ヴィラン名 『チェンソーマン』   作:ナメクジとカタツムリは絶対認めない

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寒くなって来ましたね。風邪引きました。皆さんはヒーターのない部屋で裸で寝ないように気をつけてください。


リベンジ・チェンソー

「デ…デンジ君!?」

 

ヒーロー殺しと相対していた緑谷、轟、飯田は目を見開く。いつもの姿ではなく、雄英を襲撃した時の個性を使用した異形の姿で現れたデンジに少し尻込みする緑谷。

 

「なんでここに!?」

「あ?ヒーローだからなあ!」

 

緑谷が聴きたいのはそういう事ではないのだが、デンジは構わず腕の刃を元気に振り回す。エンジンの音と共に、辺りに血液が飛び散った。

 

「──待て、デンジ。お前はダメだ」

「ああ!?何でだよ!」

 

それを見た轟が制止する。それに憤慨しながら反応したデンジはそのオレンジ色に光った目を鈍く光らせた。

 

「あいつに血ィ舐められたら身動きできねェ、そういう『個性』だ。その血はお前から出たんだろ」

 

デンジの全身は血塗れになっている。元々白かったワイシャツは赤く染まっており、今もチェンソーが露出している部分からも血が滴っている。今のデンジにとって、ヒーロー殺しの『個性』は天敵であった。

 

「まあ、俺の血だけど…」

「なら引っ込んでろ。親父──エンデヴァー呼びに行ってくれ。炎が噴き出てる所にいる」

「──させると思っているのか?」

 

一瞬のうちに、轟とデンジの間に割り込み、二刀をデンジと轟に振り下ろす。轟は冷や汗を出しながらも右の個性──半冷を発揮して氷の壁を作った。作ってしまった。

 

(──バカか俺は!?今デンジに応援呼ばせようとしたのに逃げ道を氷で塞いでどうすんだ──!)

「やはりまだ子供か」

 

「ウォラァ!!」

 

デンジが右腕の刃を横なぎに振るう。しかしそれをしゃがんで避けたヒーロー殺しはデンジの顎目掛けて刀を突き刺そうとする。

 

「やるしか無い…!──デラウェア・スマッシュ!!」

 

しかしそれを緑谷がフォロー。足を怪我していながらも、フルカウルでは無い、百パーのワン・フォー・オールの超力で放たれる指撃の衝撃波でヒーロー殺しを牽制する。

その隙にデンジと轟は距離をとる。が、路地裏の出口は、ヒーロー殺しの背後にある状況になってしまった。

 

「スマン、俺のせいだ」

「グ…!──いや、多分轟くんの氷が無かったらどっちも危なかった!」

「つーかさぁ、俺ちょっとヤベェかも…!血が、血が足りねえ…!」

 

その言葉に反応して二人が振り向くと、デンジのチェンソーに異変が現れていた。明らかに回転力が落ちており、刃の長さも掌から少し出ているだけの長さとなっていた。

 

「不味い…!」

(機動力が売りの僕は足を怪我して充分な速度を出せない。轟くんの大振りの攻撃は当てられる確率は低いし、デンジくんの尋常じゃない耐久性と回復性はヤツの『個性』で無力化されてしまう──!どうすれば──!!)

 

 

「──緑谷!集中しろ来るぞ!!」

「ッ!」

 

その言葉に弾かれるように頭を上げると、目の前にヒーロー殺しが迫ってきていた。その鬼のような形相で距離を詰めてきたヒーロー殺しに体が竦んでしまう。

それを見たデンジは地面を蹴り、ヒーロー殺しに頭の刃を向けた。

 

「イズク!」

 

しかし、ヒーロー殺しは突如方向を変え、ナイフをデンジに投擲した。そのナイフは頭部に向かっていくが、変化したデンジの頭部に跳ね返される。

 

「チィ…!」

「もうナイフで刺されんのはコリゴリなんだよなぁ!──どわぁ!!」

 

掴みかかったデンジを巴投げの要領で投げ飛ばし、緑谷の方へ顔を向けた。しかし、彼に赤い炎が襲いかかる。死角からの炎。轟は手応えを感じるが──。

 

 

「誰かに言われた事はないか?『個性』にかまけ挙動が大雑把だと」

「──ッ!!」

 

轟の懐にヒーロー殺しが飛び込む。完全に射程距離内だ。

 

(あの怪物は遠くに投げた。そして緑の小僧は足を怪我している。あの衝撃波もこいつを巻き添えにしてしまう。まずは一番厄介なこいつから──)

 

ヒーロー殺しの視界に白の鎧が見える。その足首からはエンジンの唸る声が聞こえてくる。

 

 

 

 

(──僕は未熟者だ…!足元にも及ばない…!お前の言う通りだよヒーロー殺し、それでも…!)

 

「効果切れか…チッ!!」

 

 

「レシプロ────」

 

 

 

(今ここで立たなきゃ、二度と!!もう二度と彼らや兄さんに──!)

 

自分に失望した、力量の差を感じた。絶望した。しかし──、それは立ち上がらない理由にはならない。

 

 

 

(追いつけなくなってしまう────!!!)

 

 

 

 

「────バースト!!」

 

 

 

 

一瞬の白い軌道を描き、ターボキックがヒーロー殺しの刃を折った。

 

(速い!)

 

「飯田くん!」

「速えぇ!」

 

緑谷とデンジが驚愕する。『個性』から抜け出した飯田は俯き、口を開いた。

 

「…轟くんも、緑谷くんも、デンジくんも。関係ないことで…申し訳ない」

「また、そんな事を…!」

「関係あるだろ!ヒーローだぞこっちゃ!」

 

「だからもう、三人にこれ以上血を流させるわけにはいかない!」

 

顔を上げ、決意の表情でヒーロー殺しを睨む飯田。それをヒーロー殺しは一蹴する。

 

「感化されても無駄だ、人間の本質はそう易々と変わらない。お前らは私欲を優先する贋物にしかならない…ヒーローを歪ませるガンだ…!」

「確かに、その通りだ。僕にヒーローを名乗る資格は無い。…それでも、折れるわけには行かない…!」

 

 

「俺が折れれば、インゲニウムは死んでしまう」

 

 

「俺ぁ女の子にちやほやされてえんだよ、あと金持ちになる」

 

倒れた状態からデンジも起き上がる。時折ふらつくが、壁に手を当てその異形の目でヒーロー殺しを見据えた。

 

「そういう約束したからな〜。これだけはどうしても叶えないといけねえからなあ〜!」

 

 

「ニセモンでも叶えられるんだったらそれで良いんだぜ〜!!」

 

 

 

「論外……!!」

 

 

 

静かに激昂したヒーロー殺しに、炎の海が迫る。飛び、壁に太刀を突き刺してその上に乗ったヒーロー殺しを轟は警戒する。

 

「バカ…!ヒーロー殺しの狙いは俺とその白アーマーだろ!応戦するより逃げた方が良いって!」

「そんな隙を与えてくれそうに無いんですよ…!明らかに奴の動きが変わった」

 

半冷で体温を冷やしながらプロヒーローに答える。

 

(多対一はヤツの苦手な所だろう、それに加え俺のヒーローの要請の情報──プロが来る前に、飯田とこの人を殺そうと躍起になってるんだ。イカれた執着心してんな…!)

 

飯田が駆け出そうとするが、足首からバスっ、という音が聞こえる。それに目を向けると、排気筒からは黒い煙が出ていた。

 

(さっきの蹴りで冷却装置が壊れたか──!)

「轟くん!温度の調節は可能なのか!?」

「左はまだ慣れねえ、なんでだ!!」

「俺の足を凍らせてくれ!排気筒は塞がずにな!」

 

それに合点が入った表情の轟は右手で飯田の足に手を触れようとする。それを見たヒーロー殺しは、またナイフを投擲した。

轟はそれに気づかない。しかし、飯田の目はそれを見逃さなかった。

 

「──ッ」

 

轟を庇い、腕にナイフが突き刺さる。しかし、ヒーロー殺しの執念は止まらない。更に一回り大きいサイズのサバイバルナイフを投げつけた。それを受けた飯田は地に伏してしまう。

 

「飯田!!」

「いいから…早く!」

 

ヒーロー殺しは飯田に飛びかかる。しかし、横から人影が突撃してくるのが見えた。

 

 

「アアア!!」

 

 

デンジだ。血を失いすぎたのか、頭の変身が半分溶けており、チェンソーも出ていない。しかし、最後の力を振り絞り、ヒーロー殺しにしがみついた。

 

「貴様──!!」

「男に抱きつくのは趣味じゃねえんだけどなあ〜!!」

 

 

万力のような力で抱きつくデンジ。よく見ると胸元のワイヤーを引っ張ってエンジンを吹かしていた。

ヒーロー殺しの気が一瞬逸れる。それを、二体の有精卵が見逃すはずもなかった。

 

 

(二回!ここから飛んで、氷を踏み台にして、踏み込み二回…!行けるか…?──いや、今は…!)

 

(ありがとう、轟くん!──戦うんだ、腕など捨ておけ!!)

 

足を引きずり、覚悟の火を灯す緑谷。そして腕のナイフを抜き、足のエンジンを最大限に稼働させる飯田。今二人の継承者が、動き出そうとしていた。

それに気づいたヒーロー殺しは冷や汗を流す。

 

(拙いか…ここは一旦距離を置こう。まずしがみついているこいつを──止める)

 

「──レロ」

「あ──!」

 

ヒーロー殺しはデンジの服に染み付いた血液を舐める。デンジはそれに目を見開き──。

 

 

 

「なぁ〜〜んてなぁ!!」

「な──」

 

 

 

笑みを浮かべた。それに驚くヒーロー殺し。瀬戸際の彼の脳みそはフル回転で疑問を解消する。血液型?違う、それでもすぐ解除されるわけがない。無力化の『個性』?違う、そんなものがあれば一番初めに使われている。では──。

 

(まさか──)

 

 

 

「貴様──!他人の血を体に浴びたな──!!」

「せいか〜〜い!!」

 

 

 

 

 

 

 

8分前。デンジが路地裏の戦闘を目撃した後、真っ先に向かったのは──。

 

 

「ガハハハ!!ワシが最強じゃあ!」

 

 

小型の脳無を血のハンマーで潰していたパワーの所であった。

 

「パワー!お前こんなところに居たのか!」

「お?おお!デンジか!見よ、これがワシの力じゃ!凄いじゃろ!」

「すげえな。うん、所でさあ!血分けてくんね?」

「ええ〜?嫌じゃ!」

「分けてくれたら先生が焼肉奢ってくれるって!高い奴!」

「いくらでも分けてやろう!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

(血塗れだとよー、『こいつはいつでも殺れる』って油断してくれんだ、だからパワーの血を浴びた)

 

 

「大好きなヒーローは言ってくれなかったかァ?獣が狩人の言葉信じるなってよ〜〜〜!!!」

 

(マズイ──!!)

 

その一瞬。血液を舐め取ると言うその一瞬が、ヒーロー殺しの命運を決めた。左からは白の脚。右からは緑の拳。凄まじい速度で迫って来ていた。

 

(今は拳が──!!)

(今は脚が──!!)

 

「…行け…!」

「ブッ飛ばせえ!!」

 

 

 

 

(────あれば良い!!!)

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒーロー殺しの頭部に、決意の二撃が叩き込まれた。

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