ヴィラン名 『チェンソーマン』 作:ナメクジとカタツムリは絶対認めない
[どうせてめーらアレだろ、こいつらだろ!?敵の襲撃を受けたにも関わらず鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!────ヒーロー科!一年!A組だろぉぉ!?]
プレゼント・マイクの煽りに会場のボルテージが一気に上がる。そしてその期待を一身に浴びて、A組が姿を現した。
それによりまたさらに盛り上がっていく観客たち。叫ぶ者もいれば、冷静に観察をするヒーローもいる。その中で、金髪の青年──デンジは、屋台で買ったたこ焼きを必死に頬張っていた。
「ウマ!これウマ!熱っ!」
今日は休日だと根津に知らされたデンジは、せっかくだからとこの雄英体育祭を観る事にした。
(戦い方を教えてもらった奴らの戦い方を見てればよお〜、自ずと戦い方が分かるってモンだぜ!今に見てろよ相澤〜!)
デンジのその反抗心が燃え上がる。デンジはこの雄英体育祭で、自身に足りないものは何か、それを見つけようとしていた。
「──へぶし!…?」
その頃、とある場所では包帯を全身に巻いた男が突然のくしゃみを不思議に思っていたという…。
[──さあ、いきなり障害物だ!まずは手始め…、第一関門、『ロボ・インフェルノ』!!]
その言葉とともに、生徒たちの目の前に仮想敵が立ち塞がる。その重量的なプレッシャーに多くの生徒は気圧されているようだ。
雄英体育祭、第一種目──『障害物競走』。ここで多くのものがふるいにかけられる。体育祭とは言え、そこは天下の雄英。障害物が常識的ではないのが、ここでの常識だ。
しかし、それを歯牙にも掛けない者もいる。
[おおーっとぉ!1ーA轟ぃ!攻略と妨害を一度に!こいつぁシヴィーー!!]
「……」
仮想敵を即座に冷凍。そして無理な体制のまま凍らせたため、自身の体重により仮想敵は崩れ去る。さらに、その残骸が、轟以外の者を先に生かせないためのバリケードとして活躍する。
その環境を利用した動きにデンジの周囲のプロヒーローから感嘆の声が出る。もちろんデンジも目を輝かせていた。
(頭良いな〜アイツ!なるほど…とにかく二つのことを一気にやれば良いのか!)
微妙にズレた解釈をするデンジをよそに、レースは激しくなっていく。
[オイオイ第一はチョロいってよ!じゃあ第二はどうだ!?落ちればアウト!それが嫌なら這いずりな!『ザ・フォール』!!]
「…大袈裟な綱渡りね」
蛙の個性を持つ蛙吹が率先して綱を渡る。しかし他の者は、底が見えない崖に足を止めている。
そこで、またさらにアクションを起こす者が──。
「さあ見てて出来るだけデカい企業──!私のドッ可愛い!ベイビーを!!」
己の発明品を駆使して第二関門を突破する者もいる。それを見た他の生徒たちも慌てて綱を渡り始めた。
(こりゃあ〜俺が学ぶもんはないな。ヨシたこ焼き食お)
学ぶものがないと判断したデンジはまた新しいたこ焼きの箱を開ける。
ひょい、とそのたこ焼きがひとつ、横から伸びた手に取られていった。
「ああ!?」
悲痛な声を上げるデンジ。しかしそれも一瞬、その腕が伸びてきた方向を向き、睨みつけた。そして──。
「…あ」
そのしかめっ面が徐々に溶けていく。その視線の先にいたのは──。
「はふ、はふっ、…あはは、ちょっと熱いね、コレ」
『綺麗』な顔だった。その美貌は十人に聞けば十人が整っていると答えるであろう。しかし、そのたこ焼きの熱さに悶える様子は可愛らしく、男の目を奪うものだった。スタイルも抜群だ。胸はさほど大きくはないが、スカートから露わになる美脚も男を魅了する要素のひとつだろう。そして、首には黒いチョーカーが付けられている。
その少女は、デンジのたこ焼きを取ってさらに食べたにも関わらず、笑顔をデンジに向ける。普通の人なら激怒や困惑が出るはずだが──。
(かわいーーーーーーーーい!!)
「カワイイ!!」
デンジという男は、美少女に笑顔を向けられただけで上機嫌になる男であった。もうたこ焼きの事なんて頭にもない。
「カワイイ…?私が?──なんか照れるなぁ」
「カワイイ!すげ〜カワイイ!!」
「ええ…?──じゃあ、そんなカワイイ女の子のお願い、聞いてくれる?」
そこで少女は一呼吸おいて、デンジに手を合わせた。
「席が無いから隣に座っていい?あと…たこ焼き、もうちょっとくれないかな?」
デンジの返答は、もちろん『YES』だった。