「鬼殺隊レビュアーだったが…」抜かねば無作法な「世界に飛ばされた件…」   作:抜かねば無作法

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 評価で色が付いただと!?しかも高評価…
 やはりハーメルンは異常者の集まり(評価ありがとうございます!!)

 追記:ランキングに載っただと!?何をしている、ハーメルン読者ァ(本当にありがとうございます)


鷹狩(意味深)とは武士(意味深)の嗜み

 拠点(食酒亭)から往復で2週間かかる程度には遠い森の中にある、有翼人専門のお店、『妬き鳥・秘伝のタレ』

 基本料金は40分3500G。店独特のプレイとして、基本プレイに含まれる水浴びプレイ、追加オプションでは超高層の部屋、砂浴びプレイなどがある。

 店にやってきた黒死牟はその中でティンとくる嬢を見つけ指名する。そして追加オプションに森林浴プレイを追加する。

 

 

 「クラウンちゃんご使命入りまーす♪」

 

 「……前評は問題なき…実物のほどはどうかな…」

 

 「オプション追加までやるとは随分楽しそうじゃねーか。黒死牟もしかしてサキュバス店の魅力が理解できたのか?」

 

 「…少し違うが…思ったより…楽しめそうだ…まだ見ぬものはやはり面白い…」

 

 「ほーそりゃまた、レビューが楽しみだぜ。言っとくが前みたいなレビューは無しだ。最低でも嬢の感想はちゃんと書けよな。」

 

 「…今回は問題なかろう…前評判通りならな…延長したら…待てるか?」

 

 「ああ、構わねぇぜ。ゆっくり楽しんで来い。」

 

 「…では向かうとするか…」

 

 指名を入れた嬢へと向かう黒死牟、その姿はこれから戦場に向かう武士そのものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「黒死牟の奴どんな娘を指名したんだろうな?気になるな。」

 

 スタンクは嬢を選びながら呟く。ついこないだまでストイックさの塊のようだった黒死牟が自発的に指名し、オプションまでつけたことは少なからず衝撃的だったようだ。

 

 「そうですよね。前と違ってかなり自発的に選んでましたからね。」

 

 「しかも追加オプションまでつけるは、挙句には延長、随分と熱心だったな。」

 

 「良かったらご覧になりますか?」

 

 「おっ!気が利くねぇ、サンキューな。」

 

 場合によってはどの子に入ったかは秘匿しておくものなのだが、この一行は後でレビューを纏めると宣言していたため、仲間内ならば情報を開示してもいいと判断した受付嬢はスタンク達に黒死牟が指名した嬢のプロフィールを見せる。

 

 「どれどれ?あいつはどんな娘を選んだのかなーっと。」

 

 「ちょっと!?後から黒死牟さんに聞けばいいじゃないですか」

 

 「馬鹿、これは必要なことなんだよ。あいつのレビューのレベルを上げるためにはな。それとも何か…クリムは気にならねぇのかよ?」

 

 「そりゃ…気になりますけど…」

 

 黒死牟が選んだ嬢の詳細を下世話な気持ちで眺める一行。そして異変は訪れる。

 

 「ば…馬鹿な…」

 

 その詳細を見た一行のうちNGを喰らって不貞腐れていたナルカミが、突如体を震わせその場を後ずさりしだす。その顔は蒼白となっており大量の冷や汗が噴き出ていた。

 

 「嘘だろ…オイオイオイ!死ぬわあいつ!!」

 

 突然叫び出すナルカミに対し一行はギョッとナルカミの方を振り返る。

 

 「おいおい!!いきなり何だってんだ!?」

 

 「ど、どうしたんですか、ナルカミさん!?そんなに震えて…」

 

 「あり得ない…というか何であの一族がここに…絶滅していなかったのか…」

 

 「絶滅!?いったい何なんですか!?黒死牟さんが選んだ方は一体どういった方なんですか?」

 

 絶滅などという物騒なワードと何故ナルカミがここまでおびえているか分からないクリムは慌てながら説明を求める。そんな質問に対しナルカミは体を尻尾全体を威嚇を行うガラガラヘビの尾先もかくやといった具合に震わせながら答える。

 

 「いいか、有翼人種にとっては基本的にラミア種が天敵だが、猛禽類系の有翼人は逆にラミア種の天敵になっている…ここまでは分かるな?」

 

 「それぐらい知ってる。」

 

 「基本中の基本だわな。」

 

 様々な種族と接する機会の多い冒険者たるものならば、基本的な情報であったためスタンクとゼルは普通に頷く。クリムはそのことは知らなかったが、天使として異種の婚姻に携わったことはあり、今までの経験で猛禽類系の有翼人とラミア種の婚姻に携わったことはないためナルカミの言葉は真実なのだろうと察する。

 

 「その中でもトップクラスにヤバいのがカンムリクマタカの有翼人だ…」

 

 ナルカミとて冒険者として修羅場をくぐってきた身だ、命の危機など何度かあったことだろうし。しかし骨の髄から震えるように、恐怖に染まり切ったナルカミの顔を見て、黒死牟が選んだ嬢が猛禽類系の有翼人とラミアの関係を抜きにしてもヤバいというのが見て取れる。

 

 「一体何がそんなにヤバいんだ?そりゃ今から殺し合いをするんならまだ分からんでもないが、ここはサキュバス店だぜ。荒事は御法度のはずだ。」

 

 「そうですよ、ナルカミさん。いくら何でも考え過ぎですよ!!」

 

 何とかナルカミをなだめようとするゼルとクリムだったが、ナルカミの震えは止まらない。

 

 「殺し合い?殺し合いだったらいっそ楽だよ!!そこまで苦しまずに終われるんだからな!」

 

 「じゃあ何が問題なんですか?」

 

 「…奴らにとってはラミアも獣人も人間も関係ねぇ…全てが捕食対象で嗜虐心を満たす対象なんだ!!」

 

 「全て…ですか?」

 

 「…ああ、奴らはそう…別格なんだ。」

 

 カンムリクマタカ…その鳥は黒死牟のいた地球においては、猛禽類の中でも特に大型で猿、鳥、蛇、鹿が主な獲物となり、その中でも猿が好物という種である。当然霊長類である人間すら捕食対象となり、猛禽類の中でも抜きんでたどう猛さと猿の頭をいともたやすく砕く強大な鉤爪をもってして、現地では恐れられている。

 その凶暴性と力強さはこの世界でも健在であり、ラミアは蛇と人間両方の特性を併せ持っているため本能的な恐怖が染み付いているとナルカミは説明する。

 

 「何というか…どうしてそんなのがサキュバス店で働いてるんだ?」

 

 少々引きながらもスタンク達は例のサキュバス嬢について考える。どう考えてもこのような店よりも紛争地帯か良くて冒険者をやってるのが自然だろう。

 

 「ドMな客専用なんじゃねーか?責められるのが好きな奴ならいけるだろ。」

 

 「多分そうだと思う。殺してはいけないってことは、逆に言えば苦しみが長く続くってことだからな…とはいっても俺の知り合いにもドMな奴がいるがそいつでもアレはキツイはずだ。正直俺はこの店NG喰らって今はホッとしてるよ…」

 

 恐怖が一向に収まらないナルカミを見てスタンクは吸い終えた煙草の火を消しながら、つぶやく。

 

 「まぁ今回はご愁傷さまとしか言えないな、帰ったらなんか奢ってやるよ。」

 

 「ああ…すまねぇな…少し気が楽になった。」

 

 「うし!!それなら良かった。さ~てそれじゃあ俺たちは嬢の選びに戻るとしますか。」

 

 とにかく事情が分かれば下半身の欲望に素直な男たちは切り替えが早い。それはある意味で知性あるものとして正しい姿なのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『有翼人は何といっても感じやすさがすごい!攻める度にいい声で鳴いてくれる。まさに俺の小鳥ちゃんだ!鳴き声も非常に甘美で美しく、官能的!まさしくエロのオーケストラコンサートホールだぜ!こいつぁ股間もスタンディングオベーション!』

 

 

 「っとまぁ他の連中はこんな感じだが、アンタはそういうのも求めてるって顔じゃなさそうだな。ついでに言うならばドMって訳でもなさそうだ。」

 

 「…そうだな…私が求むるはそういった戯れではない…」

 

 黒と白が入り混じったセミロングの髪に、焦げ茶色の翼、バストはFはあるかといった感じだったが、何よりも特徴的だったのはその肉体だった。その引き締まった肉体は、如何にも凶暴そうな足の爪と体中に散見される戦場傷、そして端正ながらも威圧感を放つ顔と相まって鋼のような強靭さを感じさせる。

 まるで神話の戦乙女のような存在感を放つクラウンという名の有翼人の女は風貌とは裏腹に割とフランクに黒死牟に話しかける。

 

 「やっぱそうだよな!!それとよ、アンタに最初にあってから聞きたかったことがあるんだけどよ…もしかしてアンタ転移者か?」

 

 「…いかにも…」

 

 「ほう、オレの推測は当たってやがったか。正直俺が今まで見たことがある転移者とは随分違ってたから実は違うのかと思ってたぜ。」

 

 「…ではなぜ分かった…私は他の者とは様子が違うのだろう?」

 

 その問いに対しクラウンは少し考え答える。

 

 「何というか転移者って言うのは雰囲気が違うんだよ。マナでも種族でもなくて…なんて言ったらいいかな…とにかく違うんだよ。」

 

 「…左様か…ついでに聞きたいが…貴様は継国縁壱という男を知っているか?姿は私によく似た人間種だ…」

 

 「ん~オレもいろいろな場所を巡ってきたが、そんな名前の奴にも、アンタみたいな顔の人間にも会ったことは無いな…そいつは強いのか?」

 

 「…ああ…世の理を乱す程にな…」

 

 どこか懐かしむように話す黒死牟を見て、クラウンはその人物が大層な強者だと判断し興奮する。

 

 「そりゃまた挑みがいのある奴だな!!ぜひ会ってみたいぜ!!」

 

 「…血の気が多し…故に滅びへと向かったか…」

 

 「まぁオレらの一族は昔少々やりすぎてね…残ってるのはほんの僅かなんだよなぁ。」

 

 クラウンの一族はその凶暴性と強さを活かして、傭兵のような活動を行っていたが血の気が多すぎたため、種族間紛争で少々やりすぎてしまい、調停者に粛清を喰らった過去がある。

 そんな中でクラウンはほかの一族とは違い、長く楽しむにはどうすればいいかを考えるだけの冷静さを持っていた。

 自分たちだけでは組織の力には無力…ならばできるだけ長く戦えるような職に付けばいいと、体色を変え女騎士となったが、いつしか普通の盗賊程度では満足できない体となってしまった。

 そして粛清を喰らった一族の出では上の階級に上がり、より楽しむことが出来ないと知っていたクラウンは冒険者となるが、モンスター相手だとどこか楽しむことが出来なかった。

 

 その後、他部族の紛争地域などを彷徨い悩んだ結果自分は単なる勝利ではなく知性ある強者を屈服させることこそが、自身の性癖だと気付いたクラウンは強い冒険者たちもたまに来訪し、身を隠すにも都合がよいサキュバス店に就職する流れとなった。

 そして今日嬉しさで鳥肌が立つほどの上客がやってきた。こんなにプレイが始まるのが楽しみな日が来るとは想像できなかったくらいだ。

 

 「さて話はここまでにして…そろそろおっぱじめるか。」

 

 「…良かろう…」

 

 「頼むからアンタは簡単に壊れてくれるなよ…これほどの上物初めてだからな…最初から殺す気で行くぜ!!」

 

 「…それが賢明だろう…長生きしたくばな…」

 

 いつもは殺してしまうとさすがに権力が出張ってくるので手加減はしていたが、今日のプレイではこちらも殺す気で行かないと届かないどころか自分が確実に食われる。そう感じたクラウンはその顔に普段は抑えている凶暴性を全開放する。

 

  さぁ森林浴プレイ開始だ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『セキセイインコって飼ったことある?懐くと手のひらで…交尾し出すよねあいつら…何が言いたいかっていうと…鳥ってエロい奴はエロいんだー!セキセイインコならぬ、セクシー淫行…実によし!』

 

 「…実によし…」

 

  森の木々の間を猛禽類独特の優れた目をもってして、器用にかいくぐりながら飛翔するクラウン。それに対して黒死牟は木の枝や幹を巧みに利用し、跳ぶ。

 無論これは飛行デートなどといった生易しいものではない。両者の間ではお互いを喰らいつくすための体術の応酬が繰り広げられており、達人でも近づくことが困難なフィールドと化していた。

 

 「そこだァ!!」

 

 「…狙いは正確だが…まだ青い…」

 

 こちらがわざと作った隙に飛び込んできたクラウンに対して、かつて己の子孫である若き柱に対してやったように攻撃からのカウンターを決めようとするが、それをクラウンは手足を使って払いのける。

 その様子を見て黒死牟はわずかに目を見開く。自身のカウンターは隻腕になったとはいえ紛れもなく天才であった子孫から刀を奪い取るほどのものであったにもかかわらず、この娘はそれを払いのけたのだ。

 

 「…良き動きだな…」

 

 「危ねぇ、危ねぇ、やっぱり剣一辺倒じゃなかったな。」

 

 カンムリクマタカ特有の強靭な手足を持っているとはいえ、これはただ力任せにやっただけでは絶対にできない芸当だ。相手はただ凶暴なだけの獣ではない、理知を備え見極めができる芸者だ。

 

 「たまらねぇぜ!!これがオレが求めていたものだぁぁぁぁ!!」

 

 黒死牟がカウンターを狙っていることを察知したクラウンは大いに興奮する。おそらく一度組み敷かれれば、自身の力をもってしても抜け出せないということも理解した。

 当然相手に隙などあろうはずもない、間違いない…目の前の相手は特上の存在だ。

 

 「これほどの上物を知ってしまったらもう元の生活に戻れなくなっちまうじゃねぇか!!」

 

 「…そのようなことは…私の関知するところではない…」

 

 「ツレナイこと言うなよ!オレをこんな体にしやがったツケを払いやがれぇ!!」

 

 一見無茶苦茶なことを言っているようにも聞こえるが、猛禽類の仲間には空中で足を絡ませ合うことが求愛行動となっている種もいる。今のクラウンにとって森の木々の間を飛翔し、黒死牟との間で体術の読み合いをするこの行動は非常に性的興奮を覚えるものであった。

 …黒死牟の知らぬ間にツケはどんどんたまっていたのだ。

 

 「…鷹の目と…翼…そして体術…素晴らしいものだな…」

 

 一方の黒死牟にも興奮(非意味深)の感情はあった。鷹の動体視力、強靭な手足の筋肉、そしてそれを活かせるだけの体術、目の前の相手は間違いなく逸材だ。

 

 「まだまだ続くぜぇ!!」

 

 再び飛翔する二人…早く済ませないと延長確定だぞ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 森の中で数十本の木々が何かに抉られたように斬り倒されている。きっとこの場所の元の姿を知るものがいたらこの惨状に大層驚くことだろう。もっともこれを引き起こした原因である一人の鬼と、一人の有翼人種は気にも留めやしない。

 

 「…面白い…だが…そろそろ…終わりにするか…」

 

 刀は今現在持っていない。やろうと思えば今からでも体から生やすことが出来るが、それはこの戦い(プレイ)においては無作法極まりない。

 故に黒死牟は己の腕を剣に見立て構え集中する。

 

 (…あの構え、何らかの技が来そうだな。)

 

 魔法は扱えないと事前に黒死牟から聞いており、飛び道具も刀さえも持っていないことは承知しているが、クラウンの勘は今の距離では不味いと感じこの場から離れようとする。

 しかし例え一定の距離があろうとも居合においては黒死牟のほうが上手だった。

 

 「…楽しませてくれた礼を尽くそう…」

 

 ―月の呼吸― 陸ノ型 常夜孤月・無間

 

 「な…!?」

 

 無数の斬撃を対象に向けて集中させて放つ技。威力こそ刀を持った時の技には及ばないものの鬼の膂力と、呼吸法によって底上げした力は間違いなく脅威だった。更には、何百年も鍛え続けたであろう黒死牟の技は一振り一振りが全て死そのものである。

 

 「これは不味い!!」

 

 振り払われる刀の軌道に沿うように残る月光は、一つ一つが黒死牟の斬撃。クラウンは背筋に冷たいものが流れる感覚を感じる…が、その闘志が衰えることはなかった。

 

 「諦めるかぁ!!」

 

 この技を避けることは、普通はほぼ不可能だ。なので近くにあった木を強靭な手足を使って引き裂きそれを投げつける。

 障害物により威力を落とす攻撃、それでもまだこちらに向かってくる。しかしクラウンは驚異的な動体視力と蓄積された経験をもってして、どこを飛べばダメージが少なく切り抜けられるかを瞬時に見極める。

 

 「まだだ!!まだオレは戦える!!」

 

 黒死牟の技の全てをよけきることは出来なかった全身にはまるで斬り傷のような傷が刻まれ、自慢の翼や首筋の冠のような羽毛には所々血が滲んで汚れてしまっていた。

 それでも諦める理由にはならなかった。意識を集中し再び索敵を開始しようとする。

 

 「…天晴なり…」

 

 しかし技を避けるために意識を集中してしまっていたクラウンよりも早く黒死牟は懐に入り込み、体術をもって組み敷く。黒死牟は分かっていた、刀を使わない技ならばこの相手には止めとはなりえないことを、ゆえに技を隙を作らせるための一石として使用したのだ。

 

 「俺の負けか…」

 

 もはや、抵抗することはかなわない。決着はここに付いた。

 

 

 「あまり動くと出血がひどくなる…これを飲むがいい…」

 

 黒死牟から手渡されたのは回復薬だった。本来はクラウンとのプレイでボロボロになるであろう客に対して使用するために店員が渡したものだったが、逆の使われ方をしたのは今日が初めてだった。

 

 「あ~悔しいぜ!!」

 

 これにて森林浴プレイ終了です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 『ボクとは全く違う質感の、綺麗な羽がとても好きです。でも…受け身体質らしいので、攻めるのが苦手なボクには少し困ります…森の湖で、のんびり一緒に水浴びする基本プレイは冷たくて気持ちいいですが…砂浴びプレイは誰に需要があるのでしょうか…』

 

 「さすがに今日は砂浴びプレイをしたら傷口が開きそうだぜ。」

 

 「…貴様は…何を言っているのだ?」

 

 「気にすんな、ただの独り言だよ。」

 

 森林浴プレイを終えたその体を惜しげもなくさらしながら水浴びに興じるクラウン。当たり前だが、異性に裸体を見せることに恥ずかしさなどない。

 

 (やはり…まだ慣れぬな…)

 

 こうも簡単に夫でもない男に裸を見せることには違和感を隠せないが、世界が違うのだからそこに余計な横槍を入れるのはお門違いと思い直す。今はかつての上司の呪縛も存在していない一体の存在としてここに立っているため少しくらいの自由さには寛容なつもりだ。

 

 「それよりよ!!傷がふさがったらまた体の疼きが止まらなくなってきちまった。どうしてくれるんだよ?」

 

 「…もう一戦交えるか…それもまた一興か…」

 

 まだ戦い足りないのなら相手になるぞといった具合に構える黒死牟、それに対しクラウンは呆れたように訂正する。

 

 「そうじゃなくてコッチの方だよ。責任を取りやがれってんだ!!」

 

 「…なぜまたそのようになった?…貴様は戦いを求めていたのではないのか?」

 

 「そこはそこ、コッチはコッチだ。お前はオレを組み伏せた、知ってるか?俺たちの間ではそれが本当の意味で認めるってことだぜ。」

 

 「…知らぬな…」

 

 「ふざけんじゃねぇ!!このままじゃオレは次に卵を三個産まなきゃならなくなっちまうじゃねぇか!!黒死牟、テメェが何とかしやがれ!」

 

 顔を赤らめながら怒鳴るクラウン、どうやら諦めるつもりは無さそうだと判断した黒死牟は示談の条件を話し出す。

 

 「…条件がある…」

 

 示談の条件を聞いたクラウンはいい笑顔をしながら快諾する。条件も内容はクラウンに呼吸法を伝授し、強くなったらまた戦うというものだった。

 

 「良いぜ、今より強くなる方法を教えてもらって、コッチも鎮めることも出来るんならお安い御用だ。」

 

 (快諾したか…ここまでくれば抜かねば無作法というもの…)

 

 さぁ延長確定だが、第二ラウンドの始まりだ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ラミア:ナルカミ

 

   0

 

 原始の恐怖が…ここは地獄か…

 

 

 

 

 

 

 

 鬼:黒死牟

 

 

 

 非常に得難い体験であった…有翼人とは…いやクラウン…貴様は面白い…引き締まった肉体に機能美…技も我流であそこまでとは…使うつもりはなかったが抜かねば無作法だったのでつい使ってしまった…何にせよこれからの成長と再戦が…非常に楽しみだ…

 

 「…実に満足であった…」

 

 「…前のレビューよりは良くなったのか?」

 

 「どっちの戦いのことかよく分かんねぇけど、まぁこのレビュー見にくる奴らならば都合がいい方に解釈してくれるだろ。」

 

 「カンムリクマタカ怖い…カンムリクマタカ怖い…」




 *補足*

 クラウン

 言うまでもないがオリジナルキャラクター。カンムリクマタカの有翼人で強いものとの戦いが大好きな戦闘狂。彼女らの部族は紛争地域では重宝されたが泰平の世に適合することが叶わなかったため紛争に参加しなかったわずかな数を残して全滅。彼女は国家には部族ではどうしようもないと見切りをつけた数少ない生き残りで、犯罪者という訳ではないが、やはり世間一般では怖がられることが多いようだ(ラミアは特に)
 ちなみに性感帯は他の有翼人と同じだが、認めた相手にしか触らせることはしない。
 客に対しては生来の嗜虐心をむき出しにして接するが、店員や同僚には優しく接するくらいには社会に溶け込める。
 

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