの!!
口調が!!!
ムズすぎる!
そして今回超難産!!!



7.定住の祝い

 事故物件、いや溜まった悪霊怨霊その他幽霊を須らく人形(ヒトガタ)にしまい込んだことで今は事故物件とも言われている霊の1匹もいやしない一軒家の中、眷属秘呪(シークレット)を無駄に活用して、あっという間に掃除して見せるリサはその様子を玄関で眺めていたセリカに呆れられていた。

 

「はぁ……どうして、お前はそう眷属秘呪と固有魔術(オリジナル)しか才能がないんだ? 武術の才もほぼ無いし……まるで眷属秘呪の為に生まれてきたみたいじゃないか」

「そう言われてもなぁ……だってよー、才能がないもんはないんだからしゃーないじゃんかい」

「といってもな……10年以上前から毎日欠かさず暇な時間に必ず魔力錬成しているのに魔力容量(キャパシティ)魔力濃度(デンシティ)も微量しか上昇なし、だけど霊魂に問題があるかと思いきや、欠陥皆無、寧ろ良好過ぎるくらいときた。お前、グレン以上にセンスないぞ……? ……眷属秘呪と固有魔術以外」

「いや、眷属秘呪に関しても家の本を信じるに、私相当な落ちこぼれらしいぜぃ?」

 

 はぁ、と心配するように溜息を着いてわしわしと強く薄桃の髪を撫でたセリカはまあいいと前置きをする。

 

「やっと定住するんだ。グレンと同じようにお前も娘みたいなもんなんだ、なんかあったら言ってくれよ?」

「うっす。相も変わらず心配性だよなぁ……セリカは、つーかセリカの過保護悪化してねえかい?」

「だってよーしょうがないだろー? 最近、グレンが……」

「はいはい、わーたから上がって話そうぜぃ。……居間にゃ何もねえが玄関で立ち話するよりゃ楽だろうてんな」

「おう、すまんな。邪魔する」

 

 楽しそうに笑みを浮かべたセリカを、あの出来事の最中には椅子と机とスープ皿があったはずの部屋へ招く。

 如何にも引越し仕立てと言わんばかりに伽藍堂の室内に少し木の匂いが漂う。

 

「まあ、椅子がねーたー言ってねーけんよう」

 

 そう訳の分からないことを宣うリサは、掃除している人形の中から少し数を削って椅子のようにする。

 紙が舞って簡易的な丸椅子を作り上げる光景なんとも不思議なもので、一つ一つ紙の先端まで行き届いた制御は、明らかに人間の演算能力でできる代物では無い。

 

「全く、この制御で落ちこぼれというのならなぜ400年私の目に止まらなかった?」

「さあ、日輪の国の方に家があったとは書いてあらあねぇ。どっからか記録がこっちの土地に移っちまってるしいなぁ……だいたい、向こうの式神たー似てりゃーいるが此奴らは本質はもっと違うんだぜぃ?」

「人の形を模して切った紙に霊魂を降ろすという制御術や相手の精神を支配するという所は式神に似ているが……お前のそれは下手すりゃ【ゲヘナ・ゲート】よりも外法かもしれんぞ? ……まあ、だからお前はそれをグレンの前であまりつかわないようにしているんだけど」

 

 ぽんっと突然虚空より取り出した本をパラパラと捲りリサの先祖の記録を見ているリサは五、六枚浮かせた人形を椅子替わりにしており、セリカの座る椅子とは大違いで、傍から見ると空気椅子をしながら足を組んでいるように見える。

 しかし、慣れているのか驚くことも無く、セリカは続ける。

 

「お前から聞いたこの家の黒幕の悪行よりも外道かもしれないぞ」

「うんにゃ……確定で永劫の無を与える【ゲヘナ・ゲート】よりゃ、輪廻に戻してやることも出来る私んはまだ大丈夫だろう?」

「それはそうだが、うん。…………まあ、それより……お前、これからどうするんだ? 私の勧めで定住したはいいがまだやる事は何も決まってないだろ?」

 

 これ以上は不毛だと悟ったセリカは話を変える。

 

「ああ、それなんだが……」

「ん? なんか、やること決めているのか?」

「私……グレンが務めてるとこ行けねぇかねぇ?」

「奇遇だな……ちょうど私もそれを提案しようとしていたところだ」

「今すぐは無理だぞい? 転入の為色々な書類が必要だったりするんじゃないかい? だったらもうちっと待てい、こっちの生活を安定させんことにゃ……まだ色々足りんからな」

 

 リサの考えていたことが自分と一緒だとわかると顔を明るく嬉しそうな色を見せたセリカをリサは少し止めにかかった。

 

「そうか、まあ、見た目はあれだがお前はグレンの担当してるクラスの奴らと同じ年齢だ。準備が整ったら言えよ? もしかしたらグレンとこに入れてやることが出来るかもしれんからな」

「おう、頼んだぞ? グレンが一体どんな授業をしてんか楽しみでしゃーないんよ」

「ああ、そうだ、忘れてた……」

「……?」

 

 くくくっ、と笑って見せたリサをみてセリカは思い出したかのように手を叩いて紙袋をリサへ手渡した。

 

「ん? んだいこれ?」

「引越し……? 祝いだ。まあ細かいことは気にせずまずは開けてみてくれ」

 

 そう言われて、感謝を述べつつ紙袋に入った箱を取り出し開くとそこには色とりどりのお菓子が入っていた。

 途端に輝くリサの瞳、今回この街に来て初めて見せた見た目相応の表情だ。中身はあれだが。

 

「おお! セリカ、あんがとう。こん菓子はなんてんだい?」

「うん? ああ、それは私に流行りとかはさっぱりだからまだ理解してそうなグレンに選んで貰ったんだよ。だから、グレンに聞いてくれ」

「おう、ほうか、グレンもふりゃよかっはのにゃぁ」

「私もそう言ったんだが……あいつ恥ずかしがって、ぷくく……」

 

 リサは遠慮なくお菓子を口にして、その時の事を思い出したセリカが思い出し笑いを始める。

 自由人同士の会話は黄昏時まで続き、1日が潰れることになるのだがそれは語ることでは無いだろう。

 

 この後、セリカが持ってきた酒を飲み始めてグレンが迎えに来たのは別のお話。




未だ明かされない眷属秘呪だけど諦めてね、もう少し先に明かすから……ね?
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