あの後、オーディンからデッキの使い方やミラーモンスター、契約についての説明を受けた。
・インペラーの姿になるには鏡もしくは水面上など鏡面にかざすことで実体化するVバックルにデッキを装着すればいい。ミラーワールドには長時間いることができない。
・デッキに収納されているカードはアドベントカードといい、契約モンスターや武器を召喚できるカードらしい。発動させるにはデッキから取り出しバイザーと呼ばれる召喚機に装慎口に挿入する。(俺の場合は右脚膝のガゼルバイザーに装慎するとのこと)
・デッキが破壊されると契約が解除される。ミラーワールドで破壊された場合は二度と外には出られなくなり消滅、もしくは契約モンスターに捕食される。
・ミラーモンスターは人間を捕食しようとミラーワールドから出てくる怪物。ミラーワールドからでてきても長時間でていると消滅する。契約したミラーモンスターには倒したミラーモンスターか人間を喰わせればいいらしい。
・アドベントカードの種類は様々でカードの右上に描かれている紋章が持ち主の証らしい。
俺の持っているアドベントカードは合計四枚。SPINVENT・RETUNVENT・GIGAZELL・FINALVENT。一枚目のスピンベントはギガゼールの角のようなものが描かれたカード、二枚目のリターンベントは光が収束されている図を表したようなカード、三枚目のファイナルベントはデッキと同じレイヨウの紋章が描かれたカード、最後のカードギガゼールは俺の契約モンスターと同じ名前のアドベントカード、だったらこの描かれているモンスターはギガゼールだという確率が高い筈だ。
だけどカードと睨めっこしていてもわからない。実戦での戦闘に慣れることが大事だと思った俺はミラーワールドでこのカードを使ってみることにした。
「変身」
右手に持ったデッキをドアの大鏡にかざしVバックルが腰に装着される。左手にデッキを投げてしのまま装慎してインペラーへと変身した。
「百聞は一見に如かずってね」
俺は鏡に飛び込んだ。
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ミラーワールドに来た俺は自宅から少し離れた空き地へと移動した。ここなら広いから活動には困らないしすぐに家に戻ることができる。
「さてと、じゃあ一枚ずつ試すか」
膝を屈伸のように曲げるとガゼルバイザーのカードスロットが展開される。俺はデッキから一枚カードを取り出し装慎した。
SPIN VENT
ガゼルバイザーからエコーのかかった声が流れると俺の右腕にギガゼールの頭部の角を模したガゼルスタッブが召喚された。力を強く拳を握りしめるとドリル状の二本角が高速回転した。
「ふおおおお!マジカッケエぞこれ!」
テンションがハイになった。ここで興奮しないやつはいない筈だ。俺は地面にガゼルスタッブを突き刺して高速回転させる。五秒ほど立ってから抜くと地面には角の跡がついた穴が空いていた。
「すげーなこれ。………ん?うおっと!」
右腕のガゼルスタッブを眺めて感心してると空き地の向こうからヤゴのようなミラーモンスターがこっちを見ていた。そいつはこっちを見て固まるといきなり粘質糸を吐いて攻撃してきた。俺は横に転がって糸をかわしミラーモンスターに向きなおった。
「あっぶねえなこいつ……。っし!お前実戦相手になれよ!」
『!』
ガゼルスタッブを構えてミラーモンスターに向かって走り出す。ミラーモンスターはすぐに俺に向かって糸を吐いて来たので俺はジャンプしてかわした。
「うわああああ!?」
跳んだ瞬間、俺の体は上空五十メートル上にまで放り出された。
「ま、マジかよ。脚力強いな……」
俺は落ちながら考えた。どうやらインペラーもとい俺の契約モンスター・ギガゼールは脚力が非常に強いモンスターだったようでかわすだけの筈がかなり上空まで跳んでしまった。下では標的を失ったミラーモンスターがキョロキョロと俺を探していた。
「よし、このまま踏みつけてやるか」
そして俺は体を地面と垂直にし両脚を揃えて降下速度を加速させた。
「はあああああ!」
ミラーモンスターへと両脚が接触した瞬間に俺は膝を曲げて勢いよく踏みつけ後ろの家の屋根に上った。
俺の降下スタンプを喰らったミラーモンスターの体は爆散して辺りには肉塊だけが残った。
「……以外と呆気なかったな。あ、そういやあギガゼールに喰わせようか」
俺はデッキからギガゼールを呼び出すとギガゼールに飛散した肉塊を喰わせた。少々グロい光景だったけど吐くような気は起きなかった。
「そういえば喰わせるほどモンスターは強くなるんだっけ。他のカードも試しがてら、ギガゼールに喰わせて見るか………おっ」
後ろを向くとさっきのヤゴのようなミラーモンスターが二匹いた。たぶん今倒した奴のどうぞ食堂となるろんだろう。
「よし、次いってみよ!」
RETUN VENT
「……何も起きないのかよ!おわっ!」
デッキからリターンベントのアドベントカードを取りだしカゼルバイザーのカードスロットに装慎する。今更だけどすごくやりづらかった。リターンベントは不発に終わり、俺に吐きだされた糸をかわして下に降りた。
「くそっ!だったら次はこれだ!」
俺は空き地の気の影に隠れてデッキからアドベントカードを取り出してガゼルバイザーのカードスロットに装慎した。
FINAL VENT
エコーのかかった声がカゼルバイザーから流れると俺の背後にギガゼールが召喚され、ギガゼールは雄叫びを上げた。するとその雄叫びに集まるようにギガゼールと同じレイヨウ型モンスター・ギガゼールメガゼールマガゼールネガゼールオメガゼールがジャンプして集まってきた。
「い、いっぱいでてきた!?もしかしてこれがファイナルベントか!?だったら行くぞ!ギガゼールたち!」
俺がビシッと指をミラーモンスターに向けて指すと多数のギガゼールたちがモンスターに向かって突撃して蹴り付けていった。俺もそれに混じってムラーモンスターに走り出し、最後に飛び膝蹴りを喰らわせた。
ドライブディバイダーを喰らったミラーモンスターは同じように爆散し、ギガゼールたちがその肉塊を喰ってしまった。
「よおし!次で最後のカードだな……ん?」
そう言ってガッツポーズをした所で、俺の体か消えようとしていた。ミラーワールドで活動できる時間が終わろうとしている。
「ちっ、まあいいか。今日はこのくらいで終了か」
俺はジャンプでひとっとびして窓ガラスから自室に入り、鏡を潜ってミラーワールドから脱出した。
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現実世界に戻った俺は変身を解除してデッキを持ちながらベッドにダイブした。
「く、くくくハハハハハハ!」
笑いがどうしようもない位止まらなかった。力に人は魅了されると言うけど正に今の俺に当てはまるだろう。
「これさえあれば樋口の奴を簡単に殺すことができる」
そう。このデッキさえあれば完全犯罪を行い今まで俺をいじめてきた奴等を殺すことができる。ミラーワールドからあいつらの家に移動してその後はギガゼールに喰わせてしまえばいい。世間には行方不明としてしか噂は広まらない筈だし何より俺が疑われることもない。
「でも今日は結構喰わせたからなあ。決行はもう少し先だな」
俺はベッドから起き上がりデッキを引き出しの奥にしまうとシャワーを浴びに一回に降りた。
「樋口たちを殺してライターバトルで生き残ったら、思うがままの人生をやり直すことにするか」
インペラー・荒峰光哉
願い・人生をやり直し思うがままに暮らす。
しばらくは光哉クン視点が続きます。ですがタグの通り、この作品に主人公はいないていうことをお忘れなく。
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